2021年7月9日にリリースされたスノー・アレグラのアルバム『TEMPORARY HIGHS IN THE VIOLET SKIES』より

2021年7月9日にリリースされたスノー・アレグラ(Snoh Aalegra)のニューアルバム『TEMPORARY HIGHS IN THE VIOLET SKIES』より、5曲、掲載しておきます。

まずは、タイラー・ザ・クリエイター(Tyler, The Creator)をフィーチャリングした収録楽曲「NEON PEACH」です。

もう1曲、これも同じくタイラー・ザ・クリエイターをフィーチャリングした楽曲「IN THE MOMENT」です。

アルバム冒頭に収録されている楽曲「INDECISIVE」。このEDM感溢れるイントロで幕を開ける同曲は、00:46秒目からベース・ビートがドロップ。スウェーデンのエレクトロ・ダンス・スタイルから一変して米国のヒップホップに影響を受けた曲風へと移行します。そして2分06秒からは、さらにスローなビートへと展開します。

次の収録楽曲「IN YOUR EYES」は、ファレル・ウィリアムス率いる天才プロデューサーチームThe Neptunesの仕業です。

最後に珍しくバラード調の「TANGERINE DREAM」を載せておきます。2000年前半のアメリカン・ポップスを彷彿とさせるこの楽曲を、スウェーデン生まれのスノー・アレグラに2021年に歌わせているところがおもしろいですね。

(文責:Jun Nishihara)

UKの若手黒人音楽シーン(UKシリーズ:その④)

英国UKの黒人音楽シリーズその④として,本日は,UK出身の若手黒人アーティストの楽曲を幾つかお届けします。

まずは1人目,英国はノッティンガム生まれの32歳。NAO(ナオ)です。ノッティンガムは人口27万人越えの学生の街として知られますが,子供の頃にイースト・ロンドンに引越し,学生の街生まれで大都会育ちの女子として育っていきます。

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(photo credit: The Fader)

デビューは2016年,アルバム『For All We Know』を発表し,UKのR&Bチャートで第5位を獲得。セカンド・アルバムは『Saturn』を2018年にリリースし,UKのR&Bチャートで第2位を獲得します。

その『Saturn』からシングル曲「Make It Out Alive」を下記掲載いたします。

2人目は,FKAツイッグス(FKA Twigs),17歳の頃,サウスロンドンという大都会に引越し,バックアップダンサーとして暫く名を馳せます。24歳で歌手デビューを果たし『EP1』をリリース。米ダンス・ミュージックとして第11位にランクイン。EP盤にも関わらず,好成績を挙げます。

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(photo credit: Glamour)

2014年にアルバム『LP1』をリリースし,あらゆるメディアから絶大の高評価を得ます。同アルバムに収録された「Two Weeks」を以下掲載いたします。

続きまして,3人目はロンドン出身のアーティスト,ドーニック(Dornik)です。ドーニックは元はラッパーのゴーストライターとして働いておりました。しかし2015年,ついに自身のために歌詞を書き,アルバムDornik』をリリースします。裏の人間から,オモテに出てきた瞬間です。

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そのドーニック(Dornik)から楽曲「Retail Therapy」を以下掲載いたします。

おまけにもう1曲,英国生まれのソウルフル!な楽曲「God Knows」です。

4人目は,セレステ(Celeste)。生まれは米国カリフォルニアですが,3歳の頃,ロンドン東部のダゲナム地区(Dagenham)に引越します。イギリス人の母親とジャマイカ人の父親を持ち,アレサ・フランクリン(Aretha Franklin)やエラ・フィツジェラルド(Ella Fitzgerald)の音楽に影響を受けます。

そのセレステから「I Can See The Change」をお届けします。

最後5人目は,マイケル・キワヌカ(Michael Kiwanuka),ロンドン出身のシンガー・ソングライターです。2012年にデビューを果たしアルバム『Home Again』をリリース。セカンド・アルバム『Love & Hate』は米GQ雑誌が選ぶ「2016年に出たベスト10枚のアルバム」の第7位に選ばれます。

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アルバム『Love & Hate』から楽曲「Black Man In A White World」を掲載いたします。

(文責及びキュレーション:Jun Nishihara)

第45位:21 Savage feat. J. Coleの“a lot” (今年出たHip-Hop名曲名場面ベスト50)

ミュージックビデオはこちらです。

冒頭の立派な豪邸は,アメリカの中産階級(あるいは中間階級)の家庭でよく見る家の形をしています。わたしもアメリカの高校に通っていた際,卒業生プロムパーティーの準備で,お相手の友達の家に集合して,男子はレンタルしてきたタキシードを着て,女子は綺麗なプロムドレスに身を纏って写真を撮ってから会場に行ったのですが,その人の家は映像の家の造りに似ており,裏庭(backyard)は芝生で広く,そこでグループフォトを取るスペースがある。そういうことを思い出して感慨に耽っている場合ではないのですが,とても懐かしい感じがするとともに,アメリカの中間階級の家庭では一般的な家であり,大富豪にならずともアメリカの中西部ではこのくらいの家は持てる人が多いようです。

このソウルフルなビートは,1960年代の名曲East of Undergroundの「I Love You」をベースにサンプリングしております。

Verse by 21 Savage:

Penitentiary chances just to make a couple bucks
My heart so cold I could put it in my cup
Gang vs. the world, me and my dawg, it was us
Then you went and wrote a statement, and that really fucked me up
My brother lost his life and it turned me to a beast
My brother got life and it turned me to the streets
I been through the storm and it turned me to a G
But the other side was sunny, I get paid to rap on beats

2, 3ドルの儲けのために,あやうくムショにぶち込まれ
ギンギンに冷えたハート,グラスにカランカラン
世間vs.俺と仲間たち,いつも共にいた
それがいきなり俺の元を去り,チクリやがって,途方に暮れた
弟が命を犠牲にしてから,俺は野獣のように戦った
兄貴が終身刑を宣告され,俺はストリートをさまよった
嵐のなかを進んできた俺は,立派なギャングスタとなった
しかしそういった生き様の真逆にあったのは,華やかで,ラップをビートに乗っけて稼ぎ始める人生だった

(文責及び対訳:Jun Nishihara)