第7位:ケンドリック・ラマーのアルバム『Mr. Morale & the Big Steppers』(2022年Hip-Hop名曲名盤ベスト20!)

2022年リリースされたアルバムで(Hip-Hopに限らずあらゆるジャンルを含めたアルバムで)最も期待されたアルバムが、このケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)の『Mr. Morale & the Big Steppers』でした。

このアルバムがリリースされた当初、私はこう書きました。

7か月経た今も、イメージは変わりません。と言っても、たった7か月しか経っていない、ので、これからも何度も聴き続けて、その時々で印象やイメージが変わっていくのをたのしみにします。

同アルバム収録楽曲「Die Hard」を聴くと、2018年のSZAとの名曲「All The Stars」を思い出して(というか強烈にその頃の生活や生きた環境が思い浮かんできて)不思議な気持ちになります。4年前にテレポートした気分です。それだけでも有難い体験をさせてくれていることに感謝です。

Kendrick Lamar – “Die Hard” feat. Blxst & Amanda Reifer

そしてこちらが2018年の Kendrick Lamar – “All the Stars” feat. SZA

私は個人的にはケンドリック・ファンの一人ですので、2018年はアルバム『DAMN.」を聴き込んでいましたし、映画『ブラック・パンサー』も勿論映画館で観ましたし、ブラック・パンサーのインスパイアード・アルバムも聴きまくっていました。

なので、一層、『Mr. Morale & the Big Steppers』はたのしみにしていたのは言うまでもありません。

その「たのしみ」が、いまだに「たのしみ」であるままに、2022年が幕を閉じようとしています。まだまだ、聴き込んでいけば印象が変わっていくのは必須だからです。それが「たのしみ」なのです。なので、まだ評価はできません。そして、5月に書いたように、楽曲「Worldwide Steppers」をぶち込むことにより、ケンドリックは、あらゆる音楽評論家の評価などは聞き捨てるかの如く、そんなものは関係ないと云わんかのように、このアルバムを世に送り出しました。『DAMN.』とはまるで違う。もしかすると『DAMN.』でケンドリックのファンになったファンたちは、この『Mr. Morale & the Big Steppers』で離れるかもしれない。離れるなら離れるでよい、とでも云わんばかりに、すがすがしいアルバムを出してくれた。このアルバムはケンドリックにとって、業界の飼い犬になんかならねえぞ、と意志表明した一種のカタルシス(浄化)なのかもしれない。

来年の今頃であれば、もっとまともなことが書けているかもしれません。なので、もう1年待ってください。このアルバム『Mr. Morale & the Big Steppers』に関しては。

(文責:Jun Nishihara)

ケンドリック・ラマー『Mr. Morale & The Big Steppers』出た。現時点での印象について。

米国時間5月13日(金)午前0時に、ケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)の新盤『Mr. Morale & The Big Steppers』がリリースされました。

現在こちらNYは14日(土)午前11時ですが、リリースされて1日が経ち、少しおちついて聴き始めることができている状況です。

聴き始めてまだ時間は経っておらず、聴く回数も追いついておらず、全く理解もできておらず(というか、これから)というこの段階で本アルバムについて書くことはまだ何も無いのです。

ただひとつ受けた印象といえば楽曲「Worldwide Steppers」で「全てを捨てた」、ということ。この楽曲をぶち込んだことにより、本アルバムに対するグラミー賞の期待を捨て、世の中の評論家が下すアルバムに対する評価なんて気にしない、まさか2度目のピューリッツァー賞なんて求めていない、ということを世に発表したような印象を受けた。このリリックをあえてスピットすることにより、ポリティカルコレクトネス(PC)に沿った評価を下す世の当局・政府・国・評論家軍団の期待を裏切った、ということ。評価の対象ではなくなった(というかケンドリック側から、評価の対象とされることを断った)ことにより、あとは(4曲目以降は)ケンドリックの思うがまま自由に羽ばたいて芸術作品を作ることができるようになった、ということを示唆している印象を受けた。

世の中がどういった評価を下すか気にして作った音楽なんておもしろくないので、世界中の「steppers」へ向けた楽曲を1つぶち込むことにより、ステップをしない評論家を遠ざけたアルバムにした、ケンドリックの意志がこちらに伝わった。

欲張ってもうひとつ言えることがあるとすれば、成長。
ジェイ・Zにおける『4:44』が、ケンドリックにおける『Mr. Morale & The Big Steppers』であるように見受けられる。が、それにしても成長のスパンが短すぎるように思う節も正直ある。ジェイ・Zに関しては、デビュー後21年目に『4:44』をリリースした。公式アルバム13枚目。ケンドリックに関しては、デビュー後10年目に本アルバムをリリースした。公式アルバムとしては5枚目。世代も変わり、成長のスパンも短期化しているのかもしれない、という印象を受けた。(アルバムリリース前夜の楽曲「The Heart Pt.5」では、あらゆる人に入れ替わって、人生についても語った。それも成長の一部と見ることができるかもしれない。)

ということで、今のところはこの2つです。
①評論家の期待に対するケンドリックによる意図的な裏切り
②ケンドリックの成長

2022年5月14日(土)時点では以上です。
引き続き本件アルバムに対する思想は変わりゆくかもしれませんが、記録しておきます。

(文責:Jun Nishihara)

コーチェラ(Coachella)でケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)登場。

先々週末及び先週と2週に亘って米国カリフォルニア州コーチェラで開催されたアメリカ最大のミュージック・フェス=Coachella(コーチェラ)ですが、ヒップホップ・ヘッズにとって最大のサプライズの1つは、4月22日(金)、ベイビー・キーム(Baby Keem)のステージにケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)が登場したことでしょう。(因みに、ベイビー・キーム(Baby Keem)は今年4月3日に開催されたグラミー賞でケンドリック・ラマーをfeat.した楽曲「family ties」において、「Best Rap Performance(ベスト・ラップ・パフォーマンス)賞」を受賞しました。)

ケンドリック・ラマーが登場したステージがこちらです。

因みに、ケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)は、自身のpgLangレーベルをとおして、全世界が待望する次のアルバムのリリース日を以下のとおり発表したところでした。それも先週の大ハイライトの1つ。

ニューアルバムのリリース予定日は2022年5月13日。タイトルは『Mr. Morale & The Big Steppers』。
moraleというのは「士気、意気込み、気力」という意味で、ビッグ・ステッパー達の中で異彩を放つ一人のMr. Morale野郎。倫理を意味するモラル(moral)とは異なりますのでご注意を。

因みに、我らがメーガン・ジー・スタリオン(Megan Thee Stallion)のステージの映像を2件、掲載しておきます。

Megan Thee Stallion – “Plan B”

Megan Thee Stallion – “Megan’s Piano”

なお、ついでに、2022年のコーチェラ(Coachella)フェスでの見どころはいろいろありますが、livestreamを介し、生で観ていて、最も演出的に凄まじかったのは、マデオン(Madeon)でした。画面越しだとパイロテックスやライティングが物凄く、目が痛かったのですが、いや、しかし、これもマデオンが創る意図的な世界だったのだと、彼が創る音楽の世界に全く魅了されてしまいました。

https://youtube.com/shorts/GlW8Rwwvt7I?feature=share

最後に、コーチェラ(Coachella)での注目度は低かったですが、コアなファンは勿論こちらも観てました。フレディ・ギブス&マッドリブ(Freddie Gibbs & Madlib)のステージです。

Freddie Gibbs & Madlib – “Something to Rap About (Live at Coachella 2022)”

(文責:Jun Nishihara)