(今でも)R&Bの王様:R. Kelly特集②

前回に続き、今回もR. Kellyについて書きます。

高校生の時に、R. Kellyの「I Wish」というシングル曲が発売されました。その後まもなく同曲のRemix版である「I Wish – Remix (To the Homies That We Lost)」がリリースされることになったのですが、それを当時私は和歌山県の実家でその曲を聴いて、歌詞カードを読みながらリリックに感動して泣きながら聴いて、それを台所にいるおかんに持っていって見せたのを憶えています。

その曲が先週末、頭の中でずっと鳴っていたので、ジャーナルに書き残しておきました。手書きで書くことによって思考が沈静化/深層化します。

その曲がこちら。

R. Kelly feat. Boo & Gotti – “I Wish – Remix (To the Homies That We Lost)”

途中、R. Kellyが「ラジオよ、お願いだから “nigga” という言葉を消さないでくれ!」って叫ぶところ。これこそこのサイトで伝えたい「その言葉にしか伝えられないブラザーに対する感情」というものです。「Bro」でもなく「Fam」でもなく「その言葉(N-word)であるからこそ」ほんとうの思いが伝えられる、というものです。軽々しくその言葉を使ってはいけないっていう問題じゃないのです。もはや。だって、それを言っているのは「黒人」なのですから。当然のことながら、放送禁止用語だからその言葉を検閲するっていう問題でもないのです。その後、ケリーはなんていうかというと、こう歌います。「Let it play on, play on, play on…」と。これには、「曲よ、このまま鳴り続けてくれ、鳴り続けてくれ、鳴り続けてくれ」というケリーの願いに重ねて、人生よ、終わらないでくれ、つまり、「生き続けろ、生き続けろ、生き続けろ」と、死んでいくブラザーを目の前にして伝えようとしているR. Kellyの言葉なのです。

(文責:Jun Nishihara)

R. Kellyの忘れられた名曲5曲を掲載(其の一)

前回のDiddyに続き、世の中から最も嫌われることとなった黒人アーティストである R. Kelly の忘れられた名曲を5曲選びました。

  1. R. Kelly & Usher – “Same Girl”

2. R. Kelly – “Hair Braider”

3. R. Kelly – “I Believe I Can Fly”

4. R. Kelly – “To The Homies That We Lost (I Wish Remix)” これは永遠の名曲です。高校生の私はこの曲を歌詞カードを見ながら聴いて泣きました。

5. R. Kelly x Kelly Price x Kim Burrell x Maurice Mahon – “3 Way Phone Call” どれだけR. Kellyが世の中の悪者となろうが、R. Kellyの歌声はどんなR&B歌手のそれをも遥かに上回って上手いことがわかる。

(文責及びキュレーター:Jun Nishihara)

ドレイクに影響を与え,そして影響を受けた,UKの黒人音楽シーン(その②)

UKの黒人音楽シーンに出現した若手シンガー女子2名=エラ・メイ(Ella Mai)とマハリア(Mahalia)が並んで映ると,まさに姉妹のように映る,そんな映像が流れるのが2019年9月にリリースされたミュージックビデオ「What You Did」です。二人ともUK出身。エラ・メイはジャマイカ人の母親と,アイルランド出身の父親の混血。マハリアは,英国ミッドランド東部に位置するレスターシャーの生まれ。同じくジャマイカ人の母親と,アイルランド出身の父親の混血。やっぱり二人とも,姉妹?!

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「What You Did」のミュージックビデオはこちらです。

Mahalia feat. Ella Mai – “What You Did”

キャムロン(Cam’ron)好きの私は,すぐにこの曲が好きになりました。
(キャムロンについては,コチラを読んでみてください。)

なぜこれがキャムロン好きにはタマらん曲なのか,と言えば,マハリアのこの楽曲「What You Did」のビートは,まさに以下のキャムロンの2002年4月リリースのシングル曲をサンプリングしているからです。

Cam’ron – “Oh Boy”(2002年4月リリース)ディップ・ディップ・セッセッ!!

なお,知ってました?この「オゥ・ボーイ・ビート」は以下の曲でマライア・キャリー(Mariah Carey)もサンプリングします。

Mariah Carey feat. Cam’Ron – “Boy (I Need You)”

さて,話を戻しますと,エラ・メイはシングル曲「Boo’d Up」で2018年に全世界を席巻し,売り上げは米国のみで500万枚セールス,カナダや英国での売り上げを合わせますと,合計600万枚以上。2018年のビルボードチャートを総ナメする勢いにまで発展しました。

他方,マハリアはその間,UKの音楽シーン,とりわけアンダーグラウンド・シーンでグツグツと人気を温存してきており,2019年9月にアルバム『Love and Compromise』をリリースし,同アルバムは英国R&Bアルバムランキングに於いて第3位を記録しました。

この生粋のUK生まれの二人は,冒頭のシングル曲「What You Did」でコラボレーションしたわけですけれども,楽曲に起用されている元ネタ・ビート「Oh Boy」を世に出した張本人であるキャムロン自身を迎えたというREMIXヴァージョンも今年リリースされました。2002年に出たキャムロンのビートをサンプリングとして使い,そして18年後の2020年に,キャムロン自身をREMIXに迎えた!という大胆な手法で,以下REMIXをリリースしたものです。

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ちなみに,マハリアが上記写真でまとっている緑色の毛皮は,2002年にキャムロンがピンクの毛皮をまとって撮った以下の写真をオマージュとしております。これは2002年当時,キャムロンがヒップホップ界随一のピンク色好きということで有名で,クルマもピンク,ダボダボのシャツもピンク,毛皮もピンクという出立(いでたち)で,ヒップホップ界では当時このピンク色を「Cam’ron Pink(キャムロン・ピンク)」と呼ぶようにまでなり,当時かなり話題になりました。ゴテゴテのヒップホップ野郎でもピンク色のシャツを着てもいいんだ,と,NYの若者はそのカラーを真似するようになり,ついにヒップホップ・ファッション界にまで影響を及ぼすこととなりました。

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さて,そのキャムロン張本人を迎えてリリースしたREMIXヴァージョンがこちらです。

Mahalia feat. Cam’ron & Ella Mai – “What You Did (REMIX)”

(文責:Jun Nishihara)

ビヨンセを招いてREMIX登場。ミーガン・ジー・スタリオンのアイマ・サヴェッジ!

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(種馬=スタリオン,ミツバチ群=クイーン・ビー。スタリオン(Stallion)とは「種付け馬のようにがっしりとした体格で性的に魅力のある女」という意味の米スラング用語。ミツバチは,ビヨンセの愛称=Queen Beeより。)

出ました。サヴェッジのリミックスヴァージョン。

今年の夏もアツくさせてくれそうです。ホット・ガール・メグことミーガン・ジー・スタリオン。

ホット・ガール・サマー(Hot Girl Summer)は2019年でした。今年2020年は,サヴェッジ・ガール・サマー(Savage Girl Summer)となる勢いです。

まずは,そのオリジナル・ヴァージョンで素人がダンス披露をするコンピレーション動画をご覧下さい。その後,ビヨンセを招いてのREMIXヴァージョンです。

オリジナル(Megan Thee Stallion – “Savage”)

https://www.instagram.com/p/B-r9Piulqpt/

https://www.instagram.com/p/B-iSUQNF0Lw/

以下はジャスティン・ビーバーも参戦。

https://www.instagram.com/p/B-F8_gelXS8/

続いて,2020年4月29日にリリースされたBeyonce(ビヨンセ)を招いてのリミックス:Megan Thee Stallion feat. Beyonce – “Savage Remix”です。YouTube上のミーガンの公式ページでアップされ,すぐにトレンディング急上昇第1位,再生回数は3日で1000万回超え,全米のサヴェージ女子がリミックスを掛けてダンス動画を続々UPするという記録。

以下は,#SavageRemixChallengeより。

https://www.instagram.com/p/B_qOh9fFgB6/

https://www.instagram.com/p/B_tlf43BZpm/

https://www.instagram.com/p/B_p5sUYpkyX/

以下はきちんと歌詞の意味を捉えてのダンスでなかなかの好印象。
https://www.instagram.com/p/B_trHmgJrws/

(キュレーション:Jun Nishihara)

第10位:リゾ(Lizzo)の歌,踊り,そしてフルート演奏。全体的なパーフォマンスの完成度の高さ。(2019年Hip-Hop名曲名場面ベスト50)

リゾ(Lizzo)については,もう当サイトで何も新しく述べることは無いでしょう。ヒップホップのサイトなのに,なぜ彼女をわざわざ取り上げるのか,と。まぁそう思っている方もいらっしゃるかもしれませんが,今年2019年,リゾのスターへの道のりについては,めざましい成果であったと云えますし,もはや偉業と呼べるほどのことを成し遂げてきているので,取り上げざるを得なかったところです。

今年2019年はアルバム『Cuz I Love You』(米ビルボードが選ぶ2019年最も重要なアルバム第4位を記録)をリリースしました。

以下MVを掲載しておきます。

シングル曲「Good As Hell」についてはオリジナル・リリースは2016年ですが,今年2019年にはアリアナ・グランデ(Ariana Grande)とのREMIX盤をリリースし,またMVも一般のシロウトを起用した,素敵なミュージックビデオに仕上がっております。

Lizzo – Good As Hell(2016年リリースのオリジナル盤)

Lizzo – Good As Hell(アリアナ・グランデとのREMIX盤)

Lizzo – Good As Hell(オリジナル曲の2019年盤:ミュージックビデオは2019年12月9日リリースの新作)

Lizzo – 米「Ellen」番組でのシングル曲「Juice」ライヴ・パフォーマンス

Lizzo – 英「The Jonathan Ross Show」番組で相棒フルート=名前はサーシャ(フルートの名前がSasha!)を吹くリゾ。

Lizzo – 2019年のMTVビデオ・ミュージック・アワード賞でライヴステージを披露するリゾ。演目は「Truth Hurts」と「Good As Hell」。

Lizzo feat. Missy Elliott – “Tempo”

そして米TIME誌が選ぶ2019年最も輝いたエンターテイナー(TIME’s Entertainer of the Year)にも選ばれました。

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(文責:Jun Nishihara)

第32位:今年最高の盛り上がりを見せたリル・ナズ・Xの曲「Old Town Road」(今年出たHip-Hop名曲名場面ベスト50)

テイラー・スウィフト(Taylor Swift)は,さかのぼれば,大元はカントリーシンガー(カントリー音楽を歌う歌手)でした。カントリー出身の彼女は,次第にアメリカン・ポップを歌うようになり,今ではアメリカ,いや,全米のみならず,全世界を代表するポップ・シンガーとなりました。つまり彼女は,カントリーを出て国際的世界ナンバーワンとなったアーティストでした。

しかし今年出たこのリル・ナズ・X(Lil Nas X)の全世界ヒット曲「Old Town Road」では,今まで成し遂げられなかったことが成功しました。それは何かといえば,まさにテイラー・スウィフトとは逆,「ヒップホップをカントリーに入れ込んだ」ということです。今まで,「カントリーを出て,ヒップホップに行った」人(たとえばKid Rock(キッド・ロック))はいました。そしてテイラー・スウィフトのように「カントリーを出て,ポップに行った」人もいました。つまり「カントリー出て,他へ行った」人はいたのでしたが,リル・ナズ・Xはそれらとは逆に「ヒップホップをカントリーの世界にもってった」,言わば「ヒップホップをカントリーの世界に逆流させた」ことに成功した,きわめてめずらしいアーティストになりました。

ヒップホップはここ数年,アメリカの「ポップ」として認知されるようになってきました。ロックやジャズと比べると歴史は相当浅いですが,ここへ来て,もうアメリカ中の誰もがヒップホップを無視することはできなくなってきました。ニッキー・ミナージュが世に出てきた頃から徐々に,ヒップホップは一部「ポップ」として認知されるようになってきました。

この曲の偉大さについてはさて置き,今年出たヒップホップ曲第32位として,以下リル・ナズ・Xの「Old Town Road」の2ヴァージョンを掲載しておきます。

Lil Nas X feat. Billy Ray Cyrus – “Old Town Road”

※スキット無し

※スキットあり

(文責:Jun Nishihara)

第38位:UK生まれでジャマイカンの血を継ぐ女子ラッパー=Stefflon Donのシングル曲「Phone Down」(今年出たHip-Hop名曲名場面ベスト50)

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いよいよ彼女のステータスも確立し始めてきました。2017年ごろからぐつぐつとその人気ぶりは沸き始め,今年はリル・ベイビー(Lil Baby)をフィーチャリングしたシングル曲「Phone Down」をリリースしました。以下のMVです。

さて,ステフロン・ドン(Stefflon Don)の人気ぶりは,ヒップホッパーの間にとともらず,レゲエやレゲトンで有名なジャマイカン連中の間でも確固たる地位を確立してきております。

2017年には,メインストリームに登場するキッカケとなったシングル曲「Hurtin’ Me」をリリースしました。フィーチャリングはフレンチ・モンタナ(French Montana)です。

彼女のミュージックビデオを観ても感じると思いますが,他のストリッパー的ラッパーとはまったく異なるヴァイブスを感じます。芯が強い姉御肌(あねごはだ)といいますか,決して若者ウケを狙っているわけではない,全世界の女子の「カッコ良さ」を代表するような雰囲気を醸し出しているところが,男が観ていてもカッチョいいと感じます。

もう1曲観ておきましょう。次はトリー・レーンズ(Tory Lanes)をフィーチャーリングした楽曲「Senseless REMIX」です。

ステフロン・ドンもトリー・レーンズも双方ともJamaican descent(ジャマイカの血を継ぐ)アーティストですね。

今後も彼女の活躍に期待は高まります。

(文責:Jun Nishihara)

第46位:YGの“Stop Snitchin” (今年出たHip-Hop名曲名場面ベスト50)

ピアノの低音がニクい。ウェッサイの音(サウンド)はどうしてこうもニクいのか。とても特徴的で,忘れたくても忘れられないこのビート。放送禁止用語を乱発しまくるリリック。中毒的なテンポ。衝撃的な曲です。

まあ,“snitch”というのは,ギャングの間でいちばんやっちゃいけない,という行為といわれています。難しい語では「密告」と訳されますが,いわば「チクり」のこと。ギャング同士で相手が悪業に手を染めているところを目の当たりにしたとしても,決してポリースにそれをチクっちゃいけない。暗黙のルール。だからお互いにそこはリスペクトし合ってる。ゲームの外へ出ちゃいけない。それがname of the game。ゲームのルール。

これにはDaBabyをfeat.したリミックスも後日,リリースされました。

(文責:Jun Nishihara)

第47位:Young M.Aの“Thotiana”フリースタイル(後にニッキー・ミナージュ版も)(今年出たHip-Hop名曲名場面ベスト50)

じぶんの曲が他の人にfreestyleでラップされた時,その曲は一人歩きした,つまりそれはヒット曲として認められた証だ,といわれます。

それがまさに,ブルーフェイスの“Thotiana”でした。5年後にこの曲がまだ生き残っているかどうかはさておき,今年の若者の間での全米ヒット曲の一つとして,この曲は数えられることになりました。

NYはブルックリン出身の27歳であるヤングM.A(Young M.A)も,この曲のフリースタイルにジャンプしました。以下がそれです。

これは,オリジナルのブルーフェイス“Thotiana”よりも良いと思いますが,しかし,ヤングM.Aにとっちゃ,人の曲にじぶんのラップを乗っけているだけ。生みの親はやはりブルーフェイスなので,どっちのバージョンがより良いかなんて比較できるもんじゃないですが,このヤングM.Aのバージョンのほうが歌詞はおもしろいですねえ。

題名の“Thotiana”は黒人女子の名前でよくある「タティアナ」。おそらく両親のどちらかがラテン系の血が入っているので,名前の語尾に「アナ」という接辞尾を付けているのでしょう。つまり,黒人女子にラテン系の血が混じっているということは,女体に適度にくねりがあり,とても魅力的な女の子,ということ。ヤングM.Aは女子好きの女子。なので以下の歌詞です。

Thotiana, real name Tatiana (Okay)
Body like Rihanna, but she not Rihanna (No way)
I make the pussy wet, she need a mop-iana, (Ooh)
When she bust down make her buss it like a Glock-iana (Grrt)
She love it when I eat the boxi-iana (Ooh)
Make her body jerk, legs lock-iana (Ooh)

トッティアナ,本名,タティアナ(オッケー)
リアーナ似の体つき,でもリアーナじゃねえ(オッケー)
その女のアソコを濡らして,持ってこいモップ,アーナ(ウーッ)
ケツ落として踊らせて,潮を吹かせろ,グロッキー,アーナ(ガーッ)
アタイが女のアソコを舐めれば,快感に悶えてる(ウーッ)
女の体は痙攣して,太ももに挟まれて(ウーッ)

実はこれには,ニッキー・ミナージュ・バージョンもございます。掲載しておきます。

(文責及び対訳:Jun Nishihara)

第48位:Bluefaceの“Thotiana”そしてRemixにはカーディB登場 (今年出たHip-Hop名曲名場面ベスト50)

今年,流行りましたねえ。Bluefaceの“Thotiana(邦題:タティアナ)”」という迷曲。ラップのヒドさはさて置いて,ラップやフローやビートやそんなものよりも,ラジオでこの曲がかかれば,誰もがサビを歌える,そしてお尻を突き上げてダンスすることができる,というまさにハヤり(だけ?)の曲でした。

そしてカーディB(Cardi B)をフィーチャリングしたRemixはこちらです。カーディBがこの曲に乗っかることで,ブルーフェイスの認知度も一気に上昇しました。

(文責:Jun Nishihara)