第10位:リゾ(Lizzo)の歌,踊り,そしてフルート演奏。全体的なパーフォマンスの完成度の高さ。(2019年Hip-Hop名曲名場面ベスト50)

リゾ(Lizzo)については,もう当サイトで何も新しく述べることは無いでしょう。ヒップホップのサイトなのに,なぜ彼女をわざわざ取り上げるのか,と。まぁそう思っている方もいらっしゃるかもしれませんが,今年2019年,リゾのスターへの道のりについては,めざましい成果であったと云えますし,もはや偉業と呼べるほどのことを成し遂げてきているので,取り上げざるを得なかったところです。

今年2019年はアルバム『Cuz I Love You』(米ビルボードが選ぶ2019年最も重要なアルバム第4位を記録)をリリースしました。

以下MVを掲載しておきます。

シングル曲「Good As Hell」についてはオリジナル・リリースは2016年ですが,今年2019年にはアリアナ・グランデ(Ariana Grande)とのREMIX盤をリリースし,またMVも一般のシロウトを起用した,素敵なミュージックビデオに仕上がっております。

Lizzo – Good As Hell(2016年リリースのオリジナル盤)

Lizzo – Good As Hell(アリアナ・グランデとのREMIX盤)

Lizzo – Good As Hell(オリジナル曲の2019年盤:ミュージックビデオは2019年12月9日リリースの新作)

Lizzo – 米「Ellen」番組でのシングル曲「Juice」ライヴ・パフォーマンス

Lizzo – 英「The Jonathan Ross Show」番組で相棒フルート=名前はサーシャ(フルートの名前がSasha!)を吹くリゾ。

Lizzo – 2019年のMTVビデオ・ミュージック・アワード賞でライヴステージを披露するリゾ。演目は「Truth Hurts」と「Good As Hell」。

Lizzo feat. Missy Elliott – “Tempo”

そして米TIME誌が選ぶ2019年最も輝いたエンターテイナー(TIME’s Entertainer of the Year)にも選ばれました。

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(文責:Jun Nishihara)

元ネタの曲を知る⑧:ジュース・ワールド⇆ナズ

元ネタの曲が二重にさかのぼって発見できる場合があります。

それは例えば,いま旬のジュース・ワールド(Juice WRLD)の楽曲「Lucid Dreams」で発見することができます。この曲は,ヒップホップの最高峰ラッパー=NASの「The Message」を元ネタとしております。

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ここで少しジュース・ワールドに触れておきますと,彼は現在19歳のまだ青少年です。なんと1998年生まれ。エミネムが公式デビューしたての頃です。エミネムの公式アルバムデビュー作や,セカンドLPがリリースされた頃,ジュース・ワールドはまだ1歳児の赤ん坊だったんです。

ジュース・ワールドは4歳の頃にピアノを習い始め,その後,ギターとドラムへと移行していきました。ラッパーを目指し,本格的にラップの曲をネット(SoundCloudサイト)へとアップし始めたのは,高校2年生の頃でした。

彼のラッパー名である「ジュース」は,2パックの映画『Juice』にちなんでいると言います。シカゴ生まれである彼は,同胞のカニエ・ウェストやチーフ・キーフ,はたまたヒューストン出身のトラヴィス・スコットを影響されたアーティストに挙げています。

さて,現在ビールボードチャート4位(リリース時は2位)の楽曲「Lucid Dreams(邦題:明晰夢(めいせきむ=夢見ていることを意識しながらみている夢))」を聴いてみましょう。

歌詞の内容はともかくも,冒頭のビートを聞くと,NASの「The Message」を想起せずにはいられません。ジュース・ワールドのこの曲はemo rap(エモ・ラップ(=情のこもったラップ))と呼べるでしょうが,NASの「The Message」が描いている夢は,そんなエモ(感情的)になっている暇なんてない連中への応援歌でした。ストリートの生きザマをありのまま描き,いつかそこから抜け出せる,そして成り上がれることを夢見た野郎たちに向けた曲でした。

最近は,黒人もある程度は平和に暮らせるようになった反面,こういった「精神的」な病いが蔓延するようになりました。肉体的に大変な時代には,こういった精神面での苦労はそこまでなかったのかもしれません,否,精神面での苦労があったのかもしれませんが,それ以上に,肉体面での苦労(食っていけるか,くたばるか)の実際面でのストラグルがある中,精神的に弱ってる暇は無かったのかもしれません。

そんな中,生まれたのが,NASの名曲「The Message」です。ストリートから,糞社会へ向けたメッセージです。

そして,冒頭で書いた「時に二重にさかのぼって発見できる場合」についてですが,このNASの「The Message」(1997年リリース)にも元ネタがあります。

それが1993年にリリースされた,スティング(Sting)の「Shape Of My Heart」です。

リュック・ベンソンの映画『レオン』の主題歌です。
このように,けっこうな大作がこうして世代を超えたヒップホップに影響を与えているという場合もあります。

(文責:Jun Nishihara)