黒人音楽の月であり奴隷解放記念日であるJuneteenthに,ティアナ・テイラー (Teyana Taylor)新盤をリリース。

黒人音楽の月(Black Music Month)に相応しいアルバムリリースとはこのことです。

ティアナ・テイラー(Teyana Taylor)の新盤『The Album』が2020年6月19日(黒人奴隷解放記念日=Juneteenthの日)に解放=リリースされました。

Teyana-Taylor

実はティアナ・テイラーと当サイトの進むべき方向性は似ていると思っております。彼女は1990年生まれで,まだ29歳であるにもかかわらず,まさに90年代のR&Bミュージックで奏でられた「音と声」を現在のブラック・ミュージックに蘇らせているのが彼女であります。つまり,90年代の音楽がティアナ・テイラーを媒介とさせて生きている,ということです。「旧い音楽」というものが,こうしてティアナ・テイラーのようなアーティストが出現することにより,30年の周期で蘇っているのであれば嬉しいです。

勿論新しい体系の音楽も若者の黒人音楽も素晴らしいですが,同時に「聴き続けられるべき音楽」をこのように蘇らせてくれるのも素晴らしい。この両サイドをバランス良くとらえて楽曲に昇華させているのがティアナ・テイラーであり,それは同時に当サイトが目指すところでもあります。

ティアナ・テイラー(Teyana Taylor)の新盤『The Album』では,エリカ・バドゥ(Erykah Badu・・・出た!)やローリン・ヒル(Ms. Lauryn Hill)をフィーチャリング・ゲストとして迎えており,ティアナの芸への熱が感じられます。

楽曲4「Lowkey」でエリカの声が聞こえる瞬間,たしかに「おぉっ!」となりますね。ティアナとエリカのヴァースはこの楽曲では明確に区別されており,そこがエリカの偉大さに対するティアナの敬意のように感じられます。

楽曲5「Let’s Build」はしっとりとしたメロディーの楽曲です。ミーゴスのメンバーであるラッパーQuavoを迎えておりますが,これはQuavoがジョインした曲の中でも最もオトナっぽいしっとりとした曲の類に入るのではないでしょうか。

楽曲6「1800-One-Night」は,ティアナ自身がプロデューサーとして関わった楽曲です。つまり,「ワン・ナイト・スタンド(一夜だけの愛)」をテーマにした曲ですが,官能的な歌詞にしても,ティアナが制作したアンビアンス溢れるメロディーにしても,そういった夜があれば,まさにこの曲,使えます。そして次の楽曲7「Morning」(一晩明けた後の朝)へ移る移行(transition)は格別です。このあたり,楽曲5でしっとりとして,楽曲6でエロくして,楽曲7で朝を迎える,という風にグラデーションのように並べられているのはシングル曲では味わえないアルバムならではの聴き方でもあります。そして次・・・

楽曲8でミッシー・エリオット(Missy Elliott)を迎え,プロデューサーはティンバランド(Timbaland),簡単に踊れる曲ではないですが,メロディアスなビートにもかかわらず「静かに踊れる」曲になるでしょう。ここら辺はちゃんと90年代〜2000年代初期のR&Bを聴いて大きくなったティアナの生粋ぶりが発揮されていると思います。これは5分31秒の楽曲ですが,5分00秒に入った時点で,いきなりベース音とドラムマシンのサウンドが強くなり,曲が終わる寸前5分26秒でビートがダン・ダン・ダンとトラップ・ミュージックに変更しかけるのは,これは昔っからティンバランドが使っている手法で「次の曲への移行(transition)を予告することもあれば,新しい別の曲を披露しようとするがしないという寸止めのワザ(teasing)」でもあります。ティンバランドはこういうワザをたまに入れ込んでくるので,無意識的にもっと聴きたいという欲望が強くなります。この5分26秒のトラップ・ビートの箇所は,ヘッドフォンか何かで良く聴かないと聞こえないですので,御留意下さい。

楽曲10「Killa」及び楽曲11「Bad」は中南米の雰囲気が味わえる曲です。カリビアンもしくはジャマイカン。リアーナを彷彿とさせますが,声は全く違います。ティアナのドスの効いた奥深い声が響きます。このアルバムでは珍しい毛色になりますが,決して孤立していない(浮いていない)というところが,一貫性(consistency)を感じさせます。

楽曲16「Concrete」は名曲となる予感がします。コンクリートの街であるニューヨークはハーレム(Harlem)出身のティアナらしい題材です。同曲に,こういう歌詞があります。

Gaslightin’ my emotions
Somehow you got the notion
A woman’s better broken, but nigga, don’t provoke me
When I get reactive you tell me to chill
That’s that toxic shit that I don’t feel

溢れる感情にライターで火を点けて
あなたは気づいているフリをする
女は傷ついた状態が最高の状態なんて,ニガ,ふざけんな
あたしが激昂すると,あんたはチルしろ(おちつけ)なんて言う
そんな言葉にあたしは毒されないわ
 ー Teyana Taylor「Concrete」ヴァース2より。
(対訳:Jun Nishihara)

他にもほんとうに話題に溢れる楽曲満載の同アルバムですが,最後にもう1曲取り上げます。楽曲20「Friends」は解りますか?ミュージック・ソウルチャイルド(Musiq Soulchild)の名曲「Just Friends (Sunny)」を元ネタにサンプリングしているのです。2000年にリリースされた曲,ちょうど20年前!もうここら辺が私は,ティアナに共感・共鳴する大きな要素となっているんですよねぇ。

ちょっと聴き比べてみてください。まずはティアナから。

Teyana Taylor – “Friends”

そして元ネタ。

Musiq Soulchild – “Just Friends (Sunny)”

ティアナ・テイラーのこのアルバム,ひとまずは一通り,ご一聴してみてください。

(文責:Jun Nishihara)

Cam’ronのアルバム『Purple Haze』を知っているか?

今般の新型コロナウイルスの影響で,アメリカ人も隔離の生活(quarantine life)を送っているわけですけれど,家でこもっている全米の人たちにとって,あらゆる「おうち娯楽(At-Home Entertainment)」が届けられています。

まずは全米音楽ストリーミングサイトであるTIDALでは,「At Home with TIDAL」という題名で,これまでのTIDALインタヴューをまとめて放映しています。

そこでニューヨーク市はイースト・ハーレム出身のベテランラッパー=キャムロン(Cam’ron)のインタヴューが流れていました。

キャムロンについては以前このサイトでも少しだけ取り上げました。

キャムロンがこれまでリリースしてきた公式ソロ・アルバムは7枚。以下のとおりです。

https_images.genius.com3c9078c99248a02e298976d5d0e167be.600x600x1
『Confessions of Fire』

SDE_cover
『S.D.E.』

Come_Home_With_MeCam
『Come Home with Me』

Cam'ron_-_Purple_Haze
『Purple Haze』

Cam-killa-season
『Killa Season』

CrimePays
『Crime Pays』

Camron_Purple_Haze_2_Cover_Art
『Purple Haze 2』

この中でキャムロンはじぶんが一番気に入っているアルバムとして,TIDALインタヴュー中で,話します。それが『Purple Haze』であると。

アルバム『Purple Haze』については,知っている人も,リリース当時から何回も聴いてきた人も,この機会にもう一度,聴き直すべき名作です。

収録楽曲は以下のとおりです。

1. “Intro”
2. “More Gangsta Music” (featuring Juelz Santana)
3. “Get Down”
4. “Welcome to Purple Haze” (skit)
5. “Killa Cam”
6. “Leave Me Alone, Pt. 2”
7. “Down and Out” (featuring Kanye West and Syleena Johnson)
8. “Harlem Streets”
9. “Rude Boy” (skit)
10. “Girls” (featuring Mona Lisa)
11. “I’m a Chicken Head” (skit)
12. “Soap Opera”
13. “O.T.” (skit)
14. “Bubble Music”
15. “More Reasons” (featuring Jaheim)
16. “The Block” (skit)
17. “The Dope Man” (featuring Jim Jones)
18. “Family Ties” (featuring Nicole Wray)
19. “Adrenaline” (featuring Twista and Psycho Drama)
20. “Hey Lady” (featuring Freekey Zekey)
21. “Shake” (featuring J.R. Writer)
22. “Get ‘Em Girls”
23. “Dip-Set Forever”
24. “Take ‘Em to Church” (featuring Juelz Santana and Un Kasa)

第一印象は,収録楽曲が多いこと。その理由はなんといっても「スキット」の多さです。

まぁインタヴューの中でも笑い話として語られますが,当時のヒップホップ・アルバムはそれはまぁスキットが多かった。スキットを挟むことによって,ゲットーの暮らしっていうものを再現していた。黒人(とくに若者黒人)が実際に話している英語の使い方等を所々に散りばめて,黒人生活の「リアルさ」を再現していた。とくにキャムロンはそれを「ユーモア」を込めた会話を含め,収録していた。2002年〜2009年頃までにリリースされたヒップホップアルバムはとてもスキット(skits)が多かった。なつかしい。

さて,当時からすでにカニエ・ウェスト(Kanye West)は売れっ子のプロデューサーとして働いていたわけですけれど,キャムロンの当該アルバムには当時,DipSet常連のザ・ヒートメイカーズ(The Heatmakerz:例えば2曲目)と並んで,登場しておりました。カニエ・ウェストが上記収録楽曲中でプロデューサーとして関わったのは2曲。収録楽曲7.の「Down and Out」と楽曲23.の「Dip-Set Forever」です。

当時キャムロン自身,ソウルフルなサンプリングを好んでいましたので,カニエ・ウェストのソウルフルなサンプリング・ネタ使いと相性が合ったのでしょう。聴いているこちらも,とても心地よいです。

23曲も聴くのは大変ですので,つまみ食いするとするならば,次の曲を聴くべきでしょう。キャムロンとその周辺(DipSet野郎たち)のこのぶっ飛んだ音楽に打ちのめされてみてください。

【聴くべき曲目リスト】
7. Down and Out(カニエのソウル・ネタに乗っけた,キャムロンの遅めのラップに注目!)
8. Harlem Streets
10. Girls(マドンナのガールズ・ネタ使い!当時,シングル・ヒットした曲。)
21. Shake(テンポ,ビート,リズム,どれを取ってもクラブ用。ハーレム・シェイクを別の次元にもっていった,当時にしては,ぶっ飛んでいた曲。)
23. Dip-Set Forever

とくに23曲目の「Dip-Set Forever」はソウル・サンプリングを極端に回しているので,もう涙ものです。こんなことをやる人は,最近もういないですよ。こんな一歩まちがえるとシロウトが作ったビートに聞こえてしまいそうなネタ回しを,ここまで大袈裟に,真正面から,愚直にできるのは,もうカニエしかいない。そのカニエの「まわし」についてこれるキャムロンのラップは極上です。

ちなみに,最後になりましたが,この『Purple Haze』は小生自身,初めて対訳をさせてもらったアルバムでもあります。ユニバーサル・ミュージックの皆様,ありがとうございました。この感謝,Dip-Set THANKS Forever。

(文責:Jun Nishihara)

第3位「ティアナ・テイラーの“Gonna Love Me”のリミックスが大人と若者のヒップホップを融合させた!」(今年2018年に出た最も偉大なるヒップホップ曲ランキング)

いよいよ今年トップ3になりました。

ヒップホップは「若者のモノ」という概念が常に付きまといましたが,そんな考えは今年,ティアナ・テイラー(Teyana Taylor)がぶち破ってくれました。オトナも若者もカンケーなく,ヒップホップそのものを歌って踊れる曲をリリースしてくれました。

それが「Gonna Love Me」のリミックスです。

ミュージックビデオを観ていただくと分かりますが,これはもう,ほんとうに,90’s(90年代)へのオマージュです。80年代に生まれた世代で,90年代にヒップホップを聴いて育った方々へ,28歳になったばかりの若いティアナ・テイラーが作った素晴らしい楽曲です。

もともとはティアナ・テイラーがソロで歌う(フィーチャリング無しの)曲でしたが,ここへラップをのっけて作ったのがリミックスです。リミックスには,ゴーストフェイス・キラ(Ghostface Killah),メソッド・マン(Method Man),そしてレイクウォン(Raekwon)という全員NYのスタテン・アイランド(Staten Island)出身のウータンクラン(Wu-Tang Clan)メンバーを迎えています。ラップはスタテン出身のウータン,歌うのはハーレム出身のティアナ・テイラーという(もうR&Bにとどまらない)ヒップホップ曲です。

ミュージックビデオの冒頭スキットで,ハーレム出身のティアナ・テイラーとスタテン出身のゴーストフェイスが恋人同士という設定で,ゴーストフェイスの浮気が見つかり,たがいに喧嘩するという設定は,なんか嬉しいですね。ハーレムとスタテンが恋人なんだけど,たまにするハーレムとスタテンの喧嘩みたいで。ハーレム出身のディディ(別名パフ・ダディ,別名Pディディ,別名パフィー,別名パフ)と,スタテン出身のウータンが喧嘩するみたいで。ヒップホップファンにとっては,こういうコラボレーションは嬉しくなりますし,なによりも,90年代へのオマージュというこの曲の重要な点は見逃すことはできません。90’s Hip-Hop(90年代ヒップホップ)を彷彿とさせるこの曲を,今年2018年No.3に選びました。

補足1:上記ミュージックビデオの1:53〜2:02までのティアナのダンスは,ディディ・ボップ(Diddy Bop)という90年代にパフ・ダディとMa$eが流行らせたダンスです。もうこれはまさに90年代ヒップホップへのオマージュ以外の何者でもないですね。

補足2:こういうのを若者英語で#90svibes(ハッシュタグ#90’sヴァイブス)と言います。

補足3:ティアナ・テイラーよ,こういう素晴らしき曲&ミュージックビデオを作ってくれて,ありがとう。

補足4:冒頭のスキットでゴーストフェイスが激おこのティアナに向かって,”You smell the Jackson?”と言って,ティアナが”You think it’s funny?”と言っています。これは本当はめちゃめちゃおもしろいジョークなのですが,なにせティアナがマジでキレている状況下ですので,ゴーストフェイスはおもいきり笑えず,クスッと吹き出すだけで,ティアナは全く笑ってませんね。
 アウトキャスト(Outkast)の曲で「Ms. Jackson」という曲があります。黒人の男が黒人のガールフレンドのお母さんに向かって「ジャクソンさん,すいません!あなたの娘さんに浮気してしまいました!」って本気で謝罪しているのか,ふざけているのか,もうわからないラップ曲なのですが,ここのジョークはそれの言及ですね。”You smell the Jackson?”「なんかジャクソンさんっぽく臭うぞ」って本気で申し訳ないと思っているのか,ふざけているのか,ゴーストフェイスもこんな真面目なシチュエーションで,おもしろいこと言うので,自分自身でクスッと吹き出してしまっています。だからティアナも”You think it’s funny?”「ふざけてんの?」って返しています。こういうディテール(細部)が意外にこのビデオ,おもしろかったりします。

(文責:Jun Nishihara)

第5位「今年イチの同窓会。Dipset!の再結成!」(今年2018年に出た最も偉大なるヒップホップ曲ランキング)

このカウントダウンも,いよいよトップ5に入ってきました。

ヒップホップそのものを愛するヒップホップヘッズの諸君たちへ。

今年イチの再結成といえばもう,ディップセット(Dipset!)の再結成でしょう。14年ぶりにNYはハーレム出身のヒップホップ最強グループ=The Diplomats(別名:Dipset(ディップセット))が再結成されました。これほどヒップホップファンにとってエキサイティングなニュースは,今年,なかったでしょう。

昨日第6位に出たドレイクですら,Dipset好きで有名です。

その彼らがDipset Reunion(ディップセットの再結成)を記念して作った楽曲「Once Upon A Time」のミュージックビデオを観てみましょう。

むかしからDipsetを聴いてきた人たちにとっては,「なつかしさ」で涙がこぼれるほど感動的なことでしょう。こういったヒップホップを次の世代にも受け継いでいかなきゃいけない,それが自分たちの使命であると,そう思います。

そしてDipsetを今回初めて聴いたというワカモノたちよ,2003年にリリースされた以下の曲を聴いてどう思うか君たちに聴いてみたい。ミュージックビデオの途中で曲調が変わるところとか,最近じゃケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)がやってますけれど,それは15年前にDipsetがすでにやっていました。

こういうのを見て「すげえことするヤツらだな」とか思ったり,彼らのド派手なヒップホップスタイルを見て自分らも真似したり,Dipsetは音楽だけでなく「スタイル全般」としてヒップホップを確立した,物凄く影響力のあるグループでした。その彼らが14年ぶりに再結成したなんて,まさに僕らが待ち望んでいたことですよ。

(文責:Jun Nishihara)

ヒップホップ歌詞引用解説:キャムロン「Horse & Carriage」の場合

1998年7月21日リリースの名作『Confessions Of Fire』は,後のディップセットのボス=キャムロン(Cam’Ron)のデビュー作です。NYCはハーレム出身。ハーレムと言えば色んなラッパーの出身地です。ディディ(パフ・ダディ),メイス,ビッグL,ブラック・ロブ,Qーティップ,J.R.ライター(ナツい!),そしてまさに「今」をきらめくティアナ・テイラー(先週金曜日にカニエ・プロダクションのアルバムをリリースしたばっか!),そしてキャムロン率いるディップ・セット軍団です。

このようにハーレムは素晴らしき数々のラッパーを輩出してきたヒップホップ聖地です。

そのキャムロンのデビュー作でもあり,名作と呼ばれる『Confessions Of Fire』より,楽曲「Horse & Carriage」から,以下の歌詞を引用します。

https_images.genius.com3c9078c99248a02e298976d5d0e167be.600x600x1

Aye yo, I pull to the hotel with my shit on blast
Tell the valet “Motherfucker don’t hit my Jag”
Seen the bell boy, nigga he can kiss my ass
Just show me my room nigga, and get my bags
So the girl, that’s my hon, almost dropped his glass
I guess he was shocked when I touched her ass
It really wasn’t nothin’ she was peedy aight
“Does that say Harlem World?” yeah you readin’ it right
And we havin a party, be there tonight
Like Phil Collins have her in “The Heat Of The Night”
Cause Cam rocks the party (All Night Long)
‘Til when? (‘Til the early morn’)
It don’t stop (and uh) it don’t quit
(and uh) drop six (and uh) we pop Cris
Right now too tipsy to drive
But I got my horse and carriage right outside

エイヨゥ,自分の曲,爆音で鳴らして,カノジョと一緒にホテルへ行った
駐車係にカギ渡してこう言った,「俺のジャガー,ぶつけんじゃねえぜ」
フロントのベルボーイ,ちんたらしやがって
はよ部屋に連れてってくれ,俺のカバン持てよ
そいつ,俺のカノジョ見て,ジュースをこぼしやがった
カノジョのお尻さわってるとこ見て,そいつビビったんだろ
たいしたことねえよ,カノジョ,まぁまぁイケてんぜ
「そのジャケット,ハーレム・ワールドですか?」って,当たりめーだよ
今夜パーティーあっからよ,おまえも来いよ
フィル・コリンズのように,「今夜は燃えるぜ」
キャムのおかげでパーティー盛り上がり(ひとばんじゅー)
いつまで?(翌朝まで)
やめらんねー(それに)やめさせねー
(それに)高級車(それに)クリスタル・シャンパン
今は酔っ払って,ハンドル握れねえ
でも外によ,「馬と馬車」待たせてっからよ
(訳:Jun Nishihara)

キャムロンのこの歌詞の素晴らしいところは,ちゃんと物語が絵になって見えるところです。「女を連れてホテル行って,ベルボーイさそって,みんなでパーティー盛り上がって,朝まで酒飲んで,暴れてる。」といった内容。ちなみに高級車とシャンパンは,この時代からヒップホップの象徴として,「季語」のように使われています。ヒップホップ歌詞になくてはならない要素として,組み込まれています。

最近のアメリカの10代〜20代の若者は,キャムロンを聴いた人は少ないと思いますが,30〜40代でヒップホップが好きな人なら,必ずキャムロンやディップ・セットを聴いて育ってきています。ヒップホップにとって,とても大切な人物です。ヒップホップ史をちゃんと築いてきた重要人物の一人です。ぜひ,おぼえておいてください。

(文責:Jun Nishihara)