「ガタ・カタ・ラタ・アダ・ヤ・ビッチ・オナ・ガナ・ワナ・・・」と続く最新のラップ曲。

2020年5月22日にリリースされたニューアルバム『Wunna(ワナ)』は米国ジョージア州出身の若手ラッパー=Gunna(ガナ)の仕業によるものです。

リードシングルであるアルバムタイトルと同名の楽曲「Wunna」は,フック(サビ)が「ワナ」に韻を踏む語の羅列を用いてリスナーの耳に心地良い錯覚を与えるデキとなっています。

ビジュアルはこんなヤツです。

https://www.instagram.com/p/B4tJbVqpQRY/

以下のミュージックビデオでも聴けますが,そのサビの部分は英文で表記するとこうなります。

Money puddles (puddles) got a cutter (cutter)
Lotta orders (Orders), dollars, quarters (Ayy)
Wrist water (Ayy), Rich Porter (Ayy)
Your bitch on now (On now), Gunna Wunna (Wunna)
Commas, commas (Racks), hundreds, hey (Hey)
I’m a stunna (sauna) summer (Hey)
Benihana (‘Hana), cook up, hey (Hey)
My crew paid (Paid), surf a wave (Wave)

音声をカタカナで表記するとすれば,こうなります。
「マネー」が「マニ」,「ウォーター」が「ワラ」,「コンマ」が「カマ」になります。

マニ・パド・(パド)・ガタ・カタ・(カタ)
ラタ・アダ・(アダ)・ダラ・クォタ・(エィ )
リス・ワラ・(エィ)・リチ・ポタ・(エィ )
ヤ・ビッチ・オナ・(オナ)・ガナ・ワナ(ワナ)
カマ・カマ・(ラク)・ハニッ・ヘイ(ヘイ)
アイマ・スタナ・(ソナ)・サマ(ヘイ)
ベニ・ハナ・(ハナ)・クカッ・ヘイ(ヘイ)
マクル・ペイ・(ペイ)・サファ・ウェィ(ウェィ)

さて,日本語意味に対訳するとなると,こうなります。

カネ・たんまり・(たんまり)・忍ばす・銃・(銃)
どっさり・注文・現ナマ・硬貨(エィ )
手首・ギラギラ・(エィ )・リッチ・野郎(エィ )
おまえの・女・抱く・俺が・ヤる(ヤる)
1万・10万・(札束)・100万・ヘイ(ヘイ)
俺は・スタナ・(サウナ)の如く・夏のよに・アツい・野郎
高級・レストラン・コックの・料理・ヘイ(ヘイ)
仲間も・カネも・(儲け)・波に・ノッてる(ノッてる)

真夏の・夜の・眠れなき・暑さの・中で・こんな・曲は・どで・っか?

1993年生まれのラッパー=ガナ(Gunna)は,同郷であるアトランタ出身の大人気ラッパー野郎ヤング・サグ(Young Thug)に見出されて,ヤング・サグ自身が創設したレコード・レーベル=YSN Recordsに迎えられた。まさに現代の若者ラップをリードするヤング・サグ(Young Thug)に認められたラッパーであり,昨年2019年にはデビューアルバム『Drip Or Drown 2』を発売し,米ビルボードチャート第2位を獲得した。そして先日リリースされた本アルバム『Wunna』では,現在最も勢いあるウェッサイはコンプトン出身のラッパー=ロディ・リッチ(Roddy Ricch)をフィーチャリングした楽曲「Cooler Than A Bitch」も収録。ガナ自身はサウス・ラップのど真ん中であるATL(アトランタ)はカレッジ・パーク出身。カレッジ・パーク出身のラッパーには,2チェインズ(2 Chainz)やリュダクリス(Ludacris),ヤング・ジョック(Yung Joc)等,大物ラッパーが並ぶ,と書くと,ガナにプレッシャーを与えるかな,カナ?

これまで出てきたサウスのラップ調子をさらに鋭敏化させたこの「ガナ・ワナ調」ラップを以下ミュージック・ビデオでお聴き下さい。

Gunna – “Wunna”

(文責&キュレーティング:Jun Nishihara)

第3位「ティアナ・テイラーの“Gonna Love Me”のリミックスが大人と若者のヒップホップを融合させた!」(今年2018年に出た最も偉大なるヒップホップ曲ランキング)

いよいよ今年トップ3になりました。

ヒップホップは「若者のモノ」という概念が常に付きまといましたが,そんな考えは今年,ティアナ・テイラー(Teyana Taylor)がぶち破ってくれました。オトナも若者もカンケーなく,ヒップホップそのものを歌って踊れる曲をリリースしてくれました。

それが「Gonna Love Me」のリミックスです。

ミュージックビデオを観ていただくと分かりますが,これはもう,ほんとうに,90’s(90年代)へのオマージュです。80年代に生まれた世代で,90年代にヒップホップを聴いて育った方々へ,28歳になったばかりの若いティアナ・テイラーが作った素晴らしい楽曲です。

もともとはティアナ・テイラーがソロで歌う(フィーチャリング無しの)曲でしたが,ここへラップをのっけて作ったのがリミックスです。リミックスには,ゴーストフェイス・キラ(Ghostface Killah),メソッド・マン(Method Man),そしてレイクウォン(Raekwon)という全員NYのスタテン・アイランド(Staten Island)出身のウータンクラン(Wu-Tang Clan)メンバーを迎えています。ラップはスタテン出身のウータン,歌うのはハーレム出身のティアナ・テイラーという(もうR&Bにとどまらない)ヒップホップ曲です。

ミュージックビデオの冒頭スキットで,ハーレム出身のティアナ・テイラーとスタテン出身のゴーストフェイスが恋人同士という設定で,ゴーストフェイスの浮気が見つかり,たがいに喧嘩するという設定は,なんか嬉しいですね。ハーレムとスタテンが恋人なんだけど,たまにするハーレムとスタテンの喧嘩みたいで。ハーレム出身のディディ(別名パフ・ダディ,別名Pディディ,別名パフィー,別名パフ)と,スタテン出身のウータンが喧嘩するみたいで。ヒップホップファンにとっては,こういうコラボレーションは嬉しくなりますし,なによりも,90年代へのオマージュというこの曲の重要な点は見逃すことはできません。90’s Hip-Hop(90年代ヒップホップ)を彷彿とさせるこの曲を,今年2018年No.3に選びました。

補足1:上記ミュージックビデオの1:53〜2:02までのティアナのダンスは,ディディ・ボップ(Diddy Bop)という90年代にパフ・ダディとMa$eが流行らせたダンスです。もうこれはまさに90年代ヒップホップへのオマージュ以外の何者でもないですね。

補足2:こういうのを若者英語で#90svibes(ハッシュタグ#90’sヴァイブス)と言います。

補足3:ティアナ・テイラーよ,こういう素晴らしき曲&ミュージックビデオを作ってくれて,ありがとう。

補足4:冒頭のスキットでゴーストフェイスが激おこのティアナに向かって,”You smell the Jackson?”と言って,ティアナが”You think it’s funny?”と言っています。これは本当はめちゃめちゃおもしろいジョークなのですが,なにせティアナがマジでキレている状況下ですので,ゴーストフェイスはおもいきり笑えず,クスッと吹き出すだけで,ティアナは全く笑ってませんね。
 アウトキャスト(Outkast)の曲で「Ms. Jackson」という曲があります。黒人の男が黒人のガールフレンドのお母さんに向かって「ジャクソンさん,すいません!あなたの娘さんに浮気してしまいました!」って本気で謝罪しているのか,ふざけているのか,もうわからないラップ曲なのですが,ここのジョークはそれの言及ですね。”You smell the Jackson?”「なんかジャクソンさんっぽく臭うぞ」って本気で申し訳ないと思っているのか,ふざけているのか,ゴーストフェイスもこんな真面目なシチュエーションで,おもしろいこと言うので,自分自身でクスッと吹き出してしまっています。だからティアナも”You think it’s funny?”「ふざけてんの?」って返しています。こういうディテール(細部)が意外にこのビデオ,おもしろかったりします。

(文責:Jun Nishihara)