2020年8月及び9月に実施された,ウィズ・コロナ禍でのカニエ・ウェスト率いる“Sunday Service Choir”。

2020年,新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け,ロックダウン発令中,カニエ・ウェスト率いる“Sunday Service Choir”は,自宅からオンラインで行われました。その映像はこちらに掲載いたしました

さて,そのロックダウン時期を経て,2020年8月及び9月にいよいよ,オンラインではなく直接会っての“Sunday Service”が実施されました。8月にはワイオミング州の山の中(カニエ・ウェスト・ファミリーが購入した山中の牧場(West Ranch))にて行われ,9月にはジョージア州アトランタ市ダウンタウンから南に35km場所に位置するフェイエットビルの湖上で行われました。

① まずは2020年8月16日(日)に実施された“Sunday Service”の模様です。

② 続きまして,2020年9月6日(日)に実施された“Sunday Service”の模様です。

(キュレーティング:Jun Nishihara)

2020年3月に実施された,コロナ禍直前でのカニエ・ウェスト率いる“Sunday Service Choir”。

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で,カニエ・ウェストの“Sunday Service”に関するレポートもここしばらく掲載しておりませんでした。(最後に“Sunday Service”のレポートを載せたのは,2020年4月29日でした。)

そして昨年2019年12月16日には,このような記事をアップしました

本年2020年に入り,米国では3月,4月頃から新型コロナウイルス感染症拡大により,全世界であらゆる活動が休止されてきましたが,カニエ・ウェスト率いる聖歌隊“Sunday Service Choir”(サンデー・サービス・クワイヤ)も例に漏れず,活動を休止してきました。

活動を休止する直前,2020年3月1日に行われた“Sunday Service”アクトは,フランスはパリ市のブッフ・デュ・ノール劇場(Théâtre des Bouffes du Nord, Paris, France)で実施されました。

その映像をご紹介いたします。

① Kanye West & Sunday Service Choir – “Lord You’re Holy / Ballin'”

② Kanye West & Sunday Service Choir – “Father Stretch My Hands”

③ フル映像(2020年3月1日の“Sunday Service Choir”)

(キュレーティング:Jun Nishihara)

元ネタの曲を知る(14):ビッグ・ショーン⇄マイケル・ジャクソン

先月リリースされたビッグ・ショーン(Big Sean)の新盤『Detroit 2』から。

同アルバムに収録されている楽曲「Don Life」はマイケル・ジャクソンの「Human Nature」を元ネタにしてビートを回しております。

まずはビッグ・ショーンのこちら,check it out.

Big Sean – “Don Life”

そして,ビッグ・ショーンが今回本曲をビート・プロデューサーであるKeY Wayne(キー・ウェイン)とともに制作するにあたり,サンプリングとして下敷きにした元ネタが,マイケル・ジャクソンの「Human Nature」です。

Michael Jackson – “Human Nature”

(文責:Jun Nishihara)

カニエ・ウェストが2020年大統領選挙に立候補したのは事実であり,新曲「Nah Nah Nah」を発表。

2020年10月12日,カニエ・ウェストは公式に大統領選挙立候補のキャンペーン広告を発表。

そして正式に米国内12の州で,投票用紙にカニエ・ウェストの本名カニエ・オマリ・ウェスト(Kanye Omari West)が記載されることとなりました。

そしてカニエは先週リリースされた新曲「Nah Nah Nah」で次のラインをスピットします。

Next time you text, can it wait?
You are talkin’ to a presidential candidate

次テキスト送ってくるの,待ってくれる?
俺を誰だと思ってる? 大統領選挙立候補者だぞ

このワンラインのためだけに大統領選に立候補したのか,もしくは,大統領選に立候補したからこそこのワンラインが言えたのか,カニエであれば前者も大いにありうることと想定されるが,しかし,同曲の後半ではこういう風にもラップしています。

If I put myself in harm’s way to get my own masters
They’ll put theyself in harm’s way to stay the master
They’ll put theyself in harm’s way ’cause they ain’t askin’
They’ll put theyself in harm’s way, the slaves are massive

Do you want me to get specific?
Do you want me to name numbers?
Do you want me to name summers?
All the stars came from us
All the styles came from us
All the talent came from us
All the shoes came from us
But the news ain’t on us
All the news ain’t honest
All the news ain’t honest
They wanna ignore me, rewrite the story
Take all the top spots, in every category
Back in fashion with them boys, can’t ig-can’t ignore me

自分自身を犠牲にしてまで,原盤権(=マスター音源に対する権利)を得ようとしたが
連中は犠牲をかえりみず,主人(マスター)でい続けようとした
連中は犠牲をかえりみず,俺らの願いを払い下げようとした
連中は犠牲をかえりみず,こうして奴隷は増加してくばっかであった

具体的に言ってやろうか?
数字を挙げてやろうか?
年代,季節,挙げてやろうか?
スターと呼ばれる連中は,俺ら(=つまり黒人)の真似をしてきた
スタイルに関しても俺らが「もと」を作った
タレントに関しても俺らが「もと」を作った
スニーカーに関しても俺らが「もと」を作った
しかしメディアではそんなことからっきし報道されないし
ニュースで真実は語られないし
ニュースで真実は語られないし
俺らは無視され続け,歪んだ物語にすり替えられるだけ
しかしその俺らが今,あらゆるジャンルで,トップをぶっちぎってる
同輩とともにファッション界を取り返し,もはや無視のできない存在となった

大統領選挙に立候補したというのはカニエにとっては単なるツカミでしかあらず,ほんとうに伝えたかったのはこの後半の部分ではなかろうか,と思った先週でしたが,否しかし,このツカミですら同等に重要な事実であることはカニエの人生にとっては間違いないことであろうと考えます。

最後にその「Nah Nah Nah」を掲載しておきます。

(対訳及び文責:Jun Nishihara)

アメリカの自由さを想起させる,上半身裸でクルマを乗り回すTrey Songz,勿論MVの中で。

本年8月にリリースされたトレイ・ソングス(Trey Songz)の新曲「Circles」のミュージックビデオを観て,思うわけです。アメリカの夏には良く上半身裸でオープンカーを乗り回していた連中がいたなぁ,と。

これは晴れた真夏の日なんかに,アメリカの郊外ではよく上半身裸でクルマを乗り回しているヤツがいたのを憶えております。そんなことしていいんだ,と,こちらまで自由さが伝わってきて,すがすがしい解放感を感じたことがあったというのを,このミュージックビデオを観て,思い出しました。

それが1点。

しかしながら他方,同ミュージックビデオの後半で,白人警察に黒人が運転している車が停車の指示を受ける,という一瞬恐怖を感じさせる場面もあります。最近はスマホで写真をすぐに撮れるので,それを撮られた警官もいい気はしないでしょう。スマホで写真を撮ることによって,余計に警官の気分を逆撫ですることもあると思います。

当時私がアメリカで感じた解放感とは真逆の生きづらさ。

解放感と生きづらさという正反対の要素が混在しているヴィジュアルであります。

Trey Songz – “Circles”

(文責:Jun Nishihara)

変わらないスタイルを貫くThe LOXに,旧友DMXを迎える。

2020年7月及び8月の期間に,米BET(ブラック・エンターテインメントTV)で特集された伝説の吠える男=DMXを迎えて,ラフ・ライダーズ(Ruff Ryders)レーベルを支えてきたThe LOX(=Jadakiss + Styles P + Sheek Louch)が2020年8月にアルバム『Living Off Xperience』をリリースした。同時期に収録楽曲「Bout Shit」のミュージックビデオもリリースした。

以下MVをご覧になるとお分かりになるとおり,The LOXのラップスタイルもファッションスタイルも,90年代から全く変わっていない。全く変わらず20年以上,そこそこ現役でやってきたっつうのは,奇跡と言える。非常に息が長いMC連中であると言える。

ほな,その,「Bout Shit」という曲を,マジにならず軽く聴いてみてください。

The LOX feat. DMX – “Bout Shit”

上記の「Bout Shit」は冒頭で説明したとおり,2020年8月リリースの楽曲ですが,以下に同グループ=The LOXが1998年1月にリリースしたシングル曲「Money, Power, Respect」を掲載しておきます。ビデオの画質は違えど,1998年にLOX連中がやってたスタイルと変わっていないことが分かるでしょう。

ちなみに・・・最近はコロナ禍ですので,クラブには行けないですが,いまだにNYCのクラブでこの曲鳴れば,あっという間に皆一体になれるっつうthrowback(ナツメロ)の曲があるので,それも乗っけときます。

クラブの底が抜けるほど,爆音でこの曲鳴らして,若かりし2000年代前半の頃のように,バカ暴れしたいっすね。

(キュレーティング:Jun Nishihara)

若返ったNAS(ナズ)。とびきりカッケーMVリリース。

2020年8月にリリースされたHIP-HOP史上最も重要なMC=Nas(ナズ)の通算13枚目のアルバム『King’s Disease(キングの病い)』で,収録楽曲のトリを飾る曲「Spicy」のミュージックビデオが同年10月2日にリリースされた。

フィーチャリング・アーティストには,若手ルーキーのFivio Foreign(ファイヴィオ・フォーリン)及びA$AP Ferg(エイサップ・ファーグ)を起用して,現代HIP-HOPに参上。

まぁ,みてみい。中毒,マチガイ無し。

Nas feat. Fivio Foreign & A$AP Ferg – “Spicy”

(キュレーティング:Jun Nishihara)

5年の時を経てヴィジュアルをリリースしたBryson Tiller。

2020年9月25日付でYouTube上にて,2015年にリリースされたアルバム『TRAPSOUL』から収録楽曲「Right My Wrongs」のヴィジュアルを,5年の時を経て,リリースしました。

『TRAPSOUL』はリリースされた当時2015年にヘヴィロテで聴いておりましたが,5年経った今聴いても,全く色褪せていない,ということが窺えます。

さらに,あれからもう5年経ったのか,ということ。そして,本曲を聴くと5年前のいろいろなことが思い出されるということ。

当時ヴィジュアルを出さずに,5年後の今,これをリリースするというのは,現代のあらゆるものがインスタントに消費される世の中で,めずらしいことです。

新曲がリリースされては消費され,ヴィジュアルも同時にリリースされ,しばらくの間,YouTube等の動画サイト等で「再生回数」を稼ぎ上げもてはやされて,しばらく経った後,一部を除いて,繰り返し「再生」されることがなくなり,ネットの計り知れないほどのデータの渦の中に消え去っていく。

そういう現代の世の中で,5年の時を経て,あたかも新曲のようにヴィジュアルを発表することにより,ネット上のデータの渦と,人々の記憶の渦の中から,この曲を取り出させ,ブライソン・ティラー(Bryson Tiller)を聴いていた頃を聴覚という五感をとおして懐かしく想起させる,というのは,新しく旧い体験であります。

ブライソン・ティラーの『TRAPSOUL』を当時聴いていた人も,聴いていなかった人も,新しく旧い曲「Right My Wrongs」を聴いてみてください。

Bryson Tiller – “Right My Wrongs”

(文責:Jun Nishihara)