第10位「10分間ぶっ続けのフリースタイル・ラップ」(今年2018年に出た最も偉大なるヒップホップ曲ランキング)

2018年総まとめヒップホップ曲ランキング《トップ30》です。
本日は第10位の発表です。

第10位:NYラジオ「HOT97局のFREESTYLES ON FLEX番組」で放送された,ブラック・ソートの10分間ぶっ続けのフリースタイル・ラップ。

10分間フリースタイルをマジでやり遂げた,ザ・ルーツのベテラン・ラッパー=Black Thoughtに拍手です。ラップやってるほうも汗だく。聴いてるほうも汗だく。最近のどんな若者ラッパーよりもタフなラッパーです。

このフリースタイルのハイライトを3つ。

1.映像2:11部分の”Pre-Kardashian Kanye!”(カーダシアンに会う前のカニエ!)つまり,恋愛にメロメロしていなかった頃のカニエのごとく!

2.映像3:48部分の”No doubt / Yo, the game went their own route / I can’t explain what these lame kids is talkin’ bout!”(マジで,ヒップホップが一人歩きし過ぎちまってる。最近のイカレたキッズ・ラッパーどもの言ってることは,わけわかんねえ!)つまり,口をもごもごするだけの最近ハヤリのラップ(=ちまたで噂のmumble rapというやつ)へのアンチテーゼ!

3.映像6:49部分の”My mother was a working-class very loving woman who struggled / Every dinner could’ve been the last supper.”(俺のおふくろは肉体労働者だったが,とても素敵な女性だった。常に俺たちを食わせるために苦闘してた。いつ晩飯が食えなくなってもおかしくなかった。)

おまけ:コメント欄より(「Chris Melendez」のコメント)
“Flex needs to bronze that mic and donate it to the Smithsonian.”
(フレックスは,このマイクをメッキ製にして,スミソニアン博物館に寄贈すべき!)

ブラック・ソート(Black Thought)のこの10分間ぶっ続けフリースタイルを聴いて,思いました。ベテラン・ラッパーもまだまだ捨てたもんじゃねえな,と。むしろ,最近の若者ラッパーどもは,こんなことできねえな,と。できるのは,ケンドリックくらいじゃないか,と。最近の若者ラッパーでこんなことできるのは,他にいねえよ,と。

(文責:Jun Nishihara)

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第14位「シアラの”Level Up”で次世代のヒップホップダンスを踊れ」。(今年2018年に出た最も偉大なるヒップホップ曲ランキング)

さて,前回の第15位に続いて,第14位は,ミッシー・エリオットの女弟子であるシアラ(Ciara)の曲「Level Up」です。

日本でもヒップホップダンスをされる方は,知らない人はいないと言われるシアラの存在ですが,彼女は2002年にリリーされた巨大ヒットシングル曲「1, 2 Step」で全世界にヒップホップダンスの嵐を巻き起こしました。彼女を取り巻くアーティストは,全米ネットで放映されたアメリカン・アイドル(American Idol)でおなじみのファンテイジア(Fantasia)や,ヒップホップ・プロデューサーのジャジー・フェイ(Jazze Pha),そしてシアラの師匠であるミッシー・エリオットです。

シアラのキャリアの一番最初にヒットしたシングル曲としての「1, 2 Step」ではミッシー・エリオットをフィーチャリングしており,実際にミッシーも作曲に加わっています。この曲は当時,ヒップホップダンスの未来と呼ばれた程,ミュージックビデオもダンスの振り付けも,全米で大人気を博しました。

その彼女が,今年リリースした最大のヒップホップダンス曲が本日ランクインした「Level Up」です。2002年にリリースされた「1, 2 Step」がそうであったように,2018年リリースされた「Level Up」も未来のヒップホップダンスと呼んでいい程,今年は誰もこんな素早いヒップホップダンスはやらなかったですね,シアラ以外は。

実際に「Level Up」のミュージックビデオで観られるダンスをご自身でもやってみると分かると思いますが,息が切れます。心拍数が上がり,最強の有酸素運動となるでしょう。今までのヒップホップダンスは,ゆっくりめで態度をデカく見せつけビートに乗ってダンスする,というのが一般的でしたが,今年シアラが全米に流行らせたダンスは,スピード感に溢れ,こまやかなキレで,腰を微妙に使い,早いテンポでバウンスする,というまさに今まで見たことないヒップホップダンスでした。

今まで見たことないヒップホップダンスですが,全米のヒップホッパー女子がこれを真似して,SNS上に自分が踊る「Level Up」のダンスをアップして,話題になりました。一部では男子も真似して踊り,笑いをもたらせてくれました。今年全米に広がったその現象は「レベルアップ・チャレンジ(Level Up Challenge)」と呼ばれました。

以下のビデオは素人コメディアンのクウェイ(Kway)がインスタ上にアップした「Level Up」のダンスビデオのスクリーンショットですが,再生回数はまだシロウトのコメディアンにもかかわらず,すでに500万回を超えています。(@blameitonkway on Instagramより)

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さて,今年全米に「Level Up Challenge」現象を巻き起こした本物のビデオが以下のとおりです。

そして全米・・・いや,以下のビデオを見ると全世界ですね,シアラの公式YouTubeアカウントで発表された素人が踊る「レベルアップ・チャレンジ」のビデオを集めたコンピレーションです。

続いて,Aliya Janellによる別バージョンの振り付け(Choreography)も載せておきます。

ミッシー・エリオットが2002年にシアラという前途多望なアーティストをジョージア州アトランタで発掘していなければ,16年後の現在こういった現象も起きていなかったということです。まさに昨日の話じゃないですけれど,ミッシーがヒップホップ史に与えた功績は計り知れないものですが,いくらミッシーが偉人であったとしても,シアラもシアラで,それを受け容れる器がなければ,ここまで大きなアーティストにはなり得ていなかったでしょう。ヒップホップダンスという「新しいジャンル」を生み出したミッシー,そしてそれを師匠から受け継いでまさに現役で全世界にダンスと振り付けを広めているシアラは,ヒップホップ界にとって現代欠かせない大切なアーティストです。

(文責:Jun Nishihara)

第20位「シェック・ウェスのMo Bambaという猿暴れできる曲」。(今年2018年に出た最も偉大なるヒップホップ曲ランキング)

メロディはカワイイのに,言ってることと,ラップしてることと,叫んでることはイカレてるという組み合わせの曲です。

2018年突如,NYCのヒップホップシーンに現れた新星!

シェック・ウェス(Sheck Wes)です。

NYCはハーレム出身のシェック・ウェスですが,音もラップもサウスっぽい。南部っぽい感じがするでしょう。NYC出身でありながら,まったくNYCの匂いがしない。言ってみれば,「土臭い」。この土臭さというのは日本人もアメリカ人も感じるところは万国共通なのか,彼のアルバム・タイトルも『MUDBOY』(訳すなら=“ドロ野郎”)です。

泥をかぶった自身の写真がアルバム・ジャケに起用されています。

2018年のNYCを他とは違った角度から象徴しているアーティストです。
NYのヒップホップシーンも変化を遂げている最中ということが分かります。

ということで,今年第20位はシェック・ウェスです。

第20位:シェック・ウェスの「Mo Bamba」

アイスクリーム・トラックの「カラカラカラカラ」というメロディがループで回っていますが,シェック・ウェスの荒いラップフローと組み合わされて,不気味さが耳に残るおもしろい曲ですね。

2018年のNYCヒップホップシーンを語る上で欠かせないアーティストでしょう。

(文責:Jun Nishihara)

第21位「Cardi Bのシングル曲”I Like It”」。(今年2018年に出た最も偉大なるヒップホップ曲ランキング)

今年2018年はカーディB(Cardi B)にとって素晴らしい1年でした。

デビューアルバムを公式にリリースしましたし,現代ヒップホップに欠かせない存在であるミーゴスのメンバー=オフセットと婚約もしました。(オフセットが彼自身のライヴステージで観客全員が見守る中,カーディBにステージ上告白!)2018年はカーディBにとって良いニュースが続く1年でした。

良いニュースはそれだけではとどまらず,今年4月7日に米NBC局で放映された「サタデー・ナイト・ライヴ」で,カーディBは自身が妊娠していることを発表しました。そして無事,7月10日に,第一子(娘)を産みました。赤ん坊の名前は,Kulture Kiari Cephusです。Kiari Cephusというのは,ラッパーの夫(オフセット)の本名(Kiari Kendrell Cephus)です。

そのカーディBのデビューアルバムからシングル曲となった「I Like It」を第21位に選びました。今年のカーディBはイキイキしたヴァイブス(positive vibes)に満ちた1年でした。

第21位:カーディB feat. バッド・バニー&J.バルヴィン「I Like It」

上記ミュージックビデオは現時点ですでに再生回数7億回を超えるという,脅威の記録を打ち出しています。この「ソーシャルメディア世代」にとって,カーディBの存在は,欠かせないものでしょう。インスタグラム(Instagram)やヴァイン(Vine)で初期の頃(まだラッパーとして活躍する前に)人気を博したカーディBは,現代のヒップホップを象徴する女性アーティストと呼ぶことができるでしょう。

オフセットとカーディB。
この夫婦は,現代ヒップホップ(10代,20代の現在米ヒップホップ)を象徴するカップルと言えるでしょう。

(文責:Jun Nishihara)

第22位「ニッキー・ミナージュのバービー・ドリームスという曲」。(今年2018年に出た最も偉大なるヒップホップ曲ランキング)

2018年総まとめヒップホップ曲ランキング《トップ30》です。

本日は第22位です。

第22位:ニッキー・ミナージュのシングル曲「Barbie Dreams」。

ほぼポルノのような映像ですが,ニッキーのライムスキルは全くスタれていません。それどころか,上達しております。あらゆる男性ラッパーとセックスしたらどういう感じになるかを歌詞(リリック)にしています。

この曲で的となっているのは以下のラッパー達です。

リル・ウェイン
デイヴ・イースト
レイ・シュレマー
50セント
クエヴォ
バウ・ワウ
フェティ・ワップ
ヤング・サグ
スペシャル・エド
デザイナー(ラッパー)
マイク・タイソン
ヤングM.A
ドレイク
ゴッティ
DJキャレド
YG
ザ・ゲーム
テカシ69
キム・カーダシアン
カニエ・ウェスト
エミネム
ルーベン・スタダード
リック・ルービン

ちなみにこの曲の元ネタとなっているのは,以下のノトーリアスBIGの楽曲「Just Playing」です。

おまけ:シックス・ナイン(6ix9ine)feat.ニッキー・ミナージュ&マーダ・ビーツ

(文責:Jun Nishihara)

第23位「Jay Rockの”Wow (Freestyle)”というフリースタイル・ラップ曲。フィーチャリングはケンドリック」。(今年2018年に出た最も偉大なるヒップホップ曲ランキング)

2018年総まとめヒップホップ曲ランキング《トップ30》です。

本日は第23位の発表です。

第23位:ケンドリック・ラマーをfeat.したジェイ・ロックのシングル曲「Wow (Freestyle)」です。

このジェイ・ロック(Jay Rock)というアーティストは新人のように思えますが,実は,キャリアはケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)よりもだいぶ長いのです。

今年イチの話題を博し,今年最も売れた映画『ブラック・パンサー』のサントラ曲として有名になった,ケンドリック・ラマーfeat.ジェイ・ロックの「King’s Dead」(ミュージックビデオは以下のとおり)でも分かるように,ジェイ・ロックというラッパーは「まさにケンドリック・ラマー軍団のメンバーとしてキャリアを始めた」という風に“あたかも”勘違いしてしまいそうですが,ジェイ・ロックのほうが昔からラッパーとして別の場所で活躍してきているのです。

横道にすこし逸れますが,今年封切りされた映画『ブラック・パンサー』は世界歴代興行収入で第9位を記録した映画です。ちなみに第1位は『アバター』,第2位は『タイタニック』です。それに並んで第9位を記録した映画のサントラとして使われた曲ですから,けっこう今年,ジェイ・ロックの名前は売れました。

ということで,今年の映画界にも関係してくる話ですが,第23位として,ジェイ・ロックの曲を選びました。

おまけ:ケンドリック・ラマーfeat.ジェイ・ロック&フューチャーのシングル曲「King’s Dead」(映画『ブラック・パンサー』のサウンドトラックより。)

(文責:Jun Nishihara)

第24位「J. Coleの”Album of the Year”という曲名のフリースタイル」。(今年2018年に出た最も偉大なるヒップホップ曲ランキング)

昨日,第25位として挙げたMigosの曲を聴いて耳が腐りそうになったというヒップホップ好きの諸君,安心したまえ。

本日は第24位の紹介であるぞ。
ようやく「彼」の番であるぞ。
お待たせしたぞ。
これで君たち,本物のヒップホップ好き諸君たち,腐りかけた耳を掃除したまえ。

第24位:J. Coleの「Album of the Year」という曲名のフリースタイル・ラップ。

ビートは何を隠そう,NASの名曲「Oochie Wally」を下敷きにしている。

元ネタは以下の曲のとおり(※音声注意:職場で聴く場合は適切でない音声が含まれておりますのでご注意を※)。

(文責:Jun Nishihara)

第25位「Migos(ミーゴス)のスター・フライという曲」。(今年2018年に出た最も偉大なるヒップホップ曲ランキング)

2018年の総まとめヒップホップ曲ランキング《トップ30》です。
本日は第25位の発表です。

第25位:Migos(ミーゴス)のシングル曲「Stir Fry」。

上記ミュージックビデオには,ファレル・ウィリアムスや日本人のNIGO(ニーゴ:BAPE創設者)もカメオ出演しています。

さて,これがなぜに2018年を代表する曲で第25位に選ばれたのか?

それはまさに,現代ヒップホップを象徴するmumble rapスタイルのド真ん中を行く曲だからです。mumble rapとは,現代ヒップホップ界に蔓延る「もごもご口ずさむ様に歌うラップの仕方」です。このスタイルはまさに現代流行っているテクニックですが,流行っているものは,スタレるのも早いものです。この流行りがいつまで続くかは分かりませんが,しかしながら,現代を象徴しているラップ方法であることには,違いありません。

ということで,mumble rap(もごもごラップ)の代表としてMigos(ミーゴス)を第25位に選びました。アメリカ中の10代,20代のワカモノ達は「東,ウェッサイ,南部」を問わず,この「もごもごラップ」をなぜか好いているようです。

(文責:Jun Nishihara)

第26位「XXXTentacionのSAD!」。(今年2018年に出た最も偉大なるヒップホップ曲ランキング)

2018年総まとめヒップホップ曲ランキング《トップ30》です。
本日は第26位の発表です。

第26位:エックスエックスエックステンタシオン(XXXTentacion)の「SAD!」です。

何度も警察沙汰になり,自殺願望があり,頻繁にうつ病の症状を訴えていた彼でしたが,こういった名曲をいくつも発表していました。まさに現代のワカモノを代表してくれていた素晴らしきアーティストでした。彼に共感していた(自殺願望,警察沙汰の生きザマ,そしてうつ病)ワカモノは現代のアメリカに相当数いたそうです。彼が音楽をとおして伝えていたこと,それは決して命を無駄にするということではなく,まさにその逆でした。実際に彼は最期まで自殺しなかったですし,うつ病が原因で亡くなったわけでもありませんでした。

音楽は彼の「生きる糧」だったというより,彼が生きる場所は音楽でしかあり得なかった。彼の生きザマが良かった,悪かった,ということは別にして,2018年のような「変な現代」を反映したアーティストとして必ず外せない一人であったので,第26位に選びました。

おまけ:「うつ病ラップ」といえば,今年はジュース・ワールドの「Lucid Dreams」も流行りました

(文責:Jun Nishihara)

第27位「エミネムのディスりラップ。」(今年2018年に出た最も偉大なるヒップホップ曲ランキング)

2018年総まとめヒップホップ曲ランキング《トップ30》です。
本日は第27位の発表です。

第27位:エミネムがマシン・ガン・ケリーをディスったラップ曲「KILLSHOT」です。

今年2018年最高のディス・ラップでした。今年の9月3日にマシン・ガン・ケリーという白人ラッパーがエミネムをディスる「Rap Devil」という曲を発表しました。それを聴いたリアーナ(R&Bアーティスト)がエミネムのケータイにメッセージを送って,「ねぇエミネム,誰かがあなたをディスってる曲を発表してるわよ」と。その曲を聴いたエミネムはすぐにそのアンサーソングならぬディス・ラップを発表をしました。それがこの「KILLSHOT」でした。それが9月14日でしたので,ものの11日間でエミネムはディスラップを完成させ,それをレコーディングし,発表する,この一連の作業を11日間で仕上げて,マシン・ガン・ケリーはあの世に葬られたということです。

この曲でエミネムは言っていますが,こういうことです。

“I’d rather be 80-year-old me than 20-year-old you.”
「20歳の若いおまえになるより,80歳の年老いた自分でいるほうがマシだよ」と。

(文責:Jun Nishihara)