UKの黒人音楽シーン(UKシリーズ:その⑤)

UK生まれのHip-Hop楽曲を以下にキュレートしておきます。

1. 1993年生まれのロンドン出身黒人女子ラッパー=ナディア・ローズ(Nadia Rose)。同郷出身の黒人ラッパー=ストームジー(Stormzy)の従姉妹です。

2. 1993生まれのロンドン出身黒人男性ラッパー=ストームジー(Stormzy)。もう今となっては英国出身のカオともなっておりますが(ドレイクにfeat.された後は特に),有名になる以前は暫くの間,英国アンダーグラウンドラッパーとして名を馳せておりました。

彼がアングラ・コミュニティに受け入れられるキッカケとなった,Wicked Skengmanフリースタイル・シリーズを以下掲載いたします。英国の「声」を聴いてみてください。

3. ミズ・ダイナマイト(Ms. Dynamite),1981年生まれロンドン出身。デビューはなんと2002年!デビューアルバム『A Little Deeper』はこれまで約50万枚を売り上げ,シングル曲「Dy-Na-Mi-Tee」は英国R&Bチャート第2位にランクイン。

4. カノ(Kano),若き英国ラッパー。アメリカではハードコア・ラップというジャンルが昔ありましたが,そんなものはUKにはそぐわない。UKでは,グライム・ラップ(Grime Rap)と呼びます。それが彼が名を馳せるキッカケをくれたものなのです。レペゼンはどこまでもイングランド。

5. デイヴ(Dave),1998年生まれ,ロンドンはブリックストン出身。ナイジェリア出身の両親のもとに生まれた3人兄弟の末っ子です。デビューアルバム『Psychodrama』は英国ヴァイナル・ファクトリーが選ぶ「2019年に出た最も素晴らしい50枚のアルバム」のなんと第1位に選ばれます。

その『Psychodrama』から収録楽曲「Black」を掲載いたします。

デイヴ(Dave)は2019年11月,米NPR局の“Tiny Desk Concert”にも登場しました。

(文責及びキュレーション:Jun Nishihara)

ニッキー・ミナージュ:デビュー以前のフリースタイル動画など

ニッキー・ミナージュが正式デビューしたのは2010年11月22日,アルバム『Pink Friday』を引っ提げて全世界に旋風を巻き起こしました。ニッキーがデビューするまで,「女子MC」や「女子ラッパー」という職業はめずしらかった。限られたラッパーでしか(例えばLil Kim, Missy Elliott, Eve, Rah Digga, Remy Ma),名声は得られていませんでした。認知度は低かった。

しかしニッキー・ミナージュ(Nicki Minaj)が世に出てくることにより,女子MCという職業の認知度は上がり,「女子もヒップホップ界に出て,一発カマしていいんだ」という,これまで潜在的に準備してきた女子MCたちがドバドバッと輩出され始めてきました。もちろん,インターネットや動画サイト,SMSサイト等の発展もそれに寄与しているでしょう。

さて,そのニッキーがデビューする以前に収録されたフリースタイル動画というものがあります。ものすごく貴重なものです。

以下にまとめておきます。

・これはニッキーがリル・キム(Lil Kim)のシングル曲「The Jump Off」のビートに乗っかって,フリースタイルをカマしたものです。当時,ニッキーはリル・キムにビーフを仕掛けようとしていました。

・これはニッキーが有名になるキッカケとなった最初の映像です。時は2007年。『The Come Up』という駆け出しの新人ラッパーが出るDVDに出演し,リル・ウェイン(Lil Wayne)の目に留まり,ドレイクやリル・ウェインのレーベル=Young Money Entertainmentと契約する運びとなりました。そういう意味で,とても貴重な映像です。前半はニッキーの豪語連発(boasting),後半はフリースタイルという構成です。

・デビュー前,リル・ウェインに見出される前,ニッキーはDirty Money Recordsというブルックリンのローカルレーベルにサインされていました。時は2006年です。当時は,今のようにここまで有名になるとは,誰が予想したことでしょうか。ビッグ・フェンディ(Big Fendi)です。ビッグ・フェンディはそれを予想していた。ビッグ・フェンディっていうのは,ブルックリン在住のDirty Money Records所属A&Rマネージャーです。ニッキーはもともと,ニッキー・マラージュ(Nicki Maraj)というラッパー名でやっていたのですが,フェンディが「マラージュなんかより,ミナージュのほうが良い。フロウがヤバイから!」って言って,ニッキーに「Minaj(ミナージュ)」という芸名を与えた張本人です。

・リル・ウェイン見出されるキッカケとなったDVD『The Come Up』より,フリースタイルをいくつか掲載しておきます。

そしてこれがかの有名な「The Lip Gloss」フリースタイルです。

(キュレーティング:Jun Nishihara)

第1位:2019年の夏を制し,遂に1年まるごとヒップホップ界を盛り上げてくれた大・大・大ブレイクアーティスト登場!Megan Thee Stallion! (2019年Hip-Hop名曲名場面ベスト50)

2019年を一言で表現するとすれば,これかもしれません。「今年は女子ラッパーが活躍した一年だった」と。

シティ・ガールズ(City Girls)しかり,カーディB(Cardi B)しかり,ニッキー・ミナージュ(Nicki Minaj),カマイヤ(Kamaiyah),ドージャ・キャット(Doja Cat),キャッシュ・ドール(Kash Doll),ティエラ・ワック(Tierra Whack),トリーナ(Trina),ノーネイム(NoName),ステフロン・ドン(Stefflon Don),そしてラプソディ(Rapsody)などなど。いま挙げたのは全員女性です。

必ずしもヒップホップとは呼べませんがポップ界では,黒人女性として歌手のリゾ(Lizzo)も大活躍しました。

そしてさらに追い討ちをかけるかのように,ヒップホップ界の超重鎮黒人女性ラップ・アーティストのミッシー・エリオット(Missy Elliott)も今年のMTV Video Music Award賞受賞会でその伝説的なカムバックを果たしました。おまけにニューEPもリリース!

こんなにも黒人女性及び女子ラッパーが活躍した2019年,なかでも特に,そう,特に,そう,くりかえします,特に!大・大・大ブレイクしたのが,この女性でした。それがMegan Thee Stallion!

ヒップホップ業界ではよく「夏を制すものは,一年を制す」といわれます。つまりその夏に売れたものは,一年をとおして売れる,その一年でもっともHOTなものといえる,ということです。

そして今年の夏を制し,ついには一年をも制すこととなったヒップホップアーティストが,そう,Megan Thee Stallionです。

英語読みは「メーガン・ジー・スタリオン」ですが,日本語表記は「ミーガン・ジー・スタリオン」と書いたり,「メーガン・ザ・スタリオン」と書いたり,「ミーガン・ザ・スタリオン」と書いたりと,あらゆる場所で別記載をしています。英語で読む場合はあくまでも「メー」にアクセント(強調)を置いて「メーガン・ジー(“the”の強調形,舌を噛んで発音)・スタリオン(タにアクセント)」です。

英語表記は満場一致の“Megan Thee Stallion”です。彼女の名前を呼ぶときは仲間たちは「Megan(メーガン)」や「Meg(メグ)」と呼びます。サウス出身の人たちは「メィガン」と呼ぶ場合もあります。愛称は「Stalli(スタリー)」です。

さて,このメィガン AKA メグ,今年の夏前から,こういうハッシュタグで話題になりました。「#HotGirlSummer 」です。

ツイッターやインスタグラム,Facebook,スナップチャットまで,アメリカ中,西から東,北から南まで,女子,いや,クィアな男子たちまでも,#HotGirlSummerで今年の夏を盛り上げてくれました。

実はまだ大学生のメィガン。つまり,まだ学生。まさに,いまのトレンドをいっちばん理解している世代の女子なのです。学校はTexas Southern University(テキサス南部大学)。つまりですよ,キャンパスはほぼ黒人の,いわゆる「HBCU (Historically Black Colleges & Universities=歴史的黒人大学)」と呼ばれる大学に通学しています。

1995年2月15日生まれ。今年で24歳。いま,何が流行っているかをいちばん理解して,そのど真ん中を生きている女の子です。

その彼女=メィガンが,今年の夏,ニッキー・ミナージュとコラボレートを果たしました。

この写真です。

Nicki-Minaj-and-Megan-Thee-Stallion-pic
(左がニッキー,右がメィガン)

そしてその曲が以下です。

Megan Thee Stallion feat. Nicki Minaj & Ty Dolla $ign

メィガンは昨年からジワジワとヒップホップ界,ラップ界を湧かせてきておりました。

昨年2018年に発表したシングル曲が以下の曲です。これは今年になってもストリーミング及びダウンロードされまくり,売れ続けまくりました。

Megan Thee Stallion – “Big Ole Freak”

以下は11月に開催されたAmerican Music Awardsの帰り際にカマした即興フリースタイルです。

12月には遂に,NPR Music: Tiny Desk Concertにも登場いたしました。

メィガンのフリースタイルをもう一本,掲載しておきます。

最近のフィメール・ラッパーつまり女子ラッパーと何が異なるかというと,リリシズム(リリックを重視する)という態度です。

もちろん,タイトなルックスで,奇抜な服を着て(もしくは太ももを露出して)お尻を突き上げて,ダンスもしますが,それ以上に彼女の才能はそのリリシズムにあらわれています。

容赦ないフロー。スピード感あるラップ。90年代から2000年代にかけて,流行ったハードコアラップをも彷彿とさせます。リリックの内容はストリッパーだけじゃない。エロだけじゃない(もちろんエロもありますが,内容をセックスやドラッグばかりに頼っていない。

古き良き時代?!(いや,ヒップホップはそんなに古くない)のヒップホップをbring it back (よみがえらせた)ラッパーとも言えます。そういう点で優れているにもかかわらず,そういう点を差し置いたとしても,今年#HotGirlSummerのハッシュタグでヒップホップ界最高にアツい夏を魅せてくれました。

もうひとつ,メィガンについて,特筆しておくべき点は,アメリカのディープサウス(深南部)出身ということです。その深南部出身という肌感覚から,同じ深南部であるメンフィス出身のジューシーJ(Juicy J)とタッグを組んでラップしております。

肌感覚はよく曲にあらわれます。メィガンの肌感覚は,その昔,深南部で奴隷が経てきた苦しみを深い歴史に刻んでいます。500年間つづいた奴隷制度です。その奴隷の感覚がメィガンの肌感覚に残っている。その肌感覚から溢れ出るメィガンの音楽,といいますか,ラップといいますか,ヒップホップには,北部出身のラッパーには出せないソウルがあります。それはビートによってもあらわれます。コーンフィールドという畑を,鍬をふりかざして,耕す黒人奴隷。その「耕す」という行為には,早いテンポのビートが求められました。ビート(当時は「掛け声」)とともにふりかざして耕さないと,白人のご主人様にムチでぶったたかれますからね。だからダラダラしたラップで,間延びするラップのフローでは,いけなかった。間延びしちゃいけない。そこに深南部出身ラッパーの独特のラップスタイルがあります。それをメィガンも綿々と受け継いでいる。意識的に,無意識的に,どちらかはさて置いて,確実に受け継いでいる。そこにわずか40年という若い歴史のヒップホップを超えた,500年続いた奴隷制度の深い歴史を感じることができます。

Megan Thee StallionがJuicy Jとタッグを組んだ曲に,以下の曲があります。これはエロがメインテーマです。(Juicy Jはエロに生きる男ですから,彼と組めばこういう曲内容になるのは必然でしょう。うなずけます。)

つい先日1月10日(金)にリリースされた,Normani(ノーマニ)との新曲MVも以下に掲載しておきます。現在YouTubeにてトレンド第8位!

なお,こちらは年末年始のバケーション中に撮影したMegan Thee Stallionのフリースタイルです。

2019年,メィガン AKA メグは,ジェイZが築き上げたレーベル=Roc Nationに引き抜かれました。しかし,彼女がRoc Nationに入隊したのは,結果論。メィガンの魅力は彼女がRoc Nationに入ったことではなく,Roc Nationに入る前に,すでに魅力であふれておりました。Roc Nationに入ったのはオマケ。Roc Nationに入る事実を知る前から,Megan Thee Stallionは今年ナンバー1の女子ラッパー,いや,女子も男子もひっくりめての,「まるごと第1位」のヒップホップアーティストとして,ここに記載いたします。

2020年は明けました。2019年(平成31年/令和元年)もありがとうございました。今年も,当サイトに来ていただいて,ありがとうございます。これまでベスト50として,毎日アップをし続けましたが,あさってからは通常どおりのパターンに戻り,ほぼ毎週水曜日と土曜日の朝のアップいたします。2019年は皆さんにとってヒップホップに溢れた一年だったことと願っております。新年2020年はさらに素敵なヒップホップと出会えますように。どうもありがとうございました。

(文責:Jun Nishihara)

第4位:大ブレイク寸前,漆黒の女子ラッパー=オラニカ又の名をCHIKA「トランプ大統領への手紙」(2019年Hip-Hop名曲名場面ベスト50)

チカ(CHIKA)という凄いラッパーがいます。日本ではまだ知られていないでしょう。アンダーグラウンドで活動し,最近はグツグツと煮え滾っており,間も無く大ブレイク寸前,漆黒の女子ラッパー,それがチカ(CHIKA)又の名をオラニカ(Oranicuhh)と言います。

まずはこちらをご覧下さい。ゲイの代弁として,オンナの代弁として,漆黒の肌を持つ者の代弁として,トランプ大統領へレターを放ちます。

チカ(CHIKA)はアメリカ深南部(deep south)のアラバマ州出身。Alabama-Obama-Mamaという彼女にとって重要な3つの単語が韻(rhyme)を踏んで彼女のライムに共鳴します。

“They want us to wallow.”
(連中は私たちがもがき苦しむのを見たがっている。)

「連中」というのはトランプ大統領を筆頭にした現政府の官僚のことでしょう。
「私たち」というのは深南部,とくにアラバマ州のようにゲイの権利や,女性の権利等が共和党政権(Republicans)によって剥奪された人間のことでしょう。

これほどの苦しみと憤りをここまで冷静に音楽に昇華させるのは,2年前のケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)のMTVステージでのライヴ・パフォーマンスを思い起こさせます。

曲の後半でオバマ前大統領の名前が出ます。10年前,当時12歳だった小学生のチカ(CHIKA)はランドセル(book bag)を背負って,そこに自分で描いたオバマ大統領の肖像画の画用紙を入れて,家に帰ってママに見せようと胸を張って歩いた,という文が出てきます。この部分です。

I think it’s crazy when I look back
I remember being 12 and in my book bag I tucked away the drawing of Obama
I was so proud I couldn’t wait to show my Mama
He was larger than life
Bigger than black
Made me rethink what’s holding me back and kill these excuses I ever had to be anything less successful.

唖然とするよ,あの頃を思い出すと
12歳の頃,私はオバマの肖像画を描いてランドセルに入れた
それを提げて誇らしげに,ママに見せるのが待ちきれなかった
オバマは英雄だった
「ブラック」以上の存在だった
それを見て私は自分の人生を考え直した,「ブラック」であることを言い訳に,黒人だから成功できないなどと,私は何を馬鹿なことを考えていたのかと。
(歌詞起こし及び対訳:Jun Nishihara)

チカ(CHIKA)のその他のフリースタイルを以下のとおり3件,掲載しておきます。

ローリン・ヒル(Lauryn Hill)をフリップしたフリースタイルは美しい。
カニエ・ウェストに対する反骨フリースタイルはハングリーで醜い。
美しきは醜く,醜さは美しい。

P.S.ローリン・ヒル(Lauryn Hill)の名盤『The Miseducation of Lauryn Hill』がリリースされた1998年,チカ(CHIKA)は1歳。

(文責及び対訳:Jun Nishihara)

第11位:イマドキラッパー最前線!若者黒人の間で今年超ハヤったDaBaby,おまけに今覚えておくべき4人のラッパー!(2019年Hip-Hop名曲名場面ベスト50)

ヒップホップ業界は,移り変わりがきわめて激しい業界だといえます。それぞれの年ごとに,キーとなる最重要人物がいて,他方で,それぞれの年ごとに大ブレイクした新人若手アーティストというのもいます。

たとえば2016年。キーとなる最重要人物は名盤『Awaken, My Love!』をリリースしたチャイルディッシュ・ガンビーノ(Childish Gambino)であり,歴史に残るアルバム『blond』をリリースしたフランク・オーシャン(Frank Ocean)でした。大ブレイクした新人若手アーティストはチャンス・ザ・ラッパー(Chance The Rapper)であったり,ミーゴス(Migos)であったり,カーディB(Cardi B)であったり,21サベージ(21 Savage)でした。

その翌年は2017年。キーとなる最重要人物は名作『DAMN.』をリリースしたケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)であり,そのケンドリック自身が絶賛していたアルバム『4:44』をリリースしたジェイZ(JAY-Z)でした。大ブレイクした新人若手アーティストはXXXテンタシオン(XXXTentacion)であったり,アンダーソン・パーク(Anderson .Paak)であったり,レイ・シュレマー(Rae Sremmurd)であったり,テカシ69(6ix9ine)でした。

昨年は2018年。キーとなる最重要人物は『More Life』や『Scorpion』を立て続けにリリースしたドレイク(Drake)であったり,『Astroworld』をリリースしたトラヴィス・スコット(Travis Scott)でした。大ブレイクした新人若手アーティストにはジュース・ワールド(Juice WRLD)やプレイボーイ・カーティ(Playboy Carti)やリル・パンプ(Lil Pump)やシェック・ウェス(Sheck Wes)という名前が並びました。

そして今年!2019年!キーとなる最重要人物はもうヤツ=カニエ・ウェスト(Kanye West)でしょう。2010年に始まったこのデケイド(decade)を代表する最重要人物でもあります。そして今年大ブレイクした新人若手アーティストには・・・(今覚えておくべき4人のラッパーとして)

DaBaby(ダ・ベイビー),YBN Cordae(YBNコーデー(テニス選手大坂なおみの恋人として報道)),J.I.D.,そしてYoung M.A(ヤングM.A)の4名です。

中でも,勢いが止まらないのが,ダ・ベイビー(DaBaby)!!!!!

ダ・ベイビーの勢いは電光石火のごとく,閃光が放つ稲妻のごとく,物凄い勢いで2019年を圧巻させました。まぁ,ここまで威勢のいいヤツがあらわれるのは久しぶりです。どれくらい威勢のいい野郎かっていうのは,次の動画を見てみるとその感じが掴めると思います。

ライトブルーの服着たヤツがダ・ベイビー(DaBaby)で,赤いのがミーゴス(Migos)のメンバーでカーディB(Cardi B)の旦那さんであるオフセット(Offset)です。

早速,ダ・ベイビーが人気を博すキッカケとなったフリースタイルがこちら。当サイトでも常連のHOT97: Funk Flex Freestyle番組でフリースタイルをカマすDaBabyです。

それにしてもこの1年で,ダ・ベイビーの盛り上がりは,急上昇。これは物凄いですね。

続いて2人目!テニス選手の大坂なおみの恋人として報じられているラッパー=YBNコーデー(YBN Cordae)も今年2019年,大人気,絶好調です。同じフリースタイル番組で,お届けします。ビートはJAY-Z & Kanye Westの名曲「Otis」です。2曲目のビートは「Suge」,3曲目のビートはルーペ・フィアスコの「Kick, Push」です。YBNコーデー自身もフリースタイル中に言うように「ビートのヴァラエティ,たまんねえ!」です。7分間みっちりフリースタイルするヤツ(顔はこんなんですけど,ラップはスゲえ!)ですので,最後まで聴いてください。大坂なおみが惚れる理由もわかります。たしかに,すごいです。この7分間のあいだに,ラップの「スタイル」を5,6回,変えてますから。わかります?このすごさ。

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続いて3人目!J.Coleのチーム=Dreamvilleから,超リリカルなヤツが出てきました。その名もJ.I.D.です。彼もすごいですよ。若手なのに。新人なのに。このフリースタイルのことを英語で「bar game」とも呼びます。ファンク・フレックスが言うように,I know your bar game crazy, bruh!(あんたのフリースタイルもたまんねえぜ,ブラザー!)。

続いて4人目!彼女(彼)=Young M.Aのことは,もう新人とは呼べないですが(でもまだ若手!),ブルックリン出身。2014年にリリースしたデビューフリースタイルの「ChiRaq」は傑作。ストリート音楽の傑作です。

その彼女(彼)が同じくFunk Flex Freestyle番組でフリースタイルを今年カマしましたので,ご覧あれ。

本日は,今年2019年に出た物凄い勢いの若手4名を紹介しました。来年2020年,この4人(DaBabay, YBN Cordae, J.I.D., Young M.A)ますます注目!!!!

(文責:Jun Nishihara)

第15位:2019年なのに1996年にこの世をさったヒップホップ史上最高のラッパーとされる2Pacを彷彿とさせるFreddie Gibbsのフリースタイル。(2019年Hip-Hop名曲名場面ベスト50)

タイトルとおりですが,コレ↓です。1996年に銃弾に撃たれこの世を去ったヒップホップ史上最高のラッパーとされる2パックに似た(ラップスタイルが似た)フレディー・ギブス(Freddie Gibbs)のフリースタイルをお聴きください。

これを最初聴いたときはぶっ飛びました。こんなフリースタイルをやるやつが今の時代(もう2019年も終わりですよ),まだいたのかと。最近は,エモラップ(emo rap)とか,はたまたマンブルラップ(mumble rap)とかが流行っている時代に,こんなソリッド(確固とした)ラップをするMCがいたのかと。ヒップホップもまだまだ捨てたもんじゃない。

なお,先日,2019年の第17位として,「第17位:新人MCがバトるフリースタイル祭り=2019年のBET Cypher。(2019年Hip-Hop名曲名場面ベスト50)」というのを紹介しました。この新人MCたちがやるフリースタイルのまさにお手本が,本日Freddie Gibbsのこのフリースタイルですね。

フレディー・ギブス(Freddie Gibbs)のラップスタイルをあと2つ(両方とも本年2019年モノ)掲載しておきます。

Freddie Gibbs Freestyles on Bootleg KEV & DJ Hed Radio

Freddie Gibbs And Madlib: NPR Music Tiny Desk Concert

(文責:Jun Nishihara)

第16位:出ました!ファボラスの『Summertime Shootout 3』(2019年Hip-Hop名曲名場面ベスト50)

出ました!ファボラス(Fabolous)のミックステープ『Summertime Shootout 3: Coldest Summer Ever』。

今年の第43位にファボラスのニューシングル「Choosy」を挙げましたが,その際に,こう書きました。

やっと今年,シングル曲ならぬヒット曲を出してくれました。それがFabolous feat. Jeremihの「Choosy」です。なかなかええ曲やないか!ファブ,待ってたで。(ひそかにトップ5くらいに入れたいくらいやけどな,ファブ,あまりにもヒット曲が少ないんで今年は第43位ということで。来年もしアルバムリリース(やっと!!)しれくれたなら,あんたの信頼おける安定したフローがあればベスト10まちがいないわ。)

ついては,ベスト10やないのか!と。ほんとうはベスト10に入れたかった。しかしそもそもファボラスが出したのはミックステープで,僕らはアルバムが欲しかった!おまけに,今年2019年は,ファボラス以上に盛り上がった,大ブレイクした,ベスト10に入れるべきアーティストがいっっっぱいいた!

ということで,ベスト10入りは果たせず,ファブ,あんたは今年の第16位や。それでもええほうやと思うで。

ほやさかい,第16位,この本性を魅せてくれる曲が以下の曲。2019年,なかなかナイスなフローで締め括りができそうな予感。Check it out.

ファボラスは今となっては,大ベテラン。第17位の新人ラッパーがフリースタイルしているのを,以下の映像を観た後に見ると,ヤツらは幼いなぁと思うでよ。さすがはファブ,ベテランぶりをフリースタイルでも魅せてくれます。

ちなみに,ファボラスのストリートシングル曲「B.O.M.B.S.」のライヴセッションがありますので,それもcheck it out.

ファボラスをデビュー当時からずっと聴き続けてきたヤツらの一人=あたしとしては,ファブはジェイZまでの名声は得られていないかもしれませんが,あれからほぼ20年,ずっとここまで(遠くまで)やってきたのは何か感慨深いものがありますねえ。

(文責:Jun Nishihara)

第17位:新人MCがバトるフリースタイル祭り=2019年のBET Cypher。(2019年Hip-Hop名曲名場面ベスト50)

今年の第17位は,全米黒人TVネットワーク=BET=Black Entertainment TV(ブラック・エンターテインメント・テレビ)で放映された2019年のBET Cypherです。Cypherとは,ラッパーが数人,円になってマイク・リレーをしながらフリースタイルをカマす,という遊び。今年の2019年フリースタイルでは,注目すべきは白人の坊ちゃんラッパー=Travis Thompson(トラヴィス・トンプソン)。シアトル出身です。

出演している新人ラッパーは登場の順番に:
・Kash Doll(レペゼンはミシガン州デトロイト市)
・IDK(レペゼンはメリーランド州プリンスジョージズ郡)
・Travis Thompson(レペゼンはワシントン州シアトル市)※※注目!
・Iman(レペゼンはイリノイ州オーク・パーク村)
・King Los(レペゼンはイリノイ州ボルチモア市)

トラヴィス・トンプソンのその他のフリースタイル「Every Friday… Freestyle」も掲載しておきます。

トラヴィスは歌もウマいんですよ。2017年にリリースした歌モノも掲載しておきます。

フリースタイル祭りといえば,毎年恒例のもうひとつの見せ場=XXL Freshman Freestyle(XXL雑誌が開催する新人ラッパーだけを集めたフリースタイル祭り)の2019年版です。

出演している新人ラッパーは登場の順番に:
・Lil Mosey(レペゼンはワシントン州マウントレイクテラス市)
・Megan Thee Stallion(レペゼンはテキサス州ヒューストン市)
・YK Osiris(レペゼンはフロリダ州ジャクソンヴィル市)
・DaBaby(レペゼンはノースカロライナ州シャーロット市)

(文責:Jun Nishihara)

第21位:Big SeanのNYラジオ局,HOT97でのフリースタイル。(2019年Hip-Hop名曲名場面ベスト50)

だんだんとランキングが上がってきました。それにあわせてラッパーのレベルも上がってきます。

と,そう言って今,ハードルを上げましたが,そのハードルを上げても,ちゃんと期待通りカマしてくれるのがビッグ・ショーン(Big Sean)です。まずは今年8月にニューヨークのヒップホップラジオ曲=HOT97で行われたフリースタイルをご覧下さい。
冒頭はフレックスとビッグ・ショーンのトークが3分ほど入りますが,フリースタイルはタイムライン3:07から始まります。

5 P’s = Proper Preparation Prevents Poor Performance
(5つの“P”とは,つまり,事前の準備を怠らなけりゃ,イマイチなパフォーマンスも事前に防げる。)

なお,ビッグ・ショーンは今年のMTV Video Music Awardsでも以下パフォーマンスを披露してくれました。

Big Sean feat. A$AP Ferg – “Bezerk” です。

(文責:Jun Nishihara)

第31位:現代ヒップホップの教科書=Rapsodyアルバム『Eve』リリース (今年出たHip-Hop名曲名場面ベスト50)

このアルバム,ラプソディ(Rapsody)という女子MCのアルバムです。アルバム名は『Eve(イヴ)』。

収録楽曲1「Nina」より,ヴァースの冒頭1行を紹介します。

Emit light, rap, or Emmett Till
(ラップをして光を放つか,それとも,エメット・ティルのように殺されるか)

アルバムの冒頭から,もうこの強烈な1行です。

彼女(ラプソディ)にとって,死ぬことを避けるためには,ラップするしかない,と。生きることの根元にラップを見出すという強烈さに,我々ラップファンは心を奪われます。アルバムの一番始めの歌詞の1行にこの衝撃のヴァースをもってきたということ自体からして,「このアルバムは心して聞かなきゃいけねえな」と思わせてくれます。

ちなみにエメット・ティル(Emmett Till)というのは,黒人の歴史を学んだことがある人なら,もう知らない人はいないでしょう。ヒップホップをよく聴く人であれば,名前だけでも耳にしたことはあるでしょう。黒人歴史にとってとても重要な人物です。黒人がどれほど残虐な時代を経てきたかの象徴となる人物,エメット・ティルの歴史については,検索してみてください。

以下は,収録楽曲2「Cleo」より。

White men run this, they don’t want this kind of passion (Talk)
A black woman story, they don’t want this kind of rapping (Talk)
They love a fantasy, they love the gun bang action (Talk)
What good is a black women to them? (Yeah)
Raped us in slavery, they raping us again (Yes)
Only put us on TV if our titties jiggling (Uh)

この業界を牛耳っているのは白人,私たちのような情熱は,いらないって(で)
黒人女性の物語,そんなラップは聞きたくないって(それで)
ファンタジーが欲しいんだって,拳銃ぶっ放ってアクション満載のが欲しいんだって(で)
連中(経営陣幹部の白人連中)にとっちゃ,黒人女性になんの意味があるだって?(で)
奴隷時代に私たちをレイプして,ほら,今もこうしてレイプされている(そう)
乳を出して揺らしてる女しか,TVに出そうとしないヤツら(Uh)

このアルバム『Eve』は引き続き全曲をとおして聴くべしアルバムです。

ラプソディのフリースタイルも掲載しておきます。

How y’all gon boo Drake?
Knowing y’all wouldn’t have a boo without Drake

ドレイクをそんなにブーイングしなくていいじゃない
そもそもドレイクの曲のお陰で,あんたらにカノジョができたんでしょ
(ラプソディ,Funk Flex Freestyleより)

(文責及び対訳:Jun Nishihara)