ビッグ・ショーンが2020年9月にリリースしたアルバム『Detroit 2』に収録された楽曲「Friday Night Cypher」はかなりの衝撃です。
18年前,2002年にHip-Hop史上に残る「Grindin’」という,永遠のビートを作り上げたファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)及びチャド・ヒューゴ(Chad Hugo)率いるザ・ネプチューンズ(The Neptunes)のビートを元ネタに使ったメロディで始まります。
そこからデトロイト出身のラッパー11名が勢揃いして,一人一人フリースタイル・ラップをカマしていきます。この1曲で9分28秒というラップ曲にしては非常に長い曲。
曲名にあるcypher(サイファー)というのは,複数名のラッパーが円を囲んで一人一人順番にフリースタイルをカマしていくというスタイルのこと。
その「円」を想像しながら聴いてみてください。
このサイファーに参加している11名は以下のとおり。
登場する順番に掲載します。
ティー・グリズリー(Tee Grizzley)
キャッシュ・ドール(Kash Doll)
キャッシュ・キッド(Cash Kidd)
ペイロール・ジョヴァンニ(Payroll Giovanni)
42・ダッグ(42 Dugg)
ボールディ・ジェイムス(Boldy James)
ドレゴ(Drego)
ビッグ・ショーン(Big Sean)
サダ・ベイビー(Sada Baby)
ロイス・ダ・5’9’’(Royce da 5’9”)
エミネム(Eminem)
大トリはエミネム。
Boldy James(3:07)のラインでビートがスウィッチされてJadakissの「We Gonna Make It」ビートが鳴り始める瞬間,テンション上がらないハズがない!(ちょっと細かいですが,ここのビートは,「We Gonna Make It」のビートを裏返しして,つまり,後ろ(高音)のキーからビートマシンを弾いて低音に戻るという,逆方向に鳴らして,まぁ凝ってます。)
ではそのデトロイト・ラッパー10人をfeat.したビッグ・ショーンの「Friday Night Cypher」聴いてみましょう。
Big Sean feat. 10 Detroit rappers – “Friday Night Cypher”
ちなみに,冒頭で起用されている元ネタは,The Neptunesビートの「Grindin’」です。
まぁ,ファレルとチャド・ヒューゴの天才ぶりを聴いてみてくだされ。ファレルが相方のチャド・ヒューゴに対してこう言っています。「チャドは天才だ。碩学(savant)だよ。チャドに比べりゃ俺はただの蟻(ant)だよ」,と。
(文責:Jun Nishihara)