カニエ・ウェストのニューアルバム『Jesus Is King』より,楽曲⑤対訳「On God」。

カニエ・ウェストのニューアルバム『Jesus Is King』より収録楽曲を,毎日1曲ずつ,対訳を掲載続けております。本日は,楽曲⑤「On God」です。ビートメイキングはヒップホップ界にあらわれた新星プロデューサー=ピエール・ボーン(Pi’erre Bourne)です。昨年,トラヴィス・スコットの「Watch」やカニエ・ウェストの「Yikes」で共演しました。

楽曲⑤「On God」対訳

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[Intro]
Yo, Pi’erre, yo, Pi’erre

(イントロ)
ヨゥ,ピエール,ヨゥ,ピエール

[Verse]
“How you get so much favor on your side?”
“Accept Him as your Lord and Saviour,” I replied
Thou shalt love thy neighbor, not divide
I’ma ride, that’s on God
His light shine the brightest in the dark
Single mothers know they got my heart
And all my brothers locked up on the yard
You can still be anything you wanna be
Went from one in four to one in three
Thirteenth amendment, gotta end it, that’s on me
He the new commander and the chief
That’s on Keef, that’s on God

(ヴァース)
「どうしてツキはあんた側にばかり回るんだ?」
「イエスを神,そして救世主として受け入れればいい」と,俺は答えた
汝の隣人を愛せよ,引き離すのではなく
ノッてくぜ,神の名に懸けて
神の光は暗闇でもっとも明るく輝く
シングルマザーの女性たちが俺のハートをがっしり掴む
そしてムショに囚われの野郎たち
将来なりたいものになれる,まだ遅くない
4分の1の人間から,3分の1の人間へと成長した
アメリカ合衆国憲法修正第13条,廃止させろ,俺の名に懸けて
神こそが新しい指導者であり首領であるからさ
キーフの名に懸けて,神の名に懸けて

Before the ranch, I had horses in the garage
When the Forbes cover was just a mirage
They had me chasin’ statues, that’s on pride
“Oh my God,” Bust said that’s on Tribe
When I thought the Book of Job was a job
The Devil had my soul, I can’t lie
Life gon’ have some lows and some highs
Before the Grammy’s ever gave a nod
I wore my heart on my sleeve, I couldn’t hide
In ’03, they told me not to drive
I bleached my hair for every time I could’ve died
But I survived, that’s on God

牧場を所有する前は,ガレージに馬を飼っていた
フォーブスの経済誌が妄想だと知る前は
彫像ばかり追い求めてた,プライドを賭けていた
「オーマイガーッ」とは,バスタがア・トライブ・コールド・クエストの曲で叫んでた
旧約聖書のヨブ記が仕事(job)のハナシだと勘違いしてた頃
俺の魂は悪魔にヤられてた,ほんとのところ
浮き沈みあるってのが人生さ
グラミー賞で認められるまで俺は
じぶんの感情をあらわに示すタチだった,隠せなかった
2003年,俺は運転免許を剥奪された
死んでいたかもしれないと思うたびに,白髪が増える
だがそれでも俺は生き残った,神の名に賭けて

I’ve been tellin’ y’all since ’05
The greatest artist restin’ or alive
That’s on L.A. Reid, that’s on Clive
That’s no Jive, that’s on God
Off the 350s He supplied
The IRS want they fifty plus our tithe
Man, that’s over half of the pie
I felt dry, that’s on God
That’s why I charge the prices that I charge
I can’t be out here dancin’ with the stars
No, I cannot let my family starve
I go hard, that’s on God

2005年からあんたたちにこれを伝えようとしてたんだ
これが世界最高のアーティスト,死んだ人も現役の人も含めて
L.A.リードの名に懸けて,クライヴの名に懸けて
ジャイヴ・レコーズの名に懸けて,神の名に懸けて
カニエ・ブランドのスニーカー,神のおかげで繁盛してる
税当局がその5割を求めてきた,おまけに10分の1を納めよと
メーン,それってパイの半分以上じゃねえか
心が凍(いて)ついたさ,神の名に懸けて
それだから金額設定を今のにしてるのさ
スターと一緒に踊ってる場合じゃないからさ
いや,家族を餓死させるわけにゃいかねえからさ
だから一生懸命なのさ,神の名に懸けて

[Outro]
(Yo Pi’erre, you wanna come out here?)
Okay, okay, okay, okay

(アウトロ)
(ヨゥ,ピエール,こっち来るか?)
オーケー,オーケー,オーケー,オーケー

(対訳:Jun Nishihara)

第6位「ドレイクの“キキ!Do you love me??!!”で今年イチ!流行った曲」(今年2018年に出た最も偉大なるヒップホップ曲ランキング)

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遂にドレイク(Drake)のこの曲「キキ!Do you love me?!?!」の番が回ってきました。第6位です。

最近は,「曲が流行ったかどうか」のモノサシとして,どれだけSNSで話題になったか,トレンドになったか,ハッシュタグがついたかで測られます。以前はCDの売り上げや,TVやラジオ,そしてビルボードチャートのランキングやらで,今どういった曲が流行っているかが測定されていましたが,この頃はそれがSNS上で垣間見れます。

この「キキ!Do you love me?!?!」(*正しくは「In My Feelings」という曲名)は,アメリカ全米だけでなく,アジア,中東,ラテンアメリカ,そしてアフリカ含む世界中の若者がSNSでこのセリフをマネて歌い,踊り,アップしました。

こうしてドレイクは,カナダやアメリカを飛び出し,世界へと羽ばたいていきました。

それでは第6位の当曲「In My Feelings」について,「人」という面から重要な点を簡潔に述べておきます。

Shiggy Challenge(シギーチャレンジ)という現象がSNS上(ツイッターやインスタグラム)で巻き起こりました。

シギーというのは,25歳の黒人コメディアンで,この曲のおかげで一躍有名人になりました。ドレイクのアルバム『Scorpion』が発売されて,当時(2018年6月30日時点)ではまだシングル曲にもなっていなかったのにもかかわらず,彼(シギー)はこの曲をおもしろいと思い,自分がこの曲のビートに合わせて踊っている(ダンスしている)動画を自身のインスタグラムにアップしました。またたく間にその動画はネット上を席巻し,あらゆる場所でリツイートなりリアップなりされて,世界中がその動画を見,世界中の若者にとどまらず,老若男女がそのダンスを真似して,アップするという連鎖反応が起こりました。

まさにドレイクのこの曲と自身のダンス動画のアップによって,シギーの人生は,一変しました。世界中に彼の名が知られることになりました。

その動画がこれです。これがきっかけで,ウィル・スミスも,シアラも,ベッカムも,それを真似して曲に合わせて踊るダンスを自身のインスタグラムにアップしました。

まずはウィル・スミスの動画から。

次にシアラの動画です。

そして,ついに,シギー自身の動画です。これが全ての始まりです。

https://www.instagram.com/p/BkoUbKJhFFz/?utm_source=ig_web_button_share_sheet

そしてこの「In My Feelings」における2つ目の重要な点は,黒人ギャルのラップユニット=City Girlsをフィーチャリングしているという事実です。

彼女たち(City Girlsの2人)も前出のシギーのように,この曲「In My Feelings」によって一躍有名人になりました。今までCity Girlsなんていう黒人ギャルのラップユニットなんて聞いたことがなかったという人にも,今ではアメリカではお茶の間に知れ渡る名前となりました。

City Girlsのラップには「ナマリ」があります。アメリカ南部の田舎訛り&黒人英語の発音(南部訛りに加えて黒人英語Ebonicsというキツいアクセント)です。それがまた良い味を出しています。ドレイクのような「ど真ん中」を行くアーティストに,彼女たちのドギツイ抑揚が曲中に入っているというのが,素晴らしい味をぷんぷん臭いくらいに匂わせています。かつて伝説のヒップホップデュオであるアウトキャスト(Outkast)が「Stankonia(ぷんぷん匂う音楽)」と称した南部の黒人ヒップホップですが,これもまた,南部の黒人の臭さがいい具合で匂ってくるくっさい英語です。

今年の流行語ならぬ流行名は「キキ(Kiki!)」と言っていいほど,この曲は今年めちゃめちゃ売れました。

Aliya Janellヴァージョンも載せておきます。

そして最後に,今年最大のヒット曲であるドレイク「In My Feelings」の本物のミュージックビデオがこちらです。

なにがすごいって,本物のドレイクのビデオ中にシギー(シロウト)が創出したダンスが起用されていることですね。ほんとは逆ですけれど,この場合は今までの「逆」なんです。そこまで今年,シギーのダンスは影響力がありました。

(文責:Jun Nishihara)