ブラック洋楽New Music: エイサップ・ファーグ feat. ニッキー・ミナージュ「Move Ya Hips」

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(verse by エイサップ・ファーグ)
Diamonds all on my gums
Talk all my sh-t, I got runs
Hole in my jeans like I’m grunge
F-ckin’ that bi-ch in the buns
She suck on my d-ck ‘til it’s numb
Pockets is fat like the clumps

(対訳)
ハグキにハメるダイヤのグリル
偉そうなことヌカして,何周も走る
穴だらけのジーンズ,グランジ・スタイル
あの女のケツの穴にぶち込んで
アソコが麻痺するまで舐め回してくれる
カネは豊満,おデブのクランプスの如く

(verse by ニッキー・ミナージュ)
Straight from out of Queens headed to Harlem now
I got the panda mink on and it’s growlin’ now
Already bodied ‘Plain Jane’ and we mobbin’ now
That’s ‘cause all these fake n-ggas try to rob my style
Yo, these b-tches really be slow, tell ’em I’m Billy the G.O.A.T
I’m getting that dough, my neck and my wrist really glow

(対訳)
クイーンズの出で,向かうはハーレム
パンダ柄のミンクをまとって,唸り声を出す
「プレーン・ジェーン」でリミックスかまし,モブってやった
真似したがりの連中が,あたいのスタイルをパクってる
ヨゥ,あの女たち,大したことないわ,だってアタシは最も偉大なるビリー
カネ儲けて,首元と手首がギラギラに輝いてる

(対訳:Jun Nishihara)

カニエ・ウェストのビート・プロダクション・クレジット楽曲(その②)

前回のお約束どおり,1曲目はあの人,キーシャ・コール(Keyshia Cole)の登場です。この曲でキーシャは公式デビューを果たし,日本のブラック・ミュージック好きの女子にも人気を博し始めるようになります。

この頃に,いよいよ「カニエの音」というものが確立し出します。2005年リリースの楽曲ですが,カニエの初期の頃の「音」を総まとめにしたようなビート,ソウルネタも含まれ,後のカニエの音を代表することとなるローランド社の808ビートマシンのベース音も聞こえます。

2曲目は,キーシャ・コールとも仲良しであった,当時刑務所に囚われの身であったシャイン(Shyne)(当時,こいつの声に関しては,ビギー・スモールズの生まれ変われの化身とも呼ばれた)の登場です。

聴いてもらえれば解りますが,シャインのこの曲はドラムマシンのハイハットをふんだんに使用しております。カニエ・ウェストがハイハットをここまでヘヴィに使用するのは当時のティンバランド(Timbaland)の影響をかなり受けていたことが解ります。実際,2007年にシングル曲「Stronger」をリリースした頃,カニエはあるインタヴューでティンバランドを一人の師と呼んでいます。

3曲目は,チャイニーズ・ラッパーとして2000年,Friday Freestyle on BETで黒人ラッパーを次から次へと負かしていったジン(Jin)の登場です。

4曲目は,3曲目のJin – “I Got A Love”の冒頭ビートの始まり方にそっくりな曲です。嵐の舌を持つラッパー=トゥイスタ(Twista)はカニエと同じ同郷シカゴ出身。“Overnight Celebrity”です。

5曲目は,カニエ・ウェストにしか作れない!という楽曲を紹介して本日終わりにします。スラム・ヴィレッジ(Slum Village)の「Selfish」です。ここら辺で,ソウルネタはソウルネタで同じにしても,ジャスト・ブレイズがソウルネタを回す音とはやっぱり違うなぁというのが解ってきます。ジャスト・ブレイズにしか出せない「ジャスト・ブレイズの味」というのがもちろんあって,そして当曲は「カニエの味」そのものが出ている。これ,もう16年前,2004年です。

(文責&キュレーション:Jun Nishihara)

カニエ・ウェストのビート・プロダクション・クレジット楽曲(その①)

カニエ・ウェストが90年代後期から2000年代前半にかけて,カニエが自身以外のアーティストに提供したビート・プロダクションとして,以下の楽曲を紹介いたします。

前回,ソウル・ネタ回しにおいてはカニエと双璧を成すジャスト・ブレイズ(JUST BLAZE)のプロダクション曲をご紹介いたしました。

本日はジャスト・ブレイズに一聴そっくりなビートのようにも聞こえるカニエ・ウェストのビート5曲を以下のとおり掲載いたします。

まずは,アリシア・キーズ(Alicia Keys)の2003年リリース,キャリア2枚目のアルバム『The Diary of Alicia Keys』よりシングル曲「You Don’t Know My Name」です。

いやぁ,なつかしい!!この頃,カニエ・ウェストはジェイZに認められて当時のロッカフェラ・レコーズ(Roc-a-fella Records)に入団して間も無い頃でした。カニエ・ウェストの名前が当時はまだ「ビート・プロデューサー」としてのみですが,少しずつ徐々に,メインストリームに受け入れられ始めていた頃です。以下ミュージックビデオに出演するモス・デフ(Mos Def)名前改めヤシン・ベイ(Yasiin Bey)は勿論カニエの盟友です。

2曲目は,少し時空を遡って,ジャーメイン・デュプリ(Jermaine Dupri)の1998年リリースアルバム『Life in 1472』より楽曲「Turn It Out」です。

3曲目は西アジアの雰囲気さえも彷彿とさせるビートネタ起用。モス・デフやコモンたちと同じくカニエの盟友=タリブ・クウェリ(Talib Kweli)の名曲「Get By」です。ちなみに西アジアというのはアフガニスタンからエジプトまで,中東を含めたアラブ諸国エリアを指します。

4曲目はハーレム・ワールド(Harlem World)というハーレム出身のラッパーで組まれたラップグループ(メンバーはMa$eやルーン等)が1998年にリリースした『The Movement』より,楽曲「100 Shiety’s」です。ディープな曲でしょう?知ってました,こんな曲が存在していたこと。

5曲目から,だんだんとカニエ“らしく”なっていきます。これはモニカ(Monica)の2003年の楽曲「Knock Knock」です。ミッシー・エリオットをfeat.し,当時R&B界の土壌に脈々と流れていた2000年代前半メロディを代表するかのようなビートです。

次回は,引き続き「その②」を紹介いたしますが,1曲目には,あの人が出てきます。日本の女子ブラック・ミュージック・リスナーにも当時人気を博していたキーシャ・コール(Keyshia Cole)のデビュー曲から始めます。

(文責及びキュレーション:Jun Nishihara)

UKの黒人音楽シーン(UKシリーズ:その⑤)

UK生まれのHip-Hop楽曲を以下にキュレートしておきます。

1. 1993年生まれのロンドン出身黒人女子ラッパー=ナディア・ローズ(Nadia Rose)。同郷出身の黒人ラッパー=ストームジー(Stormzy)の従姉妹です。

2. 1993生まれのロンドン出身黒人男性ラッパー=ストームジー(Stormzy)。もう今となっては英国出身のカオともなっておりますが(ドレイクにfeat.された後は特に),有名になる以前は暫くの間,英国アンダーグラウンドラッパーとして名を馳せておりました。

彼がアングラ・コミュニティに受け入れられるキッカケとなった,Wicked Skengmanフリースタイル・シリーズを以下掲載いたします。英国の「声」を聴いてみてください。

3. ミズ・ダイナマイト(Ms. Dynamite),1981年生まれロンドン出身。デビューはなんと2002年!デビューアルバム『A Little Deeper』はこれまで約50万枚を売り上げ,シングル曲「Dy-Na-Mi-Tee」は英国R&Bチャート第2位にランクイン。

4. カノ(Kano),若き英国ラッパー。アメリカではハードコア・ラップというジャンルが昔ありましたが,そんなものはUKにはそぐわない。UKでは,グライム・ラップ(Grime Rap)と呼びます。それが彼が名を馳せるキッカケをくれたものなのです。レペゼンはどこまでもイングランド。

5. デイヴ(Dave),1998年生まれ,ロンドンはブリックストン出身。ナイジェリア出身の両親のもとに生まれた3人兄弟の末っ子です。デビューアルバム『Psychodrama』は英国ヴァイナル・ファクトリーが選ぶ「2019年に出た最も素晴らしい50枚のアルバム」のなんと第1位に選ばれます。

その『Psychodrama』から収録楽曲「Black」を掲載いたします。

デイヴ(Dave)は2019年11月,米NPR局の“Tiny Desk Concert”にも登場しました。

(文責及びキュレーション:Jun Nishihara)

UKの若手黒人音楽シーン(UKシリーズ:その④)

英国UKの黒人音楽シリーズその④として,本日は,UK出身の若手黒人アーティストの楽曲を幾つかお届けします。

まずは1人目,英国はノッティンガム生まれの32歳。NAO(ナオ)です。ノッティンガムは人口27万人越えの学生の街として知られますが,子供の頃にイースト・ロンドンに引越し,学生の街生まれで大都会育ちの女子として育っていきます。

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(photo credit: The Fader)

デビューは2016年,アルバム『For All We Know』を発表し,UKのR&Bチャートで第5位を獲得。セカンド・アルバムは『Saturn』を2018年にリリースし,UKのR&Bチャートで第2位を獲得します。

その『Saturn』からシングル曲「Make It Out Alive」を下記掲載いたします。

2人目は,FKAツイッグス(FKA Twigs),17歳の頃,サウスロンドンという大都会に引越し,バックアップダンサーとして暫く名を馳せます。24歳で歌手デビューを果たし『EP1』をリリース。米ダンス・ミュージックとして第11位にランクイン。EP盤にも関わらず,好成績を挙げます。

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(photo credit: Glamour)

2014年にアルバム『LP1』をリリースし,あらゆるメディアから絶大の高評価を得ます。同アルバムに収録された「Two Weeks」を以下掲載いたします。

続きまして,3人目はロンドン出身のアーティスト,ドーニック(Dornik)です。ドーニックは元はラッパーのゴーストライターとして働いておりました。しかし2015年,ついに自身のために歌詞を書き,アルバムDornik』をリリースします。裏の人間から,オモテに出てきた瞬間です。

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そのドーニック(Dornik)から楽曲「Retail Therapy」を以下掲載いたします。

おまけにもう1曲,英国生まれのソウルフル!な楽曲「God Knows」です。

4人目は,セレステ(Celeste)。生まれは米国カリフォルニアですが,3歳の頃,ロンドン東部のダゲナム地区(Dagenham)に引越します。イギリス人の母親とジャマイカ人の父親を持ち,アレサ・フランクリン(Aretha Franklin)やエラ・フィツジェラルド(Ella Fitzgerald)の音楽に影響を受けます。

そのセレステから「I Can See The Change」をお届けします。

最後5人目は,マイケル・キワヌカ(Michael Kiwanuka),ロンドン出身のシンガー・ソングライターです。2012年にデビューを果たしアルバム『Home Again』をリリース。セカンド・アルバム『Love & Hate』は米GQ雑誌が選ぶ「2016年に出たベスト10枚のアルバム」の第7位に選ばれます。

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アルバム『Love & Hate』から楽曲「Black Man In A White World」を掲載いたします。

(文責及びキュレーション:Jun Nishihara)

JAY ELECTRONICAのアルバム『A Written Testimony』楽曲⑧「Fruits Of The Spirit」からジャスト・ブレイズまで。

この曲を再生(play)すると,まずビートに反応します。2000年代初期の頃にすでにラップをヘヴィに聴いてきたヒップホップ・ヘッズ(Hip-Hop Heads)にとっては,感慨深いものがあるでしょう。なんといったって,ジャスト・ブレイズ(Just Blaze)のビートをサンプリングしているのですからね。

聴き比べて見てください。まずは,ジェイ・エレクトロニカの当曲「Fruits Of The Spirit」です。

そして,このビートの元ネタとなったビート・プロデューサーの鬼才=Just Blaze先生のビートを聴いてみぃ。

ここまでソウルフルなビートネタ使いをできるのは,ジャスト・ブレイズ先生以外にいる?!?・・・あ,カニエがいたな。しかしながら,ジャスト・ブレイズ(「ジャス・ブレェェェィィィィィィィイズ!」)とカニエ・ウェストのネタづかいは,ちと違うんですねえ。

そっくりなんですけどね。

でも違うんですね。

例えばですよ,ジャスト・ブレイズ(Just Blaze)先生のビート・プロデュースの曲として,これを聴いてみて下さい。

The Diplomats – “I Really Mean It”(ビート・プロデューサーは produced by ジャスト・ブレイズ)

続きまして,こちらもジャスト・ブレイズ作。

Memphis Bleek – “Intro (U Know Bleek)”(produced by ジャスト・ブレイズ)

だんだん,感じてきました?ソウルネタも入れているのに,ドラムビートがぶっ飛んでます。

JAY-Z – “PSA (Public Service Announcement)”(produced by ジャスト・ブレイズ)

続けましょう。
次の曲は,メンフィス・ブリークのセカンド・アルバムから。

Memphis Bleek – 曲名が“Just Blaze, Bleek & Free”と3名の名前を並べた曲名。シック!(produced by ジャスト・ブレイズ)

続きまして。
ジャスト・ブレイズの弟子,と言っても,ビートメイカーの弟子ではなく,ラッパーとしての弟子。サイゴン(Saigon),覚えてます? 2011年に遅咲きでデビューして,アルバム『The Greatest Story Never Told』をリリースしたアイツ。レペゼンはニューヨーク市はブルックリン。少なくとも,ビートはキレッキレ!

Saigon – “The Greatest Story Never Told”(produced by ジャスト・ブレイズ)

それから,こういう曲もありました。
アッシャー(Usher)の名曲「Throwback」のビートを制作したのもジャスト・ブレイズ。

ヴォーカル無しで,ビートのみで聴いてみましょう。

最後に,XVっていうラッパー知ってますか?カンザス州出身のラッパーです。カンザス州と言えば『オズの魔法使い』の舞台となった場所で有名ですが,あんな田舎からラッパーが出てくるのか?と言わんばかりにあなた,今,思っていますよね?(笑)出てきたんです。

そのXVが自分の生まれ故郷であるカンザス州ウィチタ(Wichita)にオマージュを捧げた曲として,同名のタイトルで曲を作りました。ビートはもちろん,ジャスト・ブレイズ。

XV – “Wichita”(produced by ジャスト・ブレイズ)

このクラシック・ソウルミュージックをネタに回し,ヒップホップ曲に仕上げるというワザは,ジャスト・ブレイズの特権と言ってもいいほど,この人,廻しまくってます。まず,ジャスト・ブレイズがいて,その後にカニエ・ウェストがそのワザで名を馳せ始めてきました。

上記「ウィチタ」の曲は,ジャスト・ブレイズの典型的なソウル・ネタ回しだと思います。やっぱりカニエとは違いますよね。これはカニエではない,ジャスト・ブレイズだ,っていうのが分かる。

すいません,最後とか言っといて,もう1曲いいですか?ジャスト・ブレイズ制作のビート。

ドレイク(Drake)のセカンド・アルバムから。この曲,Drake – “Lord Knows”(produced by ジャスト・ブレイズ)です。

本日は,ジャスト・ブレイズ(Just Blaze)制作の楽曲を聴きまくりましたので,次回はカニエ・ウェスト(Kanye West)が他のアーティストに提供した楽曲を幾つか聴いてみましょう。

(文責&キュレーション:Jun Nishihara)

黒人若手女子アーティスト2名(米公共ラジオ局(NPR)主宰“Tiny Desk Concert”で取り上げられた黒人女子シンガー抜粋(その②))

本日ご紹介する2名のシンガー/ラッパーは,現代音楽界に於ける,とても特別なお二人です。

ひとりめは,当サイトでも以前取り上げました。
公式デビューアルバムを本年3月にリリースしたチカ(CHIKA)です。
(「第4位:大ブレイク寸前,漆黒の女子ラッパー=オラニカ又の名をCHIKA「トランプ大統領への手紙」(2019年Hip-Hop名曲名場面ベスト50)」)

ついに,チカも米公共ラジオ局(NPR)の「Tiny Desk Concert」に登場するようになりました。
以下の演奏と彼女の饒舌ぶり(間奏中の,おしゃべり達者!)をご堪能下さい。

前回,当サイトで彼女を取り上げた際には彼女が公式デビューアルバム『Industry Games』をリリースする前でしたので,彼女のフリースタイル映像をメインにご紹介いたしました。

最近はもう有名になってきておりますので,米国現代の若者文化(スローガンは“The Culture of Now”)を代表するウェブサイトUPROXXに於いて,“Rising Hip-Hop Star”(人気上昇中のヒップホップスター)として取り上げられたこともあり,その洗練されたミニセッション映像をお送りいたします。

チカのシングル曲「No Squares」も掲載しておきます。

ちなみにヒップホップを聴いている方なら誰でも知っている(べき)元Queen of Hip-Hopといえばローリン・ヒル(Lauryn Hill)ですが,彼女のメジャーヒットシングル曲「Doo Wop (That Thing)」のビートに乗っけたチカ(CHIKA)のフリースタイルがありますので,掲載しておきます。これは2017年の映像です。もう3年前!

もうひとつ,チカのフリースタイルを。これも3年前の映像です。キレッキレのフリースタイルです。韻を全くハズさない!脚韻だけでも注意して聴いてみてください。脚韻というのは各ラインの終わりのフレーズで踏む韻です。

続きまして,ふたりめはNoname(ノーネーム)です。本名ファティマ・ワーナー。当サイトでも以前,こちらで取り上げました

彼女の以下“Tiny Desk Concert”での模様は,大好きな動画の一つで,これを観て朝元気になって仕事に行くということもありました。

Nonameはシカゴ出身。シカゴはカニエ・ウェストやコモン,ルーペ・フィアスコなど,ソウルフルなラッパーを数々輩出してきた大都市です。そこにこの特別な星(スター)をわれわれファンに授けてくれるなんて,なんてありがたいことか。

Nonameのように,ラップが詩的な人,って最近はめずらしくなってきています。とくに20代のアーティストではそうです。とっても貴重なアーティストなのですよ,ノーネームは。

そんな特別な存在であるNonameのライヴが51分間堪能できる映像がありますので(YouTube, thank you!)掲載しておきます。

あまりにも有名なシングル曲「Diddy Bop」のサビでNonameは歌います。

Watching my happy block my whole neighborhood hit the diddy bop
(ハッピーな近所の隣人たちが,みんなでディディ・ボップのダンスを踊る)

この1行を聴いた時,聴いた人の頭の中では,「幸せそうな隣人たち」のイメージが浮かんだかと思いきや,その後瞬間的に,イメージは「ディディ・ボップを踊る黒人」に切り替わります。

「幸せそうな隣人たち」といういかにもゆったりした時間かと思いきや,次に飛び込んでくる映像は「ディディ・ボップ」ですからね。もう,たまんないです。

同曲から,もう少し歌詞を引用してみます。

Stop overreacting, it’s past my curfew I’m out after 6
Happily making my accident
Mama gon’ whoop on my ass again
Pray that I’m making my way before 8 and I might have to sneak in the back again

(対訳)
過剰に反応しないで,門限はとっくに過ぎてる,夕方6時を回ってる
嬉しさあまりにアクシデント起こす
ママにまたお尻ぺんぺんされるわよ
祈ってる,午後8時前までには帰宅できること,また家の裏口からこっそり入ろうかしら

なんて素朴な歌詞!
Rauryというノーネーム仲間のヴァースです。

まぁ,これがノーネーム(Noname)なのです。まったく飾らない,素朴な歌詞を曲にするのです。

そして冒頭のチカ(CHIKA)とは対照的で,ノーネームには脚韻はあまり関係ないのです。その分,ラップにキレ感は無いのですが,しかしながら,脚韻なんて踏まなくても,すでに詩的になっている。

もう一丁,歌詞,行ってみましょう。

B2K in the stereo, we juke in the back seat
Or juke in the basement, in love with my KSWISS’s
This feel like jumping in a pool and I’m knowing I can’t swim
Ooh, you about to get your ass beat
For stealing that twenty dollars like “baby, just ask me”

(対訳)
ステレオで流れるB2Kの歌,後部座席でバカ暴れするアタシたち
お気に入りのKSWISSのスニーカー履いて,家の地下でバカ暴れ
まるで気分は,プールに飛び込んで,アタシ,泳げないんだけどね
ウゥゥ,あんた,ママにお尻蹴飛ばされるわよ
20ドル札ドロボーしたでしょ「ベイビー,いつでも言って」って

良いですねえ。

歌詞中の「B2K」っていうのは2000年代前半に流行った黒人のボーイバンドです。↓これです。

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2行目の「KSWISS」っていうのは,これも2000年代前半に流行ったスニーカーです。懐かしいですね。今でも売れていますよ。

で,そのKSWISSを履いて,家の地下で踊りまくるっていうイメージです。まず,KSWISSで1ポイント。それに加えて,アメリカの家はよく地下に部屋がありますよね。郊外の中流階級の家庭では地下の部屋にpool table(ビリヤード台)を置いて,ちょっとした遊びの場所にするっていう。で,もちろんアメリカの家は靴を履いたまま家の中に入りますから,KSWISSを履いて踊るという映像。そういったアメリカの素敵なイメージを思い浮かばせといて,その後に「you ’bout to get your ass beat」というフレーズを繰り出す。まったりした白人の日常かと思いきや,リスナーが安心した瞬間に上記のようなフレーズを繰り出して「アタシは黒人よ!」というアイデンティティの表出を成功させます。

その素敵なシングル曲「Diddy Bop」を掲載して,本日終わりにします。

(対訳,文責及びキュレーション:Jun Nishihara)

ビヨンセのBET 2020スピーチと,メーガン・ジー・スタリオンの2020 BET MUSIC Awardsでのパフォーマンス映像。

当サイトで発表した「2019年に最も活躍したHip-Hopアーティスト及び名曲名場面ベスト50」の第1位を飾ったメーガン・ジー・スタリオン(Megan Thee Stallion)でしたが,本年2020年も彼女の勢いは続行します。

本年2020年6月28日に開催されたBET Awards ’20(18年前に私がBETを観ていた時,BET Awards ’02でしたが,今はもうBET Awards ’20なのです。あれからもう18年も経っているのです。)では,Humanitarian Award(人道的活動に対する賞)としてビヨンセ(Beyonce)が非常に栄誉ある賞を受賞しました。オープニングは元大統領夫人のミシェル・オバマ夫人が登場してくれました。

そして,「Best Female Hip-Hop Artist(最も素晴らしい女性ヒップホップアーティスト)」としてメーガン・ジー・スタリオン(Megan Thee Stallion)が賞を受賞。ノミネートは,カーディB(Cardi B)やニッキー・ミナージュ(Nicki Minaj),ドジャ・キャット(Doja Cat),サウィーティ(Saweetie)リゾ(Lizzo)そしてメーガン・ジー・スタリオン(Megan Thee Stallion)が入っておりましたが,メーガン・ジー・スタリオン(Megan Thee Stallion)が本賞を受賞し,今年も夏をアツくさせてくれるアーティストとして引き続き注目は欠かせないですね。

そのメーガン・ジー・スタリオンの2020年BETパフォーマンス映像を掲載いたします。

おまけに,昨年の夏をアツくしてくれたR&Bアーティスト=サマー・ウォーカー(Summer Walker)のパフォーマンス映像も掲載しておきます。

(文責及びキュレーティング:Jun Nishihara)

カニエ・ウェスト feat. トラヴィス・スコットの新曲「Wash Us In The Blood」リリース。

遂にリリースされました。カニエ・ウェストfeat.トラヴィス・スコットの新曲「Wash Us In The Blood」。タイムライン00:40で,お尻をフリフリ振りまくるtwerkerを左の画面に見せながら「これが神の国だ」とモロ真正面に「God’s Country」という文字を提示するというのはカニエ・ウェストらしい映像であります。

もうこれからはクリスチャン・ミュージックしかやらない!と宣言したカニエ・ウェストでしたが,ここまでも非クリスチャンである(クリスチャンを否定している)神をテーマにした楽曲っていうのは,非クリスチャンを真正面から経験してきたカニエであるからこその芸術,クリエイティビティであると言えます。

黒人女子のtwerkerを見せながらこれが神の国だ!っていう矛盾の思想が1つ,そしてもう1つは現政権でも何でもいいですが,あらゆるシステムへの憤りをドライブ(駆り立てる)するかのような激しいビート,この2つは頻繁にカニエの芸術に登場します。

Kanye West feat. Travis Scott – “Wash Us In The Blood”

(文責:Jun Nishihara)

元ネタの曲を知る(13):Megan Thee Stallion ⇄ Eazy-E, Dr.ドレー, アイス・キューブ

先週6月26日(金)にリリースされたメーガン・ジー・スタリオン or ミーガン・ジー・スタリオン(Megan Thee Stallion)の新曲「Girls in the Hood」は,1987年にリリースされたコンプトン出身,ウェッサイの総本家=Eazy-E率いるN.W.Aの名曲「Boyz-n-the Hood」を元ネタにサンプリングしております。

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Girls in the Hood 6/26 😈✨

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先週もお伝えしたティアナ・テイラーのケースでもそうですが,80年代のHip-Hopがこのように30年の時を経て,2020年代に若手アーティストによって蘇らせられるというのはとても重要なことと当サイトでは考えております。当時の音楽が忘れ去られるということに非常なる危機感を当サイトでは感じており,これだけ素晴らしき音楽が生きていたという事実をなんとしてでも次世代に繋げていかなくてはならない,ということを極めて重要なテーマの一つに掲げております。

そういった意味でも,現代Hip-Hopを先導するメーガン・ジー・スタリオン(Megan Thee Stallion)が80年代の名曲・名盤を蘇らせてくれていることは極めて意義深いことであり,彼女に感謝の念を込めて,以下本曲を掲載しておきます。

このメーガンのフローと勢い,そして明快明瞭なライムにぶっ飛ばされて(blown awayされて)みてください。

続いては,本家本元,ウェッサイの総本家,N.W.Aの大元音源です。

(文責:Jun Nishihara)