アメリカ合衆国には「黒人音楽の月(Black Music Month)」として制定された月があります。「6月」ですが,これは1979年のジミー・カーター大統領政権が定めたもので,同年6月7日に施行されました。
正式名称は「African-American Music Appreciation Month(アフリカ系アメリカ人音楽を味わい楽しむ月)」ですが,2016年オバマ大統領は,この月に,オバマ自身の言葉で「to dance, to express our faith through song, to march against injustice, and to defend our country’s enduring promise of freedom and opportunity for all.(踊って,歌をとおして信条を表現し,世の不当な仕打ちに対してマーチングする月である。そして,国民全体のため,自由と機会を約束するというこの国(米国)の土壌を守るための月である。」として,オバマ大統領は黒人音楽の月である6月にそういった意味を込めました。
現在,白人警察による黒人への暴行事件に対するデモが全米各地で勃発しておりますが,それがこの月6月に起きているということと,加えてJuneteenth(黒人奴隷解放記念日)である6月19日も6月にあたるということ。なにかとこの6月という月は,いろいろな意味で黒人音楽に関係している月であります。
この6月にむかしから連綿と続く黒人音楽の良さをカラダ全体で感じることを目的として,以下,「これこそが黒人音楽!」というものを「ヒップホップ及びラップ以外の黒人音楽」という制限のみを設けて,キュレーティングしておきたいと思います。
まずは,オバマ大統領も言っていたように「to dance, to express our faith through song」という表現が似合う「黒人音楽のおとん(父)=James Brown」からスタートです。
1. James Brown – “Say It Loud – I’m Black and I’m Proud”(以下ビデオでは,ジェイムス・ブラウンのみが踊り,観客の白人はほとんどカラダを動かしていないシーンがある,というのが時代を反映しているようで興味深いところがあります。)
2. Marvin Gaye – “What’s Going On”(これは1972年のライブ映像ですが,この7年後にカーター政権が黒人音楽の月を制定したのでした。この曲そのものも,まさに「白人警察による黒人への暴行事件に影響を受けて書かれた曲」だったのでした。)
3. Donna Summer – “I Feel Love”
4. Earth, Wind & Fire – “September”
5. Chaka Khan – “Through The Fire”
6. Melba Moore – “You Stepped Into My Life”
7. Banda Black Rio – “Miss Cheryl”
8. Patti LaBelle – “The Spirit’s In It”
9. Bob Marley & The Wailers – “Get Up, Stand Up”(これは1973年に書かれた曲で,当時のハイチの貧困さに影響されて制作された楽曲です。サビでは「起き上がれ,立ち上がれ」とひたすら連呼されます。)
10. Diana Ross – “Brown Baby / Save the Children”
11. Carol Williams – “Dance The Night Away”
12. Solange – “Binz”(黒人女性の肌の色や身体をまさにappreciate(敬慕する)ということをテーマに描かれた楽曲が2曲続きます。1曲目はソランジュです。)
13. Ari Lennox – “BUSSIT”(アリ・レノックスの官能的な映像ですが,黒人女性が誇りとすべきものをもう少し世に広めるべしといった信条さえも窺えます。)
14. Erykah Badu – “On & On”(エリカ・バドゥの奇才ぶりを世に知らしめることとなった,そのおおもとの楽曲です。)
15. Stevie Wonder – “Black Man”
16. Curtis Mayfield – “The Makings of You”
17. Al Green – “Simply Beautiful”
18. Ohio Players – “I Want To Be Free”
19. Teddy Pendergrass – “Love T.K.O.”
20. Aretha Franklin – “Call Me”
(文責及びキュレーティング:Jun Nishihara)