第4位:大ブレイク寸前,漆黒の女子ラッパー=オラニカ又の名をCHIKA「トランプ大統領への手紙」(2019年Hip-Hop名曲名場面ベスト50)

チカ(CHIKA)という凄いラッパーがいます。日本ではまだ知られていないでしょう。アンダーグラウンドで活動し,最近はグツグツと煮え滾っており,間も無く大ブレイク寸前,漆黒の女子ラッパー,それがチカ(CHIKA)又の名をオラニカ(Oranicuhh)と言います。

まずはこちらをご覧下さい。ゲイの代弁として,オンナの代弁として,漆黒の肌を持つ者の代弁として,トランプ大統領へレターを放ちます。

チカ(CHIKA)はアメリカ深南部(deep south)のアラバマ州出身。Alabama-Obama-Mamaという彼女にとって重要な3つの単語が韻(rhyme)を踏んで彼女のライムに共鳴します。

“They want us to wallow.”
(連中は私たちがもがき苦しむのを見たがっている。)

「連中」というのはトランプ大統領を筆頭にした現政府の官僚のことでしょう。
「私たち」というのは深南部,とくにアラバマ州のようにゲイの権利や,女性の権利等が共和党政権(Republicans)によって剥奪された人間のことでしょう。

これほどの苦しみと憤りをここまで冷静に音楽に昇華させるのは,2年前のケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)のMTVステージでのライヴ・パフォーマンスを思い起こさせます。

曲の後半でオバマ前大統領の名前が出ます。10年前,当時12歳だった小学生のチカ(CHIKA)はランドセル(book bag)を背負って,そこに自分で描いたオバマ大統領の肖像画の画用紙を入れて,家に帰ってママに見せようと胸を張って歩いた,という文が出てきます。この部分です。

I think it’s crazy when I look back
I remember being 12 and in my book bag I tucked away the drawing of Obama
I was so proud I couldn’t wait to show my Mama
He was larger than life
Bigger than black
Made me rethink what’s holding me back and kill these excuses I ever had to be anything less successful.

唖然とするよ,あの頃を思い出すと
12歳の頃,私はオバマの肖像画を描いてランドセルに入れた
それを提げて誇らしげに,ママに見せるのが待ちきれなかった
オバマは英雄だった
「ブラック」以上の存在だった
それを見て私は自分の人生を考え直した,「ブラック」であることを言い訳に,黒人だから成功できないなどと,私は何を馬鹿なことを考えていたのかと。
(歌詞起こし及び対訳:Jun Nishihara)

チカ(CHIKA)のその他のフリースタイルを以下のとおり3件,掲載しておきます。

ローリン・ヒル(Lauryn Hill)をフリップしたフリースタイルは美しい。
カニエ・ウェストに対する反骨フリースタイルはハングリーで醜い。
美しきは醜く,醜さは美しい。

P.S.ローリン・ヒル(Lauryn Hill)の名盤『The Miseducation of Lauryn Hill』がリリースされた1998年,チカ(CHIKA)は1歳。

(文責及び対訳:Jun Nishihara)

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