JAY ELECTRONICAのアルバム『A Written Testimony』楽曲⑧「Fruits Of The Spirit」からジャスト・ブレイズまで。

この曲を再生(play)すると,まずビートに反応します。2000年代初期の頃にすでにラップをヘヴィに聴いてきたヒップホップ・ヘッズ(Hip-Hop Heads)にとっては,感慨深いものがあるでしょう。なんといったって,ジャスト・ブレイズ(Just Blaze)のビートをサンプリングしているのですからね。

聴き比べて見てください。まずは,ジェイ・エレクトロニカの当曲「Fruits Of The Spirit」です。

そして,このビートの元ネタとなったビート・プロデューサーの鬼才=Just Blaze先生のビートを聴いてみぃ。

ここまでソウルフルなビートネタ使いをできるのは,ジャスト・ブレイズ先生以外にいる?!?・・・あ,カニエがいたな。しかしながら,ジャスト・ブレイズ(「ジャス・ブレェェェィィィィィィィイズ!」)とカニエ・ウェストのネタづかいは,ちと違うんですねえ。

そっくりなんですけどね。

でも違うんですね。

例えばですよ,ジャスト・ブレイズ(Just Blaze)先生のビート・プロデュースの曲として,これを聴いてみて下さい。

The Diplomats – “I Really Mean It”(ビート・プロデューサーは produced by ジャスト・ブレイズ)

続きまして,こちらもジャスト・ブレイズ作。

Memphis Bleek – “Intro (U Know Bleek)”(produced by ジャスト・ブレイズ)

だんだん,感じてきました?ソウルネタも入れているのに,ドラムビートがぶっ飛んでます。

JAY-Z – “PSA (Public Service Announcement)”(produced by ジャスト・ブレイズ)

続けましょう。
次の曲は,メンフィス・ブリークのセカンド・アルバムから。

Memphis Bleek – 曲名が“Just Blaze, Bleek & Free”と3名の名前を並べた曲名。シック!(produced by ジャスト・ブレイズ)

続きまして。
ジャスト・ブレイズの弟子,と言っても,ビートメイカーの弟子ではなく,ラッパーとしての弟子。サイゴン(Saigon),覚えてます? 2011年に遅咲きでデビューして,アルバム『The Greatest Story Never Told』をリリースしたアイツ。レペゼンはニューヨーク市はブルックリン。少なくとも,ビートはキレッキレ!

Saigon – “The Greatest Story Never Told”(produced by ジャスト・ブレイズ)

それから,こういう曲もありました。
アッシャー(Usher)の名曲「Throwback」のビートを制作したのもジャスト・ブレイズ。

ヴォーカル無しで,ビートのみで聴いてみましょう。

最後に,XVっていうラッパー知ってますか?カンザス州出身のラッパーです。カンザス州と言えば『オズの魔法使い』の舞台となった場所で有名ですが,あんな田舎からラッパーが出てくるのか?と言わんばかりにあなた,今,思っていますよね?(笑)出てきたんです。

そのXVが自分の生まれ故郷であるカンザス州ウィチタ(Wichita)にオマージュを捧げた曲として,同名のタイトルで曲を作りました。ビートはもちろん,ジャスト・ブレイズ。

XV – “Wichita”(produced by ジャスト・ブレイズ)

このクラシック・ソウルミュージックをネタに回し,ヒップホップ曲に仕上げるというワザは,ジャスト・ブレイズの特権と言ってもいいほど,この人,廻しまくってます。まず,ジャスト・ブレイズがいて,その後にカニエ・ウェストがそのワザで名を馳せ始めてきました。

上記「ウィチタ」の曲は,ジャスト・ブレイズの典型的なソウル・ネタ回しだと思います。やっぱりカニエとは違いますよね。これはカニエではない,ジャスト・ブレイズだ,っていうのが分かる。

すいません,最後とか言っといて,もう1曲いいですか?ジャスト・ブレイズ制作のビート。

ドレイク(Drake)のセカンド・アルバムから。この曲,Drake – “Lord Knows”(produced by ジャスト・ブレイズ)です。

本日は,ジャスト・ブレイズ(Just Blaze)制作の楽曲を聴きまくりましたので,次回はカニエ・ウェスト(Kanye West)が他のアーティストに提供した楽曲を幾つか聴いてみましょう。

(文責&キュレーション:Jun Nishihara)

JAY ELECTRONICAのアルバム『A Written Testimony』楽曲⑦「Flux Capacitor」(独断偏見ライナーノーツ)

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楽曲の題名「flux capacitor」とは映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズに登場するタイムマシン(デロリアン)の内部装置として装着されている「次元転移装置」のことです。つまり,次元(時代)を行き来するために必要な装置で,ここでは,ジェイ・エレクトロニカとジェイZがこの曲を媒体にして時代(ジェネレーション)を行き来します。

前回の曲から曲調はガラッと変わり,早いテンポで二人のジェイがラップを交わします。

ジェイZはこうラップします。

You backstabbers gon’ turn me back to the old Jay
He’s not who you wanna see, he’s not as sweet as the old Ye

おまえら裏切り者のおかげで,昔のジェイに戻っちまうぜ
ほんとは見せたくねえんだよ,昔のカニエのように全然甘くねえぜ

ジェイ(Jay)とイェィ(Ye)=カニエ(KanYe)が韻を踏みます。

When I die, please don’t tweet about my death
Tryna get mentions, bringin’ attention to yourself
Please don’t post some pic from in the club
With some quote you stole like we was tighter than what we was
Tryna get likes from my love
If you can’t go by the crib and give my mama a hug

俺が死んでも,俺の死に対してツイッターでつぶやかないでくれ
下心みえみえ,結局はじぶんが注目されたいだけなんだろ
クラブで撮った写真を載せねえでくれ
人から盗んだ言葉を引用して,仲良いフリなんかして
俺のラヴを使って「いいね」を獲得しようとして
そのつもりなら,俺の実家に出向いて,俺のおふくろにハグでもしてやってくれ

最後の1行をできるのは,この人しかいないでしょう。
つまり,ジェイZの幼なじみで,子供の頃から,ジェイZの母親からも世話になっている人。プライベートでもジェイの親友である,タイタイ(TyTy:本名 Tyran Smith)です。
以下写真の左側です。

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最後にビギー・スモールズの歌詞をフリップしたこの2行を見ておきましょう。

Remember Rappin Duke? Duh-ha, duh-ha
You never thought we’d make it to Lā ‘ilāha ‘illā Allah

ラッピン・デュークを覚えてるか?「ダッハー,ダッハー」
誰が想像しただろう,俺らが「レイラッハー,イッラー,アッラー」の地まで達するとは

「レイラッハー,イッラー,アッラー」というのはイスラームの祈りの言葉で「神はアッラー以外にありえない」という意味の言葉です。

このラインはザ・ノトーリアス・BIGの「Juicy」からの借用ライムです。

Remember Rappin Duke? Duh-ha, duh-ha
You never thought that Hip-Hop would take it this far

ラッピン・デュークを覚えてるか? 「ダッハー,ダッハー」
誰が想像しただろうか,ヒップホップがここまで来るとはな

(文責:Jun Nishihara)

JAY ELECTRONICAのアルバム『A Written Testimony』楽曲⑥「Universal Soldier」(独断偏見ライナーノーツ)

戦争を忘れるな。とりわけ,第二次世界大戦を忘れるな,と「アメリカの白人に虐げられてきた黒人が」日本人である我々に警告してくれている楽曲と解釈が可能である。「白人に」あの惨事を二度と繰り返させてはならないのだ,と。

曲の冒頭で,第二次世界大戦中に広島に原爆を落下させた3名の白人の名前が挙がります。

これが何をもたらしたか。

それは映画『火垂るの墓』に描かれております。

ここで,第二次世界大戦中に日本人が経た悲痛と,500年続いた黒人奴隷制度の苦悩が一瞬交差します。

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そしてジェイ・エレクトロニカは2回「ビスミッラー」と唱え,イスラームの経典から祈りの言葉を発します。「アウードゥ・ビラーヒ・ミン・アル・シャイターン・イル・ラジーム(アッラーに救いを求め,悪魔から身を守ろうではないか)」。

そして3回目の「ビスミッラー」が唱えられ,最後に「アッラーのみが神であり,ムハンマドはアッラーの使者である」と述べられます。

これは,冒頭の悍しい報道に対する御祓の詞(ことば)の役割も果たしております。

この曲はジェイ・エレクトロニカ自身によって制作されました。曲のビートも本人が最初から作り,第2ヴァースにジェイZを迎えます。

ジェイ・エレクトロニカはこうラップします。

The son of slaves, true, I started out as a peasant
That’s why I build my temple like Solomon in the desert

奴隷の息子として生まれ,庶民として育った
だから砂漠にソロモン宮殿を建ててやろうと思った

前回も取り上げましたが,ジェイ・エレクトロニカの歌詞には頻繁に対比(comparison)が多く起用されております。ここでも奴隷(slaves)や庶民・百姓(peasant)とソロモン宮殿を対比させています。

ジェイは続けます。

My mathematical theology of rhymin’ a touch the soul
I spent many nights bent off Woodford
Clutchin’ the bowl, stuffin’ my nose
Some of the cons, I suffered for prose
My poetry’s livin’ like the God that I fall back on

考え抜かれた俺の「神学ライム」は人々の魂を動かす
ウッドフォード通りで俺は,打ちひしがれる日を幾夜も経てきた
お椀を握りしめ,鼻を詰まらせて
まわりから反対された,散文に苦しんだ
俺の詞(うた)は,いざという時頼りになる神さんのようだ

そして第2ヴァースでジェイZはニーチェの言葉を引用します。

What don’t kill us make us stronger, that’s Nietzsche on me

ニーチェがこう言ってた,「どれだけ苦しくとも,それによって死なない限り,それは俺を強くしてくれるばかりだ」と。

ジェイは最後にこう言います。

We was in your cotton fields, now we sittin’ on Bs, on me

昔,あんたの綿農場(コットンフィールド)で働いていた奴隷野郎が
今は数十億ドルの家に住んでいる,それ俺な
(※註:B’s=Billions)

日本人はどうしてここまで黒人のメンタリティーに共感するところがあるのだろうか,と,長い間考えてきました。そのひとつの答えが,この曲で見つかったように感じました。

(文責:Jun Nishihara)

JAY ELECTRONICAのアルバム『A Written Testimony』楽曲⑤「Shiny Suit Theory」(対訳)

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楽曲⑤「Shiny Suit Theory」歌詞対訳

[Intro: Jay Electronica]
One two, one two, yeah, uh huh, yeah

(イントロ:ジェイ・エレクトロニカ)
1,2,1,2,イヤー,そうだ,イヤー

[Chorus: Jay Electronica]
I’m sailing on a cloud, they trailing below
My shrink told me, “It’s a feeling they’ll never know”
I pack up all my sins and I wear ’em to the show
And let ’em go, let ’em go, let ’em go, let ’em go
I’m sailing on a cloud, they trailing below
My shrink told me, “It’s a feeling they’ll never know”
I pack up all my sins in every L that I blow
And let ’em go, let ’em go, let ’em go, let ’em go

(サビ:ジェイ・エレクトロニカ)
雲の上を滑翔(かっしょう)する俺に,ずっと下で遅れを取る連中
お医者さんに言われたよ「ヤツらには一生わかんねえ爽快感だ」って
今までの罪を全部スーツケースに詰め込んで,俺はツアーに乗り出した
手放せ,手放せ,手放せ,手放せ
雲の上を滑翔する俺に,ずっと下で遅れを取る連中
お医者さんに言われたよ「ヤツらには一生わかんねえ爽快感だ」って
今までの罪を全部ハッパに詰め込んで,一服してやった
ぶっ飛べ,ぶっ飛べ,ぶっ飛べ,ぶっ飛べ

[Verse 1: Jay Electronica]
In the land before time
A land before altar boys, synagogues, and shrines, man was in his prime
Look how far I go in time just to start a rhyme
The method is sublime, you get blessed with every line
I’m in touch with every shrine from Japan to Oaxaca
The melanated carbon-dated phantom of the chakras
Me and Puff, we was chilling in Miami
He said, “Nigga, fuck the underground, you need to win a Grammy
For your mama and your family, they need to see you shined up
You built a mighty high ladder, let me see you climb up
Nigga, what you scared of?
Terrorize these artificial rap niggas and spread love, pollinate they earbuds
Like you supposed to, spit it for the culture
Pay no attention to the critics and the vultures
They rather have a shot of Belvy just to spite you
They casting judgments ’cause they feel they got the right to
Fuck ’em, I let the dice roll like The Father did
I gotta shine, it’s in my blood, I’m a Harlem kid
I treat my babies right, treat my ladies ladylike
Hit them with a remix to make sure that they play me twice
I thought you said, “It’s the return of the black kings
Luxurious homes, fur coats, and fat chains”

(ヴァース1:ジェイ・エレクトロニカ)
その昔の大地でのハナシ
祭壇も無く,礼拝堂も無く,神社も無かった時代,人類は最も生き生き輝いていた
ライムの冒頭で,時代をここまで遡り
極上のメソッド,ラインが飛び出す毎に恩恵を授ける
日本からメキシコのオアハカまで,あらゆる神社のパワーを集め
放射年代測定法によって算出された黒い肌したチャクラの霊と繋がる
俺とディディ,マイアミでチルしてた
ディディに言われた「おまえなぁ,アングラなんてもうやめて,さっさとグラミー獲得しろよ」
「かーちゃんと家族のためにな,おまえが輝いてるとこ,見たがってんだろ」
空高くそびえる梯子を立てかけられ,俺はそれを登るところを期待されている
「おまえは一体,
何におびえてんだ?」
「ウワベだけのラッパーどもをブチのめして,愛を広め,リスナーの耳に受粉の種を植えつけてやれ」
「それがおまえの役目だろ,カルチャーのためにラップしな」
「批評家の言うことは無視していい,ハゲタカも気にすんな」
「ベルヴェデーレのシャンパン飲んで,人の悪口言ってればヤツらは幸せなんだ」
「権利があるからって人を軽蔑の目で見て,好き勝手言ってるんだ」
「糞食らえでいい,気にせずサイコロ転がしてればいい,クラレンス13のように」
ギラギラ輝いていたい性格,動脈を流れる,俺はハーレム野郎
子供たちを良く養い,オンナたちを淑女のようにモテなす
リミックスをヒットさせ,ちゃんと俺の曲を流してもらうために
俺には聞こえたぜ「黒人キングのお戻りだ。
馬鹿デッカイ豪邸に,身にまとうのは毛皮のコート,おまけにぶっといダイヤのチェーン」ってな

[Chorus: Jay Electronica]
I’m sailing on a cloud, they trailing below
My shrink told me, “It’s a feeling they’ll never know”
I pack up all my sins and I wear ’em to the show
And let ’em go, let ’em go, let ’em go, let ’em go
I’m sailing on a cloud, they trailing below
My shrink told me, “It’s a feeling they’ll never know”
I pack up all my sins in every L that I blow
And let ’em go, let ’em go, let ’em go, let ’em go

(サビ:ジェイ・エレクトロニカ)
雲の上を滑翔(かっしょう)する俺に,ずっと下で遅れを取る連中
お医者さんに言われたよ「ヤツらには一生わかんねえ爽快感だ」って
今までの罪を全部スーツケースに詰め込んで,俺はツアーに乗り出した
手放せ,手放せ,手放せ,手放せ
雲の上を滑翔する俺に,ずっと下で遅れを取る連中
お医者さんに言われたよ「ヤツらには一生わかんねえ爽快感だ」って
今までの罪を全部ハッパに詰め込んで,一服してやった
ぶっ飛べ,ぶっ飛べ,ぶっ飛べ,ぶっ飛べ

[Verse 2: Jay-Z]
In this manila envelope, the results of my insanity
Quack said I crossed the line ‘tween real life and fantasy
Can it be the same one on covers with Warren Buffett?
Was ducking the undercovers, was warring with muh’fuckers
Went from warring to Warren, undercovers to covers
If you believe in that sort of luck, your screws need adjusting
In the world of no justice and black ladies on the back of buses
I’m the immaculate conception of rappers-slash-hustlers
My God, it’s so hard to conceive
But it all falls perfect, I’m like autumn is to trees
Aw, the doc interrupted
He scribbled a prescription for some Prozac, he said, “Take that for your mustard
Boy, you must be off your rocker
If you think you’ll make it off the strip before they ‘Pac ya
Nigga, you gotta be psychotic or mixing something potent with your vodka
It takes a lot to shock us but you being so prosperous is preposterous
How could this nappy-headed boy from out the projects
Be the apple of America’s obsession?
You totally disconnected with reality, don’t believe in dreams
Since when did black men become kings?”

(ヴァース2:ジェイZ)
この黄褐色の封筒に,俺の狂気の沙汰が封されている
ヤブ医者に言われた「おまえは現実と幻想をはき違えてる」
ウォーレン・バフェットに並び,これが表紙を飾ったヤツか
覆面ポリを避けて,連中たちと争いを続けてきた
争いからウォーレンへ,覆面から雑誌の表紙へと
そのような運を信じるのなら,あんたの脳味噌のネジに調整が必要だ
正義なんて無い世界,バスの後部に追いやられた黒人女性
ラッパー兼ハスラーの無原罪懐胎説,俺はその象徴
なんてこった,難産の極み
全てがピッタリハマる,紅葉の秋立ち
オゥ,医者が割り込んだ
俺に抗うつ剤を処方してくれた,こう言われた「おまえのその脳味噌にくれてやれ」
まるでイカレてんぜ
ベガスのカジノ通りを,パックのように撃たれず,生きて通れると思うのか
精神病にでもやられたか,もしくはウォッカに強烈な麻薬をぶち込まれたのか
俺らは簡単には驚かねえが,おまえが裕福ってのはまるで荒唐無稽
ゲットー生まれのチリチリ髪した鼻垂れボウズが
どうしてここまでの全米の羨望の的となり得たのか
まるで現実味がひとかけらも感じられねえ,夢を信じてどうなる
黒人野郎がキングになるなんて,いつのハナシだ

[Bridge: The-Dream]
You have no idea, yeah
The meaning to what I say
And you have no idea
Of how I got this way
Now hear my dreams
And by the time you wake
I’ll look down from the clouds
See I’m on my way

(ブリッジ:ザ・ドリーム)
キミは知らない,イヤー
僕の本心をさ
キミは知らない
どうしてここまできたか
僕の夢が聞こえるかい
キミが目を覚ます頃には
雲の上から眺めているよ
もうすぐ行くからね

[Chorus: Jay Electronica]
I’m sailing on a cloud, they trailing below
My shrink told me, “It’s a feeling they’ll never know”
I pack up all my sins and I wear ’em to the show
And let ’em go, let ’em go, let ’em go, let ’em go
I’m sailing on a cloud, they trailing below
My shrink told me, “It’s a feeling they’ll never know”
I pack up all my sins in every L that I blow
And let ’em go, let ’em go, let ’em go, let ’em go

(サビ:ジェイ・エレクトロニカ)
雲の上を滑翔(かっしょう)する俺に,ずっと下で遅れを取る連中
お医者さんに言われたよ「ヤツらには一生わかんねえ爽快感だ」って
今までの罪を全部スーツケースに詰め込んで,俺はツアーに乗り出した
手放せ,手放せ,手放せ,手放せ
雲の上を滑翔する俺に,ずっと下で遅れを取る連中
お医者さんに言われたよ「ヤツらには一生わかんねえ爽快感だ」って
今までの罪を全部ハッパに詰め込んで,一服してやった
ぶっ飛べ,ぶっ飛べ,ぶっ飛べ,ぶっ飛べ

(対訳:Jun Nishihara)

JAY ELECTRONICAのアルバム『A Written Testimony』楽曲③「The Blinding」(独断偏見ライナーノーツ)

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収録楽曲③「The Blinding」

フィーチャリング・アーティストとして現代ヒップホップ界を先導(仙道?)するトラヴィス・スコット(Travis Scott)参戦。プロデューサー陣は,ジー・ライ(G. Ry),エイラーブ・ミュージック(AraabMUZIK),ヒット・ボーイ(Hit-Boy),そしてビートプロデューシング名人=スウィズ・ビーツ(Swizz Beatz)センセー。なんと豪華な。ヒット間違いナシ。

冒頭からアラビア語が飛び出します。もうスローダウン,メーン!

Kayfa ḥal-uk? Kayfa ḥal-uk, habibi?
(調子,どうや?元気に,やってっか?)

この曲では,ヒップホップの伝統芸=マイクリレー(mic relay)が行われます。

ジェイとジェイ,つまり,ジェイ・エレクトロニカとジェイZのマイクリレーです。
ヴァース1でもジェイ・エレクトロのリリックと,ジェイZのリリックが交差します。

It’s the return of the Mahdi, it’s the return of the Akhis
It’s the return of the lost and found tribe of Shabazz, the Annunakis
It’s the return of Mr. Shakur spittin’ out phlegm at paparazzi
That’s my new style

マーディがお戻りになった,アーキーがお戻りになった
シャバズの見失われた部族,つまりアヌナーキーがお戻りになった
パパラッチ向けツバを吐きまくるシャクール(=2パック)がお戻りだ
それが俺の新しいスタイル

マーディというのはイスラームの先導師,アーキーとはムスリムの間での兄弟関係を意味し,
シャバズとはアフリカの内陸部へ黒人を導いた部族の長,
アヌナーキーとは,シュメール神話に登場する神々のこと。
シャクールとはご存知,2パックの本名(=トゥパック・アマル・シャクール)。

さて,曲の途中でビートを一変させる技については,このページで説明しました

まさにこの技を得意とするトラヴィス・スコット(Travis Scott)の登場です。エンジニアリング・ミクスチャーはヒップホップ界の大ベテランでありロッカフェラ時代からジェイZの盟友である=ヤング・グールー(Young Guru)が担当。

Blinding (Hit-Boy)
Blinded by the light
See the stars and our sun

目がくらむ(ヒット・ボーイ)
光がまばゆくて,目がくらむ
見えるか,スターたちとあの太陽が

そして,ヴァース2ではジェイ・エレクトロニカが内省的(introspected)なラップを試みます。

When I lay down in my bed it’s like my head in the vice
When I look inside the mirror all I see is flaws
When I look inside the mirror all I see is Mars
In the wee hours of night, tryna squeeze out bars
Bismillah, just so y’all could pick me apart?

夜中,床(トコ)につき,悪徳にアタマをうずめる
鏡を見れば,映るのは俺の欠点ばっか
鏡を見れば,映るのは娘(マーズ)の姿
夜が開けようとする早朝,俺はリリックを搾り出している
ビスミッラー,そのリリックを聴いて,俺を批判しまくってくれ

ビスミッラー,つまり,アッラーの名にかけて。

(文責及び対訳:Jun Nishihara)

第1位に輝いた「Meek Mill feat. Rick Ross & JAY-Z – “What’s Free”」ヴァース3及びサビ部分対訳

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(写真は,ミーク・ミルがニッキー・ミナージュと付き合っていた頃のもの。左から,ジェイZ,ビヨンセ,ニッキー・ミナージュ,そしてミーク・ミル。)

Meek Mill feat. Rick Ross & JAY-Z – “What’s Free”(ヴァース3及びサビ部分対訳)

[Verse 3: JAY-Z]
In the land of the free, where the blacks enslaved
Three-fifths of a man, I believe’s the phrase
I’m 50% of D’USSÉ and it’s debt free (Yeah)
100% of Ace of Spades, worth half a B (Uh)
Roc Nation, half of that, that’s my piece
Hunnid percent of TIDAL to bust it up with my Gs, uh
Since most of my niggas won’t ever work together
You run a check up but they never give you leverage
No red hat, don’t Michael and Prince me and ‘Ye
They separate you when you got Michael and Prince’s DNA, uh
I ain’t one of these house niggas you bought
My house like a resort, my house bigger than yours
My spou- (Come on, man)
My route better, of course
We started without food in our mouth
They gave us pork and pig intestines
Shit you discarded that we ingested, we made the project a wave
You came back, reinvested and gentrified it
Took niggas’ sense of pride, now how that’s free?
And them people stole the soul and hit niggas with 360s, huh
I ain’t got a billion streams, got a billion dollars
Inflating numbers like we ‘posed to be happy about this
We was praisin’ Billboard, but we were young
Now I look at Billboard like, “Is you dumb?”
To this day, Grandma ‘fraid what I might say
They gon’ have to kill me, Grandmama, I’m not they slave
Ha-ha-ha-ha-ha, check out the bizarre (Ah)
Rappin’ style used by me, the H-O-V
Look at my hair free, carefree, niggas ain’t near free
Enjoy your chains, what’s your employer name with the hairpiece?
I survived the hood, can’t no Shaytan rob me
My accountant’s so good, I’m practically livin’ tax free
Factory, that’s me
Sold drugs, got away scot-free
That’s a CC, E-copy
Guilt free, still me
And expect me to not feel a way to this day
You would say y’all killed me
Sucker free, no shuckin’ me, I don’t jive turkey
Say “Happy Thanksgiving,” shit sound like a murder to me
Smoke free, all of y’all callin’ out toll free
Label rob you for millions yet you wanna put a hole in me
Sugar free, seasoned but I’m salt free
You lay a hand on Hov, my shooter shoot for free
I promise World War Three
Send a order through a hands free
Kill you in 24 hours or shorter, you can’t ignore the hand speed
On god, it’s off the head, this improv but it’s no comedy
Sign I fail? Hell nah
(Ha-ha-ha-ha-ha) Hahahahahahahahaha

(ヴァース3:ジェイZ)
自由という名の国で,黒人は奴隷と化してきた
「1人の人間の価値の5分の3」そう信じさせられてきた
そんなヤツがD’USSEの50%を保有し,債務ゼロ
アルマンドブリニャック(シャンパン)に至っては100%,ビヨンセの半分の価値に匹敵
ROC NATIONの半分は俺のモン
TIDALの全財産は仲間と分け合うためにある
だって黒人連中は協力し合うってことが少ねえからさ
チェックを切っても,レバレッジを与えることは無い
あの赤いキャップじゃねえけど,俺とカニエの関係を,MJとプリンスのように思わないでくれ
マイケルとプリンスのようなDNAを受け継いでると,人は俺らを仲違いさせようとする
俺は,あんたが雇った屋内奴隷じゃねえ
俺の家はまるでリゾート,あんたの家よりイカシてる
俺の嫁も・・・(言うまでもない)
俺のルートはあんたのよりもイカシてる
メシもロクに食えねえ幼少期を生きてきた
豚肉や豚の内臓食わされて
あんたがゴミに捨てるような食い物を俺らの胃は消化した,ソウルフードを文化に昇華した
そしてあんたがやって来てカネを投資し,NYを美化させちまった
そうやって黒人のプライドを奪ってった,それを自由の国と呼べるか
音楽業界の連中に至っては,黒人のソウルを奪い,360度のレコードディールを打ち付けた
ストリーミング再生回数は億万には行かないが,資産は億万を超える
数字を膨らませるだけが幸福だと勘違いしてる
若い頃は俺たちもビルボードを崇めていたが
今となってはビルボードつっても,大したことねえって反応
いまだに世の中のバアちゃんたちは,ジェイZが何言うかヒヤヒヤしてる
「バアちゃん,俺はヤツらに殺されるまで,もう奴隷にはならねえぜ」
ハッハッハッハッハッ,奇妙な野郎チェック
俺が創出するラップスタイル,ジェイことホヴァ
髪型をフリーに羽ばたかせ,屈託無い野郎,ここまでフリーな連中は珍しい
「チェーンを楽しめ」ヘアピース付けたあんたの主の名は何だ
フッドを生き抜いた,もはや悪魔にさえも俺を強盗に合わすことはできねえ
俺の会計士もやる事が上手い,実質無課税で生活してる
ファクトリー,俺の手柄
ドラッグ売り捌いた,それでも無罪でやってきた
ケース・クローズド,いいか,伝わってっか
無実,いまだにそう
だから思い上がってもおかしくねえだろう
おまえらによって失われたもの
カモは寄せつけず,騙しは利かず,ふざけたマネはさせない
「ハッピーサンクスギヴィング」なんて言葉は罵りにしか聞こえない
煙は立たせず,あんたらが電話かけるフリーダイヤル
レーベルに百万ドル強奪されて,それでも俺を銃殺したがってる
シュガーフリー,それでも味はある,ソルトフリー
ホヴァに手を出せば,俺の片腕が瞬く間に発砲
そうなれば第三世界大戦が勃発
ハンズフリーで命令下す
24時間もしくはそれ以内でおまえヤる,そのスピード無視できねえ
神の名に賭けて,即興のフリースタイル,コントじゃねえぜ
サインフェルドならぬ,俺がフェイル? ありえねえ。
(ハッハッハッハッハ)ハハハハハハハハハ

[Intro: Meek Mill]
You know what free is, nigga?

[Chorus: Meek Mill]
What’s free?
Free is when nobody else could tell us what to be
Free is when the TV ain’t controllin’ what we see
Told my niggas, “I need you”
Through all the fame, you know I stayed true
Pray my niggas stay free
Made a few mistakes but this ain’t where I wanna be
Before I’m judged by 12, put a 12 on my V
Told my niggas, “I need you”
Stay up, I know these times ain’t true
Real life, what’s free?

(イントロ:ミーク・ミル)
“フリー”って何かわかるか,おまえら

(サビ:ミーク・ミル)
フリーって何だ?
フリーとは,誰にも命令されないことだ
フリーとは,TVが俺らの思考を左右しないことだ
仲間に「おまえが必要だ」と言われれば
どんだけ名声欲しくても,俺は忠誠をつらぬいた
仲間が全員「フリー(自由)」でありますように
間違いも犯してきた,今はここにいるべきじゃない,と思った
12人の陪審員に裁かれる前に,V12のエンジンで車を乗り回した
仲間に言った「おまえらが必要だ」
ぶっ倒れんな,今は辛抱する時だ
リアルな生き様,フリーって何だ?

(文責:Jun Nishihara)

第1位に輝いた「Meek Mill feat. Rick Ross & JAY-Z – “What’s Free”」ヴァース2の対訳

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(写真は,下記歌詞の3行目で言及されている「Maybe it’s the Michael Rubins or the Robert Krafts(ビリオネアのマイケル・ルービンとロバート・クラフトのお蔭で)」の写真。写真左から,同郷フィラデルフィア出身のコメディアン=ケヴィン・ハート,ロバート・クラフト,マイケル・ルービン,そしてミーク・ミル。歌詞では,彼ら(=ルービンとクラフト)とマーシー・プロジェクツ出身のビリオネア=ジェイZが俺をサポートしてくれたお蔭で,刑務所から釈放され自由になれた,と言っている。ちなみに,ロバート・クラフトは,アメフトチームNew English Patriotsのオーナー。マイケル・ルービンは,NBAチームPhiladelphia 76ersのオーナー。)

Meek Mill feat. Rick Ross & JAY-Z – “What’s Free”(ヴァース2対訳)

[Verse 2: Meek Mill]
Fed investigations, heard they plottin’ like I trap
20 mill’ in cash, they know I got that off of rap
Maybe it’s the Michael Rubins or the Robert Krafts
Or the billionaire from Marcy, and the way they got my back, uh
See how I prevailed now they try to knock me back, uh
Locked me in a cell for all them nights and I won’t snap, uh
Two-fifty a show and they still think I’m sellin’ crack, uh
When you bring my name up to the judge, just tell him facts
Tell him how we fundin’ all these kids to go to college
Tell him how we ceasin’ all these wars, stoppin’ violence
Tryna fix the system and the way that they designed it
I think they want me silenced (Shush)
Oh, say you can see, I don’t feel like I’m free
Locked down in my cell, shackled from ankle to feet
Judge bangin’ that gavel, turned me to slave from a king
Another day in the bing, I gotta hang from a string
Just for poppin’ a wheelie, my people march through the city
From a cell to a chopper, view from the top of the city
You can tell how we rockin’, soon as I pop up we litty
Poppin’ like Bad Boy in ’94, Big Poppa and Diddy
And niggas counted me out like my accountant ain’t busy
That’s five milli’ in twenties, sit up and count ’til I’m dizzy
Phantom 500 thousand, hundred round in a stizzy
Is we beefin’ or rappin’? I might just pop up with Drizzy like

(ヴァース2:ミーク・ミル)
FBIによる調査,俺がトラップしてるところを逮捕しようと企んでる
2000万ドルの現ナマ,ラップで稼いだって分かってんだろ
ヒップホップ界のマイケル・ルービンもしくはロバート・クラフト
あるいはマーシー出身のビリオネア,俺の味方でいてくれる
勝利を収めてきたと思ったら,サツは俺の邪魔をしようとした
あんだけ長期間ムショに囚われ,それでも精神イカレなかった
ワンステージで25万ドル,それでもサツは俺がコカで稼いだカネと言う
俺の名を裁判所で使うなら,事実だけを話してくれや
恵まれない子たちを大学に行かせるために投資したり
そこらじゅうの小競り合いや暴力に終止符を打たせたり
世のシステムそしてその設計図を修正しようとしたりしてる
連中は俺を黙らそうとしてるだけなのさ(シー)
ほら分かるか,これがフリー(自由)だと思うか
ブタ箱に縛り付けられ,両足を鎖で締め付けられて
裁判官が小槌をたたき,その瞬間俺はキングから奴隷に成り下がった
また今日もムショ生活,バイクで走り回っただけで逮捕,いっそ縄で首吊るべきか
俺をサポートする群衆たちが,俺の釈放求めシティじゅうで騒いでくれてる
どん底で見た真っ暗な光景から,ヘリで眺めるシティの全景,その景色最高だった
俺らのやり方,見とけ,ステージに上がれば,群衆一気に盛り上がる
94年のバッドボーイ軍団の様,ビッグ・ポッパとディディのごとく
連中は俺を忘れかけてた,会計士も仕事がねえとうつつ抜かしてた
それが今は20ドル札で500万ドル,数えるだけで目がくらむ
50万ドルのロールスロイス,100ドル札の札束だらけ
ヤツらがやるのはビーフかラップか,ドレイクと一緒にステージで暴れてやろうか

(文責:Jun Nishihara)

ジェイZのアルバム『The Black Album』より,楽曲13対訳「Allure」。

ジェイZの名作に2003年リリースの『The Black Album』というアルバムがあります。ジェイZが現在までにリリースしてきたアルバムの中で,3本の指に入るものであると考えております。

さて,本日12月4日(TODAY!)はジェイZの49年目の誕生日です。それを祝うという意味でも,そのアルバムから「Allure」を取り挙げます。ビートはファレル・ウィリアムズやチャド・ヒューゴ率いるThe Neptunesプロダクション・チームの作品です。

内容は,ジェイZのハスリング時代について,「コカインを捌いていた頃,いくらでも金儲けができた。その生きザマがいまだに俺につきまとうんだ,俺の名を呼んでんだ。だがその人生を続けてれば,今頃はムショに入ってたか,それとも死んでたか。だが,あそこまで「生きてる感じ」を味わったのは,その後の人生に無かった」といったものです。ジェイZが2004年にヒップホップ界から「暫定的に」身を退けた,その直前にできた曲です。

よく「ヒップホップのグラマラスな人生」と「ハスリング時代の生きザマ」を重ねてラップするジェイZですが,それがこの曲にはよく表現されていると思います。私の翻訳はまだまだですが,私の翻訳以上に,ジェイZの原語の歌詞はすばらしいものであることを念頭に,読んでいただければ幸いです。

ジェイZの歌詞を訳すにあたり,常に「まだまだ(ジェイZの原語には)到達できないな」と思いながら訳しているのですが,これは生涯の仕事として,ジェイZの歌詞対訳を随時「レベルアップ」させていきたいと思っております。ジェイZの歌詞と「同等の日本語訳」をすることは,死ぬまで出来ないと思いますが,99.999999%まで達することは,いつかは,いけるんじゃないかとか,夢見ながらやっているところです。

その点,カニエ・ウェストの歌詞を訳す時の緊張感とはまた違ったものを感じます。

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Jay-Z feat. The Neptunes

[Intro: Pharrell (Jay-Z)]
(Young! It’s the life)
(Once again it’s the life, yes)
I don’t know why, I.. get so high oh
(It’s intoxicating man, y’all don’t know why you do what you do)
Get so high oh, get so high, high off the life

(イントロ:ファレル(ジェイ・Z))
(ヤング!この生きザマに)
(もういちど人生に乾杯)
理由は言えねえ・・・ただハイになるんだ,オゥ
(やみつきだぜ,何をやるにも,理由は今わからなくとも)
ハイになれ,オゥ,ハイになれ,ハイになって生きろ

[Verse 1: Jay-Z]
The allure of breaking the law
Was always too much for me to ever ignore
I’ve got a thing for the big-body Benzes, it dulls my senses
In love with a V-Dub engine
Man, I’m high off life, fuck it, I’m wasted
Bathing Ape kicks, Audemars Piguet wrist
My women-friends get tennis bracelets
Trips to Venice, get their Winters replaced with
The sun…it ain’t even fun no more, I’m jaded
Man, it’s just a game, I just play it to play it
I put my feet in the footprints left to me
Without saying a word, the ghetto’s got a mental telepathy
My brother hustled so, naturally
Up next was me, but what perplexes me
Shit, I know how this movie ends, still I play
The starring role in “Hovito’s Way”

(ヴァース1:ジェイZ)
法を犯すという誘惑
とても魅力的で,シカトするわけにはいかなかった
デカい車体のベンツにあこがれて,もはや感覚麻痺してた
フォルクスワーゲンのエンジンに恋い焦がれて
生きることにハイになってた,クソッ,イカレちまってた
NIGOのアベイジングエイプのスニーカーに,オーデマピゲの腕時計
女友達にはダイヤモンドのブレスレット
ヴェニスに旅行して,暖かい場所で冬を過ごす
太陽の光,もう笑えねえほど,たそがれてる
ただのゲームだと分かってる,プレーが好きでプレーしてる
俺のために残された足跡に導かれて
ひとこともしゃべらなくとも,連中とはゲットー・メンタルで通じ合える
兄弟もハスラーだった,だから自然に俺もそうなった
次は俺の出番,だがひとつ不可解なのは
この映画のエンディングを知ってしまったこと,それでも俺は“プレー”する
『ホヴィートズ・ウェイ(ホヴィートの道)』(『カリートの道』のホヴァ(ジェイ)版)の主演男優として

[Chorus: Jay-Z (Pharrell)]
It’s just life, I solemnly swear
To change my approach, stop shaving coke
Stay away from hoes, put down the toast
Cause I be doing the most (OH NO!)
But every time I felt “That was that”, it called me right back
It called me right back
Man, it called me right back (OH NO!)

(サビ:ジェイZ(ファレル))
ただ人生を生きてるだけさ,俺はここに誓う
もうこの生きザマは変える,コカを捌くことから手を引く
アバズレ女から身を引いて,シャンパングラスは置いて
つい,やり過ぎちまうからな(オゥノゥ!)
だが毎回「もう辞めにする」と言う度に,また呼び戻されんだ
すぐに呼び戻されるんだ
そうさ,ほら,呼び戻された(オゥノゥ!)

[Verse 2: Jay-Z]
I’m like a Russian mobster, drinking distilled vodka
Until I’m under the field with Hoffa, it’s real
Peel the top up like a toupée,mix the water with the soda
Turn the pot up, make a soufflé
All of y’all can get it like group-page on your 2-way
I’m living proof that crime do pay
Say “hooray” to the bad guy, and all the broads
Putting cars in their name, for the stars of the game
Putting ‘caine in their bras and their tomorrows on the train:
All in the Name of Love
Just to see that love locked in chains and the family came
Over the house to take back everything that they claimed
Or even the worse pain is the distress
Learning you’re the mistress only after that love gets slain
And the anger and the sorrow mixed up leads to mistrust
Now it gets tough to ever love again
But the allure of the game, keeps calling your name
To all the Lauras of the world, I feel your pain
To all the Christies in different cities and Tiffany Lanes:
We all hustlers in love with the same thing

(ヴァース2:ジェイZ)
俺はロシアン・マフィアのごとく,蒸留ウォッカを飲み干す
しまいにはホッファの隣で,グラウンドの土の中に埋められて,生々しい
オープンカーの天井をめくる,カツラばり,重曹と水を混ぜ合わせ
コンロを焚いて,泡立てたスフレ,一丁上がり
おまえら全員一気に,金儲けさせてやる,全員配信のポケベルごとく
「犯罪はカネになる」の生きた証
ワル者に万歳,そしてオンナたちへ
このゲームのスター達のため,クルマの名義を貸してくれたオンナたち
ブラの中にコカイン忍ばせて,アムトラック列車に乗って運び,彼女たちの将来を犠牲にしてくれた
愛という名のそのもとに
くさりで縛られた愛を見るために,そして俺にも家族が出来た
家を持つようになり,今まで掴んできた手柄を全て,放り投げた
さらなる苦悩とストレスは
自分が単なる愛人だったことに気づく時だ,ほんとうの愛が滅多斬りされた後
残るのは怒りと悲しみが混ざり合った不信感でしかない
そしてもはや,二度と愛することがさらに難しくなる
だがこのゲームの誘惑が,また俺の名前を呼ぶんだな
世界のローラたちへ,君たちの苦悩に共感するよ
あらゆる街のクリスティーやティファニー・レーンたちへ
俺らは全員,同じものを愛するハスラーなのさ

[Chorus: Jay-Z (Pharrell)]
It’s just life, I solemnly swear
To change my approach, stop shaving coke
Stay away from hoes, put down the toast
Cause I be doing the most (OH NO!)
But every time I felt “That was that”, it called me right back
It called me right back
Man, it called me right back (OH NO!)

(サビ:ジェイZ(ファレル))
ただ人生を生きてるだけさ,俺はここに誓う
もうこの生きザマは変える,コカを捌くことから手を引く
アバズレ女から身を引いて,シャンパングラスは置いて
つい,やり過ぎちまうからな(オゥノゥ!)
だが毎回「もう辞めにする」と言う度に,また呼び戻されんだ
すぐに呼び戻されるんだ
そうさ,ほら,呼び戻された(オゥノゥ!)

[Verse 3: Jay-Z]
I never felt more alive than riding shotgun
In Klein’s green 5, until the cops pulled guns
And I tried to smoke weed to give me the fix I need –
What the game did to my pulse – with no results
And you can treat your nose and still won’t come close
The game is a light bulb with eleventy-million volts
And I’m just a moth addicted to the floss
The doors lift from the floor and the tops come off
By any means necessary, whatever the cost
Even if it means lives is lost
And I can’t explain why I just love to get high
Drink, “life!” smoke the blueberry sky, blink twice
I’m in the blueberry 5, you blink three times
I may not even be alive
I mean even James Dean couldn’t escape the allure
Dying young, leaving a good-lookin corpse, of course

(ヴァース3:ジェイZ)
あの頃は生きてる感じがした,サツから逃げ回って
クライン(=ジェイZのかつてのドラッグディーラー仲間)のベンツの助手席に乗って,コカ捌いてた
ハッパ吸って冷静になろうとしたが
この生きザマ,心臓バクバク,ハッパじゃ足りねえ
鼻から一気に吸っても,これっぽっちも物足りねえ
あの人生は110万ボルトのネオンライトの様だった
だが俺は,その灯(魅惑)に集まる単なる蛾(ガ)
ドアが垂直に開き,天井がスライド式のオープンカー
どんなことがあっても,どんな犠牲を払っても
たとえ命が犠牲になったとしても
理由は言えねえ,ただハイになるのが好きなんだ
乾杯!この生きザマに,ハッパを吸って,まばたき2回
ブルーベリー色のベンツ,ウィンカー3回
とっくに死んだっておかしくない人生
かのジェイムス・ディーンでも,この誘惑に勝てなかった
若くして死に,ハンサムな遺体を遺していった,オフコース

[Chorus: Jay-Z (Pharrell)]
It’s just life, I solemnly swear
To change my approach, stop shaving coke
Stay away from hoes, put down the toast
Cause I be doing the most (OH NO!)
But every time I felt “That was that”, it called me right back
It called me right back
Man, it called me right back (OH NO!)

(サビ:ジェイZ(ファレル))
ただ人生を生きてるだけさ,俺はここに誓う
もうこの生きザマは変える,コカを捌くことから手を引く
アバズレ女から身を引いて,シャンパングラスは置いて
つい,やり過ぎちまうからな(オゥノゥ!)
だが毎回「もう辞めにする」と言う度に,また呼び戻されんだ
すぐに呼び戻されるんだ
そうさ,ほら,呼び戻された(オゥノゥ!)

[Outro: Jay-Z (Pharrell)]
Once again its the life
Yeah I said its the life
Once I again its the life
(OH NO! I don’t know why, I…
Get so high oh
Get so high oh
Get so high, high off the life)

(アウトロ:ジェイZ(ファレル))
もういちど人生に乾杯
そうさ,人生に乾杯
もういちどこの生きザマに乾杯
この生きザマに乾杯
(オゥノゥ!理由は言えねえ,ただ・・・
ハイになるんだ,オゥ
ハイになるんだ,オゥ
ハイになるんだ,この生きザマに)

(文責:Jun Nishihara)

元ネタの曲を知る③:ジェイZ⇄ローズ・ロイス⇄ビヨンセ

前回はジェイZの名曲「Song Cry」の元ネタとなっている1976年の曲を紹介いたしました。

引き続いてジェイZの曲です。
ジェイの隠れた傑作である「Wishing On A Star」(1998年3月11日リリース)という曲を紹介します。「隠れた」というのは米国で公式にリリースされたジェイZのアルバムには,この曲は収録されたことがないからです。現時点(2018年9月時点)では,月額サービスのApple Musicでも聴くことはできません。

もともとこの曲は,ジェイZのアルバム『In My Lifetime Vol.1』のUK(英国)盤のボーナストラックとして収録されました。その後,日本では,ジェイZの『Chapter One: Greatest Hits』(2002年リリース盤)に収録され,聴くことができます。

聴き比べてみてください。

Jay-Z – “Wishing On A Star”

その元ネタがこちらです。
Rose Royce – “Wishing On A Star”

ジェイZはこの曲を1998年にリリースしましたが,その6年後,2004年にビヨンセが同曲をカバーしました。

こちらです。

Beyonce – “Wishing On A Star”

元ネタは,1978年にリリースされたローズ・ロイス(Rose Royce)という女性歌手の曲です。1978年の曲がこうして,20年の年月を経て,ジェイZにサンプリングされたことがよみがえり,その6年後にビヨンセがカバーしました。

まさにこれがヒップホップの醍醐味のひとつであります。古い曲が現代に“真新しく”よみがえり,これを聴いている老若男女が「おおもとの曲(元ネタの曲)」を探しに行く,また,探したくなる,見つけて,聴きたくなる,という欲を掻き立ててくれるものだと感じております。そうなると,たまらなくおもしろいです。

(文責:Jun Nishihara)

元ネタの曲を知る②:ジェイZ ⇄ ボビー・グレン

さて,このコーナーでは,現代のヒップホップ曲で起用されている「おおもととなっている曲ネタ」を紹介しています。

前回は,ドレイクがマライア・キャリーの曲をネタにした「Emotionless」⇄「Emotions」を紹介しました。

このように「もとのネタ」を知ることによって,ヒップホップのおもしろさが少しでも伝われば幸いです。

さて,今回はこんな曲を紹介します。

カニエ・ウェストよりも少し前に出現した異次元ビートメイカーにジャスト・ブレイズ(Just Blaze)というビート・プロデューサーがいます。カニエ・ウェストは「元ネタづかい」を世界中のヒップホップ界に広めたビートメイカーとして知られていますが,カニエが世に出るよりもずっと前に「元ネタあそび」をグヅグヅとアングラで温め続けてきたのは,ジャスト・ブレイズです。

ジャスト・ブレイズがプロデュースしたヒップホップ曲には,数々の名曲が生まれています。

その豊富なレパートリーの中から,ジェイZの名盤『The Blueprint』に収録されている楽曲(名曲!)「Song Cry」を取り上げます。

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この「Song Cry」は2001年9月11日(世界同時多発テロ事件と同日)にリリースされたアルバム収録楽曲ですが,この曲のおおもととなっている曲は,美しきまさに名曲(名曲をサンプリングにしたからこそジェイZの名曲が生まれたという,なんというビート・プロデューサーのセンス!)である,ボビー・グレン(Bobby Glenn)の1976年リリースの楽曲「Sounds Like A Love Song」を元ネタにしています。

それでは聴いてみましょう。

Bobby Glenn – “Sounds Like A Love Song”

(文責:Jun Nishihara)