第43位:Fabolousのシングル曲「Choosy」(今年出たHip-Hop名曲名場面ベスト50)

ファボラス(Fabolous)については,個人的にデビュー当初(かれこれもう20年前ですね〜)からよく聴いています。90年代後半から2000年代前半にかけては,まだまだ「少年ラップ」として馬鹿にされていた節はありましたが,それはそれで良かった。当時はギャングスタ・ラップやハスラー・ラップが流行っていましたので,ファボラスのような「R&Bっぽいラップ」はサグやゲットー出身のギャングスタ達には受け入れられがたかった。しかしその後ネリー(Nelly)や,さらにもっと後でドレイク(Drake)が出てきて「R&Bっぽいラップ」は逆転して,メインストリームに「受け入れられるように」なってきた。むしろ,最近になっては,90年代後半に流行ったギャングスタ・ラップのうほうが低迷を見せている節もあります。

しかしファボラスはそんな世間のいうことなど関係ないとでも言わんばかりに自分のスタイルを維持してきました。

しかし20年来の一人のファンとして言いたい。「もっとアルバムをリリースしてもええんやないか」と。ファボラスよ,もっとアルバムをリリースすべきだぜよ!

20年のヒップホップキャリアがあるにもかかわらず,これまでにファボラスが出した公式アルバムはたったの6枚!2005年(14年前)にデビューしたワーレィ(Wale)ですら,すでに6枚リリース。2006年(13年前)にデビューしたリック・ロス(Rick Ross)はもうすでに10枚,公式アルバムをリリースしています。

ファボラスの前作をいつまで聴いていればいいのか!と私はファブに言いたい。ファブ(ファボラスの略名)の次作が出るまで,前の作品を聴こう,と思って聴きはじめて以来かれこれもう5年ですよ。2014年にリリースされた『The Young OG Project』を5年引っぱって聴いています。もう歌詞を覚えるくらい。その前の『Loso’s Way』(2009年リリース)にいたってはどれだけ聴いたことか。もちろん途中に素晴らしいミックステープを出して,もたせて(hold over)くれましたが,それにしても長かった。

やっと今年,シングル曲ならぬヒット曲を出してくれました。それがFabolous feat. Jeremihの「Choosy」です。なかなかええ曲やないか!ファブ,待ってたで。(ひそかにトップ5くらいに入れたいくらいやけどな,ファブ,あまりにもヒット曲が少ないんで今年は第43位ということで。来年もしアルバムリリース(やっと!!)しれくれたなら,あんたの信頼おける安定したフローがあればベスト10まちがいないわ。)

ちなみにファボラスの仇名は「Punchline King(オチのキング)」。ロイド・バンクスと肩を並べるほど。つまり,リリックは最高。

(文責:Jun Nishihara)

第44位:Normaniのシングル曲「Motivation」(今年出たHip-Hop名曲名場面ベスト50)

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ノーマニ(Normani)はジョージア州アトランタ市出身のシンガー/ダンサー。昨年(2018年)にはカリード(Khalid)とのコラボレーション曲「Love Lies」をリリースし,ソロ活動(以前フィフス・ハーモニー所属)に火をつけた。

今年1月にノーマニはサム・スミス(Sam Smith)との大ヒット曲「Dancing With A Stranger」をリリースし,8月に「Motivation」をリリース。全米いや全世界のダンサーを目指す女の子に向けたその名の通りモチベーショナルなナンバーとなっている。

ミュージックビデオの冒頭,ダンサーを目指す女子がBETの106&Parkを観ながら,ノーマニのMVに感化されてダンスを始める映像が流れますが,これは現代であればYouTubeやSNS等どこでもMVが観られる環境にありますが,当時はMTVやBETでMVを観て影響を受けた人が多かったと思います。そんな我々には共感できるビデオに仕上がっています。

ネット映像ではなくTVでMVを観るというオールドスクールぶりを甦らせてくれたノーマニに天晴。

Normani is bringing the “OLD” back to the “NEW” days.

(文責:Jun Nishihara)

第45位:21 Savage feat. J. Coleの“a lot” (今年出たHip-Hop名曲名場面ベスト50)

ミュージックビデオはこちらです。

冒頭の立派な豪邸は,アメリカの中産階級(あるいは中間階級)の家庭でよく見る家の形をしています。わたしもアメリカの高校に通っていた際,卒業生プロムパーティーの準備で,お相手の友達の家に集合して,男子はレンタルしてきたタキシードを着て,女子は綺麗なプロムドレスに身を纏って写真を撮ってから会場に行ったのですが,その人の家は映像の家の造りに似ており,裏庭(backyard)は芝生で広く,そこでグループフォトを取るスペースがある。そういうことを思い出して感慨に耽っている場合ではないのですが,とても懐かしい感じがするとともに,アメリカの中間階級の家庭では一般的な家であり,大富豪にならずともアメリカの中西部ではこのくらいの家は持てる人が多いようです。

このソウルフルなビートは,1960年代の名曲East of Undergroundの「I Love You」をベースにサンプリングしております。

Verse by 21 Savage:

Penitentiary chances just to make a couple bucks
My heart so cold I could put it in my cup
Gang vs. the world, me and my dawg, it was us
Then you went and wrote a statement, and that really fucked me up
My brother lost his life and it turned me to a beast
My brother got life and it turned me to the streets
I been through the storm and it turned me to a G
But the other side was sunny, I get paid to rap on beats

2, 3ドルの儲けのために,あやうくムショにぶち込まれ
ギンギンに冷えたハート,グラスにカランカラン
世間vs.俺と仲間たち,いつも共にいた
それがいきなり俺の元を去り,チクリやがって,途方に暮れた
弟が命を犠牲にしてから,俺は野獣のように戦った
兄貴が終身刑を宣告され,俺はストリートをさまよった
嵐のなかを進んできた俺は,立派なギャングスタとなった
しかしそういった生き様の真逆にあったのは,華やかで,ラップをビートに乗っけて稼ぎ始める人生だった

(文責及び対訳:Jun Nishihara)

第46位:YGの“Stop Snitchin” (今年出たHip-Hop名曲名場面ベスト50)

ピアノの低音がニクい。ウェッサイの音(サウンド)はどうしてこうもニクいのか。とても特徴的で,忘れたくても忘れられないこのビート。放送禁止用語を乱発しまくるリリック。中毒的なテンポ。衝撃的な曲です。

まあ,“snitch”というのは,ギャングの間でいちばんやっちゃいけない,という行為といわれています。難しい語では「密告」と訳されますが,いわば「チクり」のこと。ギャング同士で相手が悪業に手を染めているところを目の当たりにしたとしても,決してポリースにそれをチクっちゃいけない。暗黙のルール。だからお互いにそこはリスペクトし合ってる。ゲームの外へ出ちゃいけない。それがname of the game。ゲームのルール。

これにはDaBabyをfeat.したリミックスも後日,リリースされました。

(文責:Jun Nishihara)

カニエ・ウェスト,遂にオペラ開催予告!

まずはこちらをご覧ください。

このアートワークのテーマは,ネブカドネザル2世(Nebuchadnezzar II),紀元前634年〜紀元前562年に生きたと云われる新バビロニア王国の第2の王のことです。

ネブカドネザル2世は,聖書の中でも頻繁に言及されておりますが,以前のカニエ・ウェストと同じく,人間的な弱みもかかえていました。それがbipolar disorder(双極性障害),つまり,まさにカニエ・ウェストが自身の前作アルバム『ye』にて語った神経病でした。

カニエはゼイン・ロウのインタヴュー中,こう言います。

Nebuchadnezzar was diagnosed with bipolar disorder, and he was still king.
(ネブカドネザルは双極性障害と診断され,それでも王(キング)として生きた。)

オペラは11月24日,ロサンゼルスのハリウッド・ボウル(L.A.の野外音楽フェスドーム)で開催される予定です。現代パフォーマンス・アーティストである名高いヴァネッサ・ビークロフトや,サンデー・サーヴィスでお馴染みのSunday Service Choir(クワイヤ・チーム)等が音楽やパフォーマンスにおいて貢献する予定とのことです。

なお,今年のクリスマス(12月25日)には,アルバム『Jesus Is Born』(こんどはKingじゃなくて,Born!)がリリースされる予定です。

(文責:Jun Nishihara)

第47位:Young M.Aの“Thotiana”フリースタイル(後にニッキー・ミナージュ版も)(今年出たHip-Hop名曲名場面ベスト50)

じぶんの曲が他の人にfreestyleでラップされた時,その曲は一人歩きした,つまりそれはヒット曲として認められた証だ,といわれます。

それがまさに,ブルーフェイスの“Thotiana”でした。5年後にこの曲がまだ生き残っているかどうかはさておき,今年の若者の間での全米ヒット曲の一つとして,この曲は数えられることになりました。

NYはブルックリン出身の27歳であるヤングM.A(Young M.A)も,この曲のフリースタイルにジャンプしました。以下がそれです。

これは,オリジナルのブルーフェイス“Thotiana”よりも良いと思いますが,しかし,ヤングM.Aにとっちゃ,人の曲にじぶんのラップを乗っけているだけ。生みの親はやはりブルーフェイスなので,どっちのバージョンがより良いかなんて比較できるもんじゃないですが,このヤングM.Aのバージョンのほうが歌詞はおもしろいですねえ。

題名の“Thotiana”は黒人女子の名前でよくある「タティアナ」。おそらく両親のどちらかがラテン系の血が入っているので,名前の語尾に「アナ」という接辞尾を付けているのでしょう。つまり,黒人女子にラテン系の血が混じっているということは,女体に適度にくねりがあり,とても魅力的な女の子,ということ。ヤングM.Aは女子好きの女子。なので以下の歌詞です。

Thotiana, real name Tatiana (Okay)
Body like Rihanna, but she not Rihanna (No way)
I make the pussy wet, she need a mop-iana, (Ooh)
When she bust down make her buss it like a Glock-iana (Grrt)
She love it when I eat the boxi-iana (Ooh)
Make her body jerk, legs lock-iana (Ooh)

トッティアナ,本名,タティアナ(オッケー)
リアーナ似の体つき,でもリアーナじゃねえ(オッケー)
その女のアソコを濡らして,持ってこいモップ,アーナ(ウーッ)
ケツ落として踊らせて,潮を吹かせろ,グロッキー,アーナ(ガーッ)
アタイが女のアソコを舐めれば,快感に悶えてる(ウーッ)
女の体は痙攣して,太ももに挟まれて(ウーッ)

実はこれには,ニッキー・ミナージュ・バージョンもございます。掲載しておきます。

(文責及び対訳:Jun Nishihara)

第48位:Bluefaceの“Thotiana”そしてRemixにはカーディB登場 (今年出たHip-Hop名曲名場面ベスト50)

今年,流行りましたねえ。Bluefaceの“Thotiana(邦題:タティアナ)”」という迷曲。ラップのヒドさはさて置いて,ラップやフローやビートやそんなものよりも,ラジオでこの曲がかかれば,誰もがサビを歌える,そしてお尻を突き上げてダンスすることができる,というまさにハヤり(だけ?)の曲でした。

そしてカーディB(Cardi B)をフィーチャリングしたRemixはこちらです。カーディBがこの曲に乗っかることで,ブルーフェイスの認知度も一気に上昇しました。

(文責:Jun Nishihara)

第49位:ScHoolboy Qのシングル曲「Numb Numb Juice」(今年出たHip-Hop名曲・名場面ベスト50)

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ケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)と同じレーベル=TDE (Top Dawg Entertainment)所属の同胞=スクールボーイQ(ScHoolboy Q)が今年アルバム『CrasH Talk』をリリースしました。同アルバムからファースト・シングルである「Numb Numb Juice」を発表。イントロはめちゃめちゃカッチョよかったです。

同アルバムは米ビルボード200で第3位を獲得。リリース後1週間で8万1000枚売り上げるというこのアルバム売上不調の昨今においてはまずまずの記録でした。

全体的な売り上げはまずまずの記録としても,このシングル曲で,この冒頭のフレーズというのは,ツカみは完ぺき,記録よりも記憶に残る楽曲となりました。

Two-door coupe, hoppin’ out like Jack-in-the-Box, nigga
I’m gon’ shoot if this 30’s all that I got, nigga

ツードアのクーペで,ビックリ箱のごとく飛び出すぜ
両手にグロック銃,ぶっ放っちまうぜ

というふうにNワードを必ず語尾につけてラップをカマす一節です。
ここから次のヴァース「Time’s Up / Got my coins up, my bars up / Soon we find ’em」に入るくだりは絶妙です。「Soon we find ’em」で少しライム(韻)をズラすのは,最近の同じTDE仲間であるジェイ・ロック(Jay Rock)を彷彿とさせるラップをカマシてくれました。

(文責及び対訳:Jun Nishihara)

第50位:ダンサーAlyson Stoner,ミッシーとMTV授賞式で再会果たす。(今年出たHip-Hop名曲・名場面ベスト50)

米MTVが主催するミュージックビデオの祭典=MTV Video Music Awards賞で,ミッシー・エリオットのステージで17年ぶりにミッシーと再会を果たしたAlyson Stoner(アリソン・ストーナー)が一躍有名となりました。

前回当サイトでも彼女を取り上げましたが,アリソン・ストーナーは,ミッシー・エリオットの2002年ミュージックビデオ「Work It」で共演しております。当時アリソンはわずか9歳。
※下記映像タイムライン4:12から映る白人の女の子です。

そして17年ぶりにミッシー・エリオットと共演したのが以下映像タイムライン1:07の箇所です。

そしてアリソン・ストーナーのインスタグラムから以下掲載です。

なお,米エレンショー(The Ellen Show)でも17年前に出演しております。

17年の時を経ても,ミッシー・エリオットのこの曲「Work It」はほんの僅かも古びていないというのはまさに快挙です。

(文責:Jun Nishihara)