JAY ELECTRONICAのアルバム『A Written Testimony』楽曲⑦「Flux Capacitor」(独断偏見ライナーノーツ)

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楽曲の題名「flux capacitor」とは映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズに登場するタイムマシン(デロリアン)の内部装置として装着されている「次元転移装置」のことです。つまり,次元(時代)を行き来するために必要な装置で,ここでは,ジェイ・エレクトロニカとジェイZがこの曲を媒体にして時代(ジェネレーション)を行き来します。

前回の曲から曲調はガラッと変わり,早いテンポで二人のジェイがラップを交わします。

ジェイZはこうラップします。

You backstabbers gon’ turn me back to the old Jay
He’s not who you wanna see, he’s not as sweet as the old Ye

おまえら裏切り者のおかげで,昔のジェイに戻っちまうぜ
ほんとは見せたくねえんだよ,昔のカニエのように全然甘くねえぜ

ジェイ(Jay)とイェィ(Ye)=カニエ(KanYe)が韻を踏みます。

When I die, please don’t tweet about my death
Tryna get mentions, bringin’ attention to yourself
Please don’t post some pic from in the club
With some quote you stole like we was tighter than what we was
Tryna get likes from my love
If you can’t go by the crib and give my mama a hug

俺が死んでも,俺の死に対してツイッターでつぶやかないでくれ
下心みえみえ,結局はじぶんが注目されたいだけなんだろ
クラブで撮った写真を載せねえでくれ
人から盗んだ言葉を引用して,仲良いフリなんかして
俺のラヴを使って「いいね」を獲得しようとして
そのつもりなら,俺の実家に出向いて,俺のおふくろにハグでもしてやってくれ

最後の1行をできるのは,この人しかいないでしょう。
つまり,ジェイZの幼なじみで,子供の頃から,ジェイZの母親からも世話になっている人。プライベートでもジェイの親友である,タイタイ(TyTy:本名 Tyran Smith)です。
以下写真の左側です。

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最後にビギー・スモールズの歌詞をフリップしたこの2行を見ておきましょう。

Remember Rappin Duke? Duh-ha, duh-ha
You never thought we’d make it to Lā ‘ilāha ‘illā Allah

ラッピン・デュークを覚えてるか?「ダッハー,ダッハー」
誰が想像しただろう,俺らが「レイラッハー,イッラー,アッラー」の地まで達するとは

「レイラッハー,イッラー,アッラー」というのはイスラームの祈りの言葉で「神はアッラー以外にありえない」という意味の言葉です。

このラインはザ・ノトーリアス・BIGの「Juicy」からの借用ライムです。

Remember Rappin Duke? Duh-ha, duh-ha
You never thought that Hip-Hop would take it this far

ラッピン・デュークを覚えてるか? 「ダッハー,ダッハー」
誰が想像しただろうか,ヒップホップがここまで来るとはな

(文責:Jun Nishihara)

JAY ELECTRONICAのアルバム『A Written Testimony』楽曲⑥「Universal Soldier」(独断偏見ライナーノーツ)

戦争を忘れるな。とりわけ,第二次世界大戦を忘れるな,と「アメリカの白人に虐げられてきた黒人が」日本人である我々に警告してくれている楽曲と解釈が可能である。「白人に」あの惨事を二度と繰り返させてはならないのだ,と。

曲の冒頭で,第二次世界大戦中に広島に原爆を落下させた3名の白人の名前が挙がります。

これが何をもたらしたか。

それは映画『火垂るの墓』に描かれております。

ここで,第二次世界大戦中に日本人が経た悲痛と,500年続いた黒人奴隷制度の苦悩が一瞬交差します。

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そしてジェイ・エレクトロニカは2回「ビスミッラー」と唱え,イスラームの経典から祈りの言葉を発します。「アウードゥ・ビラーヒ・ミン・アル・シャイターン・イル・ラジーム(アッラーに救いを求め,悪魔から身を守ろうではないか)」。

そして3回目の「ビスミッラー」が唱えられ,最後に「アッラーのみが神であり,ムハンマドはアッラーの使者である」と述べられます。

これは,冒頭の悍しい報道に対する御祓の詞(ことば)の役割も果たしております。

この曲はジェイ・エレクトロニカ自身によって制作されました。曲のビートも本人が最初から作り,第2ヴァースにジェイZを迎えます。

ジェイ・エレクトロニカはこうラップします。

The son of slaves, true, I started out as a peasant
That’s why I build my temple like Solomon in the desert

奴隷の息子として生まれ,庶民として育った
だから砂漠にソロモン宮殿を建ててやろうと思った

前回も取り上げましたが,ジェイ・エレクトロニカの歌詞には頻繁に対比(comparison)が多く起用されております。ここでも奴隷(slaves)や庶民・百姓(peasant)とソロモン宮殿を対比させています。

ジェイは続けます。

My mathematical theology of rhymin’ a touch the soul
I spent many nights bent off Woodford
Clutchin’ the bowl, stuffin’ my nose
Some of the cons, I suffered for prose
My poetry’s livin’ like the God that I fall back on

考え抜かれた俺の「神学ライム」は人々の魂を動かす
ウッドフォード通りで俺は,打ちひしがれる日を幾夜も経てきた
お椀を握りしめ,鼻を詰まらせて
まわりから反対された,散文に苦しんだ
俺の詞(うた)は,いざという時頼りになる神さんのようだ

そして第2ヴァースでジェイZはニーチェの言葉を引用します。

What don’t kill us make us stronger, that’s Nietzsche on me

ニーチェがこう言ってた,「どれだけ苦しくとも,それによって死なない限り,それは俺を強くしてくれるばかりだ」と。

ジェイは最後にこう言います。

We was in your cotton fields, now we sittin’ on Bs, on me

昔,あんたの綿農場(コットンフィールド)で働いていた奴隷野郎が
今は数十億ドルの家に住んでいる,それ俺な
(※註:B’s=Billions)

日本人はどうしてここまで黒人のメンタリティーに共感するところがあるのだろうか,と,長い間考えてきました。そのひとつの答えが,この曲で見つかったように感じました。

(文責:Jun Nishihara)

JAY ELECTRONICAのアルバム『A Written Testimony』楽曲⑤「Shiny Suit Theory」(対訳)

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楽曲⑤「Shiny Suit Theory」歌詞対訳

[Intro: Jay Electronica]
One two, one two, yeah, uh huh, yeah

(イントロ:ジェイ・エレクトロニカ)
1,2,1,2,イヤー,そうだ,イヤー

[Chorus: Jay Electronica]
I’m sailing on a cloud, they trailing below
My shrink told me, “It’s a feeling they’ll never know”
I pack up all my sins and I wear ’em to the show
And let ’em go, let ’em go, let ’em go, let ’em go
I’m sailing on a cloud, they trailing below
My shrink told me, “It’s a feeling they’ll never know”
I pack up all my sins in every L that I blow
And let ’em go, let ’em go, let ’em go, let ’em go

(サビ:ジェイ・エレクトロニカ)
雲の上を滑翔(かっしょう)する俺に,ずっと下で遅れを取る連中
お医者さんに言われたよ「ヤツらには一生わかんねえ爽快感だ」って
今までの罪を全部スーツケースに詰め込んで,俺はツアーに乗り出した
手放せ,手放せ,手放せ,手放せ
雲の上を滑翔する俺に,ずっと下で遅れを取る連中
お医者さんに言われたよ「ヤツらには一生わかんねえ爽快感だ」って
今までの罪を全部ハッパに詰め込んで,一服してやった
ぶっ飛べ,ぶっ飛べ,ぶっ飛べ,ぶっ飛べ

[Verse 1: Jay Electronica]
In the land before time
A land before altar boys, synagogues, and shrines, man was in his prime
Look how far I go in time just to start a rhyme
The method is sublime, you get blessed with every line
I’m in touch with every shrine from Japan to Oaxaca
The melanated carbon-dated phantom of the chakras
Me and Puff, we was chilling in Miami
He said, “Nigga, fuck the underground, you need to win a Grammy
For your mama and your family, they need to see you shined up
You built a mighty high ladder, let me see you climb up
Nigga, what you scared of?
Terrorize these artificial rap niggas and spread love, pollinate they earbuds
Like you supposed to, spit it for the culture
Pay no attention to the critics and the vultures
They rather have a shot of Belvy just to spite you
They casting judgments ’cause they feel they got the right to
Fuck ’em, I let the dice roll like The Father did
I gotta shine, it’s in my blood, I’m a Harlem kid
I treat my babies right, treat my ladies ladylike
Hit them with a remix to make sure that they play me twice
I thought you said, “It’s the return of the black kings
Luxurious homes, fur coats, and fat chains”

(ヴァース1:ジェイ・エレクトロニカ)
その昔の大地でのハナシ
祭壇も無く,礼拝堂も無く,神社も無かった時代,人類は最も生き生き輝いていた
ライムの冒頭で,時代をここまで遡り
極上のメソッド,ラインが飛び出す毎に恩恵を授ける
日本からメキシコのオアハカまで,あらゆる神社のパワーを集め
放射年代測定法によって算出された黒い肌したチャクラの霊と繋がる
俺とディディ,マイアミでチルしてた
ディディに言われた「おまえなぁ,アングラなんてもうやめて,さっさとグラミー獲得しろよ」
「かーちゃんと家族のためにな,おまえが輝いてるとこ,見たがってんだろ」
空高くそびえる梯子を立てかけられ,俺はそれを登るところを期待されている
「おまえは一体,
何におびえてんだ?」
「ウワベだけのラッパーどもをブチのめして,愛を広め,リスナーの耳に受粉の種を植えつけてやれ」
「それがおまえの役目だろ,カルチャーのためにラップしな」
「批評家の言うことは無視していい,ハゲタカも気にすんな」
「ベルヴェデーレのシャンパン飲んで,人の悪口言ってればヤツらは幸せなんだ」
「権利があるからって人を軽蔑の目で見て,好き勝手言ってるんだ」
「糞食らえでいい,気にせずサイコロ転がしてればいい,クラレンス13のように」
ギラギラ輝いていたい性格,動脈を流れる,俺はハーレム野郎
子供たちを良く養い,オンナたちを淑女のようにモテなす
リミックスをヒットさせ,ちゃんと俺の曲を流してもらうために
俺には聞こえたぜ「黒人キングのお戻りだ。
馬鹿デッカイ豪邸に,身にまとうのは毛皮のコート,おまけにぶっといダイヤのチェーン」ってな

[Chorus: Jay Electronica]
I’m sailing on a cloud, they trailing below
My shrink told me, “It’s a feeling they’ll never know”
I pack up all my sins and I wear ’em to the show
And let ’em go, let ’em go, let ’em go, let ’em go
I’m sailing on a cloud, they trailing below
My shrink told me, “It’s a feeling they’ll never know”
I pack up all my sins in every L that I blow
And let ’em go, let ’em go, let ’em go, let ’em go

(サビ:ジェイ・エレクトロニカ)
雲の上を滑翔(かっしょう)する俺に,ずっと下で遅れを取る連中
お医者さんに言われたよ「ヤツらには一生わかんねえ爽快感だ」って
今までの罪を全部スーツケースに詰め込んで,俺はツアーに乗り出した
手放せ,手放せ,手放せ,手放せ
雲の上を滑翔する俺に,ずっと下で遅れを取る連中
お医者さんに言われたよ「ヤツらには一生わかんねえ爽快感だ」って
今までの罪を全部ハッパに詰め込んで,一服してやった
ぶっ飛べ,ぶっ飛べ,ぶっ飛べ,ぶっ飛べ

[Verse 2: Jay-Z]
In this manila envelope, the results of my insanity
Quack said I crossed the line ‘tween real life and fantasy
Can it be the same one on covers with Warren Buffett?
Was ducking the undercovers, was warring with muh’fuckers
Went from warring to Warren, undercovers to covers
If you believe in that sort of luck, your screws need adjusting
In the world of no justice and black ladies on the back of buses
I’m the immaculate conception of rappers-slash-hustlers
My God, it’s so hard to conceive
But it all falls perfect, I’m like autumn is to trees
Aw, the doc interrupted
He scribbled a prescription for some Prozac, he said, “Take that for your mustard
Boy, you must be off your rocker
If you think you’ll make it off the strip before they ‘Pac ya
Nigga, you gotta be psychotic or mixing something potent with your vodka
It takes a lot to shock us but you being so prosperous is preposterous
How could this nappy-headed boy from out the projects
Be the apple of America’s obsession?
You totally disconnected with reality, don’t believe in dreams
Since when did black men become kings?”

(ヴァース2:ジェイZ)
この黄褐色の封筒に,俺の狂気の沙汰が封されている
ヤブ医者に言われた「おまえは現実と幻想をはき違えてる」
ウォーレン・バフェットに並び,これが表紙を飾ったヤツか
覆面ポリを避けて,連中たちと争いを続けてきた
争いからウォーレンへ,覆面から雑誌の表紙へと
そのような運を信じるのなら,あんたの脳味噌のネジに調整が必要だ
正義なんて無い世界,バスの後部に追いやられた黒人女性
ラッパー兼ハスラーの無原罪懐胎説,俺はその象徴
なんてこった,難産の極み
全てがピッタリハマる,紅葉の秋立ち
オゥ,医者が割り込んだ
俺に抗うつ剤を処方してくれた,こう言われた「おまえのその脳味噌にくれてやれ」
まるでイカレてんぜ
ベガスのカジノ通りを,パックのように撃たれず,生きて通れると思うのか
精神病にでもやられたか,もしくはウォッカに強烈な麻薬をぶち込まれたのか
俺らは簡単には驚かねえが,おまえが裕福ってのはまるで荒唐無稽
ゲットー生まれのチリチリ髪した鼻垂れボウズが
どうしてここまでの全米の羨望の的となり得たのか
まるで現実味がひとかけらも感じられねえ,夢を信じてどうなる
黒人野郎がキングになるなんて,いつのハナシだ

[Bridge: The-Dream]
You have no idea, yeah
The meaning to what I say
And you have no idea
Of how I got this way
Now hear my dreams
And by the time you wake
I’ll look down from the clouds
See I’m on my way

(ブリッジ:ザ・ドリーム)
キミは知らない,イヤー
僕の本心をさ
キミは知らない
どうしてここまできたか
僕の夢が聞こえるかい
キミが目を覚ます頃には
雲の上から眺めているよ
もうすぐ行くからね

[Chorus: Jay Electronica]
I’m sailing on a cloud, they trailing below
My shrink told me, “It’s a feeling they’ll never know”
I pack up all my sins and I wear ’em to the show
And let ’em go, let ’em go, let ’em go, let ’em go
I’m sailing on a cloud, they trailing below
My shrink told me, “It’s a feeling they’ll never know”
I pack up all my sins in every L that I blow
And let ’em go, let ’em go, let ’em go, let ’em go

(サビ:ジェイ・エレクトロニカ)
雲の上を滑翔(かっしょう)する俺に,ずっと下で遅れを取る連中
お医者さんに言われたよ「ヤツらには一生わかんねえ爽快感だ」って
今までの罪を全部スーツケースに詰め込んで,俺はツアーに乗り出した
手放せ,手放せ,手放せ,手放せ
雲の上を滑翔する俺に,ずっと下で遅れを取る連中
お医者さんに言われたよ「ヤツらには一生わかんねえ爽快感だ」って
今までの罪を全部ハッパに詰め込んで,一服してやった
ぶっ飛べ,ぶっ飛べ,ぶっ飛べ,ぶっ飛べ

(対訳:Jun Nishihara)

全曲対訳:カニエ・ウェスト率いるSunday Service Choirのアルバム『Jesus Is Born』

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カニエ・ウェスト(Kanye West)率いるサンデー・サービス聖歌隊(Sunday Service Choir)のアルバム『Jesus Is Born』:全曲対訳

楽曲①「Count Your Blessings」

楽曲②「Excellent」

楽曲③「Revelations 19:1」

楽曲④「Rain」

楽曲⑤「Balm In Gilead」

楽曲⑥「Father Stretch」

楽曲⑦「Follow Me – Faith」

楽曲⑧「Ultralight Beam」

楽曲⑨「Lift Up Your Voices」

楽曲⑩「More Than Anything」

楽曲11「Weak」

楽曲12「That’s How The Good Lord Works」

楽曲13「Sunshine」

楽曲14「Back to Life」

楽曲15「Souls Anchored」

楽曲16「Sweet Grace」

楽曲17「Paradise」

楽曲18「Satan, We’re Gonna Tear Your Kingdom Down」

楽曲19「Total Praise」

(対訳:Jun Nishihara)

元ネタの曲を知る(12):ドレイク ⇄ JAY-Z ⇄ ボビー・グレン

どうも,西原潤です。

1年半以上前ですが,2018年9月にこういう見出しを1件UPしました。

ジェイZのヒップホップ界歴史に残る名盤『The Blueprint』に収録されている「Song Cry」の元ネタを探ったものでした。

この曲が世にリリースされて,かれこれ18年以上が過ぎておりますが,その18年以上が経過した今,ヒップホップ界でベテランの域に入り始めているドレイクが,この名曲を引っ提げお手本にして,「When To Say When」という曲を今年2月にリリースしました。そして,2020年5月1日にリリースした公式ミックステープに同曲「When To Say When」を収録しました。

私の尊敬するHip-Hop JournalistにElliott Wilsonという方がいます。Elliott(YN)は80年代から米ヒップホップ雑誌(『ego trip』『The Source』『XXL』『RESPECT.』)の編集者(後に編集長)として名を上げてきた人物です。最近はTIDALで放送されている動画付きのラッパー・インタヴュー集「Rap Radar Podcast」を立ち上げております。すでに現時点で,90話まで進んでおりますので,約90名のラッパーをインタヴューしてきた計算になります。このインタヴュー集は,TIDALを月額購買していれば,視聴可能です。

昨年2019年12月25日に公開されたElliott Wilson & B.Dotとドレイク(Drake)のインタヴューは,ドレイクのトロントの自宅で行われました。インタヴューが“あの”ドレイクの自宅で行われた,というのは,どれだけElliottがヒップホップ界でリスペクトされているか,ということを物語っています。このインタヴューはTIDALを月額払って観てみる価値はありますので,お金に少し余裕のある方は,月額スタートしてみると良いですよ。

さて,そのドレイクが「When To Say When」を今年2月にリリースした際に,ミュージックビデオも同日公開されました。そのミュージックビデオは,ドレイクがジェイZの生まれ育ったブルックリンのMarcy Projectsに赴き,そこで撮影しているという感動的なものです。なぜ感動的か,というのは幾つか理由はあるのですが,1つは,タイミングです。2001年8月に亡くなったAaliyahをドレイク自身,当時好きで聴いていました。当時2001年にドレイクはラッパーとしてまだ世に出ていませんでしたが,同じ世代の人間として私も,Aaliyahを当時ヘヴィロテで聴いておりました。当時ヘヴィーローテーションで流していた大好きなアルバムの歌手が亡くなった,と。それを知ったのは,当時インターネットなんて僕はやってなかったですから,誰かアメリカに住んでいた友達から聞いたんだと思います。新聞でも見たのかな?もうアメリカと黒人音楽にどっぷり浸かっていた2001年でしたので,当時の様々な思い出が,「Song Cry」を聴くと甦ってくるのです。そういう最中のことでしたから,Aaliyahが亡くなった翌月にリリースされた『The Blueprint』収録楽曲の最も感動的である曲をサンプリング(という言葉が安っぽく聞こえてしまうので使いたくない)否,サンプリングではなく「お手本として起用させていただいた」曲をドレイクがリリースしたというのは,そして同日にリリースされたミュージックビデオを拝見した時には,あの当時を思い出して,いろいろな感情が溢れ出してきたため,涙が出てしまったのでした。

ここにその「When To Say When」と「Song Cry」と,そしてBobby Glennの「Sounds Like A Love Song」を掲載しておきます。

Drake – “When To Say When”

JAY-Z – “Song Cry”
(ミュージックビデオの冒頭で2002年という文字が出てきますが,この曲を収録したアルバムが出たのは2001年です。当時はミュージックビデオ(当時の言葉でPV)は時間をかけて製作されていましたから,曲が世に出て1年,2年後にPVが発表されても不自然ではなかったのです。最近のように,リードシングル曲ならまだしも,それ以外の曲がリリースされて,同日中にミュージックビデオも世に出るなんていうのは極めて稀なことだったのです。)

Bobby Glenn – “Sounds Like A Love Song”

(文責&キュレーション:Jun Nishihara)

ビヨンセを招いての「Savage REMIX」/ミーガン・ジー・スタリオン自身が振り付けを踊る動画UP!(そして愛犬のフォー)

先週,全米の女子たちを席巻したビヨンセ(Beyonce)を招いてのミーガン・ジー・スタリオン(Megan Thee Stallion)の楽曲「Savage Remix(サヴェッジ・リミックス)」を紹介しました。ダンサーに限らず,むしろ一般人による動画のUPが全米中で話題になりました。

そしてついに,ミーガン自身もその振り付け(choreography)を踊って,自身にインスタグラム(@theestallion)にUPされました。後ろの二人はお友達です。愛犬のフォー(@frenchie4oe)はここには登場していないですね。

https://www.instagram.com/p/B_54HrilZ-C/

ちなみに愛犬フォー(Foe Thee Frenchie(フォー・ジー・フレンチー))はコチラです。

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Señor 4oe 🐾🐶

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Who not that sleepy?🐶🐾

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以上,フォーのブロマイドページでした。

(文責&キュレーション:Jun Nishihara)

ドレイクのデモテープならぬミックステープ登場!タイトルは『Dark Lane Demo Tapes』。

先週は,いそがしい週でした。週の中日(なかび)にミーガン・ジー・スタリオン(Megan Thee Stallion)がビヨンセをフィーチャリングした「Savage Remix」をリリースし,全米がそのRemixで躍りまくっていた最中さながらに,ドレイク(Drake)が新盤公式ミックステープ『Dark Lane Demo Tapes』をリリースしました。

ゆーたら,現代黒人音楽のスリー・トップですよ。ミーガン,ビヨンセ,そしてドレイク。この3人が話題となった先週は2020年始まって,ヒップホップ界的にはなかなか濃い週でした。

そのドレイクの『Dark Lane Demo Tapes』,アルバムジャケはコチラ。

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聴きどころは以下のとおり。

収録楽曲,②「When To Say When」,③「Chicago Freestyle」,⑤「Toosie Slide」の3曲に関しては,3曲とも2020年になってから世に出回っていたストリート・シングル曲。それぞれにミュージック・ビデオもリリースされております。

既出の上記3曲以外で,今回のミックステープで初出の楽曲としては④「Not You Too」(クリス・ブラウンを迎えて,ムードある曲調)⑦「Time Flies」(ポップな仕上がりで,中毒性のあるフック),⑩「Pain 1993」(若者がリスペクトするファッションデザイナー=イアン・コナー(Ian Connor)に捧げた曲),12「From Florida With Love」(2009年に銃を持った強盗にガンポイントで狙われたドレイク自身の体験をもとに曲作りしたもの。まさにアルバムタイトルのとおり“ダーク”な曲調。),そして最終曲14「War」はいわゆる「UK Tings(UK調子)」で作り上げたラップスタイル。他のドレイクのラップスタイルとは全く異なった調子でラップするドレイクに注目。これは数年前から英国(United Kingdom)出身のラッパーと連れ始めたドレイクならではの曲です。

以上,ミックステープの良さは適度に力を抜いて聴けるというところ。収録楽曲の2曲目「When To Say When」以外は,力を抜いて聴けるという,どこへでも持っていけそうな1枚です。

(キュレーティング:Jun Nishihara)

ビヨンセを招いてREMIX登場。ミーガン・ジー・スタリオンのアイマ・サヴェッジ!

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(種馬=スタリオン,ミツバチ群=クイーン・ビー。スタリオン(Stallion)とは「種付け馬のようにがっしりとした体格で性的に魅力のある女」という意味の米スラング用語。ミツバチは,ビヨンセの愛称=Queen Beeより。)

出ました。サヴェッジのリミックスヴァージョン。

今年の夏もアツくさせてくれそうです。ホット・ガール・メグことミーガン・ジー・スタリオン。

ホット・ガール・サマー(Hot Girl Summer)は2019年でした。今年2020年は,サヴェッジ・ガール・サマー(Savage Girl Summer)となる勢いです。

まずは,そのオリジナル・ヴァージョンで素人がダンス披露をするコンピレーション動画をご覧下さい。その後,ビヨンセを招いてのREMIXヴァージョンです。

オリジナル(Megan Thee Stallion – “Savage”)

https://www.instagram.com/p/B-r9Piulqpt/

https://www.instagram.com/p/B-iSUQNF0Lw/

以下はジャスティン・ビーバーも参戦。

https://www.instagram.com/p/B-F8_gelXS8/

続いて,2020年4月29日にリリースされたBeyonce(ビヨンセ)を招いてのリミックス:Megan Thee Stallion feat. Beyonce – “Savage Remix”です。YouTube上のミーガンの公式ページでアップされ,すぐにトレンディング急上昇第1位,再生回数は3日で1000万回超え,全米のサヴェージ女子がリミックスを掛けてダンス動画を続々UPするという記録。

以下は,#SavageRemixChallengeより。

https://www.instagram.com/p/B_qOh9fFgB6/

以下はきちんと歌詞の意味を捉えてのダンスでなかなかの好印象。
https://www.instagram.com/p/B_trHmgJrws/

(キュレーション:Jun Nishihara)