第11位:ニューヨークの新しいアンセムを生み出した楽曲=Fivio Foreign feat. Alicia Keys & Kanye Westの「City of Gods」(2022年Hip-Hop名曲名盤ベスト20!)

カニエ・ウェスト(Kanye West)改め、イェィ(Ye)が曲中叫びます。「Aye Fivi! Excuse me! But this is the feature of the year!」(エィ、ファイヴィオ!すまん!これ、今年イチのフィーチャーやわ!」

時間で言うと、2:42のところですね。

当初わたしはこれをカニエ自身をフィーチャーした曲なので、またカニエの自惚れか、と思っていたのですが、よく考えたら、カニエにアリシアという極めて贅沢なフィーチャリングです。この「今年イチ」のフィーチャーにはカニエだけでなく勿論アリシアも含まれていますね。

あと、ファイヴィオが曲中こうラップします。

「Welcome to the City of Gods! Pop was the king of New York, now I’m the nigga in charge.」(シティ・オヴ・ゴッズ(神々が宿る街=ニューヨークシティ)へようこそ。ポップ・スモークはNYのキングだった。そして今、俺がそれを継ぐ。)

そしてNY市ハーレム出身のアリシア・キーズ(Alicia Keys)がこう歌います。

New York City, please go easy on me tonight / New York City, please go easy on this heart of mine

ニューヨークシティよ、今夜は、やさしくいてちょうだい/ニューヨークシティよ、ハートにやさしくしてちょうだい

この曲がリリースされた1週間前、ファイヴィオ・フォーリンの仲間であるTドット・ウー(TDott Woo)は銃撃され亡くなりました。

冒頭ファイヴィオがラップするポップ・スモーク(Pop Smoke)についてはヒップホップ界を震撼させた大きなニュースとなりましたが、2020年2月にカリフォルニア州ハリウッド(上流階級の住宅が集まる通常は治安が良いとされている地域です)の自宅で5人の男により殺害されました。

ヒップホップ界で生きるということは、昔も今も、命がけであることがうかがえる事件です。あまりにも殺人や死者が出すぎている。そういった意味で、アリシアの祈りである「please go easy on me(やさしくいてちょうだい)」という言葉が胸に響きます。

‘Cause I’m losing my lover to the arms of another / New York City, please go easy on me

愛する人が胸の中で亡くなっていく/ニューヨークシティよ、やさしくいてちょうだい

❝ニューヨークのアンセム❞と呼ばれた楽曲は数々ありますが、この「City of Gods」もまさに今年2022年、ニューヨークの新たなアンセムとして誕生しました。

Fivio Foreign feat. Alicia Keys & Kanye West – “City of Gods”

カニエ・ウェスト(Kanye West)のライヴステージ(『Donda 2』のリスニング・パーティー)でもアリシア・キーズ(Alicia Keys)とファイヴィオ・フォーリン(Fivio Foreign)を迎え披露しました。

これには、パート2があります。

アリシア・キーズ(Alicia Keys)のみで歌ったヴァージョンです。

こちらです。

今年2022年最終回を迎えた全米長寿番組(”The Ellen DeGeneres Show”)でも披露しました。

ニューヨークシティよ、生かしてくれて、ありがとう。

(文責:Jun Nishihara)

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