現代の若者黒人文化をリードする人物(その①:レイアナ・ジェイ)

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(上記写真は,2019年4月4日にYouTubeにて生ストリーミングされた番組より。右から2人目がレイアナ・ジェイ。)

新人の女性若手アーティスト=レイアナ・ジェイは,今年でまだ25歳。昨年11月に当サイトでも取り上げました(→こちらです)

これまで3枚のEPを発表し,ついに今年3月22日に初の公式アルバム『Love Me Like』をリリースしました。

いまだにウィキペディアでは取り上げられておりませんが,上記アルバム『Love Me Like』はレイアナにとって人生初の全米ビルボードでチャートインし,冒頭の生ストリーミングでは女友達から「charting queen(チャートの女王)」と呼ばれるようにまでなりました(もちろん誇張していますし,大げさですけれど)。人生初にリリースしたアルバムが,全米ビルボードチャートのR&B部門第25位を達成。メジャーデビューは果たしていないどころか,インディーズのレーベル=EMPIRE RECORDSとの契約であるにもかかわらず,25位というのはアングラでのデビュー作にしてはなかなか良いポジションでしょう。

昨年レイアナ・ジェイについて書いた際に言及いたしましたが,レイアナは,つい最近まで,音楽だけでは食べていけず,アルバイトと兼業をしておりました。それがいつしか,やがて,アルバイトを辞めてもなんとか食べていけるようになり,音楽に専念するためニューヨークへも引っ越しをするようになり,EMPIREレーベルと契約を交わし,ニューヨークのスタジオでレコーディングをし,公式アルバムをリリースして,ついに全米ビルボードにチャートインする,というのをここ3,4年で果たしております。なかなか素敵な声の持ち主である彼女は,(ジャジーなのにジャジーすぎない)現在ヒップホップ界に蔓延る「ウケ」狙いのアーティストが多い中,そんなものたちとは全くかけ離れた,真の音楽的才能(歌手としての堅実な才能)の持ち主であるといえるでしょう。

本年3月にリリースされた『Love Me Like』より,以下の楽曲「Know Names」をご紹介いたします。

「現代の若者黒人文化(young black culture)をリードする人物」にレイアナ・ジェイを選んだ理由は,彼女はカーディBやニッキー・ミナージュのような派手さはまったくないですが,堅実な音楽性という意味では,最近ヒップホップ界に蔓延る「単なるハヤり」や「ウケ」を遥かに凌駕するものを彼女に感じたからです。冒頭の生ライヴストリームでは,レイアナは,1970年代に活躍したテディ・ペンダーグラス(Teddy Pendergrass)という黒人男性歌手についても言及しています。現代の新しいものばかりで固めるのではなく,「古きをたずねる」ということをちゃんとしています。そういった面を持ち合わせている若手アーティストはこれからも必ず伸びていくことでしょう。

昨年も書きましたが,彼女の名前=Rayana Jayの読み方は「レイアナ・ジェイ」です。英語でこれを発音すると,「レイナ」のように「ア」にアクセントを置きます。つまり「ア」を強く発音するのですが,レイアナ自身が経験した,以下のエピソードを紹介いたします。

あなたはスタバ(正式名:Starbucks)で働いていたとします。そこへ,とある黒人女性のお客さんがやってきて,抹茶ラテのトールを注文しました。スタバでは,カップにお客様の名前を書くことになっていますので,あなたは,その女性に尋ねます。「How may I call you?(あなたのお名前は?)」,すると女性はこう答えました「You can call me ‘Rayana(レイナ)’.」と。

さて,それを聞いたあなたは,彼女の名前を英語で,カップにどう書きますか?忘れてはいけないのは,ここはスタバです。まわりはお客様でにぎわっておりますので,けっして静かな場所とは言えません。静かなところで,耳をすまして,「レイアナ」と聞いたわけではなく,まわりで抹茶ラテを作るシェーカーがガガガガガガガーーーー!と鳴って,がちゃがちゃしているところでそのお客さんが「レイアナ」と発音するのを聞いて,あなたはカップにその名前を英語で書かなきゃいけないのです。さて,英語でなんと書きますか?

これは実際に起こったシチュエーションです。レイアナ・ジェイがアトランタ(ジョージア州アトランタ)にあるTrap Museumを観に旅行した際,寄ったスタバで出てきた抹茶ラテのカップにはこう書かれておりました。

「Rihanna(リーナ)」と。

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なお,女性ファッション雑誌(Nylon Mag)で取り上げられた企画「60秒でわかるレイアナ・ジェイ」を掲載しておきます。

最後に,レイアナ・ジェイの最新アルバム『Love Me Like』から楽曲「Know Names」をセッションした映像を掲載しておきます.

(文責:Jun Nishihara)

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若手アーティストの街角:Rayana Jay – “Sunkissed”

それは昨年のことであった。最近お気に入りの若手アーティスト,Nonameという女性ラッパー/シンガーのデビューアルバム『Telefone』を視聴者が好きな金額を出し合って購入できるサイト=bandcampで購入しようとしていた時であった。もちろん『Telefone』は購入した。そのあと,もっと黒人女性のヴォーカルが聴きたかったので,引き続きbandcampでいろいろとさぐってみた。

するといいのを見つけてしまった。Rayana Jayという新人歌手である。R&Bでもない,ジャズでもない。でも声はまさに私が求めていたものであった。Apple Musicで無料で聴ける時代に,お金を出して買って聴きたくなる声であった。

それから彼女のアルバム『Sorry About Last Night』と『Morning After』を何度聴いたことか。

彼女の声は色っぽくて,ちょっぴりエロいけれど,ぜんぜん下品じゃない。ジャズでもないけれど,ジャジーに聞こえる。メロディーは洗練されている。でも上品すぎない。だって,歌詞に「nigga」とか言ってるんだし。でもやっぱり,ぜんぜん下品に聞こえない。黒人女性が「nigga」という時,なぜかエロく聞こえる。呼びかけの「nigga」じゃなくて,文法的にちゃんとしたセンテンスの中に含む「nigga」である。
たとえば・・・

You are my Rhythm and Blues, the one who invented the cool
The one’s who dented the rules
And showed the world what my niggas could do, ay!
– Rayana Jay “Sunkissed”

私にとって,あなたの存在は“リズム&ブルース”/元祖クールな連中
ルールなんてぶち破ってくれる
世界中に見せつけてやりな,黒人野郎たちが秘めてるスゴイところを,エィ!
– Rayana Jayのシングル曲「Sunkissed」より

黒人女性が同胞の男たちを「niggas」と呼ぶとき,その根底には「共通理解/暗黙の了解」が流れている。「わたしはあなたのことをniggaと呼ぶけど,わかってるわよね」ということである。

また,歌詞中の「dent」の使い方がドキドキする。普通「rules」に付ける動詞は「break」である。それなのに,先の「invented」と韻を踏ませるために過去形の「broke」ではなく「dented」を使っているのだけれども,「niggas」という言葉を使っているような若者の女が「dented」なんていう,よく考え出された知的な語彙を使っているところが,もうたまらなくエロく感じてしまう。

さて,彼女の素顔をこの映像で見てみてほしい。まだ23歳。

そして,先ほど取り上げた歌詞が含まれている楽曲「Sunkissed」をライヴで歌っているRayana Jayは以下のとおりである。

ときにRayana Jayの読み方は「レイアナ・ジェイ」である。まだ彼女の情報は現時点(2018年11月28日時点)では英語版ウィキペディアにも載っていないし,日本盤のCDも出ていないので,彼女の名前の公式な日本語表記はどこにも無いが,読み方は「レイアナ・ジェイ」でございます。(ウィキペディアにも載っていない頃からRayana Jayの音楽をどっぷり聴いているんだけれど,これから近い将来にはRayanaもウィキペディアに掲載されるようになって,そのうちメジャーデビューを果たしたりするんだと思う。もちろんメジャーデビューして,もっともっと金儲けしてもらいたいのだけれど,そうなると,なんか遠くへいってしまったように感じたりするのだろうか。アーティストっていうのは,そんなものよね。なんちゃって。)

Rayanaの生まれはカリフォルニア州リッチモンド市。10歳の頃に教会のクワイヤーで歌い始めて,2012年の夏に初めてプロの歌手として働き始める。出だしはまったく稼げないので,アルバイトと兼業していた。Rayanaとツイッター上で何度かメッセージを交わしたことがあるが,今年になってアルバイトを辞めるだけのお金が稼げるようになり,今年2018年の夏に晴れてニューヨークへ引っ越し,シンガーソングライターとして全面的に働けるようになったという。

これからの活躍に期待大です。

最後に彼女の言葉で締めくくります。

“My friend once said that the church is like the hood Juilliard…like everything starts here.”
(あたしの友達がかつて言ってた。地元の教会って,ゲットーのジュリアード大学みたいなもんよ,ってね。何もかもそこから始まったわ。)

(文責:Jun Nishihara)