第2位:ビヨンセのコーチェラHomecoming映画&ダンス現象を巻き起こした#BeforeILetGo Challenge! (2019年Hip-Hop名曲名場面ベスト50)

2019年4月,ファンを驚かせたのは,2018年の米国最大のミュージックフェスと云われるコーチェラ音楽祭(Coachella Music Festival)で披露されたビヨンセのステージが,Netflix映画でよみがえったことでした。ジェイZとカニエが云うまさに“Black Excellence”を象るかのように,物凄い迫力です。

以下はそのtrailer(予告編)です。

さて,映画と同時にリリースされたのがライヴ・アルバムで,アルバム収録楽曲中に「Before I Let Go」も収録されておりました。この曲のオリジナルはフランキー・ベヴァリー(Frankie Beverly)原曲で,1981年リリース,コーチェラでビヨンセが同曲をカバーしました。

ビヨンセがコーチェラでこの曲をカバーし,2019年Netflix映画で生き返らせたことにより,全米女子及び男子がたちまちSNS等で「#BeforeILetGoChallenge」とハッシュタグし,各人それぞれの媒体(medium)にアップしていくという社会現象が起こりました。

とびきり上手いのを5つ,ピックアップしておきます。2019年春〜夏は,これで盛り上がりました。

大学のキャンパスで,というパターンは多くありました。

タイムズスクエアど真ん中にやらかした連中もいました(↓)。

しかしながら,2019年ビヨンセの活躍はこれだけでなく,映画『ライオン・キング』の声優もやり遂げ,同映画のサウンドトラック制作にもたずさわりました。

また,オバマ大統領夫妻のお気に入り曲としても,同サントラから楽曲「MOOD 4 EVA」がリストアップもされました。

今日も,当サイトに来てくれてありがとうございます。
2020年も初旬からビヨンセで縁起良きでございます。

(文責:Jun Nishihara)

カニエ・ウェストのニューアルバム『Jesus Is King』より,楽曲⑨対訳「Hands On」。

楽曲⑨「Hands On」feat. フレッド・ハモンド 対訳

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[Refrain: Fred Hammond]
Hand ’em
Hands up high, hands on, hands on
Hands on, hands up
In your face, the reason
Hands on, yeah, hands on

(リフレイン:フレッド・ハモンド)
手を合わせて
両手を高く,挙げて,合わせて
手を合わせて,両手を挙げて
あなたの顔に,目的は
手を合わせること,そう,手を合わせて

[Verse 1: Kanye West]
Cut out all the lights, He the light
Got pulled over, see the brights
What you doin’ on the street at night?
Wonder if they’re gonna read your rights
Thirteenth Amendment, three strikes
Made a left when I should’ve made a right
Told God last time on life
Told the devil that I’m going on a strike
Told the devil when I see him, on sight
I’ve been working for you my whole life
Told the devil that I’m going on a strike
I’ve been working for you my whole life
Nothing worse than a hypocrite
Change, he ain’t really different
He ain’t even try to get permission
Ask for advice and they dissed him
Said I’m finna do a gospel album
What have you been hearin’ from the Christians?
They’ll be the first one to judge me
Make it feel like nobody love me
They’ll be the first one to judge me
Feelin’ like nobody love me
Told people God was my mission
What have you been hearin’ from the Christians?
They’ll be the first one to judge me
Make it feel like nobody love me
Make you feel alone in the dark and you’ll never see the light
Man, you’re never seein’ home and you never see the domes
I can feel it when I write, point of livin’ in the right
If they only see the wrongs, never listen to the songs
Just to listen is a fight, but you booked me for the fight
It’s so hard to get along if they only see the slight
From the love of religion
What have you been hearin’ from the Christians?
They’ll be the first one to judge me
Make it seem like nobody love me
I’m not tryna lead you to Visas
But if I try to lead you to Jesus
We get called halfway believers
Only halfway read Ephesians
Only if they knew what I knew, uh
I was never new ’til I knew of
True and living God, Yeshua
The true and living God
(Somebody pray for me)

(ヴァース1:カニエ・ウェスト)
ライトは全部消して,神の光のみにして
警官に車を止めさせられた,信号見えてなかったかと
夜中にストリートで何をしてるんだ
俺のようなヤツに人権を許されているか
憲法第13条,三振即アウト法
右に曲がるべきところを左に曲がっただけなのに
命がけで神に祈った
悪魔の声はもう聞かないと無視してやった
いままでの人生,あんたの声を聞きすぎていた
悪魔の声はもう聞かないと無視してやった
いままでの人生,あんたの声を聞きすぎていた
偽善者よりヤなヤツはいない
前とは違う,いや,そんなに変わっていやしない
許しを得ようとしたこともない
アドバイスを求めて,ディスられた
ゴスペル・アルバムを出そうと思うって伝えた
そしたら,キリスト教徒の人たち,どう反応したと思う?
まっさきに俺を軽蔑しようとすんだ
誰にも愛されていないんだなって思ったよ
まっさきに俺を軽蔑しようとすんだ
誰にも愛されていないんだなって思ったよ
次に俺はこう言った,「神こそが,俺の使命のように感じる」って
そしたら,キリスト教徒の人たち,どう反応したと思う?
まっさきに俺を軽蔑しようとすんだ
誰にも愛されていなんだなって思ったよ
暗闇の中で光もなくさまよう,そんな気持ち
メーン,家も見つからず,寝床もない
こう書いてるだけで気持ちがよみがえる,ちゃんと生きるとは
間違いばかりを探そうとするなら,曲を聴かなくてもいい
聴くだけでも戦いのように感じる,リング上での格闘のよう
侮辱的な面ばかり見るのなら,うまくやっていく余裕もない
信仰心を愛するということ
キリスト教徒の人たち,どう反応したと思う?
まっさきに俺を軽蔑しようとすんだ
誰にも愛されていないんだなって思ったよ
カネ儲けはやめにして
イエスを信じようとした途端
「中途半端な信徒」呼ばわりされた
新約聖書も中途半端にしか読んでいない,と
俺が経験してきたことを,ヤツらにわかってたまるもんか
生まれ変わったように感じた
生きる神が真実と知ったときに,イェシュア
生きる神が真実と知ったときに
(誰か,祈りを捧げてくれるか)

[Refrain: Fred Hammond]
Hand ’em
Hands up high, hands on, hands on
Hands on, hands up
In your face, the reason
Hands on, yeah, hands on

(リフレイン:フレッド・ハモンド)
手を合わせて
両手を高く,挙げて,合わせて
手を合わせて,両手を挙げて
あなたの顔に,目的は
手を合わせること,そう,手を合わせて

[Verse 2: Fred Hammond & Kanye West]
I deserve all the criticism you got
If that’s all the love you have, that’s all you got
To sing of change, you think I’m joking
To praise His name, you ask what I’m smoking
Yes, I understand your reluctancy, yeah
But I have a request, you see
Don’t throw me up, lay your hands on me
Please, pray for me
Hold myself on death
Hold it down, all fallen down
Somebody pray for me

(ヴァース2:フレッド・ハモンド&カニエ・ウェスト)
浴びせられる批判,もっともかもしれないな
そうやってしか愛せないなら,それまでなんだろうな
「前とは違う」なんて歌っても,あんたにはジョークにしか聞こえない
「神の名を讃えよ」なんて歌っても,俺がハイになってるとしか思われない
わかってる,どうも納得いかないことは,うん
でもお願いがあるんだ,いいかい
まだ諦めないでくれ,ぼくと手を合わせてくれ
お願いだ,祈りを捧げてくれ
生死にぼくをつつんでくれ
守ってくれ,ぶっ倒れた人たちのことを
誰か,祈りを捧げてくれ

[Refrain: Fred Hammond]
Hand ’em
Hands up high, hands on, hands on
Hands on, hands up
In your face, the reason
Hands on, yeah, hands on

(リフレイン:フレッド・ハモンド)
手を合わせて
両手を高く,挙げて,合わせて
手を合わせて,両手を挙げて
あなたの顔に,目的は
手を合わせること,そう,手を合わせて

(対訳:Jun Nishihara)

元ネタの曲を知る⑩:クリス・ブラウン⇆Q-Tip&カニエ・ウェスト⇆アリシア・マイヤーズ

元ネタの曲が二重にさかのぼって発見できる場合があります。

今回もそのケース第2弾です。

先般リリースされたクリス・ブラウン(Chris Brown)のニューアルバム『Indigo』より,楽曲「Temporary Lover」の紹介です。これは,サウスイチのパーティー野郎=リル・ジョンをfeat.しており,以下のネタを回しています。

まずは,新曲のChris Brown feat. Lil Jon – “Temporary Lover”を聴いてみて下さい。

さて,上記楽曲を聴いた人はリアクションが二手に分かれると思います。ひとつはカニエ・ウェストがサンプリングした「Thank You」という曲をまっさきに思い出すという人。そんな方は,この曲を想起されたことでしょう。

Busta Rhymes feat. Q-Tip, Lil Wayne & Kanye West (2013)

上記楽曲のQ-ティップのフローは別格です。この曲に彼をもってきたカニエも素晴らしいセンスの持ち主です。

さて,上記2曲には,おおもとのネタがあります。以下のおおもとの曲をまっさきに思い出されたという方もいらっしゃいますでしょう。そんな方々,さすがでございます。

Alicia Myers – “I Want To Thank You”です。

1981年には既にヒップホップ界ではカーティス・ブローやシュガーヒル・ギャングが活躍しておりましたが,「ネタ回し」というテクニックはまだ生まれておりませんでした。その年に誕生したこの「I Want To Thank You」という名曲は,30年以上の時を経て,ヒップホップ界の大御所とR&B界の王子にサンプリングされることになりました。サンプリングされるということは,第一にリスペクトがなければ出来ないことでもあります。1981年当初の楽曲を最大の敬意をもって,2019年,このように再び蘇らせられたというのはまことにあっぱれなことでございます。

(文責:Jun Nishihara)

現代の若者黒人文化をリードする人物(その①:レイアナ・ジェイ)

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(上記写真は,2019年4月4日にYouTubeにて生ストリーミングされた番組より。右から2人目がレイアナ・ジェイ。)

新人の女性若手アーティスト=レイアナ・ジェイは,今年でまだ25歳。昨年11月に当サイトでも取り上げました(→こちらです)

これまで3枚のEPを発表し,ついに今年3月22日に初の公式アルバム『Love Me Like』をリリースしました。

いまだにウィキペディアでは取り上げられておりませんが,上記アルバム『Love Me Like』はレイアナにとって人生初の全米ビルボードでチャートインし,冒頭の生ストリーミングでは女友達から「charting queen(チャートの女王)」と呼ばれるようにまでなりました(もちろん誇張していますし,大げさですけれど)。人生初にリリースしたアルバムが,全米ビルボードチャートのR&B部門第25位を達成。メジャーデビューは果たしていないどころか,インディーズのレーベル=EMPIRE RECORDSとの契約であるにもかかわらず,25位というのはアングラでのデビュー作にしてはなかなか良いポジションでしょう。

昨年レイアナ・ジェイについて書いた際に言及いたしましたが,レイアナは,つい最近まで,音楽だけでは食べていけず,アルバイトと兼業をしておりました。それがいつしか,やがて,アルバイトを辞めてもなんとか食べていけるようになり,音楽に専念するためニューヨークへも引っ越しをするようになり,EMPIREレーベルと契約を交わし,ニューヨークのスタジオでレコーディングをし,公式アルバムをリリースして,ついに全米ビルボードにチャートインする,というのをここ3,4年で果たしております。なかなか素敵な声の持ち主である彼女は,(ジャジーなのにジャジーすぎない)現在ヒップホップ界に蔓延る「ウケ」狙いのアーティストが多い中,そんなものたちとは全くかけ離れた,真の音楽的才能(歌手としての堅実な才能)の持ち主であるといえるでしょう。

本年3月にリリースされた『Love Me Like』より,以下の楽曲「Know Names」をご紹介いたします。

「現代の若者黒人文化(young black culture)をリードする人物」にレイアナ・ジェイを選んだ理由は,彼女はカーディBやニッキー・ミナージュのような派手さはまったくないですが,堅実な音楽性という意味では,最近ヒップホップ界に蔓延る「単なるハヤり」や「ウケ」を遥かに凌駕するものを彼女に感じたからです。冒頭の生ライヴストリームでは,レイアナは,1970年代に活躍したテディ・ペンダーグラス(Teddy Pendergrass)という黒人男性歌手についても言及しています。現代の新しいものばかりで固めるのではなく,「古きをたずねる」ということをちゃんとしています。そういった面を持ち合わせている若手アーティストはこれからも必ず伸びていくことでしょう。

昨年も書きましたが,彼女の名前=Rayana Jayの読み方は「レイアナ・ジェイ」です。英語でこれを発音すると,「レイナ」のように「ア」にアクセントを置きます。つまり「ア」を強く発音するのですが,レイアナ自身が経験した,以下のエピソードを紹介いたします。

あなたはスタバ(正式名:Starbucks)で働いていたとします。そこへ,とある黒人女性のお客さんがやってきて,抹茶ラテのトールを注文しました。スタバでは,カップにお客様の名前を書くことになっていますので,あなたは,その女性に尋ねます。「How may I call you?(あなたのお名前は?)」,すると女性はこう答えました「You can call me ‘Rayana(レイナ)’.」と。

さて,それを聞いたあなたは,彼女の名前を英語で,カップにどう書きますか?忘れてはいけないのは,ここはスタバです。まわりはお客様でにぎわっておりますので,けっして静かな場所とは言えません。静かなところで,耳をすまして,「レイアナ」と聞いたわけではなく,まわりで抹茶ラテを作るシェーカーがガガガガガガガーーーー!と鳴って,がちゃがちゃしているところでそのお客さんが「レイアナ」と発音するのを聞いて,あなたはカップにその名前を英語で書かなきゃいけないのです。さて,英語でなんと書きますか?

これは実際に起こったシチュエーションです。レイアナ・ジェイがアトランタ(ジョージア州アトランタ)にあるTrap Museumを観に旅行した際,寄ったスタバで出てきた抹茶ラテのカップにはこう書かれておりました。

「Rihanna(リーナ)」と。

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なお,女性ファッション雑誌(Nylon Mag)で取り上げられた企画「60秒でわかるレイアナ・ジェイ」を掲載しておきます。

最後に,レイアナ・ジェイの最新アルバム『Love Me Like』から楽曲「Know Names」をセッションした映像を掲載しておきます.

(文責:Jun Nishihara)

元ネタの曲を知る⑥:ファット・ジョー⇆ニュー・エディション

ヒップホップの黄金時代を表象している楽曲をもうひとつ紹介して宜しいでしょうか。

これは2002年11月12日に発売された(当時はCDオンリーで!MP3もApple MusicもSpotifyもiTunesも無い時代。ナップスターはあった!)ファット・ジョーのアルバム『Loyalty』へ収録の「All I Need(邦題:俺の全て)」という曲です。

これはファット・ジョーのレーベルであったTerror Squad仲間である,アーマゲドンというラッパーとトニー・サンシャインというR&B歌手をフィーチャリングした楽曲です。

「他に何もいらねえ。君と一緒に過ごせるなら。他の女には目もくれねえ。君が俺の全てだから」という,一言でまとめれば,こういう内容の曲です。

そこにヒップホップ史に残る最も大事なラッパーであるファット・ジョー(Fat Joe)がヴァースをスピットしている,というものです。

To all the ladies out there if you love your man
You need to hold your man embrace your man
And just grab his hand repeat after me
I promise to stay true and give you all of me
Whether he’s locked down or on the grind
Or whether is out of work or at work on time
You need to trust that man and respect that man
And you get what you feel you deserve from that man, and

世界中の女たちへ捧げるこの曲,君が自分のオトコを愛しているのなら
そのオトコを抱いてやれ,抱擁してやってくれ
カレシの手を握って,俺の後についてこう言ってやってくれ
「ずっとあなたに一途でいる,あなたに全てを尽くす
あなたがムショに入っても,裏の仕事やってても
職を追われても,マジメに働いていたとしても」
そいつを信じて,そいつをリスペクトしてやってくれ
そうすれば,ヤツもきっと,君に全てを尽くしてくれるから
(訳:Jun Nishihara)

この曲のMV(ミュージックビデオ)は以下のとおりです。

Fat Joe feat. Armageddon & Tony Sunshine – “All I Need”

そしてこの曲にサンプリングとして起用されているのは,ニュー・エディション(New Edition)の「Can You Stand The Rain」という名曲です。

New Edition – “Can You Stand The Rain”

どうでしょう,現代ヒップホップは古典R&Bにモロ影響を受けていることが分かるでしょう。

(文責:Jun Nishihara)