アメリカの自由さを想起させる,上半身裸でクルマを乗り回すTrey Songz,勿論MVの中で。

本年8月にリリースされたトレイ・ソングス(Trey Songz)の新曲「Circles」のミュージックビデオを観て,思うわけです。アメリカの夏には良く上半身裸でオープンカーを乗り回していた連中がいたなぁ,と。

これは晴れた真夏の日なんかに,アメリカの郊外ではよく上半身裸でクルマを乗り回しているヤツがいたのを憶えております。そんなことしていいんだ,と,こちらまで自由さが伝わってきて,すがすがしい解放感を感じたことがあったというのを,このミュージックビデオを観て,思い出しました。

それが1点。

しかしながら他方,同ミュージックビデオの後半で,白人警察に黒人が運転している車が停車の指示を受ける,という一瞬恐怖を感じさせる場面もあります。最近はスマホで写真をすぐに撮れるので,それを撮られた警官もいい気はしないでしょう。スマホで写真を撮ることによって,余計に警官の気分を逆撫ですることもあると思います。

当時私がアメリカで感じた解放感とは真逆の生きづらさ。

解放感と生きづらさという正反対の要素が混在しているヴィジュアルであります。

Trey Songz – “Circles”

(文責:Jun Nishihara)

5年の時を経てヴィジュアルをリリースしたBryson Tiller。

2020年9月25日付でYouTube上にて,2015年にリリースされたアルバム『TRAPSOUL』から収録楽曲「Right My Wrongs」のヴィジュアルを,5年の時を経て,リリースしました。

『TRAPSOUL』はリリースされた当時2015年にヘヴィロテで聴いておりましたが,5年経った今聴いても,全く色褪せていない,ということが窺えます。

さらに,あれからもう5年経ったのか,ということ。そして,本曲を聴くと5年前のいろいろなことが思い出されるということ。

当時ヴィジュアルを出さずに,5年後の今,これをリリースするというのは,現代のあらゆるものがインスタントに消費される世の中で,めずらしいことです。

新曲がリリースされては消費され,ヴィジュアルも同時にリリースされ,しばらくの間,YouTube等の動画サイト等で「再生回数」を稼ぎ上げもてはやされて,しばらく経った後,一部を除いて,繰り返し「再生」されることがなくなり,ネットの計り知れないほどのデータの渦の中に消え去っていく。

そういう現代の世の中で,5年の時を経て,あたかも新曲のようにヴィジュアルを発表することにより,ネット上のデータの渦と,人々の記憶の渦の中から,この曲を取り出させ,ブライソン・ティラー(Bryson Tiller)を聴いていた頃を聴覚という五感をとおして懐かしく想起させる,というのは,新しく旧い体験であります。

ブライソン・ティラーの『TRAPSOUL』を当時聴いていた人も,聴いていなかった人も,新しく旧い曲「Right My Wrongs」を聴いてみてください。

Bryson Tiller – “Right My Wrongs”

(文責:Jun Nishihara)

2020年夏の新HIT曲:カーディB feat. メーガン・ジー・スタリオン「WAP」リリース!

出ました。Cardi B feat. Megan Thee Stallion – “WAP”。WAPとは「Wet Ass Pussy(ズブ濡れのアソコ)」の頭文字とされていますが,そんなバカバカしいタイトルとは全く裏腹に,メーガンがトーリー・レインズに足を撃たれた事件からこうして音楽界に元気な姿で戻ってきてくれたことに,我々としては感謝であるとともに,こんなヴィジュアルのミュージックビデオであるにもかかわらず,少し嬉し涙が出るほど感動的な楽曲でございます。ミュージックビデオがYouTubeにリリースされてわずか1日で4,100万回再生回数を記録したこの曲を以下のとおりご堪能下さい。

カニエ・ウェスト feat. トラヴィス・スコットの新曲「Wash Us In The Blood」リリース。

遂にリリースされました。カニエ・ウェストfeat.トラヴィス・スコットの新曲「Wash Us In The Blood」。タイムライン00:40で,お尻をフリフリ振りまくるtwerkerを左の画面に見せながら「これが神の国だ」とモロ真正面に「God’s Country」という文字を提示するというのはカニエ・ウェストらしい映像であります。

もうこれからはクリスチャン・ミュージックしかやらない!と宣言したカニエ・ウェストでしたが,ここまでも非クリスチャンである(クリスチャンを否定している)神をテーマにした楽曲っていうのは,非クリスチャンを真正面から経験してきたカニエであるからこその芸術,クリエイティビティであると言えます。

黒人女子のtwerkerを見せながらこれが神の国だ!っていう矛盾の思想が1つ,そしてもう1つは現政権でも何でもいいですが,あらゆるシステムへの憤りをドライブ(駆り立てる)するかのような激しいビート,この2つは頻繁にカニエの芸術に登場します。

Kanye West feat. Travis Scott – “Wash Us In The Blood”

(文責:Jun Nishihara)

「ガタ・カタ・ラタ・アダ・ヤ・ビッチ・オナ・ガナ・ワナ・・・」と続く最新のラップ曲。

2020年5月22日にリリースされたニューアルバム『Wunna(ワナ)』は米国ジョージア州出身の若手ラッパー=Gunna(ガナ)の仕業によるものです。

リードシングルであるアルバムタイトルと同名の楽曲「Wunna」は,フック(サビ)が「ワナ」に韻を踏む語の羅列を用いてリスナーの耳に心地良い錯覚を与えるデキとなっています。

ビジュアルはこんなヤツです。

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Still a Kid I Love Barney 🥵🧡

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以下のミュージックビデオでも聴けますが,そのサビの部分は英文で表記するとこうなります。

Money puddles (puddles) got a cutter (cutter)
Lotta orders (Orders), dollars, quarters (Ayy)
Wrist water (Ayy), Rich Porter (Ayy)
Your bitch on now (On now), Gunna Wunna (Wunna)
Commas, commas (Racks), hundreds, hey (Hey)
I’m a stunna (sauna) summer (Hey)
Benihana (‘Hana), cook up, hey (Hey)
My crew paid (Paid), surf a wave (Wave)

音声をカタカナで表記するとすれば,こうなります。
「マネー」が「マニ」,「ウォーター」が「ワラ」,「コンマ」が「カマ」になります。

マニ・パド・(パド)・ガタ・カタ・(カタ)
ラタ・アダ・(アダ)・ダラ・クォタ・(エィ )
リス・ワラ・(エィ)・リチ・ポタ・(エィ )
ヤ・ビッチ・オナ・(オナ)・ガナ・ワナ(ワナ)
カマ・カマ・(ラク)・ハニッ・ヘイ(ヘイ)
アイマ・スタナ・(ソナ)・サマ(ヘイ)
ベニ・ハナ・(ハナ)・クカッ・ヘイ(ヘイ)
マクル・ペイ・(ペイ)・サファ・ウェィ(ウェィ)

さて,日本語意味に対訳するとなると,こうなります。

カネ・たんまり・(たんまり)・忍ばす・銃・(銃)
どっさり・注文・現ナマ・硬貨(エィ )
手首・ギラギラ・(エィ )・リッチ・野郎(エィ )
おまえの・女・抱く・俺が・ヤる(ヤる)
1万・10万・(札束)・100万・ヘイ(ヘイ)
俺は・スタナ・(サウナ)の如く・夏のよに・アツい・野郎
高級・レストラン・コックの・料理・ヘイ(ヘイ)
仲間も・カネも・(儲け)・波に・ノッてる(ノッてる)

真夏の・夜の・眠れなき・暑さの・中で・こんな・曲は・どで・っか?

1993年生まれのラッパー=ガナ(Gunna)は,同郷であるアトランタ出身の大人気ラッパー野郎ヤング・サグ(Young Thug)に見出されて,ヤング・サグ自身が創設したレコード・レーベル=YSN Recordsに迎えられた。まさに現代の若者ラップをリードするヤング・サグ(Young Thug)に認められたラッパーであり,昨年2019年にはデビューアルバム『Drip Or Drown 2』を発売し,米ビルボードチャート第2位を獲得した。そして先日リリースされた本アルバム『Wunna』では,現在最も勢いあるウェッサイはコンプトン出身のラッパー=ロディ・リッチ(Roddy Ricch)をフィーチャリングした楽曲「Cooler Than A Bitch」も収録。ガナ自身はサウス・ラップのど真ん中であるATL(アトランタ)はカレッジ・パーク出身。カレッジ・パーク出身のラッパーには,2チェインズ(2 Chainz)やリュダクリス(Ludacris),ヤング・ジョック(Yung Joc)等,大物ラッパーが並ぶ,と書くと,ガナにプレッシャーを与えるかな,カナ?

これまで出てきたサウスのラップ調子をさらに鋭敏化させたこの「ガナ・ワナ調」ラップを以下ミュージック・ビデオでお聴き下さい。

Gunna – “Wunna”

(文責&キュレーティング:Jun Nishihara)

第27位:Chris Brown x Drakeの大ヒット曲「No Guidance」(今年出たHip-Hop名曲名場面ベスト50)

R&B界の王子=クリス・ブラウンと,ヒップホップ界の6God=ドレイク,この二人がゼータクなタッグを組んでリリースした曲。それが今年イチのヒップホップダンス曲「No Guidance」でした。これはもう説明不要。これを今年のヒット曲と呼ばず何をヒット曲を呼ぶというのか,と。これをメインストリームと呼ばず,何をメインストリームと呼ぶのか,と。これを王道と呼ばず何を王道と呼ぶのか,と。以下にMVを掲載しておきます。

Chris Brown & Drake – “No Guidance”

(文責:Jun Nishihara)

第32位:今年最高の盛り上がりを見せたリル・ナズ・Xの曲「Old Town Road」(今年出たHip-Hop名曲名場面ベスト50)

テイラー・スウィフト(Taylor Swift)は,さかのぼれば,大元はカントリーシンガー(カントリー音楽を歌う歌手)でした。カントリー出身の彼女は,次第にアメリカン・ポップを歌うようになり,今ではアメリカ,いや,全米のみならず,全世界を代表するポップ・シンガーとなりました。つまり彼女は,カントリーを出て国際的世界ナンバーワンとなったアーティストでした。

しかし今年出たこのリル・ナズ・X(Lil Nas X)の全世界ヒット曲「Old Town Road」では,今まで成し遂げられなかったことが成功しました。それは何かといえば,まさにテイラー・スウィフトとは逆,「ヒップホップをカントリーに入れ込んだ」ということです。今まで,「カントリーを出て,ヒップホップに行った」人(たとえばKid Rock(キッド・ロック))はいました。そしてテイラー・スウィフトのように「カントリーを出て,ポップに行った」人もいました。つまり「カントリー出て,他へ行った」人はいたのでしたが,リル・ナズ・Xはそれらとは逆に「ヒップホップをカントリーの世界にもってった」,言わば「ヒップホップをカントリーの世界に逆流させた」ことに成功した,きわめてめずらしいアーティストになりました。

ヒップホップはここ数年,アメリカの「ポップ」として認知されるようになってきました。ロックやジャズと比べると歴史は相当浅いですが,ここへ来て,もうアメリカ中の誰もがヒップホップを無視することはできなくなってきました。ニッキー・ミナージュが世に出てきた頃から徐々に,ヒップホップは一部「ポップ」として認知されるようになってきました。

この曲の偉大さについてはさて置き,今年出たヒップホップ曲第32位として,以下リル・ナズ・Xの「Old Town Road」の2ヴァージョンを掲載しておきます。

Lil Nas X feat. Billy Ray Cyrus – “Old Town Road”

※スキット無し

※スキットあり

(文責:Jun Nishihara)

第41位:Snoop Doggのウェッサイ・ノリが効いたシングル曲「Countdown」(今年出たHip-Hop名曲名場面ベスト50)

ヒップホップの重鎮=スヌープ・ドッグ(Snoop Dogg)が今年17枚目のアルバム『I Wanna Thank Me』を発表しました。西海岸をレペゼンするスヌープが,東海岸きってのプロデューサーでビッグ4と称される人物=スウィズ・ビーツ(Swizz Beatz)とタッグを組んで,以下のシングル曲を発表しました。

Snoop Dogg feat. Swizz Beats “Countdown”

クリップス色モロのブルーチャックスで登場するスヌープとスウィズ。こんな豪華な組み合わせ,ありまっか。スヌープの冒頭の一言,「Nigga… Understand」の一言ならぬ二言で,こちらは千くらいを理解することを強いられる厳しい曲です。

同アルバムからもう1曲。スヌープ・ドッグの永遠の仲間=故ネイト・ドッグ(Nate Dogg)をフィーチャリングしたこの曲「Wintertime In June(冬の6月)」を掲載しておきます。

(文責:Jun Nishihara)

第45位:21 Savage feat. J. Coleの“a lot” (今年出たHip-Hop名曲名場面ベスト50)

ミュージックビデオはこちらです。

冒頭の立派な豪邸は,アメリカの中産階級(あるいは中間階級)の家庭でよく見る家の形をしています。わたしもアメリカの高校に通っていた際,卒業生プロムパーティーの準備で,お相手の友達の家に集合して,男子はレンタルしてきたタキシードを着て,女子は綺麗なプロムドレスに身を纏って写真を撮ってから会場に行ったのですが,その人の家は映像の家の造りに似ており,裏庭(backyard)は芝生で広く,そこでグループフォトを取るスペースがある。そういうことを思い出して感慨に耽っている場合ではないのですが,とても懐かしい感じがするとともに,アメリカの中間階級の家庭では一般的な家であり,大富豪にならずともアメリカの中西部ではこのくらいの家は持てる人が多いようです。

このソウルフルなビートは,1960年代の名曲East of Undergroundの「I Love You」をベースにサンプリングしております。

Verse by 21 Savage:

Penitentiary chances just to make a couple bucks
My heart so cold I could put it in my cup
Gang vs. the world, me and my dawg, it was us
Then you went and wrote a statement, and that really fucked me up
My brother lost his life and it turned me to a beast
My brother got life and it turned me to the streets
I been through the storm and it turned me to a G
But the other side was sunny, I get paid to rap on beats

2, 3ドルの儲けのために,あやうくムショにぶち込まれ
ギンギンに冷えたハート,グラスにカランカラン
世間vs.俺と仲間たち,いつも共にいた
それがいきなり俺の元を去り,チクリやがって,途方に暮れた
弟が命を犠牲にしてから,俺は野獣のように戦った
兄貴が終身刑を宣告され,俺はストリートをさまよった
嵐のなかを進んできた俺は,立派なギャングスタとなった
しかしそういった生き様の真逆にあったのは,華やかで,ラップをビートに乗っけて稼ぎ始める人生だった

(文責及び対訳:Jun Nishihara)

第48位:Bluefaceの“Thotiana”そしてRemixにはカーディB登場 (今年出たHip-Hop名曲名場面ベスト50)

今年,流行りましたねえ。Bluefaceの“Thotiana(邦題:タティアナ)”」という迷曲。ラップのヒドさはさて置いて,ラップやフローやビートやそんなものよりも,ラジオでこの曲がかかれば,誰もがサビを歌える,そしてお尻を突き上げてダンスすることができる,というまさにハヤり(だけ?)の曲でした。

そしてカーディB(Cardi B)をフィーチャリングしたRemixはこちらです。カーディBがこの曲に乗っかることで,ブルーフェイスの認知度も一気に上昇しました。

(文責:Jun Nishihara)