アルバム『Khaled Khaled』より、楽曲①「Thankful」です。

DJキャレド(DJ Khaled)が本年4月30日にリリースしたアルバム『Khaled Khaled』より、リル・ウェイン及びジェレマイをフィーチャリングした楽曲①「Thankful」です。

(キュレーティング:Jun Nishihara)

2021年のHIP-HOPに非常に重要な意味を持つアルバム『Khaled Khaled』がリリースされた。

DJ Khaled(DJキャレド)が通算12枚目となるアルバム『Khaled Khaled』をリリースした。表紙はこんな感じ。

このアルバムタイトルである「キャレド・キャレド」というのは,DJ Khaledがまだ無名であった時代(正確に言えばメジャーデビューはせず,マイアミエリアでしか名を馳せていなかった時代)の芸名であった。DJ Khaledはデビューして今年で15年。早いもんだぜ。2006年にリリースされたDJ Khaledのデビューアルバム『Listennn… the Album』が今もまだ「新たな世代のラップ」のように聞こえてならない。あれから15年たった今も,DJ Khaledは「新たな世代」を「ベテランの大御所ラッパー」とともに引き合わせる「接着剤」「橋渡し」「触媒」の役割として,絶妙なポジションにいるDJ兼プロデューサーの役を引き受けている。そしてそれに成功している。

DJ Khaledがムスリムの儀式である「ナマーズ(祈り)」を捧げている際に,末っ子のアラム君が祈るパパを指さして微笑んでいるのが素晴らしく,これはなかなか良いものを表紙にしましたね。

まずはこの曲を送ります。収録楽曲1曲目,「THANKFUL(感謝)」です。

(文責:Jun Nishihara)

ブラック・ロブの「ウォゥ!」なゲットー・ラップ。

今からおおよそ11年前,2000年2月15日に「Whoa!(ウォゥ!)」というゴテゴテのゲットー系ヒップホップ曲がリリースされた当時,この曲を耳にして,内側の五臓六腑を抉り出し,暴動にでも飛び出したくなるような相当キケンな匂いがする曲のように感じたのを憶えている。

この曲「Whoa!」はパフ・ダディ(改めP. Diddy改めDiddy)が指揮を執るバッド・ボーイ・レコーズ(Bad Boy Records)に所属するブラック・ロブ(Black Rob)の曲である。

これはいわゆる小ぎれいでナーディなヒップホップを生み出したカニエ・ウェストが登場する「カニエ以前」の時代のヒップホップである。まさに,汚らしく美しい“庶民の”ゲットー・ラップを反映し,しかもそこへパフ・ダディ節を根底に流したゴテゴテのヒップホップ曲であった。

当時,ゲットー出身の連中はこの曲に共鳴し,ストリートに於いて爆音で流した。

イルなもん見たらその時は叫べ「ウォゥ!」。アップタウンのイケイケ女見たとき叫んだぜ「ウォゥ!」。ダイヤとパールでまとった女「ウォゥ!」。腕にかざしたアイス(=ジュエリー)見ろよ「ウォゥ!」。カネは問題じゃねぇ,いくらでも積んだるぜ「ウォゥ!」。おまえらの動きにかけたるぜ急ブレーキ「ウォゥ!」。俺ら野郎たちはドウ(金)儲けて,ドロー(ハッパ)焚いて,ニトロ飛ばして,フロウかまして,かっこよくキメてヨゥ,ウォゥ!っていう内容の曲です。

そのブラック・ロブ(Black Rob)が先日,2021年4月17日にこの世を去りました。その前々週4月9日に伝説の男DMXが亡くなったばかりでした。二人であの世でヒップホップ曲を爆音で響かせ,同郷NY出身のビギーらとともに暴れてるに相違ないでしょう。

その「ウォゥ!」を以下に掲載しておきます。本物のヒップホップっちゅうもんはこういうもんだったというのを未来の世代の野郎どもへ,時々,思い出すようにしてくれや。

(文責:Jun Nishihara)

ソウルの大御所アイズレー(Isley)家の新旧3曲

  1.アイズレー・ブラザーズ(The Isley Brothers)の4月にリリースされた新曲「Friends & Family」です。

  2.アイズレー・ブラザーズ(つまりアイズレー兄弟)の1人であるアーニー・アイズレー(Ernie Isley)の娘=アレックス・アイズレー(本名:Alexandra Isley)が米NPR局のTiny Desk (Home) Concertに登場しました。

  3.これこそ幾つものHip-Hop楽曲にサンプリングとして起用されてきたソウルの大御所であることを物語る名曲,アイズレー・ブラザーズの「Between the Sheets」です。

(キュレーティング:Jun Nishihara)

リック・ロスが米NPR局「Tiny Desk (Home) Concert」で感動のライヴを披露してくれた。

当サイトでも何度か書きましたが,リック・ロス(Rick Ross)ほどハードコアなラップをやっているヤツに限って,真逆のバラードをやらせると,これが感動的な音楽を作ってくれる,という方程式のようなものがあります。

タイムライン@10:50でハードコアなラップをやっている反面,@14:38から始まる楽曲「Tears Of Joy」をラップしながら,リック・ロスがグラサンの奥で涙を流しなが,こう言います。「おまえに涙は見せねえけどな!おまえに涙は見せねえけどな!」”You just can’t see it! You just can’t see it!”

後半でリック・ロスが自分の先祖はピーカンナッツを摘む奴隷として生きた話をするライン,父親の親族はフロリダ生まれで,母方はミシシッピ,もうどちらもアメリカの深南部(deep South)ですけれど,ここら辺を感情的に話す(というか吐露する)ロスの肉声を聴くと,こちらも感情的にならざるをえなくなってきます。これはもはやラップというより,ブルース,否,バラードですよ。ロスのゴツい声に合わせて高音テノールのヴォーカルが,泣き声のように響きます。

(文責:Jun Nishihara)

DMXがカニエ・ウェスト率いるSunday Serviceに登場してくれた映像。

2019年4月に開催されたコーチェラ(Coachella)のカニエ・ウェスト率いるSunday Serviceに,DMXが来てくれました。

二木崇先生がライナーノーツに書いていたとおり,DMXの生の声ほど俺らを熱くしてくれるものはない,というのは,当時それを読んだ時,物凄く共感したのを思い出します。

こちらにもDMXは来てくれました。

ありがとう,DMX!

(文責:Jun Nishihara)