第4位:今年、NYを最もレペゼンした男=’90年代からHip-Hop界に君臨するDON=ディディ(Diddy)(2022年Hip-Hop名曲名盤ベスト20!)

今年2022年を振り返って、NYを最もレペゼンしていた男といえばディディ(Diddy)なのかもしれません。

Hip-Hop史上最も重要なバトルと云われている2パックとビギー(The Notorious B.I.G.)の対決は、お互いの死という最も悲劇的な形で終わりを遂げましたが、そのビギーを世に広めたのはディディ(当時はパフ・ダディと呼ばれていました)です。本名クリストファー・ウォレス(Christopher Wallace)=The Notorious B.I.G.=ビギーは、ディディに導かれ、当時、NYでぐつぐつと人気沸騰しかけていたレコード・レーベル=The Bad Boy Recordsに所属をし、1996年に亡くなるまで、数々の名曲を生み出しました。

そして先週末12/10(土)に、ディディはリック・ロス(Rick Ross)と組み、こちらのミュージックビデオをYouTube上でリリースしました。

最後の「You’ll see, you’ll see」(そのうちわかるよ)という意味深な言葉を残してビデオを終わらせています。

しかし今年のディディ(Diddy)はそれが理由で第8位になったわけではないのです。
今年ディディは、ブライソン・ティラー(Bryson Tiller)をヴォーカルに迎えて、こちらの名曲を生み出しました。

そして、このビートに様々なラッパーたちが乗っかり、自身のフリースタイルをスピットしました。その一つが、第15位で紹介したファボラス(Fabolous)ですが、そのFabolousが #GottaMoveOnFreestyleChallenge というタグでフリースタイル・チャレンジを生み出しました。

Yung Miamiがフリースタイルする、こちらもその一つです。

ちなみにディディは毎年自分の誕生日(11月4日)(ジェイZは12月4日)に、バースデーパーティを自宅豪邸で開きますが、今年のバースデーパーティーにはジェイZや彼女と噂されているCity Girlsの片割れYung Miamiらを迎え、こんな感じで開催しました。

いろいろ書きましたが、今年イチ、感動的だった瞬間は、ディディのこちらのステージかもしれません。2022年米BETアワード・ショーです。後半の9分35秒からですね。「Gotta Move On」のパフォーマンスが始まり、その後、ディディの子どもを産んだ今は亡きパートナーであるキム・ポーター(Kim Porter)に捧げたステージが映し出されます。

2022年米ビルボード・アワードショーでも「Gotta Move On」のパフォーマンスは披露されました。こちらです。

最後に、1996年リリースのディディとビギーの「Hynotize」のミュージックビデオを掲載しておきます。

さらに、さらに最後に、2022年ディディが米BET Hip-Hop Awards Showで「Lifetime Achievement Award(生涯特別功労賞)」を授賞した模様を掲載しておきます。

今年2022年の締めくくりは、下記DiddyのセクシーなMVで年越しをいたします。Ruby Roseが主演のミュージックビデオ「Sex In The Porsche」です。

Diddy & PartyNextDoor – “Sex In The Porsche” starring Ruby Rose

2022年も当サイトRapHabitのページに来てくださり、ありがとうございました。
2023年もどうぞ宜しくお願いいたします。
Thank you for visiting this site in 2022!
Happy holidays and happy new year!

明日、お正月、引き続き第3位を発表していきます。
今後の予定は、以下のとおりです。

2023年1月1日:第3位
2023年1月2日:第2位
2023年1月3日:第1位

そして第1位を発表後、新年1月は冬休みをいただいて、次回は2023年2月8日(水)から更新を再開いたします。

皆様、良いお年をお迎えください。
また明日2023年1月1日にお会いしましょう。
特に常連の方、asami10033さん、いつもありがとうございます。
本ページにお越しいただいた皆様、2022年、ありがとうございました!

(文責:Jun Nishihara)

第5位:ケンドリック・ラマーの「The Heart Part 5」(2022年Hip-Hop名曲名盤ベスト20!)

2022年に生まれたHip-Hopのうち最高傑作を作り出した一人は,ケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)です。アルバム『Mr. Morale & The Big Steppers』をリリースする前,The Heartシリーズの第五作目「The Heart Part 5」を出しました。こちらです。

上記映像でケンドリック・ラマーは,ウィル・スミスやカニエ・ウェスト,そしてニプシー・ハッスルなどに化けて(憑依して)ラップします。これは「視点の移行」もしくは「なりきる」という一種の表現の極致です。その人物はどう思うだろうか,どういう思いで今を生きているか,ということをケンドリック1人で,6人の顔(カオ)に化け,ラップします。

Dehumanized, insensitive
Scrutinize the way we live for you and I
Enemies shook my hand, I can promise I’ll meet you
In the land where no equal is your equal
Never say I ain’t told ya, nah
In the land where hurt people hurt more people
Fuck callin’ it culture

訳:
非人間的で,無神経
俺たちの生き様をいちいち批判してくる
敵に握手を求められ,俺は約束する,向こう側で会おうぜ
不平等がおまえの正義であるような世の中
前から言ってきただろう,なぁ
傷ついた人々がさらに他人を傷つける世の中
そんなもんを文化(culture)などと呼ぶんじゃねえ

アメリカに対するケンドリックの思いでもあれば,黒人として生きることの辛さを描写したものでもある。それを6人の黒人に化けてラップする。ケンドリックの声から,一種の危機感(sense of urgency)を我々は感じ取る。そろそろ立ち上がる時である,と。じっと言いなりになってる場合じゃないと。その危機感がこの後リリースされる『Mr. Morale & The Big Steppers』へと昇華する。

ケンドリックはニプシー・ハッスル(Nipsey Hussle)に化けてこうラップする。

And to the killer that sped up my demise
I forgive you, just know your soul’s in question

訳:
俺の死を早めた犯罪者へ
俺はおまえを許す,しかし,おまえの魂(soul)が疑われていることは,知っておけ

(歌詞対訳:Jun Nishihara)

第6位:2022年2月のスーパーボウル・ハーフタイム・ショー (2022年Hip-Hop名曲名盤ベスト20!)

2022年思い出に残る瞬間(モーメント)の一つは,全米アメリカン・フットボールの優勝決定戦のハーフタイムショーです。全米最大のスポーツイベントといわれているスーパーボウル(Superbowl)に於いて,ついに90年代〜2000年代初期の頃に流行ったヒット曲を引っ提げて,ドクター・ドレー(Dr. Dre),スヌープ・ドッグ(Snoop Dogg),メアリー・J.ブライジ(Mary J. Blige),エミネム(Eminem),50セント(50 Cent),ケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)などという豪華な顔ぶれが登場しました。こちらの映像です。(下記は「再生不可」となっておりますが,「Watch on YouTube」をクリックすれば観れます。)

このようにSuperbowl Halftime Showで始まりから終わりまでHip-Hopをやるというのは,Hip-Hopの歴史上,初めてのことであり,それが意味することは,今やHip-Hopがどれだけお茶の間に浸透してきたかを如実に現しているということでもあります。

そしてなんと,彼らはこのハーフタイムショーでの功績を讃えられ,同年6月,エミー賞を受賞することとなりました。(エミー賞:米国で放送されるテレビドラマ,番組,テレビ業界の功績に与えられる賞のこと。)

(文責:Jun Nishihara)

小休止②:ジャスミン・サリヴァンのグラミー賞受賞スピーチ

本日も2022年Hip-Hopランキングをお休みして、小休止その2をお届けします。

今年のグラミー賞で、「最高のR&Bアルバム」カテゴリーでグラミー賞を受賞したのがジャスミン・サリヴァン(Jazmine Sullivan)でした。

R&Bアルバム『Heaux Tales』で「Best R&B Album」を受賞。

なお、おまけにジャスミンがコロナ禍中に米NPR局のTiny Desk (Home) Concertに登場した際の映像をこちらでどうぞ。

(文責:Jun Nishihara)

小休止:ドレイクのインタヴュー

2022年Hip-Hopランキングを本日はお休みして、ひとつ違ったものをお届けします。数日前に収録されたドレイクのインタヴューです。

ドレイク(Drake)にとって、2022年の最高の思い出とは何でしょうか。(What’s your great memory from 2022 this year?)

I have a few…(いくつかある)と切り出すドレイク。さて、今年最高の思い出とは。インタヴューの模様をどうぞ。

(キュレーティング:Jun Nishihara)

第7位:ケンドリック・ラマーのアルバム『Mr. Morale & the Big Steppers』(2022年Hip-Hop名曲名盤ベスト20!)

2022年リリースされたアルバムで(Hip-Hopに限らずあらゆるジャンルを含めたアルバムで)最も期待されたアルバムが、このケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)の『Mr. Morale & the Big Steppers』でした。

このアルバムがリリースされた当初、私はこう書きました。

7か月経た今も、イメージは変わりません。と言っても、たった7か月しか経っていない、ので、これからも何度も聴き続けて、その時々で印象やイメージが変わっていくのをたのしみにします。

同アルバム収録楽曲「Die Hard」を聴くと、2018年のSZAとの名曲「All The Stars」を思い出して(というか強烈にその頃の生活や生きた環境が思い浮かんできて)不思議な気持ちになります。4年前にテレポートした気分です。それだけでも有難い体験をさせてくれていることに感謝です。

Kendrick Lamar – “Die Hard” feat. Blxst & Amanda Reifer

そしてこちらが2018年の Kendrick Lamar – “All the Stars” feat. SZA

私は個人的にはケンドリック・ファンの一人ですので、2018年はアルバム『DAMN.」を聴き込んでいましたし、映画『ブラック・パンサー』も勿論映画館で観ましたし、ブラック・パンサーのインスパイアード・アルバムも聴きまくっていました。

なので、一層、『Mr. Morale & the Big Steppers』はたのしみにしていたのは言うまでもありません。

その「たのしみ」が、いまだに「たのしみ」であるままに、2022年が幕を閉じようとしています。まだまだ、聴き込んでいけば印象が変わっていくのは必須だからです。それが「たのしみ」なのです。なので、まだ評価はできません。そして、5月に書いたように、楽曲「Worldwide Steppers」をぶち込むことにより、ケンドリックは、あらゆる音楽評論家の評価などは聞き捨てるかの如く、そんなものは関係ないと云わんかのように、このアルバムを世に送り出しました。『DAMN.』とはまるで違う。もしかすると『DAMN.』でケンドリックのファンになったファンたちは、この『Mr. Morale & the Big Steppers』で離れるかもしれない。離れるなら離れるでよい、とでも云わんばかりに、すがすがしいアルバムを出してくれた。このアルバムはケンドリックにとって、業界の飼い犬になんかならねえぞ、と意志表明した一種のカタルシス(浄化)なのかもしれない。

来年の今頃であれば、もっとまともなことが書けているかもしれません。なので、もう1年待ってください。このアルバム『Mr. Morale & the Big Steppers』に関しては。

(文責:Jun Nishihara)

第8位:今年2022年の米BET Music Awardsもアツかった!(2022年Hip-Hop名曲名盤ベスト20!)

今年2022年もBET (Black Entertainment TV) にてミュージック・アワード・ショーが開催されました。

懐かしの楽曲も披露されます。
Hip-Hopの歴史がまさにその世代、時代に流行った音楽とともにBETのステージで披露されます。

その映像をプレイリストにまとめたのがこちらです。(懐かしの曲も、今年生まれた新しい曲も交えて、ご覧ください。ビデオが終わると、次のビデオに進んでいきます。YouTubeサイト上でプレイリストを掲載して観るには、こちらをクリックしてください。 )

今年もこのアワード・ショーを一つの節目として、❝Black❞の歴史的な1ページがこうして刻まれることとなりました。

(文責:Jun Nishihara)

第9位:全米大流行り!今年イチの若手女子ラッパーはグロリラ (GloRilla) に決まり!(2022年Hip-Hop名曲名盤ベスト20!)

2022年Hip-Hop名曲名盤ベスト20、第9位の発表です。

若手ラッパーで2022年彗星のようにシーンに現れ、今年イチ爆発的に売れた女子ラッパーといえば・・・

グロリラ!

GloRilla!

本名、グロリア・ハレルーヤ・ウッズ(Gloria Hallelujah Woods)、アメリカ南部テネシー州メンフィス出身。ジューシー・Jら、Three 6 Mafiaの同胞ですね。

さて、グロリラが2022年イチ流行ったキッカケとなった映像はこちら。今年TikTok上で「#FNFChallenge」のダンスが全米で激流行りしました。(ちなみに「FNF」は「F*** N**** Free」の略ですので(といってもほぼ放送禁止用語)ご参考まで。)

BET Hip-Hop Awards 2022の映像もどうぞ。冒頭(1曲目)の曲「Tomorrow」は助走に過ぎず、本当に流行ったのは、2曲目の「F.N.F.」。この「F.N.F.」が始まった瞬間、アワード・ショーは一気にクラブと化しました。

そして、最近ではカーディ・B(Cardi B)とタッグを組んで「Tomorrow 2」をリリースしました。

GloRilla feat. Cardi B – “Tomorrow 2”

と、いうことで、第9位はグロリラ!GloRilla!でした。

(文責:Jun Nishihara)

第10位:Pusha TのBET Hip-Hop Awards 2022瞬間及びアルバム『It’s Almost Dry』(2022年Hip-Hop名曲名盤ベスト20!)

いよいよ第10位の発表です。

10位はプッシャ・T(Pusha T)が今年リリースし、2022年最も優秀なヒップホップアルバムの1枚としてその名を轟かせた『It’s Almost Dry』です。

こちらのページで書いたとおり、このアルバムは、全収録楽曲が12曲あるなか、6曲はファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)がプロデュース、もう半分6曲はカニエ・ウェスト(Kanye West “Ye”)がプロデュース、という恰好となっています。この鬼才2人が楽曲制作したアルバムであれば間違い無い、10位というランクでは勿体無いくらいですが、今年は他にも素晴らしいアルバム・楽曲・モーメントが輩出されたということで、10位はこれです。

同アルバムからの楽曲は上記ハイパーリンクを載せたページで聴いていただくとして、もう1つ、Pusha T関連では、今年、米BETネットワークの「BET Hip-Hop Awards 2022」に於いて、片割れのマリス(Malice)と組んで、なつかしクリップス(Clipse)を蘇らせたHip-Hopモーメントを掲載しておきます。

今年イチ盛り上がったHip-Hop瞬間の一つです。

(文責:Jun Nishihara)

第11位:ニューヨークの新しいアンセムを生み出した楽曲=Fivio Foreign feat. Alicia Keys & Kanye Westの「City of Gods」(2022年Hip-Hop名曲名盤ベスト20!)

カニエ・ウェスト(Kanye West)改め、イェィ(Ye)が曲中叫びます。「Aye Fivi! Excuse me! But this is the feature of the year!」(エィ、ファイヴィオ!すまん!これ、今年イチのフィーチャーやわ!」

時間で言うと、2:42のところですね。

当初わたしはこれをカニエ自身をフィーチャーした曲なので、またカニエの自惚れか、と思っていたのですが、よく考えたら、カニエにアリシアという極めて贅沢なフィーチャリングです。この「今年イチ」のフィーチャーにはカニエだけでなく勿論アリシアも含まれていますね。

あと、ファイヴィオが曲中こうラップします。

「Welcome to the City of Gods! Pop was the king of New York, now I’m the nigga in charge.」(シティ・オヴ・ゴッズ(神々が宿る街=ニューヨークシティ)へようこそ。ポップ・スモークはNYのキングだった。そして今、俺がそれを継ぐ。)

そしてNY市ハーレム出身のアリシア・キーズ(Alicia Keys)がこう歌います。

New York City, please go easy on me tonight / New York City, please go easy on this heart of mine

ニューヨークシティよ、今夜は、やさしくいてちょうだい/ニューヨークシティよ、ハートにやさしくしてちょうだい

この曲がリリースされた1週間前、ファイヴィオ・フォーリンの仲間であるTドット・ウー(TDott Woo)は銃撃され亡くなりました。

冒頭ファイヴィオがラップするポップ・スモーク(Pop Smoke)についてはヒップホップ界を震撼させた大きなニュースとなりましたが、2020年2月にカリフォルニア州ハリウッド(上流階級の住宅が集まる通常は治安が良いとされている地域です)の自宅で5人の男により殺害されました。

ヒップホップ界で生きるということは、昔も今も、命がけであることがうかがえる事件です。あまりにも殺人や死者が出すぎている。そういった意味で、アリシアの祈りである「please go easy on me(やさしくいてちょうだい)」という言葉が胸に響きます。

‘Cause I’m losing my lover to the arms of another / New York City, please go easy on me

愛する人が胸の中で亡くなっていく/ニューヨークシティよ、やさしくいてちょうだい

❝ニューヨークのアンセム❞と呼ばれた楽曲は数々ありますが、この「City of Gods」もまさに今年2022年、ニューヨークの新たなアンセムとして誕生しました。

Fivio Foreign feat. Alicia Keys & Kanye West – “City of Gods”

カニエ・ウェスト(Kanye West)のライヴステージ(『Donda 2』のリスニング・パーティー)でもアリシア・キーズ(Alicia Keys)とファイヴィオ・フォーリン(Fivio Foreign)を迎え披露しました。

これには、パート2があります。

アリシア・キーズ(Alicia Keys)のみで歌ったヴァージョンです。

こちらです。

今年2022年最終回を迎えた全米長寿番組(”The Ellen DeGeneres Show”)でも披露しました。

ニューヨークシティよ、生かしてくれて、ありがとう。

(文責:Jun Nishihara)