今週の新曲:Big Sean feat. Nipsey Hussle – “Deep Reverence”

出ました。ニプシー・ハッスルをfeat.したビッグ・ショーンの新曲「Deep Reverence」。こちらを以下のとおり掲載しておきます。

Big Sean feat. Nipsey Hussle – “Deep Reverence”

なお,まもなくリリースされる予定のビッグ・ショーンの新盤『Detroit 2』に向けて,こちらのプレビューをどうぞ。

アツい!
外気は寒くなってきたのに,アツい!
ドンの生き様(=DON LIFE),見せてくれや。

(キュレーティング:Jun Nishihara)

第6位:ニプシー・ハッスルが生前,DJ Khaled達とともに収録したシングル曲「Higher」(2019年Hip-Hop名曲名場面ベスト50)

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2019年の春,4月〜5月にかけて1ヶ月以上,西海岸を中心に,ニプシーへの追悼は続きました。それだけ現代のヒップホップに多大なる影響を及ぼしたアーティストとして,西海岸のみならず,アメリカ中,いや,世界中のヒップホップファンたちが,ブルーもレッドも関係なく,ブラッヅもクリップスも関係なく,哀悼をニプシーに捧げました。

それに呼応するかのように,ニプシー本人が最後に遺したレコーディング,そしてミュージックビデオとして,DJ Khaled feat. Nipsey Hussle & John Legend – “Higher”が,ニプシーが亡くなった1ヶ月半あとの2019年5月17日にリリースされました。

ヒップホップ史にのこる重要人物として,ニプシー・ハッスルの功績は受け継がれます。The MARATHON continues.

DJ Khaled feat. Nipsey Hussle & John Legend – “Higher”

(文責:Jun Nishihara)

ヒップホップ音楽とイスラム教の関係 (アルバム『Ye』のリリースから今年6月1日で1年を経たいま振り返る(その③))

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(上記写真の中心奥で,ネーション・オヴ・イスラームの現・指導者であるルイス・ファラカーンと肩を並べて映るカニエ・ウェスト)

前々回,そして前回は,カニエ・ウェスト周辺のイスラム教徒たち,そしてヒップホップ界のイスラム教徒たちはイスラム教のどういったところに魅了され改宗していったのか,ということをさぐっていきました。

本日はその最終日,ネーション・オヴ・イスラームの起源,そしてルイス・ファラカーンという人物についてお送りして,幕を閉じたいと思います。

<ネーション・オヴ・イスラーム(Nation of Islam(略してNOI))とは>
ネイション・オヴ・イスラムという表記もします。これはいわば「黒人イスラム団体」です。1930年7月4日(アメリカでは独立記念日の日)にアフガニスタン出身とされるウォレス・D・ファード・ムハンマドという人物によって創始されました。黒人イスラム団体ではありますが,幾分か政治的な含みも持っておりました。NOIを批判する人たちは,この団体を「黒人至上主義団体だ」みたいに主張しますが,NOI側は,これをまっさきに否定し「我々は黒人“至上”団体なんかでは全くない。黒人と白人の平等を目指す団体だ」と明確に主張しております。もともとは「黒人の社会的自立を目指す運動」として始まりました。これまで400年間,黒人は奴隷として扱われてきた歴史を立て直そうという使命のもと,立ち上がりました。それがこの団体の起源でした。

本年3月31日にこの世を去ったヒップホップ界の英雄=ニプシー・ハッスル(Nipsey Hussle)もイスラム教徒でした。ネーション・オヴ・イスラーム団体は,ニプシーの追悼に以下の文章を捧げております。

「ネーション・オヴ・イスラーム(ニプシー・ハッスルを追悼)」

<ルイス・ファラカーン(Louis Farrakhan)とは何者か>
上記追悼ステートメントでも署名をしている「ルイス・ファラカーン」とは,ネーション・オヴ・イスラーム団体の現・議長です。1933年5月11日ニューヨーク市の生まれ。1955年にマルコムXに誘われて,ネーション・オヴ・イスラームに加盟します。1978年に黒人のイスラーム運動を再生すると主張し,イリノイ州シカゴ市にネーション・オヴ・イスラーム本拠地を再建し,強硬派をまとめて指導者となりました。1995年10月ワシントンで「黒人100万人大行進(ワシントン大行進)」を指揮し,1996年年米TIME誌で「米国の最も影響力のある25人」の一人に選ばれました。同年カダフィ大佐が主宰するカダフィ人権賞が贈られ,雄弁な演説家で、黒人の自立を唱える一方、米国は人種別に離婚すべきだと語る黒人分離主義者で,過激な主張も展開しています。

最後にネーション・オヴ・イスラーム現・指導者であるルイス・ファラカーンに言及しているカニエ・ウェストの楽曲「All Day」をお届けして,幕を閉じることといたします。

カニエ・ウェストはキリスト教徒ですが,ルイス・ファラカーンとは共感する部分も多かったといいます。特に「黒人であることに対する思想」については共鳴するところが多いようです。

同曲でカニエはこうラップします。

Just talked to Farrakhan, that’s sensei, nigga
Told him I’ve been on ten since the 10th grade, nigga

さっきファラカーンと電話で話した,あれは俺の師匠(センセー)だぜ
「高1の頃からずっとあんた(=ファラカーン)の言ってること信じてきたぜ」って,そう伝えたぜ

カニエ・ウェストのアルバム『Ye』のリリースから1年を経たいま,同アルバムを振り返るいい機会に,曲の冒頭でスピットする「I called up the Muslims」がとてもインパクトのある歌詞として取り上げ,
黒人文化がイスラム教に影響を受けてきた歴史や,ヒップホップ音楽とイスラム教との関係,そしてマルコムXを経由してのネーション・オヴ・イスラームについてほんの少しだけでしたが,取り上げました。

音楽がインスタントに消費され,作られては消え去っていくサイクルが短い昨今,アルバム『Ye』はスルメイカのようにじっくり噛んで,聴き込まれるべき音楽といえるでしょう。上記「I called up the Muslims」というほんの1行の歌詞だけで,いろいろ遊ぶことができます。そう言った意味合いでも,まさに長生きするアルバムでしょう。

最後に同アルバム『Ye』の全曲歌詞・対訳を以下のとおり掲載しておきます。
今日も当サイトにお越しいただき,ありがとうございます。

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楽曲①「I Thought About Killing You」
楽曲②「Yikes」
楽曲③「All Mine」
楽曲④「Wouldn’t Leave」
楽曲⑤「No Mistakes」
楽曲⑥「Ghost Town」
楽曲⑦「Violent Crimes」

(文責及び対訳:Jun Nishihara)

DJキャレド,新曲「Higher」を故ニプシー・ハッスルを迎えてミュージックビデオと同時リリース。

ニプシー・ハッスルが亡くなる数日前に撮影されたミュージック・ビデオ「Higher」は,DJキャレドのニューアルバム『Father of Asahd』に収録されております。

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(写真はDJキャレドが溺愛する息子=アサド(Asahd)です。)

5月15日(水),自身のインスタグラムでDJキャレドは,新曲「Higher」の全収益を故ニプシー・ハッスルの遺族へ寄付することを発表いたしました。

ニプシー・ハッスルには二人の子供がいました。イマーニちゃんとクロス君です。この曲「Higher」で,ニプシー・ハッスルはこうラップしております。

Los Angeles love kinda of like Hussle and Boog
Emani turned ten, Kross turned two

ロサンゼルスへの愛,ハッスルとブーグのよう
イマーニは10歳になり,クロスは2歳になったばかり

註釈:
ブーグとは,ニプシーのフィアンセ=ローレン・ロンドンのこと。

ニプシーは亡くなる直前にこうして家族の名前を自身のラップに含めた,というのは,なんというか,不思議なものです。よくやるギャングの闘争のこととか,コカインを売りさばいてどれだけ稼いだとか,そういうことをラップするのではなく,死ぬ前に収録した曲に,こんな素晴らしいリリック(歌詞)を書くのは,彼がどれだけ家族思いだったかというのを象徴しているようです。

ニプシーは曲の冒頭でこうラップしています。

My granny 88, she had my uncle and then
A miscarriage back-to-back every year for like ten
Pregnant with my moms, doctor told her it was slim
Was bed rode for nine months, but gave birth in the end
Pops turned 60, he proud what we done
In one generation, he came from Africa young
He said he met my moms at the Century Club

バアちゃんは88歳,俺の叔父を最初に産んで,その後・・・
流産を繰り返した,毎年,それを10年間
そしてついに子を身ごもって,ドクターの検診で,栄養失調と言われた
9ヶ月ベッドで寝たっきり,でもついに産んでくれた,俺のかあちゃんを
オヤジは今60際,俺らがやってきたことを誇りに思ってくれている
世代をしょって,アフリカから若くして,移民としてこの国に行き着いた
オヤジは言う,「センチュリー・クラブって飯屋で,おまえのかあちゃんと出逢った」と

ニプシーのおばあさんは流産を11回繰り返した後に,ようやくニプシーの母親を身ごもったようです。ニプシーはインタヴューでこう語っておりました。「もしあの時,流産を繰り返していたバアちゃんが妊娠することを諦めていたら,じぶんはここに生まれていなかった」と。

曲中のサビでジョン・レジェンド(John Legend)がピアノを弾きながら,「We keep goin’ higher… higher…」と歌う時,ニプシーの魂が大空に高く,舞い上がっていくように感じられます。

ヴァース1は家族への想い,ヴァース2は生まれ育ったL.A.のストリートについてラップするニプシー。こうして見ると,この曲はニプシーの生き様をぎゅっと凝縮したような内容になっております。

【ご参考】
ニプシー・ハッスル(本名:アーミアス・アスゲドム(Ermias Asghedom))については以下もご参照願います。

☆第8位「本物のヒップホップファンであるのなら,ニプシー・ハッスルのアルバム『Victory Lap』を通しで聴くべし」(今年2018年に出た最も偉大なるヒップホップ曲ランキング)

☆追悼:ニプシー・ハッスル(Nipsey Hussle)

☆スヌープ・ドッグからの追悼の言葉(ニプシー・ハッスルへ)

☆ジェイZの“B-Sides”ライヴ・コンサート(その②:ニプシー・ハッスルへの追悼フリースタイル対訳)

(文責及び対訳:Jun Nishihara)

カニエ・ウェストの“Sunday Service”(14週目:Week 14) 

しかしロジ的な面から言っても,毎週日曜日にこれだけの準備をするのは容易いことではないでしょう。

まず,音楽の機材をここまで運搬するための車両の手配,そしてその費用。
そして人が移動するための交通機関,フライトの手配,そしてその費用。
観客(オーディエンス)もいますので,その人たちへの知らせ,誰に招待状を配るか,その費用はどうするか。誰を呼ぶかの選定。(前回の“Sunday Service”から1週間後ですから,時間は1週間しかない間での調整となります。)
観客が座るためのベンチもしくは椅子の用意。
そしてなんといっても,カニエ・ウェスト自身や聖歌隊(choir)の人々のフライトの手配,費用,空港から会場(本日はカリフォルニア州カラバサスの山奥)までの車両もしくは交通機関の手配。
そしてカニエ・ウェストとその仲間達(聖歌隊)は,本日の場合は,2種類の衣装を用意しています。クリーム色の上下と,グレー色の衣装です。この手配と費用。幸い,カニエ・ウェストはファッション業界にも関わっておりますから,そのツテもあるでしょう。パステルカラーのこの衣装は,まさにカニエ・ウェストの十八番と言えるでしょう。
本日はどの曲をセッションするかという,セットリスト(プレーリスト)。式次第からプログラムの準備。誰がセットリストを決めるか,どの曲の順番で進めるか,ということを予め全員で共有しておく必要があります。幸い,リーダーはカニエ・ウェストでしょうから,カニエ・ウェストが最終的な承認をするのでしょう。
毎週よく観てみますと,楽器は少しずつ入れ替わっております。どの楽器もしくはサウンドシステムを今回用意するか,ということも決めなければなりません。
場所の選定もあります。今週はどこでセッションを開催するか。果たして,その場所を勝手に使用することはできないと思いますので,市当局からの事前の許可申請は必要か。許可が下りるまでどのくらいの期間が必要か。費用はかかるのか。
おそらくまだまだ決めるべきことはあると思います。
ヌケ・モレがないように,いろいろな面で詰めるべきことは出てくると思います。

そして,いよいよ,コーチェラ音楽祭は明日,イースターの日曜日(4月21日)に迫ってきました。

カニエ・ウェストと聖歌隊仲間達の“Sunday Service”(Week 14)を以下に掲載しておきます。
以下ビデオ,Pt. 1の見所は,3:41からのスティーヴィー・ワンダー(Stevie Wonder)の「Love’s In Need of Love Today」の曲です。
そして,8:20からの盛り上がりと,8:54からの奴隷時代を彷彿とさせる手拍子(clappings)です。

以下ビデオ,Pt. 2の見所は,0:30からのニプシー・ハッスル(Nipsey Hussle)への追悼の言葉です。

今週はカニエ・ウェストとキム・カーダシアン(Kim Kardashian West)との娘であるノース・ウェスト(North West)ちゃんの映像も少し観られます。

いよいよ明日はコーチェラ音楽祭(Coachella Music Festival)ですが,改めましてプログラムを以下のとおり掲載しておきます。

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(文責:Jun Nishihara)