パリで開催されたファレル・ウィリアムズによるルイ・ヴィトン・ファッション・ショー

先日2023年6月20日に開催された、ファレル・ウィリアムズ(Pharrell Williams)のルイ・ヴィトン・ファッション・ウィーク(Louis Vuitton Men’s Spring-Summer 2024 Fashion Show by Pharrell Williams)の映像をどうぞ。この映像とファッションと音楽を充分に堪能してください。

キュレーティング:Jun Nishihara

ドレイク、ついに米ビルボードチャートの歴史を塗り替える。

LONG BEACH, CALIFORNIA – OCTOBER 30: Drake speaks onstage during Drake’s Till Death Do Us Part rap battle on October 30, 2021 in Long Beach, California. (Photo by Amy Sussman/Getty Images)

ドレイク(Drake)が米ビルボードチャートの歴史を塗り替えました。毎週発表される米ビルボード誌のランキングで、上位5位に入った回数が最も多かったアーティストまたはバンドは昨2022年まではビートルズでしたが(いや、それも凄いことで、ここ60年ほどぶっ続けでビートルズはその地位を確保し続けたということ)、ビートルズ(The Beatles)に代わって、ドレイクがその座に君臨することになりました。

記録王ドレイク(Drake)がどれ程凄いことを成し遂げたかというのは下記を見てもらえれば分かると思いますが、マドンナやマライア・キャリーをも凌いだということです。

【米ビルボード・ランキング史上、上位5位に入った回数が最多数のアーティストまたはバンド】
1位:ドレイク(Drake)
2位:ビートルズ(The Beatles)
3位:マドンナ(Madonna)
4位:マライア・キャリー(Mariah Carey)
5位:ジャネット・ジャクソン(Janet Jackson)
6位:リアーナ(Rihanna)
7位:エルヴィス・プレスリー(Elvis Presley)
8位:ジャスティン・ビーバー(Justin Bieber)
9位:スティーヴィー・ワンダー(Stevie Wonder)
10位:エルトン・ジョン(Elton John)
11位:テイラー・スウィフト(Taylor Swift)
12位:ホイットニー・ヒューストン(Whitney Houston)

そのドレイク(Drake)が先週、新たにミュージックビデオをリリースしたので、掲載しておきます。

Drake & 21 Savage – “Spin Bout U”

(文責:Jun Nishihara)

第65回グラミー賞2023年を振り返って。Hip-Hop生誕50周年記念tributeと、「GOD DID」のライヴパフォーマンス。

ありがたいことにNYに住んでいることから、リアルタイムにグラミー賞を(今年はCBSで)観ることができたのですが、奇しくも2023年はHip-Hop生誕50周年記念の年であるということで、グラミー賞授賞式中にHip-Hop50周年を称えるパフォーマンスが約12分間行われました。新旧のHip-Hopアーティストが1つのステージに集まって、50年前の古いHip-Hop曲から、去年出た新しい曲まで、じかにアーティストがパフォーマンスを披露したという豪華な映像を観ることができました。

そのなかでLL Cool Jが「multi-generational」という言葉を使っていましたが、かつてはHip-Hopは若者だけが聴く音楽だ、と言われていたのが、今やどの世代でも聴くようになった。1973年にHip-Hopが生まれた当時、20代とか30代だった世代は、いまはもう70歳とか80歳のおじいちゃん、おばあちゃんになっている。その世代がHip-Hopの先駆けであり、同時にまさに現代の20代や30代も同じ音楽を聴いているという珍しい現象が起きている。それが現代のHip-Hopであるということを、彼ら/彼女らのパフォーマンスを観て思ったことでした。

そのHip-Hop生誕50周年記念を称える映像がこちらです。

そしてお待たせしました。
もうこのサイトで幾度となく取り上げている楽曲「GOD DID」。DJ Khaledを中心に、Rick Ross, Lil Wayne, John Legend, Fridayy、そしてJAY-Z、というメンツで今年のグラミー賞授賞式のトリを飾りました。

JAY-Zの4分間ぶっ続けのラップ。4分間というと、結構長いですよ。4分間のスピーチを一語一句覚えてreciteするのは、非常に難しい。にもかかわらず、4分間ぶっ続けのラップをジェイ・Zはこのパフォーマンスで見せてくれました。

最後にジェイ・Zが叫ぶ「Khaled, take us home!」ここが気に入りました(笑)。

(文責:Jun Nishihara took y’all home!)

(生放送)もうすぐ米・グラミー賞授賞式が開催いたします。

もうすぐグラミー賞授賞式が開催いたします。

米国東海岸時間の2月5日(月)20時30分(西海岸時間では17時30分)から生放送でグラミー賞授賞式は開始いたしますが、その直前のレッドカーペット生中継(Live from the Red Carpet)から観覧されたい方は、米国東海岸時間18時30分(西海岸時間では15時30分)から以下のサイトで観覧開始可能です。

https://live.grammy.com/

(文責:Jun Nishihara)

2月5日(日)はグラミー賞です!

2023年2月5日(日)はグラミー賞が開催されます。今年のグラミー賞はカリフォルニア州ロサンゼルスのCrypto.comアリーナから生中継。米国ではCBSネットワークにて放映されます。2023年はHip-Hop生誕50周年記念の年ということであり、今般のグラミー賞においてもそのHip-Hopの功績が称えられる機会が設けられるということです。

注目のパフォーマーは、我らがDJ Khaled、Rick Ross、Lil Wayne、そしてJAY-Z。楽曲は「GOD DID」です。

2023年グラミー賞開催まで、あと1日です。

(文責:Jun Nishihara)

第1位:DJ Khaledが「天の主」に対して感謝を述べた讃歌「GOD DID」(2022年Hip-Hop名曲名盤ベスト20!)

ついに2022年の第1位を発表する時がやってきました。

2022年の第1位に輝いたのは,DJキャレド(DJ Khaled)率いる錚々たる顔ぶれが集まって作り上げた楽曲「GOD DID」です。

楽曲「GOD DID」では,リック・ロス(Rick Ross),リル・ウェイン(Lil Wayne),ジョン・レジェンド(John Legend),フライデー(Fridayy)そしてジェイ・Z(JAY-Z)がフィーチャリングされています。

これは,ひと言で言うと,神への感謝を歌にしたものです。しかし,ご案内のとおりジェイ・Z(JAY-Z)はキリスト教徒ではありません。宗教は明かしていません。また,DJキャレドにしてもキリスト教徒ではなく,自分で公開しているとおり,DJキャレドはイスラム教徒です。つまり,神(GOD)と言いつつも,彼らが「GOD」というものは神のみならず,それは「天」であり,「アッラー」であり,「シヴァ神」であり,「天御中主神(アメノミナカヌシノカミ)」であるのです。我々人間を遠く高いところから見守ってくれているものに対する讃歌です。

まずはそれを理解していただいて,次に進みます。

DJキャレドが曲中で言う「they」とは「人間」のことです。それに対比させて「GOD」を持ってきています。そしてその後キャレドはこう言います。「GOD DID」であると。ここで過去形(DID)を使っています。現在形(DO, DOES)や未来形(WILL DO)ではありません。過去形,つまり,すでにGODがしてくれたことに対して感謝しているということです。何かをしてくださいというお願いをするのではなく,すでに与えられた(過去形)こと,すでにしてもらった(過去形)ことに対して,ありがとう,と言っているのです。

ここまでの大成功者であるこの4人が集結して,全員で,なんらかの高きエネルギー体に対して,感謝を述べているという構図です。

それから,もう一つ重要なのは,曲の冒頭でDJキャレド(DJ Khaled)が言う言葉です。DJキャレドはラップはしません。その代わり,重要な言葉を言います。歌うわけでもなく,ラップするわけでもないですが,ビートを制作し,曲をプロデュースさせ,そしてたまに曲でたいせつなことを「言い」ます。

こう言います。

While you hatin’ and being jealous
You could be over here embracing that love
More love, more blessings, more life

訳:
人を嫌ったり,他人に嫉妬している暇があるのなら
こっちへ来て,愛を受け入れようではないか
もっと愛して,もっと恵みを与えられ,もっと生きる

DJキャレドが誰かとビーフをやっているといったことを聞いたことがない。DJキャレドが誰かのことを陰で悪く言っていることを(これだけSNSが発達している時代に)ひと言も聞いたことがない。DJキャレドから出てくる言葉は愛しかない。

こんなラッパーというかラッパー関係者は今までいなかった。
あのディディでさえ,ウェッサイ(西側)と対決していた。
しかし,DJキャレドは人と対決するということさえしたことがなかった。
これはもう,ヒップホップ界で唯一,そんなことができるのはDJキャレド(DJ Khaled)しかいない。これまでヒップホップのエッセンスなどと呼ばれてきた「ラップ対決」が最も相応しくない人物がこのDJキャレドなのだ。

さて,この曲に3人の人物をDJキャレドは起用した。2010年以降,ヒップホップ界を牛耳った巨漢のマフィア・ラッパー=リック・ロス(Rick Ross)。彼はDJキャレドと同じくマイアミ出身。映画『スカーフェイス』のロケ地ともなったマイアミは本物のマフィアが麻薬を取引するということが起こることが多い場所である。リック・ロスが無名から有名にのしあがったその隣には,常にDJキャレドの存在があった。

もう一人は,ニューオーリンズ出身のリル・ウェイン(Lil Wayne)。90年代後半から深南部(Deep South)出身のラッパーとしてヒップホップ界に君臨。アルバム『The Carter III』は,リリース後1週間で,はい,1週間で,100万枚以上の売り上げを出すという,ヒップホップ史上最も売れたアルバムを出した張本人。しかも大ベテラン。1995年からラッパーとして活動をしており,もう27年経っている。1982年生まれなので,13歳からプロフェッショナルにラップをしていた計算になる。そのリル・ウェインが今さらではなく,今であるからこそ,神がしてくれた(過去形)ことに対して感謝を述べた讃歌(GOD DID)をこうして捧げた。

3人目はジェイ・Z(JAY-Z)。
ジェイ・Zはこう言います。

Sometimes I feel like Farrakhan talkin’ to Mike Wallace
I think y’all should keep quiet

訳:
時に思う,俺はマイク・ウォレスと議論するルイス・ファラカーンかと
あんたらに言われる筋合いは無い

「I think y’all should keep quiet(おまえら,黙っとけ)」というのは,1996年,米CBSネットワーク局の報道番組「60 Minutes」において,ルイス・ファラカーンがマイク・ウォレスに言い放ったフレーズです。

ジェイ・Zのヴァースは3分05秒から始まり,6分48秒で終わります。この3分43秒の間,ぶっ続けでジェイ・Zはラップをするわけですが,その間に言ったこと全てがルイス・ファラカーン(Louis Farrakhan)であるようだ,というのです。

ルイス・ファラカーンは上記インタヴューで,マイク・ウォレスに対して言います。ナイジェリア政府の批判をする前に,自国(アメリカ)の政府がどれだけ腐敗(corrupt)しているか分かっているか。ナイジェリアは(インタヴュー当時1996年)建国してわずか35年しか経っていない国であるのに対し,アメリカは独立して220年経っているにもかかわらず,いまだにこんなにも汚職のある国である,と。人のこと言う前に,自分を省みてみよ,と。

つまり,3分43秒でジェイ・Zがラップしていることというのは,ルイス・ファラカーンのインタヴューから26年経った今,2022年,アメリカを知る上で最も重要なことである薬(ドラッグ)の世界とそれを取り巻く法律(the laws)についてなのである。

ジェイ・Z(JAY-Z)という人間は,経済的な豊かさを手に入れることに成功した後は,法律を揺さぶる(つまり政府を動かす)ことにまで影響力を持ち始めたのである。ミーク・ミル(Meek Mill)を刑務所から出してやったことについてもそう。大麻(cannibis)をNY州で合法にしたというのもそう。ひと昔前までは非合法であったことを,政府を巻き込んで,政府の決断に対して影響力を持つということを,公にやる,という,世界最大のヘッジファンド,ブリッジウォーター・アソシエイツの創業者であるレイ・ダリオが著書『Principles(邦題:人生と仕事の原則)』で述べていた第一の原則である「徹底的に隠し立てをしない」をまさにやってのけているという,成功するための大原則をジェイ・Zは我々にラップをとおして教えてくれているというなんと贅沢なことであろうか!

そしてこういった歌詞のラップを聴く際に,我々に求められている態度は,「徹底的にオープンになる」ということである。ちなみにこの「徹底的にオープンになろう」というのは,前著『Principles』の3番目の大原則でもある。

ジェイ・Zはこう言います。

Odds wasn’t great, we’d even be alive
Gotta be crazy to y’all niggas, we surprised
Shit is too much how we grew up
Shit don’t even feel real to us

訳:
俺らが生き残る確率は,極めて低かった
どうしたことかと,おまえらもビビってる,俺らこそ驚いた
どんだけ苦労して,大きくなってきたか
あの頃のこと考えると,いまの人生が本物(リアル)だとは到底思えない

しかし・・・

HOV DID.
(ホヴァは生き残った。)

そしてそれを聴く私の態度として,この4人に生かしてもらっていることに,感謝。KHALED DID.

取り敢えず,2022年のベスト20はここで終了いたします。
ここまで読んでくださって,ありがとうございました。
いえ,たとえ読んでくださっていなくても,このページに来ていただいて,ありがとうございました。

ヒップホップの歴史は,この曲がそうであったように,常に新たに絶え間なく刻み続けられています。

2022年,あらゆる素晴らしい音楽が誕生しました。このページで紹介できるのはほんのわずかな数ですが,それでもこのページに来てくださっていて,感謝しています。

どうもありがとうございます。

2023年も,どうぞ,よろしくお願いいたします。

(文責:Jun Nishihara)

第2位:ドレイク『HONESTLY, NEVERMIND』及び,ビヨンセ『Renaissance』のアルバム (2022年Hip-Hop名曲名盤ベスト20!)

2023年、新年に相応しいアルバムはこちらです。

第2位、ドレイク(Drake)のアルバム『HONESTLY, NEVER MIND』と,
ビヨンセ(Beyonce)のアルバム『Renaissance』です。

上記両方のアルバムは,2022年にリリースされた名盤中の名盤です。
ドレイクの『HONESTLY, NEVERMIND』については,ドレイクが意図したものか意図しなかったものかは分かりませんが,Hip-Hopという音楽のジャンルに対してある種革命的な衝撃をもたらしたアルバムであることは否定できない事実でしょう。
ビヨンセの『Rennaisance』も然りです。
この2枚のアルバムに共通していることは,これまでのHip-HopやR&Bといったジャンルに与えられていた固定観念をぶち壊してくれたアルバムである,ということ。それは「ダンス」という芸術表現にだいぶ助けられました。もっと言うと「ダンス・ミュージック」という表現です。ドレイクとビヨンセ,いずれも長年のキャリアを持つ今となっては大ベテランの二人が,この2022年に「ダンス」を選んだ(それは意識的になのか,無意識なのかはさておき)というのは感動すべきことであるということをあまり多くの人は気づいていないかもしれません。

ドレイク(Drake)に至っては今年2022年にアルバムを2枚リリースしました。第3位の『HER LOSS』と第2位の『HONESTLY, NEVERMIND』です。

アメリカでは,というか,世の中は『HER LOSS』のほうを名作と呼んでいる傾向にあるようです。YouTube上のあらゆるHip-Hopアルバム評論ユーチューバーたちを見ても,そういった論評が多いですね。『Her Loss』と『HONESTLY, NEVERMIND』、この2枚のアルバムの違いは,つまり,こういうことです。
偶然の賜物(自然(ゼロ)から誕生したもの)を選ぶか,その偶然を生かして作り上げた創造物(いわば副産物)を選ぶか,という判断に委ねられます。ここは個々人の判断が分かれるところかもしれませんが,私は「自然」のほうを選びました。なので,『HER LOSS』(副産物)を第3位にして,『HONESTLY, NEVERMIND』(自然)をそれより上位の第2位としました。

なぜ,『HONESTLY, NEVERMIND』が“自然”なのか。それは,これまでドレイクが作り出すことを期待されてきた音楽とは全く異なるものを作り出したということ,だからです。期待どおりにしなかった。これまでドレイクのキャリアで,『More Life』というダンス・ミュージックをメインに入れ込んだアルバムはあったものの,それはドレイクの方向性であるべきではないとずっと言われてきた。評論家や一般リスナーたちから。むしろ,一般的なヒップホップリスナーたちの論調としては,ドレイクはダンス・ミュージックを作るべきではなく,Hip-Hopに回帰すべきである,という論調が大多数の意見であった。しかしながら,ここで,今年2022年,ドレイクはそれに反して,ダンス・ミュージックをフルに使った『HONESTLY, NEVERMIND』を世に出した。人間が意識的に作り出した人工物なぞは、自然の力の前には到底及びもしません。それだけ自然の力には、破壊力というとんでもない威力が潜んでいます。まさにHip-Hopの世界において,このアルバム『HONESTLY, NEVERMIND』は破壊力がでかく、衝撃的なアルバムであった。それに気づいていないヒップホップリスナーたちは,いまだに最後の収録楽曲である「Jimmy Cooks」が一番良い曲であると,勘違いをしている。ドレイクが21サヴェッジ(21 Savage)とコラボした曲は,これまで何曲かありますが,どれもヒットしているところを見ると,「Jimmy Cooks」がこのアルバムで最高の曲であると勘違いする輩(やから)が多いのも理解はできますが,しかしそれがドレイクの良さではない。ヒットすれば良いという訳ではない。全米ビルボードで1位になれば,それがHip-Hopで同じように評価されるかというと,そうではない。ドレイクと21サヴェッジの相性がいいのは確かでしょう。しかしながら,ドレイクの本当の良さはそこではなく,何も無いところから,ゼロから,『HONESTLY, NEVERMIND』のようなアルバムを作れるところにあるのです。ついては,『HER LOSS』は,21サヴェッジとのコラボレーション曲(「Jimmy Cooks」)を気に入ってくれたファンに対するプレゼントのようなもので,これは偶然ではなく,ドレイクもしくは業界が意図して作り出したものにすぎないと考えます。しかし,期待されて作り上げたものが期待以上のデキであるというところが,ドレイクの凄いところなのですが,いくら期待以上のデキだとしても,それは“自然”には到底勝てるものではありません。

ここで話をガラッと変えて,ビヨンセ(Beyonce)の2022年最高傑作アルバム『Renaissance』に移りたいと思います。

名曲が幾つも輩出されました。ここに3曲掲載しておきます。どれもTikTok上,Twitter上,Instagram上で,あらゆるSNS上で、素人たちがダンスを踊って投稿する音楽(ダンス・ミュージック)として起用されました。

Beyonce – “CUFF IT”

Beyonce – “ENERGY”

そして,アルバム収録楽曲の中でも衝撃的だったのが,こちらです。是非ともこれを爆音にして聴いてください。
Beyonce – “ALIEN SUPERSTAR”

そして,こちらの楽曲も掲載しておきます。ビヨンセの「Virgo’s Groove」です。このアルバム『Renaissance』には名曲に次ぐ名曲が収録されていますので,通して聴くべきアルバムです。

2023年,ドレイクとビヨンセの新しきダンス・ミュージックの世界はしばらく続きそうです。

(文責:Jun Nishihara)

第3位:ドレイク x 21 Savage の共同作『Her Loss』アルバム (2022年Hip-Hop名曲名盤ベスト20!)

あけまして、おめでとうございます。
2022年はありがとうございました。
今年2023年も、どうぞ宜しくお願いいたします。

2023年まず一発目はドレイクです。

2022年、ドレイクと21サヴェッジ(21 Savage)がコラボレートして作り上げたアルバム『Her Loss』がヒップホップリスナーの間でバカウケしました。21サヴェッジとコラボ作を作ってもらいたいというドレイク・ファンの思いをそのまんま受けて,期待どおり,否,期待を上回るアルバム『Her Loss』を作り上げたという構図です。

つまり,『Her Loss』には制作される前,その先に,ファンの思いがあった。ファンの思いが形となった。

このアルバムで特筆すべきは,ビートスウィッチ(beat switch)です。アルバム冒頭からそれが顕著に出ている。1曲目「Rich Flex」の再生時間2分25秒を過ぎたところですね。

ということで,それぞれの収録楽曲のビートスウィッチ再生時間を以下にまとめておきます。他のサイトでこんなことやってるサイト,ある??

1曲目「Rich Flex」3分59秒の曲中,再生時間2分25秒を過ぎたあたり。
2曲目「Major Distribution」2分50秒の曲中,わりと早く0分32秒(「Magic City need a business office.」というフレーズが笑いですね。アトランタ最大のストリップクラブであるマジック・シティにビジネスオフィスが必要だと(笑)。)
3曲目「On BS」ビートスウィッチなし。
4曲目「BackOutsideBoyz」ビートスウィッチなし。
5曲目「Privileged Rappers」末尾にあります。2分26秒。
6曲目「Spin Bout U」ビートスウィッチはなし。サンプリングからビート入るビート・インは0分12秒にあり。
7曲目「Hours In Silence」6分39秒の曲中,2分03秒を過ぎたところです。
8曲目「Treacherous Twins」ビートスウィッチなし。
9曲目「Circo Loco」ビートスウィッチはなし。サンプリングからビートへのビート・インは0分17秒にあり。
10曲目「Pussy & Millions」2分04秒になかなかデカいビート・ドロップあり。ここが3分10秒のビートスウィッチに繋がります。そしてまた3分39秒でビート・ドロップに戻るので,ダブルにビートがガラッと変わる本曲はビート制作の面で,名曲と呼べるかもしれません。あと,聴き比べてもらいたいと思うのですが,曲中0分30秒の箇所と,2分04秒の箇所との違いです。いずれも歌詞は「Bring on a muthafuckin’ problems!」ですが,ビートの入り方が異なるので,極めておもしろいですよ。
11曲目「Broke Boys」3分45秒の曲中,1分54秒で,かなりデカいビート・ドロップあり。ここから曲の雰囲気はガラッと変わります。この曲についてもう一つ突飛なことがあるとすれば,曲の入り方ですね。まるで途中から始まっている錯覚を受ける。冒頭の曲入りは複雑なことになってます。
12曲目「Middle of the Ocean」5分56秒の曲中,1分52秒にビートスウィッチ発生。そして再度,4分49秒でビートスウィッチ発生。1曲をとおして,2002年,2003年の匂いがぷんぷんします。ぷんぷんします。
13曲目「Jumbotron Shit Poppin」ビートスウィッチなし。
14曲目「More M’s」ビートスウィッチなし。
15曲目「3AM on Glenwood」2分58秒の曲中,2分27秒で微かなビートスウィッチあり。
16曲目「I Guess It’s Fuck Me」ビートスウィッチなし。

(文責:Jun Nishihara)

第4位:今年、NYを最もレペゼンした男=’90年代からHip-Hop界に君臨するDON=ディディ(Diddy)(2022年Hip-Hop名曲名盤ベスト20!)

今年2022年を振り返って、NYを最もレペゼンしていた男といえばディディ(Diddy)なのかもしれません。

Hip-Hop史上最も重要なバトルと云われている2パックとビギー(The Notorious B.I.G.)の対決は、お互いの死という最も悲劇的な形で終わりを遂げましたが、そのビギーを世に広めたのはディディ(当時はパフ・ダディと呼ばれていました)です。本名クリストファー・ウォレス(Christopher Wallace)=The Notorious B.I.G.=ビギーは、ディディに導かれ、当時、NYでぐつぐつと人気沸騰しかけていたレコード・レーベル=The Bad Boy Recordsに所属をし、1996年に亡くなるまで、数々の名曲を生み出しました。

そして先週末12/10(土)に、ディディはリック・ロス(Rick Ross)と組み、こちらのミュージックビデオをYouTube上でリリースしました。

最後の「You’ll see, you’ll see」(そのうちわかるよ)という意味深な言葉を残してビデオを終わらせています。

しかし今年のディディ(Diddy)はそれが理由で第8位になったわけではないのです。
今年ディディは、ブライソン・ティラー(Bryson Tiller)をヴォーカルに迎えて、こちらの名曲を生み出しました。

そして、このビートに様々なラッパーたちが乗っかり、自身のフリースタイルをスピットしました。その一つが、第15位で紹介したファボラス(Fabolous)ですが、そのFabolousが #GottaMoveOnFreestyleChallenge というタグでフリースタイル・チャレンジを生み出しました。

Yung Miamiがフリースタイルする、こちらもその一つです。

ちなみにディディは毎年自分の誕生日(11月4日)(ジェイZは12月4日)に、バースデーパーティを自宅豪邸で開きますが、今年のバースデーパーティーにはジェイZや彼女と噂されているCity Girlsの片割れYung Miamiらを迎え、こんな感じで開催しました。

いろいろ書きましたが、今年イチ、感動的だった瞬間は、ディディのこちらのステージかもしれません。2022年米BETアワード・ショーです。後半の9分35秒からですね。「Gotta Move On」のパフォーマンスが始まり、その後、ディディの子どもを産んだ今は亡きパートナーであるキム・ポーター(Kim Porter)に捧げたステージが映し出されます。

2022年米ビルボード・アワードショーでも「Gotta Move On」のパフォーマンスは披露されました。こちらです。

最後に、1996年リリースのディディとビギーの「Hynotize」のミュージックビデオを掲載しておきます。

さらに、さらに最後に、2022年ディディが米BET Hip-Hop Awards Showで「Lifetime Achievement Award(生涯特別功労賞)」を授賞した模様を掲載しておきます。

今年2022年の締めくくりは、下記DiddyのセクシーなMVで年越しをいたします。Ruby Roseが主演のミュージックビデオ「Sex In The Porsche」です。

Diddy & PartyNextDoor – “Sex In The Porsche” starring Ruby Rose

2022年も当サイトRapHabitのページに来てくださり、ありがとうございました。
2023年もどうぞ宜しくお願いいたします。
Thank you for visiting this site in 2022!
Happy holidays and happy new year!

明日、お正月、引き続き第3位を発表していきます。
今後の予定は、以下のとおりです。

2023年1月1日:第3位
2023年1月2日:第2位
2023年1月3日:第1位

そして第1位を発表後、新年1月は冬休みをいただいて、次回は2023年2月8日(水)から更新を再開いたします。

皆様、良いお年をお迎えください。
また明日2023年1月1日にお会いしましょう。
特に常連の方、asami10033さん、いつもありがとうございます。
本ページにお越しいただいた皆様、2022年、ありがとうございました!

(文責:Jun Nishihara)

第5位:ケンドリック・ラマーの「The Heart Part 5」(2022年Hip-Hop名曲名盤ベスト20!)

2022年に生まれたHip-Hopのうち最高傑作を作り出した一人は,ケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)です。アルバム『Mr. Morale & The Big Steppers』をリリースする前,The Heartシリーズの第五作目「The Heart Part 5」を出しました。こちらです。

上記映像でケンドリック・ラマーは,ウィル・スミスやカニエ・ウェスト,そしてニプシー・ハッスルなどに化けて(憑依して)ラップします。これは「視点の移行」もしくは「なりきる」という一種の表現の極致です。その人物はどう思うだろうか,どういう思いで今を生きているか,ということをケンドリック1人で,6人の顔(カオ)に化け,ラップします。

Dehumanized, insensitive
Scrutinize the way we live for you and I
Enemies shook my hand, I can promise I’ll meet you
In the land where no equal is your equal
Never say I ain’t told ya, nah
In the land where hurt people hurt more people
Fuck callin’ it culture

訳:
非人間的で,無神経
俺たちの生き様をいちいち批判してくる
敵に握手を求められ,俺は約束する,向こう側で会おうぜ
不平等がおまえの正義であるような世の中
前から言ってきただろう,なぁ
傷ついた人々がさらに他人を傷つける世の中
そんなもんを文化(culture)などと呼ぶんじゃねえ

アメリカに対するケンドリックの思いでもあれば,黒人として生きることの辛さを描写したものでもある。それを6人の黒人に化けてラップする。ケンドリックの声から,一種の危機感(sense of urgency)を我々は感じ取る。そろそろ立ち上がる時である,と。じっと言いなりになってる場合じゃないと。その危機感がこの後リリースされる『Mr. Morale & The Big Steppers』へと昇華する。

ケンドリックはニプシー・ハッスル(Nipsey Hussle)に化けてこうラップする。

And to the killer that sped up my demise
I forgive you, just know your soul’s in question

訳:
俺の死を早めた犯罪者へ
俺はおまえを許す,しかし,おまえの魂(soul)が疑われていることは,知っておけ

(歌詞対訳:Jun Nishihara)