第9位「ドレイクの“God’s Plan”という100万ドル(=約1億円)の予算をかけて製作したミュージックビデオ」(今年2018年に出た最も偉大なるヒップホップ曲ランキング)

今年も残すところあと10日を切りました。

2018年総まとめヒップホップ曲ランキング《トップ30》です。
本日はいよいよ第9位の発表です。
トップ30からカウントダウンしてきたこのランキングですが,いよいよ昨日第10位を発表し,カウントダウンもあと少し,となってきました。

第9位:ドレイク(Drake)のシングル曲「God’s Plan」のミュージックビデオ。

上記ビデオを撮影するのにかけた予算はなんと,米貨$996,631.90ドル。ほぼ100万ドル(日本円で約1億円)です。ミュージックビデオ1つで,土地と家が1つずつ買えてしまう,という驚愕のビデオです。

このDrakeの曲は,今年の夏は「俺のもんだ」と予言するかのように「ひとまずの導火線」として発火した1曲でした。この「God’s Plan」のヒットを筆頭に,まさに「神が仕掛けた企て」のごとく,これに続くドレイクの曲は,次から次へとヒットの連続でした。この曲は1月19日にリリースされましたが,まさに今年1月から,アルバム『Scorpion』がリリースされた今年の夏を経て,そして,同アルバムからシングルカットされた曲の連続ヒットまで,今年のドレイクの勢いは12月になった今でも止まりません。「今年はドレイクのもんだ」というのはドレイクの予言ではなく,まさに神の予言のように,的中しました。

この曲の歌詞の中で特筆すべきは,ドレイクの謙虚さです。この曲でドレイクは繰り返し,次のセリフを曲の要所要所でリピートしています。

I can’t do this on my own.
(じぶん一人じゃ,できないことなのさ。)

それではこのミュージックビデオ中の3:14~3:20部分の生徒たちみんなで大合唱する歌詞部分を,これを読んでくださっている皆さんも一緒に合唱できるよう,歌詞と歌詞の意味内容をここで確認しておきましょう。

She said, “Do you love me?”
I tell her, “Only partly”
I only love my bed and my mama, I’m sorry

カノジョに聞かれた「あたしのこと愛してる?」って
俺は答えた「ちょっとだけな」
「ほんとに愛してるのは,おふくろと自分のベッドだけなんだ,ごめんな」

さて,もう一度上記ミュージックビデオを3:14の部分に合わせて,皆さんも一緒に大合唱に加わってみましょう。

せーの!

(文責:Jun Nishihara)

元ネタの曲を知る①:ドレイク ⇄ マライア・キャリー

ヒップホップの楽しみ方の1つに「元ネタで遊ぶ」というものがあります。あるヒップホップ曲を聴いて,その曲に起用されているおおもととなっている曲ネタを探す,というものです。

ネタは時にメロディーであったり,ビートであったり,はたまたリリックであったりもします。

この元ネタを知ることによって,同じヒップホップ曲でも,たんなる平面的な音楽ではなく,奥深い,立体的な音に聞こえるようになってきます。

そこにはこれまで綿々と連ねられてきた歴史を感じることができます。それを知ってしまえば,その1曲はもはや「たんなる点」などではなく,遠いむかしから綿々とつづく「線状にある途中」の1曲として,「つながり」をその曲に感じることができるようになります。

イマドキの流行りに乗っかった「one hit wonder(一発屋)」のように聞こえる曲でさえ,その曲の「元ネタ」を知ればたちまち,「おっ,これはアノ曲か」と,つながりを感じることができるようになります。

このコーナーでは,現代のヒップホップにつながる「元ネタ」となっている曲を紹介します。元ネタとなる曲は,むかしの曲もありますが,けっして古い曲だけでなく,最近リリースされた曲もあります。

たとえば,こういうものです。

ついこのあいだ(2018年6月29日に)リリースされた,ドレイク(Drake)のニューアルバム『Scorpion』から収録楽曲「Emotionless」の元ネタとなっている曲=マライア・キャリー(Mariah Carey)の「Emotions」を紹介します。

ドレイクの「Emotionless」を聴いていただいた後に,元ネタとなっているマライア・キャリーの「Emotions」を聴いていただくと分かるかと思いますが,この曲は「リリックを元ネタにしたパターン」の曲です。

マライアが歌う下記の歌詞部分をループで回し,起用しています。

You’ve got me feeling emotions
Ayy, higher
Ahhhhhhh
You’ve got me fe–
You, ohhhh

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ドレイクがマライアの声を起用したり,アリーヤ(Aaliyah)の声とメロディを起用したりすることは今までもありました。特にアリーヤの声を起用したドレイクの曲は,どれも感慨深いものがあります。

こうして過去の偉大なる音楽が,現代のヒップホップを媒介としてよみがえります。

マライア・キャリー「Emotions」

(文責:Jun Nishihara)

Guest Versesのコーナー:ジェイZ(ドレイク「Talk Up」より)

このコーナーでは,カニエ・ウェストもしくはジェイZが人の曲にヴァース(歌詞)を提供している曲を紹介します。

今日は6月29日にリリースされたドレイクのアルバム『Scorpion』より,収録楽曲「Talk Up feat. Jay-Z」を取り上げます。

Drake feat. Jay-Z – “Talk Up”

(Verse: Jay-Z)
Yo, get close enough to HOV, smell like a kilo still
First album 26, I ain’t need no deal
Already a hood legend, I ain’t need no shine
First Rollie flooded out, I ain’t see no time, woah
Stand-up niggas, we only duckin’ indictments
Dope boys, Off-White, lookin’ like soft white on ’em
Heh, you know what I’m sayin’?
We in the buildin’, we came for a billion, ain’t nobody playin’
Live every word that I’m rappin’
Say I lost 90 bricks and it happened
You probably wouldn’t believe everything that you seein’ right now if it wasn’t live action
I ain’t on the ‘Gram, they record who I am
God to these dope boys, how do you not be a HOV fan?
I’m what Meech shoulda been
I’m what Supreme didn’t become
If Alpo didn’t snitch, niggas’d be like Young
I got your President tweetin’, I won’t even meet with him
Y’all killed X and let Zimmerman live, shhh, s-streets is done

(ヴァース:ジェイZ)
ヨゥ,ホヴァ(=ジェイZ)に近寄れば,いまだにコカが匂う
26歳でデビューアルバム,当時レコード会社には雇われず
それでも腕時計(ロレックス)はダイアだらけで,針が見えねえ,ウォゥ
ピン芸人の野郎どもと,裁判沙汰を上手くかわしてきた
ドラッグディーラー,“オフ・ホワイト”,白い粉末が光ってた
なんのことかわかるだろう
俺らが一発売れば,億単位で稼ぎ,中途ハンパなことはしなかった
ラップで言ってきた一言一言,全部リアルに生きてきた
90キロのコカを失った話(*註1),それもマジ
こうしてナマで届けなきゃ,おまえら何にも信じねえからな
インスタはやってない,TVが俺を追いかけてるから
ドラッグディーラーにご加護あれ,ホヴァのファンたちに幸あれ
ビッグ・ミーチ(=ドラッグディーラー)も俺の様にはなれなかった
シュープリーム(=同上)も俺になれなかった
もしアルポ(=同上)が人のことチクらなければ,俺の様になれていただろう
おまえらの大統領がツイートしてる,あんな野郎に俺は合わねえ
おまえらX(=エックスエックスエックステンタシオン)は見殺しにして
ジョージ・ジマーマン(*註2)は救うのか?
もう「ストリート」は終わりだな

註1:ジェイZの名盤『The Blueprint』収録の楽曲「Never Change」より。
註2:黒人の若者(トレイヴォン・マーティン)を銃殺した容疑者。

(文責:Jun Nishihara)