第2位:Freddie Gibbs + Alchemistのコラボ作『Alfredo』(2020年Hip-Hop名曲名場面ベスト30)

2020年は偉大なるアルバムが数々リリースされましたが,その中でもフレディ・ギブス(Freddie Gibbs)及びアルケミスト(Alchemist)がタッグを組んで作り上げた作品『Alfredo』は現代HIP-HOPにおいて,極めて重要な意味を持つアルバムとして挙げられることとなりました。2020年5月にリリースされてから,あらゆるレビューサイトで非常に高い評価を得ておりますし,また,本年グラミー賞でもラップ・アルバム最高の栄光と呼ばれる「Best Rap Album」部門にノミネートされました(これを書いている時点では,賞を取ったかどうかはまだ発表されておりません。)。

アルバムカバーは以下のとおりです。

このアルバムの特徴は,フレディのハングリーでダークなラップ・スタイルと,アルケミストのソウルフルでソフトなビートです。この「暗さ」と「柔らかさ」という比較の対象にもならないような二つの要素が掛け合わさって,一枚の作品(これこそが「作品」)となっております。ようやく「ミックステープ」ではないクオリティのアルバム(作品と呼べるもの)をラッパーが世に送り出してくれました。

フレディのラップ(特にフリースタイル)の迫力と凄まじさについては2019年にこちらのページで紹介しました。右腕に抱えている子どもはまだ小さいのにパパの迫力あるフリースタイルを聴いていてもビクともしないですね。慣れてるんでしょう。こんなことを家でずっとやっているんでしょう。

このラップやり出したら止まらんスタイルは,前にも書きましたが,どうしても私はTupac(トゥパック)を思い出してしまいます。これはただもんじゃ無いってことを感じさせます。

まぁそんなフレディがですよ,ソウルフルなサンプリングを器用に扱うことで有名なアルケミスト(Alchemist)とタッグを組んで,全曲ビートをそのAlchemistに任せてアルバムにしたっていう贅沢な作品を作ったのです。

アルケミストが制作した2004年のこのビートは,16年経った今も強烈に記憶に脳裏に焼き付いて,それだけインパクトあるビートを彼は作ってきたのだと,気付かされました。(優れたプロデューサーは,それぞれ自分の“signature sound”(独特の音)というものを持っており,アルケミストに関しては,その中でもこの分野に関しては秀でています。)

さて,今作アルバム『Alfredo』から2曲,以下のとおり掲載しておきます。

1曲目はDavid T. Walkerの「On Love」をサンプリングした楽曲「Something to Rap About」です。

2曲目はRick Rossをfeat.した楽曲「Scottie Beam」です。

最後に2020年8月にリリースされた次の曲(アルバム『Alfredo』には収録されておりません)も掲載しておきます。

(文責:Jun Nishihara)

第11位:ブラック・ムスリムとして多彩なる宗教心を反映させた特異なアルバム『A Written Testimony』をリリースしたJay Electronica (2020年Hip-Hop名曲名場面ベスト30)

本アルバムは,2021年グラミー賞の「ベスト・ラップ・アルバム」部門でノミネートが決まりました。

ジェイ・エレクトロニカ(Jay Electronica)の本アルバム『A Written Testimony』については,下記ページに10回に分けて書き記しておきましたので,ご参照ください。

JAY ELECTRONICAのデビュー公式アルバム『A Written Testimony』ようやくリリース!(独断偏見ライナーノーツ)

JAY ELECTRONICAのアルバム『A Written Testimony』楽曲②「Ghost of Soulja Slim」(独断偏見ライナーノーツ)

JAY ELECTRONICAのアルバム『A Written Testimony』楽曲③「The Blinding」(独断偏見ライナーノーツ)

JAY ELECTRONICAのアルバム『A Written Testimony』楽曲④「The Neverending Story」(独断偏見ライナーノーツ)

JAY ELECTRONICAのアルバム『A Written Testimony』楽曲⑤「Shiny Suit Theory」(対訳:ジェイ・エレクトロニカのヴァース)

JAY ELECTRONICAのアルバム『A Written Testimony』楽曲⑤「Shiny Suit Theory」(対訳:ジェイZのヴァース)

JAY ELECTRONICAのアルバム『A Written Testimony』楽曲⑤「Shiny Suit Theory」(対訳)

JAY ELECTRONICAのアルバム『A Written Testimony』楽曲⑥「Universal Soldier」(独断偏見ライナーノーツ)

JAY ELECTRONICAのアルバム『A Written Testimony』楽曲⑦「Flux Capacitor」(独断偏見ライナーノーツ)

JAY ELECTRONICAのアルバム『A Written Testimony』楽曲⑧「Fruits Of The Spirit」からジャスト・ブレイズまで。

(上記ページの文責は全てJun Nishiharaによるものです。)