2019年に最も活躍したHip-Hopアーティスト及び名曲名場面ベスト50

昨年2019年に最も活躍したHip-Hopアーティスト及びHip-Hop / R&Bの名曲と名場面をおさらいしておきます。昨年11月中旬から12月,そして2020年1月初旬にかけて,この企画を開催いたしました。

その第50位〜第1位までを下記のとおり,おさらいしておきます。件名をクリックするとそれぞれのページに飛びます。

第50位:ダンサーAlyson Stoner,ミッシーとMTV授賞式で再会果たす。

第49位:ScHoolboy Qのシングル曲「Numb Numb Juice」

第48位:Bluefaceの“Thotiana”そしてRemixにはカーディB登場

第47位:Young M.Aの“Thotiana”フリースタイル(後にニッキー・ミナージュ版も)

第46位:YGの“Stop Snitchin”

第45位:21 Savage feat. J. Coleの“a lot”

第44位:Normaniのシングル曲「Motivation」

第43位:Fabolousのシングル曲「Choosy」

第42位:Tierra Whackの15分間アルバム『Whack World』

第41位:Snoop Doggのウェッサイ・ノリが効いたシングル曲「Countdown」

第40位:ヒップホップ・ダンサーに大人気=DaniLeighとクリス・ブラウンの曲「Easy Remix」

第39位:女子ラッパー&Migos “Quavo”の恋人=SaweetieのEP『ICY』リリース

第38位:UK生まれでジャマイカンの血を継ぐ女子ラッパー=Stefflon Donのシングル曲「Phone Down」

第37位:今年の37位はKash Doll? もしくはDoja Cat? 二人とも今年メインストリームデビュー!

第36位:Nonameのインディーズ出版のアルバム『Room 25』をスルメのように味わう

第35位:Donald GloverことChildish Gambino&リアーナ主演の映画『Guava Island』公開。

第34位:Nick Grantのシングル曲「Pink Starburst」

第33位:Big K.R.I.T.のニューアルバム『K.R.I.T. Iz Here』

第32位:今年最高の盛り上がりを見せたリル・ナズ・Xの曲「Old Town Road」

第31位:現代ヒップホップの教科書=Rapsodyアルバム『Eve』リリース

第30位:6ix9ineの楽曲「MAMA」に乗っかったカニエ・ウェストのヴァース

第29位:Tyler, The Creatorから今夏の名盤『IGOR』

第28位:Dreamvilleから今年イチのリリカル・ヒップホップ曲「Down Bad」

第27位:Chris Brown x Drakeの大ヒット曲「No Guidance」

第26位:Waleのアルバム『Wow… That’s Crazy』もしくはTory Lanezのミックステープ『Chixtape 5』

第25位:Blood Orangeのアルバム『Angel’s Pulse』

第24位:Jhene Aikoのフリースタイル「Triggered Freestyle」及び元カレ=Big Seanとの「None Of Your Concern」

第23位:黒人女性の(それも若者の)代弁者として艶麗な声で歌うわずか20代のRayana Jay。

第22位:Drakeのアルバム『Care Package』

第21位:Big SeanのNYラジオ局,HOT97でのフリースタイル。

第20位:姉御Trinaと令妹Nicki Minajのコラボレーション曲「BAPS」

第19位:ウェッサイはオークランド出身の現在ノリノリの若手女子MC=Kamaiyahの新曲「Still I Am」

第18位:アメリカ中を巻き込んだエロい歌詞とバリバリのリア充ぶり=シティ・ガールズのシングル曲「Act Up」

第17位:新人MCがバトるフリースタイル祭り=2019年のBET Cypher。

第16位:出ました!ファボラスの『Summertime Shootout 3』

第15位:2019年なのに1996年にこの世をさったヒップホップ史上最高のラッパーとされる2Pacを彷彿とさせるFreddie Gibbsのフリースタイル。

第14位:アメリカ中の女子の間で話題・共感を呼んだSummer Walkerのアルバム『Over It』

第13位:R&Bの王道=Bryson Tillerのシングル曲「Blame」

第12位:メアリーJブライジのBETパフォーマンスと授賞式(特別功労賞)。

第11位:イマドキラッパー最前線!若者黒人の間で今年超ハヤったDaBaby,おまけに今覚えておくべき4人のラッパー!

第10位:リゾ(Lizzo)の歌,踊り,そしてフルート演奏。全体的なパーフォマンスの完成度の高さ。

第9位:Frank Oceanの新曲「DHL」

第8位:男と女,黒と白をグチャグチャに混合させた,ソランジュ(Solange)の傑作アルバム『When I Get Home』

第7位:ティアナ・テイラー引き続き2019年もHip-Hop/R&Bナツメロをフリップし,楽曲「Morning」及び「HYWI」をリリース

第6位:ニプシー・ハッスルが生前,DJ Khaled達とともに収録したシングル曲「Higher」

第5位:Hip-Hop界の女子代表=Missy ElliottのMTV授賞式及びライヴパフォーマンス模様

第4位:大ブレイク寸前,漆黒の女子ラッパー=オラニカ又の名をCHIKA「トランプ大統領への手紙」

第3位:お正月から絶えず毎週日曜日に開催し続けたカニエと“Sunday Service”チームの忍耐力と継続力,そしてアルバムに昇華させたその芸術力へ

第2位:ビヨンセのコーチェラHomecoming映画&ダンス現象を巻き起こした#BeforeILetGo Challenge!

第1位:2019年の夏を制し,遂に1年まるごとヒップホップ界を盛り上げてくれた大・大・大ブレイクアーティスト登場!Megan Thee Stallion!

(文責及びキュレーティング:Jun Nishihara)

第11位:イマドキラッパー最前線!若者黒人の間で今年超ハヤったDaBaby,おまけに今覚えておくべき4人のラッパー!(2019年Hip-Hop名曲名場面ベスト50)

ヒップホップ業界は,移り変わりがきわめて激しい業界だといえます。それぞれの年ごとに,キーとなる最重要人物がいて,他方で,それぞれの年ごとに大ブレイクした新人若手アーティストというのもいます。

たとえば2016年。キーとなる最重要人物は名盤『Awaken, My Love!』をリリースしたチャイルディッシュ・ガンビーノ(Childish Gambino)であり,歴史に残るアルバム『blond』をリリースしたフランク・オーシャン(Frank Ocean)でした。大ブレイクした新人若手アーティストはチャンス・ザ・ラッパー(Chance The Rapper)であったり,ミーゴス(Migos)であったり,カーディB(Cardi B)であったり,21サベージ(21 Savage)でした。

その翌年は2017年。キーとなる最重要人物は名作『DAMN.』をリリースしたケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)であり,そのケンドリック自身が絶賛していたアルバム『4:44』をリリースしたジェイZ(JAY-Z)でした。大ブレイクした新人若手アーティストはXXXテンタシオン(XXXTentacion)であったり,アンダーソン・パーク(Anderson .Paak)であったり,レイ・シュレマー(Rae Sremmurd)であったり,テカシ69(6ix9ine)でした。

昨年は2018年。キーとなる最重要人物は『More Life』や『Scorpion』を立て続けにリリースしたドレイク(Drake)であったり,『Astroworld』をリリースしたトラヴィス・スコット(Travis Scott)でした。大ブレイクした新人若手アーティストにはジュース・ワールド(Juice WRLD)やプレイボーイ・カーティ(Playboy Carti)やリル・パンプ(Lil Pump)やシェック・ウェス(Sheck Wes)という名前が並びました。

そして今年!2019年!キーとなる最重要人物はもうヤツ=カニエ・ウェスト(Kanye West)でしょう。2010年に始まったこのデケイド(decade)を代表する最重要人物でもあります。そして今年大ブレイクした新人若手アーティストには・・・(今覚えておくべき4人のラッパーとして)

DaBaby(ダ・ベイビー),YBN Cordae(YBNコーデー(テニス選手大坂なおみの恋人として報道)),J.I.D.,そしてYoung M.A(ヤングM.A)の4名です。

中でも,勢いが止まらないのが,ダ・ベイビー(DaBaby)!!!!!

ダ・ベイビーの勢いは電光石火のごとく,閃光が放つ稲妻のごとく,物凄い勢いで2019年を圧巻させました。まぁ,ここまで威勢のいいヤツがあらわれるのは久しぶりです。どれくらい威勢のいい野郎かっていうのは,次の動画を見てみるとその感じが掴めると思います。

ライトブルーの服着たヤツがダ・ベイビー(DaBaby)で,赤いのがミーゴス(Migos)のメンバーでカーディB(Cardi B)の旦那さんであるオフセット(Offset)です。

早速,ダ・ベイビーが人気を博すキッカケとなったフリースタイルがこちら。当サイトでも常連のHOT97: Funk Flex Freestyle番組でフリースタイルをカマすDaBabyです。

それにしてもこの1年で,ダ・ベイビーの盛り上がりは,急上昇。これは物凄いですね。

続いて2人目!テニス選手の大坂なおみの恋人として報じられているラッパー=YBNコーデー(YBN Cordae)も今年2019年,大人気,絶好調です。同じフリースタイル番組で,お届けします。ビートはJAY-Z & Kanye Westの名曲「Otis」です。2曲目のビートは「Suge」,3曲目のビートはルーペ・フィアスコの「Kick, Push」です。YBNコーデー自身もフリースタイル中に言うように「ビートのヴァラエティ,たまんねえ!」です。7分間みっちりフリースタイルするヤツ(顔はこんなんですけど,ラップはスゲえ!)ですので,最後まで聴いてください。大坂なおみが惚れる理由もわかります。たしかに,すごいです。この7分間のあいだに,ラップの「スタイル」を5,6回,変えてますから。わかります?このすごさ。

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続いて3人目!J.Coleのチーム=Dreamvilleから,超リリカルなヤツが出てきました。その名もJ.I.D.です。彼もすごいですよ。若手なのに。新人なのに。このフリースタイルのことを英語で「bar game」とも呼びます。ファンク・フレックスが言うように,I know your bar game crazy, bruh!(あんたのフリースタイルもたまんねえぜ,ブラザー!)。

続いて4人目!彼女(彼)=Young M.Aのことは,もう新人とは呼べないですが(でもまだ若手!),ブルックリン出身。2014年にリリースしたデビューフリースタイルの「ChiRaq」は傑作。ストリート音楽の傑作です。

その彼女(彼)が同じくFunk Flex Freestyle番組でフリースタイルを今年カマしましたので,ご覧あれ。

本日は,今年2019年に出た物凄い勢いの若手4名を紹介しました。来年2020年,この4人(DaBabay, YBN Cordae, J.I.D., Young M.A)ますます注目!!!!

(文責:Jun Nishihara)

第14位:アメリカ中の女子の間で話題・共感を呼んだSummer Walkerのアルバム『Over It』(2019年Hip-Hop名曲名場面ベスト50)

2019年,ティーンエイジャーから20代,30代〜と,アメリカ中の女子の間で話題と共感を呼んだ女子専用のアルバム『Over It』がリリースされました。今年デビューしたR&Bアーティスト=サマー・ウォーカー(Summer Walker)はジョージア州アトランタ出身の23歳。同アルバムのリードシングル『Girls Need Love Remix』ではドレイク(Drake)をフィーチャリングしたことでまずは超話題となり,その他,アルバム収録楽曲「Come Thru」ではアッシャー(Usher)のナツメロ!!!!!!!!「You Make Me Wanna…」を元ネタのサンプリングとしてゼータクに起用し,しかも本人!!のUsherまでフィーチャリングしたという昔っからのR&B好きには堪らない曲に仕上がっています。

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それでは,リードシングルとなったドレイクをfeat.した曲「Girls Need Love Remix」をどうぞ。

そして本人アッシャーをfeat.したことで話題の曲「Come Thru」もどうぞ。

そして,その元ネタとしてR&B史上最重要ってなもんじゃない,もうR&Bの基本として昔っから聴いておくべきアッシャー(Usher)の名曲「You Make Me Wanna…」がこちらです。リリースは1997年です。黒人音楽がメインストリームとなり始めていた当時,MTVやBETでミュージックビデオが流れまくっておりました。

今年2019年も「黒人音楽の研究室」に来てくれて,ありがとうございました。来年2020年も引き続き,どうぞ宜しくお願い申し上げます。2020年1月1日お正月は第13位から,引き続き2019年ランキングを続けます。

(文責:Jun Nishihara)

第17位:新人MCがバトるフリースタイル祭り=2019年のBET Cypher。(2019年Hip-Hop名曲名場面ベスト50)

今年の第17位は,全米黒人TVネットワーク=BET=Black Entertainment TV(ブラック・エンターテインメント・テレビ)で放映された2019年のBET Cypherです。Cypherとは,ラッパーが数人,円になってマイク・リレーをしながらフリースタイルをカマす,という遊び。今年の2019年フリースタイルでは,注目すべきは白人の坊ちゃんラッパー=Travis Thompson(トラヴィス・トンプソン)。シアトル出身です。

出演している新人ラッパーは登場の順番に:
・Kash Doll(レペゼンはミシガン州デトロイト市)
・IDK(レペゼンはメリーランド州プリンスジョージズ郡)
・Travis Thompson(レペゼンはワシントン州シアトル市)※※注目!
・Iman(レペゼンはイリノイ州オーク・パーク村)
・King Los(レペゼンはイリノイ州ボルチモア市)

トラヴィス・トンプソンのその他のフリースタイル「Every Friday… Freestyle」も掲載しておきます。

トラヴィスは歌もウマいんですよ。2017年にリリースした歌モノも掲載しておきます。

フリースタイル祭りといえば,毎年恒例のもうひとつの見せ場=XXL Freshman Freestyle(XXL雑誌が開催する新人ラッパーだけを集めたフリースタイル祭り)の2019年版です。

出演している新人ラッパーは登場の順番に:
・Lil Mosey(レペゼンはワシントン州マウントレイクテラス市)
・Megan Thee Stallion(レペゼンはテキサス州ヒューストン市)
・YK Osiris(レペゼンはフロリダ州ジャクソンヴィル市)
・DaBaby(レペゼンはノースカロライナ州シャーロット市)

(文責:Jun Nishihara)

カニエ・ウェスト“Sunday Service”まとめ(つづき:9月1日,9月8日,9月15日開催分) あと,黒人の「揺れ」について。

カニエ・ウェスト軍団が毎週日曜日に開催する“Sunday Service”(日曜のミサ)ゴスペルを今年初の日曜日から欠かさずアップしてきました。カニエ・ウェストのこのサンデー・サーヴィスは初回分からかなりの盛り上がりを見せてきましたが,ここへ来て,アメリカ全土の主要都市を回り始めております。今までは,主にカリフォルニア州カラバサス(カニエの豪邸近隣)で実施されてきましたが,カラバサス市を飛び出します。ついに8日,15日にはカリフォルニア州さえも出ます。

9月1日(日):カリフォルニア州ワッツ市(歴史的黒人コミュニティが集まる市街)

9月8日(日):カニエの生まれ故郷であるイリノイ州シカゴ市

9月15日(日):ジョージア州アトランタ市(←これまでのSunday Serviceとは,確実に異なっております。ミニコンサートと呼んでもよいほど,本格的になってきました。この観客(audience)の数はこれまでとは確実に違います。4月のイースター祭の日に開かれた特別な“Kanye West’s Easter Sunday Service”を除いては。)
※特に下記映像0:44秒から始まる観客側にいる複数メンバーが同時に揺れる映像は,これはこのブログで今までも何度も買いてきましたが,これこそが「奴隷時代を経た先祖の血が入った黒人にしかできないリズム感とともに“体のうねり”」ですね。しかも一人でやっているのではなく,一人一人各人のうねりが合わさって,映像2:41からの爆発力ある黒人の女性も含めたバワーとエネルギーは物凄いものです。これに近いものをこの人たちは毎週日曜日にやってきているのですから,この継続するエネルギーもすぐれています。何度も何度もこれでもかと突き続ける,といいますか,揺れ続けるエネルギーは圧巻です。そしてその上にさらに声!メンバーの中には白人もちらっといますが,この黒人の揺れに付いていけるでしょうか。たとえば下記映像7:28の箇所で,まわりの黒人は揺れていますが,真ん中にポツンと映る白人は静止していたり。これはもう体の作りというか,魂の熱(=体温)の違いであるから,もうしょーがない!黒人が揺れていて,白人が揺れていないなんて,もうこの子は責められない。「揺れる」はもうこのブログのキーワードでもあります。下記映像17:29からはウケのいい曲「Father Stretch My Hands」も鳴り始めます。映像タイムライン18:16からの黒人たちの「揺れ」もまことに見事です。映像タイムライン20:45からの黒人の手拍子(clapping)と揺れも,まさにこの映像の真骨頂です。

(文責:Jun Nishihara)

Nasアルバム『The Lost Tapes』(2002年)より,対訳「Purple」(ヴァース1)

2002年にNYの街角でNasの『The Lost Tapes』というアルバム(当時はミックステープと呼ばれていた)を5ドルで購入し,ポータブルCDプレイヤーで聴き込んだ頃,まさかじぶんがこの曲を将来翻訳することになるとはこれっぽっちも思っていなかった。そして,そのアルバムを聴いていた当時は,日本語に訳すというマインドはまったく持たず,ありのままにNasがラップするのを聴いていた。「訳す」ということを考えず。

たとえば最近では,ラップを聴いていると,「ふむ,この部分は日本語に訳すとすればこう訳すだろう」ということを考えながら聴いている時もある。しかしそんなことは当時まったく考えずに聴いていた。

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(上記写真は,2002年のMTV Music Awards(MTVミュージックアワード賞)のリハーサルにて。左からNas,Ashanti,Ja Rule。当時2002年,彼ら3人は,ヒット曲「The Pledge」という曲をリリースしていました。当時,アーヴ・ゴッティ率いるザ・マーダー・インクというレーベルが勢いつけてきており,アシャンティやジャ・ルールなどがヒット曲をリリースしていました。この楽曲「The Pledge」は2パックの楽曲「So Many Tears」をサンプリングしており,曲の終わりにかけて,2パック本人のセリフも登場します。)

さて,そのNasの偉大なるウラのアルバム『The Lost Tapes』(2002年)から,楽曲「Purple」の対訳を掲載いたします。

Nas(ナズ) – “Purple” (Verse 1) 対訳

[Verse 1]
The whole city is mine, prettiest Don
I don’t like the way P. Diddy did Shyne with different lawyers
Why it’s mentioned in my rhymes? Fuck it
It’s just an intro, hate it or love it, like it, bump it or dump it
Write it, across the stomach spell “God son”
Life is like a jungle, black, it’s like the habitat of Tarzan
Matter of fact, it’s harder than most can imagine
Most of my niggas packed in correctional facilities
Half of them passed on, MAC strong, couple of shots
Made the ghost leave a body, now they hauntin’ the block
Where they used to stand at, somebody’s takin’ they place
A younger man perhaps, hand slaps, can’t understand that
Same walk, same talk, I wonder can that be possible?
A thug dies, another step inside his shoes
And they will hurt you, layin’ low with a bottle
I’m blowin’ circles, my state of mind purple

(ヴァース1)
この街はどこまでも俺の街,イケメンの首領(ドン)
P.ディディが弁護士を数人雇い,シャイン*(註)相手に勝訴したのはイカセねえ
どうしてそんな内容のラップするかって? 理由なんてねえ
それがイントロ,好けど嫌えど,聴けど捨てれど
俺は“書いた”,肚に文字,「神の息子(ゴッド・サン)」と
人生はジャングル,真っ暗で,まるでターザンの住処
実際のとこ,ここは,おまえらが想像する以上にハードなトコ
俺の仲間のほとんどが,ムショにとっつかまえられている
その半分があの世にいっちまい,マック銃にやられ,2,3発喰らった
その霊は肉体を離脱し,いま,ゲットーをさまよい歩く
かつてハッスルしていた場所で,今となっては,別の野郎がそこにいるが
若手の野郎が,大金の取引を交わす,それが現実,俺は理解に苦しむ
似た歩き方,似た話し方,俺は思う,んなことあっていいのか?
サグは死に,ヤツの代わりに別のヤツがそこを継ぐ
そしてまた傷つけられる,ボトルを片手に身をひそめる
ケムリをふかして,円を吐く,俺の気分は「パープル」

*註釈
シャイン(Shyne):90年代後半から2000年前半にかけて活躍したラッパー。一時はそのドスの効いた声で,ザ・ノトーリアスBIG(AKAビギー)の生まれ変わりとも称された。最大のヒット曲は,ヒップホップ史上,極めて危険で,最も“ビギーを彷彿とさせる”と呼ばれた名曲“Bad Boyz”を下記掲載しておきます。

(文責及び対訳:Jun Nishihara)

おまけ:
Shyne – “Bad Boyz”

Nasは現代ヒップホップの原点である。

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昨日(米国時間では本日),Nas(ナズ)が『The Lost Tapes 2』をリリースしました。

時をさかのぼり,2002年のニューヨーク。
マンハッタンの街角(ストリート)で売られていた『The Lost Tapes』のミックステープを5ドルで購入し,SONYのポータブルCDプレイヤーで以下の曲をかける。

このNasのフローとビートの流れを聴くと,いまだに当時を思い出す。

曲の冒頭で,イントロが終わるのを待たずに,ラップを開始するNasのスタイル。そしてビートに飲み込まれず,むしろ,ビートをラップ側に寄せていくというNasのフロー。

ラッパーの中には「ビートに飲み込まれたようなラップをする」ものがいる。
しかしNasのスタイルはまったくそれとは異なり,「Nasのタイミングでビートに乗っかり,Nasのタイミングでビートから降りる」という,素人のビートメーカーとしてはいつNasがラップを始めるかも,ラップを止めるかも予想がつかない。まったくの即興めいたラップをやってのけている。

もう1曲,オリジナルの『The Lost Tapes』から,この曲を掲載しておきます。

ヒップホップ界で最も偉大なるオモテのアルバムがNasの『Illmatic(イルマティック)』(1994年)であるならば,Nasのこの『The Lost Tapes』(2002年)は,最も偉大なるウラのアルバム(もしくはミックステープ)と呼ぶことができる。

そして2019年7月19日,あれから17年の時を経て,『The Lost Tapes 2』がリリースされた。

17年の時を経ているのにもかかわらず,Nasのフローがまったく衰えていないことは特筆に値することである。

そしてこんなことは言いたくないが,「これこそがNYのフロー」という懐かしい気持ちをも思い起こさせてくれるし,おまけに「これこそが現代が忘れかけているラップだ」という今の若き世代のラッパーどもの背筋を伸ばしてくれるような,いわゆる「王道のラップ」がこのアルバムに収録されている。

最近のへなちょこなラップで満足していてはいけない。

今こそ昨日リリースされたばかりのNas『The Lost Tapes 2』を聴いて,「王道のラップ」を思い出すべきだ。

ラップが来た道を思い出せないのであれば,あんたらのやってるそれは「ヒップホップ」じゃない。

(文責:Jun Nishihara)