5月24日(土)お昼正午頃、アミーネ(Aminé)が5月15日にリリースしたニューアルバム『13 Months of Sunshine』を聴く。1曲目は「New Flower!」いきなりフィーチャリングアーティストとして今ノリに乗ってるレオン・トーマス3世(Leon Thomas)を迎えた楽曲。新しい人生、新しい世界、新しい未来を迎える準備が整った2人が織り成す世界をこのアルバムで満喫。爽快な氣分にさせてくれるアルバム。2人の若さと軽さでまったく胃もたれしない。まさにこんなアルバムをいま求めていた。奥田民生がNHKの『鶴瓶の家族に乾杯』に出演した際、新潟の街を歩きながら、ずっと探していた「道具を作る道具」をようやく見つけた時に言っていた「まさに求めてたものってこれじゃない」の「これ」がまさにこのアルバムじゃない。13 Months of Sunshineってなぜ13ヶ月にしたのか気にならない?まず、この「Sunshine」をどう日本語に訳すかと考えた時に、まっさきに思いついたのは「日なた」という日本語だけれど、これって、またNHKネタですが、ルイ・アームストロングの「On the Sunny Side of the Street」が話題になったNHK連続テレビ小説『カムカムエブリバディ』で出た「Sunny」の訳語だった。1年だけじゃなくて、12ヶ月にプラスしてもう1ヶ月加えることによって、1年という一線を「越えた(抜けた)」感が伝わってくる。これから始まる新しいスタートを表現している。まさにNew Flower!の「New」がこの新しい年の「1ヶ月」とリンクする。そして新しい13ヶ月目の新しい年には、まずは「Be easier on yourself」(自分自身に)あんまり無理させんなよ、と、楽曲11で伝えてくれている。「Just give it time」時間掛ければいいよ、と。あ、大事なことを忘れてた。アミーネのルーツであるエチオピアの暦では1年が13ヶ月あり、エチオピアはまたの名を「13ヶ月の太陽(13 Months of Sunshine)」と呼ばれているんですね。13か月間太陽が照ってる国、それがアミーネのふるさとなのですわ。
ちなみに楽曲5「Cool About It」でfeat.されているLIDOはノルウェーのプロデューサーでチャンス・ザ・ラッパーのアルバム『Coloring Book』でも「Same Drugs」と「Angels」を手掛けた人。冒頭曲の「New Flower!」でアミーネが言ってる「In New York but I’m feeling Memphis / Bleek」のくだりは、今年イチのラインかもしれない。「今年イチのライン」の候補に入れときます。
続いては,ブルックリンからマンハッタンダウンタウンの映像を細切れに集めたコラージュをミュージックビデオに昇華させたタリブ・クウェリの名曲「Get By」。“get by”とは「ありあわせのものでなんとかやっていく」という意味で,ゼータクなんてできねぇよ的なサヴァイヴァル・ミュージック。「just to get by」ってタリブがリピートしますよね?それ「なんとかやっていくだけで」っていう意味です。
そして,密かにHip-Hop史上原点回帰の楽曲「What We Do」。一つには,ワルやらなきゃ生きてけねえ時代を映し出した音楽。まさに「正しさ」とは逆のことをやって生きていた2002年。他方で,ハスリングという,ヒップホップ界で当時流行った金儲けのやり方も表現している。2002年という時代が俺らの心の中で永遠にすたれることのないように,この曲にそれらを閉じ込めてくれた,偉大なる曲。この曲を聴けば,2002年当時の精神(ワルやってた,その代わり勢いはめちゃめちゃあった生き様)に即,戻してくれる。
上記キャムロン(aka キラ・キャム)の「Losing Weight 3」には勿論のこと,バージョン1とバージョン2がございまして,バージョン1に至っては2000年9月リリース。ちょうど20年前の今月ですね。ちゃんとその伝統を引き継いでいる。興味ある方はネットを探してみてください。ビートのサンプリングはTeddy Pendergrassの「Don’t Leave Me Out Along the Road」です。以下掲載しておきます。
ファボラス及びジェイダキスのタッグはNY以外の何物でもない。その贅沢なソウルフル・コラボレーションを以下でどうぞ。FabolousとJadakissがこう言ってます。「ほら,おまえも椅子持ってこい(Then, pull up a chair)」ってね。そこで一緒にsoul foodを頰張ろうじゃないか,と。
リック・ロスといえば,あの曲もあればあの曲もあるという風に,芋づる式に出てきます。例えば,Jay-Zとの「Free Mason」,カニエとの「Devil In A New Dress」,リル・ウェインやDJ Khaled,そしてドレイクとの「I’m On One」,そして2010年代HIP-HOP界のクラシック(名曲)とされるドレイクとの「Aston Martin Music」,Jay-Zとの「YouKnowIGotIt」・・・リック・ロスと聞いて連想するヒット曲は以上のとおり,幾らでも出てきます。これでもまだ,リック・ロス履歴の代表作である初期の作品「Hustlin’」や「B.M.F.」を数えずに,これだけ出てきます。圧倒的に,2チェインズにとってはちょっとレベルの差がありすぎて公平さに欠ける勝負となってしまったので,2チェインズも途中で言いますが,「Y’all gonna keep bullying us the whole time or what!!(こりゃ参った!今日の俺はイジメられ役だな)」と。
The Diplomats – “I Really Mean It”(ビート・プロデューサーは produced by ジャスト・ブレイズ)
続きまして,こちらもジャスト・ブレイズ作。
Memphis Bleek – “Intro (U Know Bleek)”(produced by ジャスト・ブレイズ)
だんだん,感じてきました?ソウルネタも入れているのに,ドラムビートがぶっ飛んでます。
JAY-Z – “PSA (Public Service Announcement)”(produced by ジャスト・ブレイズ)
続けましょう。
次の曲は,メンフィス・ブリークのセカンド・アルバムから。
Memphis Bleek – 曲名が“Just Blaze, Bleek & Free”と3名の名前を並べた曲名。シック!(produced by ジャスト・ブレイズ)
続きまして。
ジャスト・ブレイズの弟子,と言っても,ビートメイカーの弟子ではなく,ラッパーとしての弟子。サイゴン(Saigon),覚えてます? 2011年に遅咲きでデビューして,アルバム『The Greatest Story Never Told』をリリースしたアイツ。レペゼンはニューヨーク市はブルックリン。少なくとも,ビートはキレッキレ!
Saigon – “The Greatest Story Never Told”(produced by ジャスト・ブレイズ)
Stop overreacting, it’s past my curfew I’m out after 6
Happily making my accident
Mama gon’ whoop on my ass again
Pray that I’m making my way before 8 and I might have to sneak in the back again
B2K in the stereo, we juke in the back seat
Or juke in the basement, in love with my KSWISS’s
This feel like jumping in a pool and I’m knowing I can’t swim
Ooh, you about to get your ass beat
For stealing that twenty dollars like “baby, just ask me”
で,そのKSWISSを履いて,家の地下で踊りまくるっていうイメージです。まず,KSWISSで1ポイント。それに加えて,アメリカの家はよく地下に部屋がありますよね。郊外の中流階級の家庭では地下の部屋にpool table(ビリヤード台)を置いて,ちょっとした遊びの場所にするっていう。で,もちろんアメリカの家は靴を履いたまま家の中に入りますから,KSWISSを履いて踊るという映像。そういったアメリカの素敵なイメージを思い浮かばせといて,その後に「you ’bout to get your ass beat」というフレーズを繰り出す。まったりした白人の日常かと思いきや,リスナーが安心した瞬間に上記のようなフレーズを繰り出して「アタシは黒人よ!」というアイデンティティの表出を成功させます。