ドレイク、ついに米ビルボードチャートの歴史を塗り替える。

LONG BEACH, CALIFORNIA – OCTOBER 30: Drake speaks onstage during Drake’s Till Death Do Us Part rap battle on October 30, 2021 in Long Beach, California. (Photo by Amy Sussman/Getty Images)

ドレイク(Drake)が米ビルボードチャートの歴史を塗り替えました。毎週発表される米ビルボード誌のランキングで、上位5位に入った回数が最も多かったアーティストまたはバンドは昨2022年まではビートルズでしたが(いや、それも凄いことで、ここ60年ほどぶっ続けでビートルズはその地位を確保し続けたということ)、ビートルズ(The Beatles)に代わって、ドレイクがその座に君臨することになりました。

記録王ドレイク(Drake)がどれ程凄いことを成し遂げたかというのは下記を見てもらえれば分かると思いますが、マドンナやマライア・キャリーをも凌いだということです。

【米ビルボード・ランキング史上、上位5位に入った回数が最多数のアーティストまたはバンド】
1位:ドレイク(Drake)
2位:ビートルズ(The Beatles)
3位:マドンナ(Madonna)
4位:マライア・キャリー(Mariah Carey)
5位:ジャネット・ジャクソン(Janet Jackson)
6位:リアーナ(Rihanna)
7位:エルヴィス・プレスリー(Elvis Presley)
8位:ジャスティン・ビーバー(Justin Bieber)
9位:スティーヴィー・ワンダー(Stevie Wonder)
10位:エルトン・ジョン(Elton John)
11位:テイラー・スウィフト(Taylor Swift)
12位:ホイットニー・ヒューストン(Whitney Houston)

そのドレイク(Drake)が先週、新たにミュージックビデオをリリースしたので、掲載しておきます。

Drake & 21 Savage – “Spin Bout U”

(文責:Jun Nishihara)

第2位:ドレイク『HONESTLY, NEVERMIND』及び,ビヨンセ『Renaissance』のアルバム (2022年Hip-Hop名曲名盤ベスト20!)

2023年、新年に相応しいアルバムはこちらです。

第2位、ドレイク(Drake)のアルバム『HONESTLY, NEVER MIND』と,
ビヨンセ(Beyonce)のアルバム『Renaissance』です。

上記両方のアルバムは,2022年にリリースされた名盤中の名盤です。
ドレイクの『HONESTLY, NEVERMIND』については,ドレイクが意図したものか意図しなかったものかは分かりませんが,Hip-Hopという音楽のジャンルに対してある種革命的な衝撃をもたらしたアルバムであることは否定できない事実でしょう。
ビヨンセの『Rennaisance』も然りです。
この2枚のアルバムに共通していることは,これまでのHip-HopやR&Bといったジャンルに与えられていた固定観念をぶち壊してくれたアルバムである,ということ。それは「ダンス」という芸術表現にだいぶ助けられました。もっと言うと「ダンス・ミュージック」という表現です。ドレイクとビヨンセ,いずれも長年のキャリアを持つ今となっては大ベテランの二人が,この2022年に「ダンス」を選んだ(それは意識的になのか,無意識なのかはさておき)というのは感動すべきことであるということをあまり多くの人は気づいていないかもしれません。

ドレイク(Drake)に至っては今年2022年にアルバムを2枚リリースしました。第3位の『HER LOSS』と第2位の『HONESTLY, NEVERMIND』です。

アメリカでは,というか,世の中は『HER LOSS』のほうを名作と呼んでいる傾向にあるようです。YouTube上のあらゆるHip-Hopアルバム評論ユーチューバーたちを見ても,そういった論評が多いですね。『Her Loss』と『HONESTLY, NEVERMIND』、この2枚のアルバムの違いは,つまり,こういうことです。
偶然の賜物(自然(ゼロ)から誕生したもの)を選ぶか,その偶然を生かして作り上げた創造物(いわば副産物)を選ぶか,という判断に委ねられます。ここは個々人の判断が分かれるところかもしれませんが,私は「自然」のほうを選びました。なので,『HER LOSS』(副産物)を第3位にして,『HONESTLY, NEVERMIND』(自然)をそれより上位の第2位としました。

なぜ,『HONESTLY, NEVERMIND』が“自然”なのか。それは,これまでドレイクが作り出すことを期待されてきた音楽とは全く異なるものを作り出したということ,だからです。期待どおりにしなかった。これまでドレイクのキャリアで,『More Life』というダンス・ミュージックをメインに入れ込んだアルバムはあったものの,それはドレイクの方向性であるべきではないとずっと言われてきた。評論家や一般リスナーたちから。むしろ,一般的なヒップホップリスナーたちの論調としては,ドレイクはダンス・ミュージックを作るべきではなく,Hip-Hopに回帰すべきである,という論調が大多数の意見であった。しかしながら,ここで,今年2022年,ドレイクはそれに反して,ダンス・ミュージックをフルに使った『HONESTLY, NEVERMIND』を世に出した。人間が意識的に作り出した人工物なぞは、自然の力の前には到底及びもしません。それだけ自然の力には、破壊力というとんでもない威力が潜んでいます。まさにHip-Hopの世界において,このアルバム『HONESTLY, NEVERMIND』は破壊力がでかく、衝撃的なアルバムであった。それに気づいていないヒップホップリスナーたちは,いまだに最後の収録楽曲である「Jimmy Cooks」が一番良い曲であると,勘違いをしている。ドレイクが21サヴェッジ(21 Savage)とコラボした曲は,これまで何曲かありますが,どれもヒットしているところを見ると,「Jimmy Cooks」がこのアルバムで最高の曲であると勘違いする輩(やから)が多いのも理解はできますが,しかしそれがドレイクの良さではない。ヒットすれば良いという訳ではない。全米ビルボードで1位になれば,それがHip-Hopで同じように評価されるかというと,そうではない。ドレイクと21サヴェッジの相性がいいのは確かでしょう。しかしながら,ドレイクの本当の良さはそこではなく,何も無いところから,ゼロから,『HONESTLY, NEVERMIND』のようなアルバムを作れるところにあるのです。ついては,『HER LOSS』は,21サヴェッジとのコラボレーション曲(「Jimmy Cooks」)を気に入ってくれたファンに対するプレゼントのようなもので,これは偶然ではなく,ドレイクもしくは業界が意図して作り出したものにすぎないと考えます。しかし,期待されて作り上げたものが期待以上のデキであるというところが,ドレイクの凄いところなのですが,いくら期待以上のデキだとしても,それは“自然”には到底勝てるものではありません。

ここで話をガラッと変えて,ビヨンセ(Beyonce)の2022年最高傑作アルバム『Renaissance』に移りたいと思います。

名曲が幾つも輩出されました。ここに3曲掲載しておきます。どれもTikTok上,Twitter上,Instagram上で,あらゆるSNS上で、素人たちがダンスを踊って投稿する音楽(ダンス・ミュージック)として起用されました。

Beyonce – “CUFF IT”

Beyonce – “ENERGY”

そして,アルバム収録楽曲の中でも衝撃的だったのが,こちらです。是非ともこれを爆音にして聴いてください。
Beyonce – “ALIEN SUPERSTAR”

そして,こちらの楽曲も掲載しておきます。ビヨンセの「Virgo’s Groove」です。このアルバム『Renaissance』には名曲に次ぐ名曲が収録されていますので,通して聴くべきアルバムです。

2023年,ドレイクとビヨンセの新しきダンス・ミュージックの世界はしばらく続きそうです。

(文責:Jun Nishihara)

第3位:ドレイク x 21 Savage の共同作『Her Loss』アルバム (2022年Hip-Hop名曲名盤ベスト20!)

あけまして、おめでとうございます。
2022年はありがとうございました。
今年2023年も、どうぞ宜しくお願いいたします。

2023年まず一発目はドレイクです。

2022年、ドレイクと21サヴェッジ(21 Savage)がコラボレートして作り上げたアルバム『Her Loss』がヒップホップリスナーの間でバカウケしました。21サヴェッジとコラボ作を作ってもらいたいというドレイク・ファンの思いをそのまんま受けて,期待どおり,否,期待を上回るアルバム『Her Loss』を作り上げたという構図です。

つまり,『Her Loss』には制作される前,その先に,ファンの思いがあった。ファンの思いが形となった。

このアルバムで特筆すべきは,ビートスウィッチ(beat switch)です。アルバム冒頭からそれが顕著に出ている。1曲目「Rich Flex」の再生時間2分25秒を過ぎたところですね。

ということで,それぞれの収録楽曲のビートスウィッチ再生時間を以下にまとめておきます。他のサイトでこんなことやってるサイト,ある??

1曲目「Rich Flex」3分59秒の曲中,再生時間2分25秒を過ぎたあたり。
2曲目「Major Distribution」2分50秒の曲中,わりと早く0分32秒(「Magic City need a business office.」というフレーズが笑いですね。アトランタ最大のストリップクラブであるマジック・シティにビジネスオフィスが必要だと(笑)。)
3曲目「On BS」ビートスウィッチなし。
4曲目「BackOutsideBoyz」ビートスウィッチなし。
5曲目「Privileged Rappers」末尾にあります。2分26秒。
6曲目「Spin Bout U」ビートスウィッチはなし。サンプリングからビート入るビート・インは0分12秒にあり。
7曲目「Hours In Silence」6分39秒の曲中,2分03秒を過ぎたところです。
8曲目「Treacherous Twins」ビートスウィッチなし。
9曲目「Circo Loco」ビートスウィッチはなし。サンプリングからビートへのビート・インは0分17秒にあり。
10曲目「Pussy & Millions」2分04秒になかなかデカいビート・ドロップあり。ここが3分10秒のビートスウィッチに繋がります。そしてまた3分39秒でビート・ドロップに戻るので,ダブルにビートがガラッと変わる本曲はビート制作の面で,名曲と呼べるかもしれません。あと,聴き比べてもらいたいと思うのですが,曲中0分30秒の箇所と,2分04秒の箇所との違いです。いずれも歌詞は「Bring on a muthafuckin’ problems!」ですが,ビートの入り方が異なるので,極めておもしろいですよ。
11曲目「Broke Boys」3分45秒の曲中,1分54秒で,かなりデカいビート・ドロップあり。ここから曲の雰囲気はガラッと変わります。この曲についてもう一つ突飛なことがあるとすれば,曲の入り方ですね。まるで途中から始まっている錯覚を受ける。冒頭の曲入りは複雑なことになってます。
12曲目「Middle of the Ocean」5分56秒の曲中,1分52秒にビートスウィッチ発生。そして再度,4分49秒でビートスウィッチ発生。1曲をとおして,2002年,2003年の匂いがぷんぷんします。ぷんぷんします。
13曲目「Jumbotron Shit Poppin」ビートスウィッチなし。
14曲目「More M’s」ビートスウィッチなし。
15曲目「3AM on Glenwood」2分58秒の曲中,2分27秒で微かなビートスウィッチあり。
16曲目「I Guess It’s Fuck Me」ビートスウィッチなし。

(文責:Jun Nishihara)

小休止:ドレイクのインタヴュー

2022年Hip-Hopランキングを本日はお休みして、ひとつ違ったものをお届けします。数日前に収録されたドレイクのインタヴューです。

ドレイク(Drake)にとって、2022年の最高の思い出とは何でしょうか。(What’s your great memory from 2022 this year?)

I have a few…(いくつかある)と切り出すドレイク。さて、今年最高の思い出とは。インタヴューの模様をどうぞ。

(キュレーティング:Jun Nishihara)

(続けます)ドレイクx21サヴェッジのアルバム『Her Loss』より、楽曲「Privileged Rappers」を “A COLORS SHOW”にて。

件名のとおりです。
“A COLORS SHOW”で新曲「Privileged Rappers」を披露するドレイク(Drake)と21サヴェッジ(21 Savage)の映像を掲載しておきます。

Drake & 21 Savage – “Privileged Rappers” on A COLORS SHOW

(文責:Jun Nishihara)

ドレイクx21サヴェッジが新盤『Her Loss』をリリース!

ドレイク(Drake)と21サヴェッジ(21 Savage)がコラボレーション公式アルバムをリリースしました。アルバム名は『Her Loss』。ジャケットはこんな感じです。

早速、先週末の「Saturday Night Live (SNL)」に二人で登場しましたので、その映像を掲載しておきます。

Drake & 21 Savage – “On BS”

(文責:Jun Nishihara)

先週出た楽曲とビデオ:ビヨンセ「BREAK MY SOUL」及びドレイク「Falling Back」

先週はビヨンセ(Beyonce)がニューシングル「BREAK MY SOUL」をリリースし,ドレイク(Drake)は公式ミュージックビデオ「Falling Back」をリリースし,クリス・ブラウン(Chris Brown)はアルバム『Breezy』をリリースし,エミネム(Eminem)はスヌープ・ドッグ(Snoop Dogg)とタッグを組んでシングル曲をリリースしました。Ahhhhhh, what a time to be alive!

こちらに掲載しておきます。

Beyonce – “BREAK MY SOUL”

Drake – “Falling Back”

Chris Brown feat. Fivio Foreign – “C.A.B. (Catch A Body)”

Chris Brown – “WE (Warm Embrace)”

Eminem & Snoop Dogg – “From The D 2 The LBC”

(文責:Jun Nishihara)

ドレイクのアルバム『Honestly, Nevermind』ビルボード第1位獲得。

6月17日(金)にリリースされたドレイク(Drake)の新盤『Honestly, Nevermind』が7月2日付米ビルボードチャート第1位を獲得しました。

ビルボード(Billboard)チャートで第1位を飾るのは,ドレイクがリリースしたアルバム通算11枚目。

アルバムのタイトルである「Honestly, Nevermind」を邦題にすると「マジなハナシ,わすれて」と訳せるけれど,この「わすれて」には「もう」を付けて,「(もう)わすれて」と言えば,なんとなく「通じ」が良くなるかもしれない。

もしくは「気にしないで」という解釈もありうるかもしれない。とすれば,ドレイクよ,あんたは僕らに何を気にしないでと言っているのか。

ハウス,テクノ,EDMの雰囲気をアルバム終始ちりばめたことについて「気にしないで」と言っているのか。

取り敢えず,ドレイクが“寄り道”したとされる(だから「マジで気にしないで」)新境地の音楽を3曲聴いてみよう。これまでのドレイクファンにとって,好き嫌いが分かれるかもしれない。こういうことをたまにアーティストはやってのける。カニエ・ウェストが『Yeezus』アルバムでやってのけたように。それでもファンは離れなかった。アーティストの音楽性に関して,さらに深みを感じることとなった。蟹江さんの場合は。ドレイクはどうであろうか。

Drake – “Massive”

Drake – “Currents”

とくに上記の楽曲「Currents」は,実験的に世に出してみて,世の中の人々がこれを聴いてどう感じるのか,まさに水の流れ(currents)じゃないけれど,人がどう思うかを確認するための(testing the waters)曲なのかもしれない。取り敢えず仮説を立てて,実験の結果を見てみる,という。

Drake – “Calling My Name”

この曲「Calling My Name」は,イントロを過ぎると,もうクラブ感がたまらんですね。マジで気にしないで,っつうか,マジでヴァイブス感じるわー。普通の感想になってしもうたわ。

でもこのグルーヴ感って,ドレイクはEP『More Life』の楽曲「Gyalchester」で既にやっていたものなんですよね。でもその時は,ラップでしたけれど。それをハウスの境地まで昇華させたという。

Drake – “Gyalchester”

最後におまけで,同アルバム『Honestly, Nevermind』から,唯一のラップ曲である21 Savageをfeat.した「Jimmy Cooks」を掲載しておきます。

Drake feat. 21 Savage – “Jimmy Cooks”

(文責:Jun Nishihara)

ドレイク(Drake)、フューチャー(Future)、ヤング・サグ(Young Thug)の新曲「Way 2 Sexy」。

ドレイク(Drake)のニューアルバム『Certified Lover Boy』のリードシングルとして、ドレイク(Drake)、フューチャー(Future)及びヤング・サグ(Young Thug)の新曲「Way 2 Sexy」がリリースされましたので、以下どうぞ。

(キューレーティング:Jun Nishihara)

Drake曰くニューアルバム『Certified Lover Boy』完成。そして8月5日にはカニエ・ウェスト『DONDA』アルバムリリース・パーティ開催予定。

7月31日(土)、ラジオ局SiriusXMに登場したドレイク(Drake)はこう云います。

Album’s cooked.
Certified Lover Boy on the way.
That’s for anyone in the way.

アルバムが完成した。
『Certified Lover Boy』がやってくる。
邪魔する連中どもよ、やってやる。

邪魔する連中ども(anyone in the way)というのは誰のことでしょうか。
1つ言えるのは、2018年にドレイクの息子についてディスラップをしたプッシャT(Pusha T)のことですが、そのプッシャTが所属するG.O.O.D. Musicレーベルは、カニエ・ウェストが創設したものでございます。

カニエ・ウェストは8月6日(金)に『DONDA』をリリース予定。
前日5日(木)には以下のとおり、アルバムリリース・パーティが開催される予定です。

(文責:Jun Nishihara)