元ネタの曲を知る②:ジェイZ ⇄ ボビー・グレン

さて,このコーナーでは,現代のヒップホップ曲で起用されている「おおもととなっている曲ネタ」を紹介しています。

前回は,ドレイクがマライア・キャリーの曲をネタにした「Emotionless」⇄「Emotions」を紹介しました。

このように「もとのネタ」を知ることによって,ヒップホップのおもしろさが少しでも伝われば幸いです。

さて,今回はこんな曲を紹介します。

カニエ・ウェストよりも少し前に出現した異次元ビートメイカーにジャスト・ブレイズ(Just Blaze)というビート・プロデューサーがいます。カニエ・ウェストは「元ネタづかい」を世界中のヒップホップ界に広めたビートメイカーとして知られていますが,カニエが世に出るよりもずっと前に「元ネタあそび」をグヅグヅとアングラで温め続けてきたのは,ジャスト・ブレイズです。

ジャスト・ブレイズがプロデュースしたヒップホップ曲には,数々の名曲が生まれています。

その豊富なレパートリーの中から,ジェイZの名盤『The Blueprint』に収録されている楽曲(名曲!)「Song Cry」を取り上げます。

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この「Song Cry」は2001年9月11日(世界同時多発テロ事件と同日)にリリースされたアルバム収録楽曲ですが,この曲のおおもととなっている曲は,美しきまさに名曲(名曲をサンプリングにしたからこそジェイZの名曲が生まれたという,なんというビート・プロデューサーのセンス!)である,ボビー・グレン(Bobby Glenn)の1976年リリースの楽曲「Sounds Like A Love Song」を元ネタにしています。

それでは聴いてみましょう。

Bobby Glenn – “Sounds Like A Love Song”

(文責:Jun Nishihara)

元ネタの曲を知る①:ドレイク ⇄ マライア・キャリー

ヒップホップの楽しみ方の1つに「元ネタで遊ぶ」というものがあります。あるヒップホップ曲を聴いて,その曲に起用されているおおもととなっている曲ネタを探す,というものです。

ネタは時にメロディーであったり,ビートであったり,はたまたリリックであったりもします。

この元ネタを知ることによって,同じヒップホップ曲でも,たんなる平面的な音楽ではなく,奥深い,立体的な音に聞こえるようになってきます。

そこにはこれまで綿々と連ねられてきた歴史を感じることができます。それを知ってしまえば,その1曲はもはや「たんなる点」などではなく,遠いむかしから綿々とつづく「線状にある途中」の1曲として,「つながり」をその曲に感じることができるようになります。

イマドキの流行りに乗っかった「one hit wonder(一発屋)」のように聞こえる曲でさえ,その曲の「元ネタ」を知ればたちまち,「おっ,これはアノ曲か」と,つながりを感じることができるようになります。

このコーナーでは,現代のヒップホップにつながる「元ネタ」となっている曲を紹介します。元ネタとなる曲は,むかしの曲もありますが,けっして古い曲だけでなく,最近リリースされた曲もあります。

たとえば,こういうものです。

ついこのあいだ(2018年6月29日に)リリースされた,ドレイク(Drake)のニューアルバム『Scorpion』から収録楽曲「Emotionless」の元ネタとなっている曲=マライア・キャリー(Mariah Carey)の「Emotions」を紹介します。

ドレイクの「Emotionless」を聴いていただいた後に,元ネタとなっているマライア・キャリーの「Emotions」を聴いていただくと分かるかと思いますが,この曲は「リリックを元ネタにしたパターン」の曲です。

マライアが歌う下記の歌詞部分をループで回し,起用しています。

You’ve got me feeling emotions
Ayy, higher
Ahhhhhhh
You’ve got me fe–
You, ohhhh

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ドレイクがマライアの声を起用したり,アリーヤ(Aaliyah)の声とメロディを起用したりすることは今までもありました。特にアリーヤの声を起用したドレイクの曲は,どれも感慨深いものがあります。

こうして過去の偉大なる音楽が,現代のヒップホップを媒介としてよみがえります。

マライア・キャリー「Emotions」

(文責:Jun Nishihara)

マック・ミラー(Mac Miller)の追悼に代えて(その②)

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前回のお約束通り,マック・ミラー(Mac Miller)の楽曲「Frick Park Market」(対訳)をお届けします。

[Intro]
Uhh, let me get a turkey sandwich, uh lettuce tomato (bitch)

(イントロ)
ターキーのサンドイッチ1つ,レタスとトマトも入れてくれ(ビッチ)

[Verse 1]
My name Mac Miller, who the fuck are you
Well my crew too live but I ain’t Uncle Luke
And I ain’t no hipster, but girl I can make your hips stir
From Pittsburgh, smoke papers or a swisher
Welcome to the Cam Rellim chronicles
Looking out my monocle
I’m dodging obstacles, I gamble like the Bellagio
You cock-a-roach, I’m heroin cause everything I talk is dope
Type to leave it clean and fucking shiny word to Mop & Glo
Tryin’ to get a mansion ain’t nobody here gon’ find my room
Money gonna be green I guarantee you that my slide stay blue
So press play, I start from scratch and never use no template
The next day these losers always goin’ with whats trendy
My pen game is something these motherfuckers have never seen
All City Champion everybody is second string
No need to testify (testify) for the best is I (best is I)
And anybody in my way goin’ to be left to die

(ヴァース1)
俺の名はマック・ミラー,おまえは何様だ?
クルーはヤバいヤツら(2ライヴ),つってもアンクル・ルークじゃねえ
ヒップスターじゃないけど,君のお尻をグラグラ揺らす
ピッツバーグ出身,ハッパにシーシャを吸いまくり
ようこそ,「キャム・レリムのクロニクル」へ
片眼鏡(モノクル)から覗き込み
障害物を交わして,ベラッジオ・カジノのように賭けの人生
おまえはゴキ野郎,俺のラップ,ヘロインのように中毒系
俺が触ればクリーンでシャイニー,キラキラ輝くぜ
おっきな豪邸,じぶんの部屋が見つからねえ
カネの色は豊かなグリーン,滑り台(スライド)はいつもブルー
PLAYボタン押しな,オリジナルを届けて,型にはハマらない
負け犬どもは,トレンドに流されてばっかだし
俺のペンゲーム,コイツら見たことないってビビってる
そこらじゅうでチャンピオン,他の連中,しょせんは二流
宣言なんかいらねえ,勝ちは明らか,それは俺
俺の邪魔するヤツらは,野垂れ死ぬ

[Hook]
I’mma feed the world you can put it on my tab
Run until my legs go numb, I don’t plan on looking back
Anything you need you can find it at the market
If you don’t hold me down, for all I care, you can starve bitch
I’mma feed the world you can put it on my tab
Run until my legs go numb, I don’t plan on looking back
Anything you need you can find it at the market
Anything you need you can find it at the market

(サビ)
俺が世界を食わせてやる,勘定は,つけといてくれ
足が麻痺するまで走り続け,後ろは振り返らない
必要なものならなんでも,ここのマーケットで手に入る
共感できねえヤツは,カンケーねえ,飢え死にすればいい
俺が世界を食わせてやる,勘定は,つけといてくれ
足が麻痺するまで走り続け,後ろは振り返らない
必要なものならなんでも,ここのマーケットで手に入る
必要なものならなんでも,ここのマーケットで手に入る

[Verse 2]
I got my own stickers now so literally I’m everywhere
Hundred different shoes still feel the need to cop a fresher pair
These motherfuckers treat me like it’s just my second year
Fool you better get prepared
Don’t know ‘bout you but all my rhymes is deadly here
Frick Park Market where we kicking out the garbage
Sick bars I’ve been a boss so stick around and watch it
Didn’t fit around no college campus, chilling writing on top of planet Earth
Fuck who’s first, It’s just bout who the hardest
On my own two, fuck who’s saying different
Every time I rhyme I get that Punxsutawney feeling
I’m the starter you the fill in
You a martyr I’m just killing
Getting harder with each time I write
Wish I could rewind last night
I had so much fun just kickin’ it and goin’ in
Don’t call me Malcolm if you didn’t fuckin’ know me then
And if you lonely girl I could be your only friend
You got some shit to say I suggest you hold it in

(ヴァース2)
俺のブランドのステッカーもできた,だから文字通り,世界進出だ
靴なら100足以上ある,だけどそれでも,まだフレッシュな靴が必要だ
俺のこと2年生のように下級扱いしてるヤツら
愚か者,覚悟しとけ
おまえのは知らねえが,俺のライムは百発百中
場所は「フリック・パーク・マーケット」,ゴミ箱バンバン蹴飛ばして
イカレた韻を踏み,はじめっからボス,ちょいと見ていきな
カレッジ・キャンパスは合わなかった,だからこの大地でラップを書いた
誰が1番になってもいい,だが最高にハードなヤツになってやる
両足でしっかり地に足を付け,反対するヤツは糞食らえ
ライムを繰り出せば,地元のフィラデルフィアをレペゼン気分
俺がメインコース,おまえは単なる「つなぎの曲」
おまえが殉教者なら,俺はライムの殺人鬼
ペンを走らせるたびにハードになっていく
昨夜のこと,もいっかい巻き戻してやろうか
たまんなく楽しかった,ワイルドに遊びまくった
以前の俺を知らねえなら,マルコムなんて本名で呼ぶんじゃねえ
ガール,君が寂しがってるなら,君の唯一の友になってあげるよ
なにか文句あっか? 文句はゴックン飲み込んどけよ

[Hook]
I’mma feed the world you can put it on my tab
Run until my legs go numb, I don’t plan on looking back
Anything you need you can find it at the market
If you don’t hold me down, for all I care, you can starve bitch
I’mma feed the world you can put it on my tab
Run until my legs go numb, I don’t plan on looking back
Anything you need you can find it at the market
Anything you need you can find it at the market

(サビ)
俺が世界を食わせてやる,勘定は,つけといてくれ
足が麻痺するまで走り続け,後ろは振り返らない
必要なものならなんでも,ここのマーケットで手に入る
共感できねえヤツは,カンケーねえ,飢え死にすればいい
俺が世界を食わせてやる,勘定は,つけといてくれ
足が麻痺するまで走り続け,後ろは振り返らない
必要なものならなんでも,ここのマーケットで手に入る
必要なものならなんでも,ここのマーケットで手に入る

(文責:Jun Nishihara)

マック・ミラー(Mac Miller)の追悼に代えて(その①)

まずはこの写真をご覧あれ。

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これは前途多望の若手ラッパー=Mac Millerの写真です。
彼の右肩に映るのは,ジェイZのツイートを膨らませて額縁に入れ,飾っているものです。
こう書かれています。

Too many ..Fab , black people really magic . Mac Miller nice too though .

これはジェイZが昨年,Songwriters Hall Of Fame(ソングライターの殿堂)入りを果たした際に,今までジェイZ自身を感化・鼓舞(インスパイア)させてきたアーティスト達に感謝の念を捧げたものです。その時に,いろいろなアーティストを挙げていましたが,その中に,まだまだ若手のMac Millerがいました。

いろんなヤツらにインスピレーションをもらった。ファボラスもそうだし,黒人アーティストたちには不思議な力(マジック)を感じる。マック・ミラーもナイスだし。

このツイートをバックに,誇らしげなマック・ミラーが写真に映っているものです。

アリアナ・グランデとマック・ミラーがコラボレートした曲(”The Way”(YouTubeではなんと,348万回再生!))は余りにも有名です。しかしマック・ミラーの豊富な楽曲の中では,下の方に位置すると言えるでしょう。彼にはもっともっと素敵な数々の曲があります。アリアナ・グランデが有名すぎて,マック・ミラーの魅力が影に隠れてしまっていますが,彼はとんでもなく素晴らしいコレクションの持ち主です。ひとまずは,初期の頃にリリースしたこの曲を聴いてみてください。若いエネルギーと,デビュー当時の勢いに溢れています。この曲のリリースは2011年,マック・ミラー19歳です。

Mac Miller – “Frick Park Market”

さらに,Anderson .Paakとコラボレートした以下の曲(2016年,マック・ミラー24歳)もあります。

Mac Miller feat. Anderson .Paak – “Dang!”

さらに,さらに,ミニマリスティックなこんなビデオもあります。

Mac Miller – “Stay”

最後に,ケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)とコラボレートしたこの曲です。

Mac Miller feat. Kendrick Lamar – “Fight The Feeling”

ラッパーの中のラッパー,つまり,ラッパーに好かれるラッパーとして,マック・ミラーはこの世で素晴らしきラップ曲の数々を生み出してくれました。こんなに若いラップ好きの青年が,これだけ豊富なヒップホップ曲をこの世に残したのは,奇跡とも言えるでしょう。その奇跡を起こしたマック・ミラーであるからこそ,ジェイZは彼のことを「マジック」だと呼んだのでしょう。

次回は,マック・ミラーの「Frick Park Market」を取り上げて,対訳を紹介いたします。

(文責:Jun Nishihara)

Guest Versesのコーナー:ジェイZ(ドレイク「Talk Up」より)

このコーナーでは,カニエ・ウェストもしくはジェイZが人の曲にヴァース(歌詞)を提供している曲を紹介します。

今日は6月29日にリリースされたドレイクのアルバム『Scorpion』より,収録楽曲「Talk Up feat. Jay-Z」を取り上げます。

Drake feat. Jay-Z – “Talk Up”

(Verse: Jay-Z)
Yo, get close enough to HOV, smell like a kilo still
First album 26, I ain’t need no deal
Already a hood legend, I ain’t need no shine
First Rollie flooded out, I ain’t see no time, woah
Stand-up niggas, we only duckin’ indictments
Dope boys, Off-White, lookin’ like soft white on ’em
Heh, you know what I’m sayin’?
We in the buildin’, we came for a billion, ain’t nobody playin’
Live every word that I’m rappin’
Say I lost 90 bricks and it happened
You probably wouldn’t believe everything that you seein’ right now if it wasn’t live action
I ain’t on the ‘Gram, they record who I am
God to these dope boys, how do you not be a HOV fan?
I’m what Meech shoulda been
I’m what Supreme didn’t become
If Alpo didn’t snitch, niggas’d be like Young
I got your President tweetin’, I won’t even meet with him
Y’all killed X and let Zimmerman live, shhh, s-streets is done

(ヴァース:ジェイZ)
ヨゥ,ホヴァ(=ジェイZ)に近寄れば,いまだにコカが匂う
26歳でデビューアルバム,当時レコード会社には雇われず
それでも腕時計(ロレックス)はダイアだらけで,針が見えねえ,ウォゥ
ピン芸人の野郎どもと,裁判沙汰を上手くかわしてきた
ドラッグディーラー,“オフ・ホワイト”,白い粉末が光ってた
なんのことかわかるだろう
俺らが一発売れば,億単位で稼ぎ,中途ハンパなことはしなかった
ラップで言ってきた一言一言,全部リアルに生きてきた
90キロのコカを失った話(*註1),それもマジ
こうしてナマで届けなきゃ,おまえら何にも信じねえからな
インスタはやってない,TVが俺を追いかけてるから
ドラッグディーラーにご加護あれ,ホヴァのファンたちに幸あれ
ビッグ・ミーチ(=ドラッグディーラー)も俺の様にはなれなかった
シュープリーム(=同上)も俺になれなかった
もしアルポ(=同上)が人のことチクらなければ,俺の様になれていただろう
おまえらの大統領がツイートしてる,あんな野郎に俺は合わねえ
おまえらX(=エックスエックスエックステンタシオン)は見殺しにして
ジョージ・ジマーマン(*註2)は救うのか?
もう「ストリート」は終わりだな

註1:ジェイZの名盤『The Blueprint』収録の楽曲「Never Change」より。
註2:黒人の若者(トレイヴォン・マーティン)を銃殺した容疑者。

(文責:Jun Nishihara)

カニエ・ウェスト対訳「I Love It(邦題:ダイスキだ)」

先日,8月11日(土)にカニエ・ウェストは「XTCY」という曲をリリースしました。そして,米国時間の9月7日(金)に,また新たにカニエ・ウェストはシングル曲をリリースしました。タイトルは「I Love It」。

この曲とミュージックビデオは毎年カリフォルニア州L.A.で開催される,AVポルノの大殿堂=Pornhubアワード賞で全世界初披露されました。

ミュージックビデオはYouTube等で検索してみてください。オンラインゲームのRoblox(ロボロックス)に出現するキャラを衣装にして踊っています。

今回このシングル曲「I Love It」にフィーチャリングされているのは,若手ラッパー=リル・パンプ(Lil Pump)です。「I Love It」リリースの約1週間後にリル・パンプ自身もニューアルバムを出す予定です。タイトルはなんと『Harvard Dropout(ハーバード大学の退学者)』(9月14日リリース予定)。リル・パンプ自身はツイッターで「俺はほんとにハーバードに入学したし,中途退学(ドロップアウト)したんだ。ラップ界を救うために」と言っています。

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それでは「I Love It」を紹介します。
ジャケはこんな感じです↓。

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この絵↑は,ケリー・ジェイムス・マーシャル(Kerry James Marshall)という黒人画家が描いたものです。前回カニエ・ウェストがリリースした「XTCY」のジャケも彼の手によるものです。↓

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Kanye West feat. Lil Pump – “I Love It”

[Intro: Adele Givens]

‘Cause you know in the old days

They couldn’t say the shit they wanted to say

They had to fake orgasms and shit

We can tell niggas today: “Hey, I wanna cum, mothafucka”

(イントロ:アデル・ギヴェンズ)
かつて昔はね,女性が正直に
自分の気持ちを話すのはタブーとされていた
だから気持ちよくもないのに,ウソのオルガズムを演じてた
でも今は何だって言える「このクソ野郎,あたしをイかせて!」

[Chorus: Lil Pump]

You’re such a fuckin’ ho, I love it (I love it)

You’re such a fuckin’ ho, I love it (I love it)

(サビ:リル・パンプ)
このクソ女,大好きだ(ダイスキ)
このクソ女,大好きだ(ダイスキ)

[Pre-Verse: Lil Pump]

You’re such a fuckin’ ho, I love it (love it, love it)

(I’ma fuck a bitch, tell her cousin)

Your boyfriend is a dork, McLovin (dork, McLovin; ooh, ooh, ooh)

(プレヴァース:リル・パンプ)
このクソ女,大好きだ(ダイスキ,ダイスキ)
(クソ女をオカす,おまえの従姉妹に言っとけよ)
おまえのダッセェ彼氏,メガネ野郎(ダッセェ,メガネ野郎,ウゥウゥウゥ)

[Verse 1: Lil Pump]

I just pulled up in a Ghost (Ghost)

Fucked that bitch up out in London (up out in)

Then I fucked up on her cousin

Or her sister, I don’t know nothin’ (uh-uh, woo)

And my niggas gettin’ ignorant

Like a lighter, bitch, we ignit (ignit, yeah)

All this water on my neck

Look like I fell when I went fishin’ (fell)

So much diamonds on my bust down

Ooh, fuck, what’s the time? (where we at?)

Me and Smokepurpp sippin’ drank (ayy)

Ooh, fuck, she take lines (lines)

(ヴァース1:リル・パンプ)
ランボルギーニを乗りつけて
ロンドンでUKガールとヤってきた(ブチ込んだ)
そいつの従姉妹も抱いてやった
姉妹だったっけ,どっちでもええ(アッア,ウー)
俺のダチ,サル暴れしてる
ライターみたいに,点火しちゃう(アッチッチ)
首にジュエリーぶらさげて
ギラギラのダイア,釣ってきた
エゲツないダイヤ,俺の腕時計
こりゃいけねえ,いま何時?(いまどこ?)
スモークパープとハッパ吸って(エィ)
この女ヤベェ,コカインぶち込んでるぜ

[Chorus: Lil Pump & Kanye West]

You’re such a fuckin’ ho, I love it (I love it, scoop!)

You’re such a fuckin’ ho, I love it (I love it)

(サビ:リル・パンプ&カニエ・ウェスト)
このクソ女,大好きだ(ダイスキ,スクープ!)
このクソ女,大好きだ(ダイスキ)



[Interlude: Kanye West]

You’re such a fuckin’ ho

When the first time they ask you if you want sparklin’ or still?

Why you try to act like you was drinkin’ sparklin’ water ‘fore you came out here?

You’re such a fuckin’ h—

(インタールード:カニエ・ウェスト)
アバズレ女だな
炭酸水かミネラルウォーターか聞いてんのに
もう炭酸水(スパークリング)でデキあがってんじゃねえかよ
アバズレ女だな

[Pre-Verse: Kanye West]

I’m a sick fuck, I like a quick fuck (whoop!)

I’m a sick fuck, I like a quick fuck (whoop!)

I’m a sick fuck, I like a quick fuck (whoop!)

I’m a sick fuck, I like a quick fuck (whoop!)

(プレヴァース:カニエ・ウェスト)
俺は変態野郎,大好き,一発ファック(ウー!)
俺は変態野郎,大好き,一発ファック(ウー!)
俺は変態野郎,大好き,一発ファック(ウー!)
俺は変態野郎,大好き,一発ファック(ウー!)

[Verse 2: Kanye West]

I’m a sick fuck, I like a quick fuck

I like my dick sucked, I’ll buy you a sick truck

I’ll buy you some new tits, I’ll get you that nip-tuck

How you start a family? The condom slipped up

I’m a sick fuck, I’m inappropriate

I like hearin’ stories, I like that ho shit

I wanna hear more shit, I like the ho shit

Send me some more shit, you triflin’ ho bitch (bitch, bitch, bitch)

(ヴァース2:カニエ・ウェスト)
俺は変態野郎,大好き,一発ファック
肉棒吸ってくれ,イカシたトラック買ってやる
シリコンオッパイ入れてやる,アソコの整形してやる
どうやって家族持ちになるって,コンドームをスベらせろ
俺は変態野郎で,場ちがいな野郎
ストーリー仕立てに,ヤリマン女は大好きさ
もっと聞かせてくれ,ヤリマン女は大好きさ
もっとエロいの送ってくれ,このクソ女(ビッチ,ビッチ,ビッチ)

[Chorus: Lil Pump]

You’re such a fuckin’ ho, I love it (I love it)

You’re such a fuckin’ ho, I love it (I love it)


(サビ:リル・パンプ)
このクソ女,大好きだ(ダイスキ)
このクソ女,大好きだ(ダイスキ)

[Outro: Adele Givens]

‘Cause you know in the old days

They couldn’t say the shit they wanted to say

They had to fake orgasms and shit

We can tell niggas today: “Hey, I wanna cum, mothafucka”

(アウトロ:アデル・ギヴェンズ)
かつて昔はね,女性が正直に
自分の気持ちを話すのはタブーとされていた
だから気持ちよくもないのに,ウソのオルガズムを演じてた
でも今は何だって言える「このクソ野郎,あたしをイかせて!」

(文責:Jun Nishihara)

Guest Versesのコーナー:カニエ・ウェスト(ミスター・ハドソン「Supernova」)

カニエ・ウェストの英国好き(UKシーン好き)は有名ですね。カニエのような米国黒人ラッパーで,英国のシンガーとコラボしているケースは珍しいです。最近ではドレイク(Drake)が,英国のシンガー=ジョージャ・スミス(Jorja Smith)とコラボしたり,英国の黒人ラッパー=スケプタ(Skepta)や,ギッグス(Giggs)と組んだりして,英国(UKシーン)にコアなファンベースを広めておりますが,ドレイクがそれをやるずっと前に,カニエ・ウェストはその傾向性を見せていました。

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さて,今回Guest Verses(人の曲に歌詞を提供)のコーナーで紹介する曲は,UKシンガー=ミスター・ハドソン(Mr. Hudson)が2009年7月にリリースしたシングル曲「Supernova」から,カニエのヴァースを紹介します。

Oh, they got it all you can see they got it all
They got the cars, the boat and the beautiful house by the shore
And you know there’s more
But I can’t take another minute of it at all
He wants his kids and the dog, he wants his breakfast in bed
He’s got his trust fund saved, not a worry in his head
It’s not you, homie
I wanna break up the scene and see you running back to me

Cause I feel like taking off, let me be your supernova
Before you make the biggest mistake of your life
Just give me the chance to get it right, get it right
Yeah, I feel like taking off, let me be your supernova tonight
Before you make the biggest mistake of your life
Just give me the chance to get it right, get it right

あぁ,あらゆるモノすべて,なんでも手に入る人生
たとえ高級車でも,豪華客船でも,海辺のきれいな豪邸だってね
しかも,それだけじゃ止まらない
でもね,もう,うんざりさ,これ以上たえられない
これからは自分の子どもが欲しいし,犬だって飼いたい,ベッドで朝食なんていいね
たとえ莫大な貯金があったって,カネの心配は無い人生って言ったって
キミがいなきゃ,意味がないんだよ
この場所から飛び出して,キミに飛び込んできてほしい,オレの胸の中へ

ここから飛び出して,キミだけの超新星(スーパーノヴァ)になりたいんだ
人生で最大のあやまちを犯してしまう前に
オレにチャンスをくれるかい,やり直してみせる,やり直してみせる
ここから飛び出して,キミだけの超新星(スーパーノヴァ)になりたいんだ
人生で最大のあやまちを犯してしまう前に
オレにチャンスをくれるかい,やり直してみせる,やり直してみせる

(文責:Jun Nishihara)

Guest Versesのコーナー: カニエ・ウェスト(スラム・ヴィレッジ「Selfish」)

このコーナーでは,カニエ・ウェストが人の曲にヴァース(歌詞)を提供している曲を紹介します。

今回紹介する曲は2004年6月にリリースされた,スラム・ヴィレッジ(Slum Village)の「Selfish」という曲です。先日亡くなった「ソウルの女王」ことアレサ・フランクリンの「Call Me」ネタをサンプリングに使った曲です。プロデュースはカニエ・ウェスト。

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カニエ・ウェストがプロデューサーとして,アレサ・フランクリンの曲を元ネタにしているヒップホップ曲は多いですね。これこそアレサ・フランクリンに捧げる,至極のリスペクトですね。

その曲から,カニエ・ウェストのヴァース(一節)を紹介します。

Uhh, and don’t be tryna come around my girl
Acting like Mr. Friendly
And steal the spotlight like Mr. Bentley
I spotted her like Spud McKenzie
And for them fake boobies I paid them Benjies, get your own
I got Paris, he got Nicky, he tried to get em a clone
He said, “Ye you know you got extra hoes
And everything you do is extra cold”
From the Polo fleece to the Jesus piece
I got family in high places like Jesus’ niece
Can I please, say my peace?
If y’all fresh to death, then I’m deceased
And this one here is a heatrocks, spit like a beat box
The way the beat rocks, new version of Pete Rock
But for that Benz, I get CL love
So I switch my girls around like 3L-dub, I’m calling

ねぇ,オレの女に軽がる声かけんじゃねえよ
勝手にフレンドリーに接しやがって
カノジョの注目,盗もうとしやがって
カノジョみっけたのオレだよ,仔犬(オレ)の手がらだよ
シリコン入りのオッパイ,オレのお金だよ,くれてやんねえよ
オレのパリス,おまえのニッキー,クローンにはダマされねえよ
「カニエ,女ならいくらでもあんだろう
あんたは何やっても,イカしてんなあ」だってよ
ポロのフリースから,ジーザスのチェーンまで
雲の上から家族が見守ってくれてんだ,ジーザスの姪っ子みたく
おねげえだから,お祈りさせて
おまえの「それ」でフレッシュなら,オレはゲロ吐いて死んじまう
アッツアツの溶岩なみにホットな曲,ビートボックスなみにスピット
爆音でぶっ飛びビート,よみがえるピート・ロックの現代版
でもベンツと来たら,オレの気に入りはCLクラス
日によってカノジョを入れ替え,まるで3LW,電話するよ

(文責:Jun Nishihara)

追悼:ソウルの女王=アレサ・フランクリンがヒップホップに与えた影響(その2)

前回のつづきです。

NYはハーレム出身のラッパー=キャムロン(Cam’ron)の引き出しから,この一曲です。

2002年5月にリリースされたヒップホップ名盤『Come Home With Me』から,シングルリリースされた「Day Dreaming」を取り上げます。

このアルバムには,ジェイZがfeat.されている「Welcome to New York City(ニューヨークシティーへようこそ)」という曲も収録されています。

さて,アレサ・フランクリンがヒップホップ界に与えた影響は,当時の若手ラッパーT.I.にとどまらず,ハーレム出身のベテラン・ラッパー=キャムロンにも及びました。

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キャムロンは素晴らしい数々のヒップホップ名曲を残していますが,その中でもアレサ・フランクリンの「Day Dreaming」がサンプリングされた,名前が似ている(スペルの綴り方は異なります)「Daydreaming」(プロデュースはカニエ・ウェスト!)から,この歌詞を取り上げます。

I know fucking with a crook is whack
I lied, cheated, still took me back
What I do? Turn around, ask you to cook me crack
Boost my work with a jerk and tell the truth it hurts
Cause you even ask me to come through to church
What I do? Act second rate
I stole ten dollars out of the collection plate
But I’m ready to change
You got my heart, plus you smart
And the sex is great
And you hate rap, I like that girl
I argue with Keisha, I ain’t like that girl
You jumped right out the car, to fight that girl
You beat her ass, you ain’t have to bite that girl
And my baby got the best thighs
And my whip she ain’t never got to test drive
Copped her the X5
You paid attention when no one acknowledge me
This is my public apology, holla B

ダメ男と付き合うのはダサいなんて思ってんだろ
ウソついて,浮気もした,それでも俺のこと,好きでいてくれた
君にムリも言った,ふり向けば,「コカイン寄こせ」とか言って
仕事前にフェラして,やる気出させてくれた,ちょい痛かったけど
「あたしと教会,いっしょに行こ」って,さそってくれた
でも俺は,ふざけてた
教会の募金箱から,10ドル盗んだり
でも良い人間になろうと決めた
君の愛にやられた,おまけに君は育ちもイイし
君とのセックス,たまんないし
君はラップが大嫌い,それでもダイジョウブ
キーシャと口喧嘩,それはダイジョウブじゃない
君は車から飛び降りて,キーシャを黙らしてくれた
ボッコボコにしてくれた,噛みつくまでもなかった
それに君の太もも最高さ
俺のアメ車,試乗するまでもないさ
君にBMW買ってあげた
だれひとり俺のこと相手にしてくれなかった時に,君だけは認めてくれた
この曲は君に捧げる,謝礼の曲さ,連絡してこいよ,Bちゃんよ

カニエ・ウェストは,この曲のプロデュースに関わっています。前回の「追悼:アレサ・フランクリン」のページでも書きましたが,古い曲をサンプリングすることによって,その曲が現代・現在によみがえります。カニエ・ウェストがやってきたことの偉大なひとつは,まさに,このことでした。

アレサ・フランクリンの才能は,そうそう受け継げるものではありません。しかし,こうして,40年の月日を経て,現代のヒップホップでアレサ・フランクリンの歌声が聴けるなら,「アレサの代わり」がいなくとも,いまのところは,なんとかやってけるかもしれないと感じています。

「アレサ・フランクリンの代わり」はいないかもしれませんが,「アレサ・フランクリンの魂(ソウル)」は,こうして現代のヒップホップ音楽を媒介として,受け継がれていくでしょう。

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Source: photo: WENN.com

(文責:Jun Nishihara)