ヒップホップ音楽とイスラム教の関係 (アルバム『Ye』のリリースから今年6月1日で1年を経たいま振り返る(その①))

本年6月1日で,カニエ・ウェストのアルバム『Ye』リリースから1年が経ちました。昨年のちょうど今頃,暑い夏が始まろうとしていた頃でした,同アルバムを当サイトで翻訳・対訳を掲載させていただき,いろいろな方々に読んで頂きました。当サイトにお越しいただき,読んでいただき,ありがとうございました。そして今日もここに来ていただき,ありがとうございます。

リリースから1年後の今,アルバム『Ye』を振り返って,カニエがアルバム冒頭の楽曲「I Thought About Killing You」でラップしている歌詞の一部について,注目しておきたいと思います。

カニエはこういう歌詞で曲を始めております。

[Verse: Kanye West]
I called up my loved ones, I called up my cousins
I called up the Muslims, said I’m ’bout to go dumb
Get so bright, it’s no sun, get so loud, I hear none
Screamed so loud, got no lungs, hurt so bad, I go numb
Time to bring in the drums, that prrt-pu-pu-pum
Set the NewTone on ’em, set the nuke off on ’em
I need coke with no rum, I taste coke on her tongue
I don’t joke with no one, they’ll say he die so young
I done had a bad case of too many bad days
Got too many bad traits, used the floor for ashtrays
I don’t do shit halfway, I’ma clear the cache

(ヴァース:カニエ・ウェスト)
愛する人たちに,親戚兄弟に,ムスリムの仲間たちに
電話してこう伝えた,「ついに俺,暴れちゃいそう」
まぶしくなって,太陽は沈んだ,爆音で,音は消えた
悲鳴をあげた,声は出ない,傷ついた,感覚は麻痺した
叩いて響かせろ,太鼓の音を,ダ・ダ・ダ・ダン・ダン
オートチューンを効かせて,ピッチを爆発させろ
ラム無しのコーラ,彼女の舌にコカの味
ふざけてんじゃない,よく言われるよ,「早死にするよ」って
ツイてない日が連続で起こったケースが俺
悪い癖がありすぎて,床を灰皿代わりにしたりして
中途半端なことはしたくない,すべて真っさらにしてやりたい
(対訳:Jun Nishihara)

曲の冒頭でカニエは「I called up my loved ones / I called up my cousins / I called up the Muslims(俺は愛する人たち,親戚兄弟,そしてムスリムの仲間たちに電話してこう伝えた)」と言っております。

ムスリムとはイスラム教の教えを信仰する教徒の人々のことですが,カニエ・ウェストにとって,そしてヒップホップ,はたまた黒人の歴史にとって,イスラム教は切っても切れない一つの宗教といいますか思想でした。アメリカに住む黒人が信仰するイスラム教は一般的にブラック・イスラーム(Black Islam)と呼ばれているものですが,どういう宗派があって,ヒップホップ・アーティストでは誰がそのイスラム教徒で,どういう教えで,なぜ彼らはイスラム教徒に改宗したのか,というのを簡単にひもといていきたいと思います。

カニエ・ウェストの周辺では,カニエと同郷出身でむかしからともに活動してきたラッパーのモス・デフ(Mos Def)がカニエに一番近いムスリム(イスラム教徒)といえるでしょう。

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(上記写真はモス・デフです。)

モス・デフは2011年9月に自身の名前を法的に「Yasiin Bey(ヤシーン・ベイ)」に改名し,2016年1月19日,カニエ・ウェストのホームページでヒップホップ業界からの引退宣言をしました。モス・デフ改めヤシーン・ベイは,母親シェロン・スミスと父親アブドゥル・ラフマーンの子です。父親アブドゥル・ラフマーンはネーション・オヴ・イスラーム(Nation of Islam(略してNOI))の信者で,ワリス・ディーン・ムハンマドというスンニ派(イスラム教徒の宗派)に信徒として仕えました。モス・デフは20代の頃,ア・トライブ・コールド・クエスト(A Tribe Called Quest)という偉大なるヒップホップ・グループのメンバーでありイスラム教徒であるアリ・シャヒード・ムハンマドやQティップ(Q-Tip)とよくつるんでいました。

また,カニエと同郷シカゴ出身ですが,カニエよりも若い世代のルーペ・フィアスコ(Lupe Fiasco)もムスリムです。

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(上記写真はルーペ・フィアスコです。)

ジェイZのレーベル=ロック・ネーション(Roc Nation)に所属しているヒップホップ・アーティスト=ジェイ・エレクトロニカ(Jay Electronica)も熱心なイスラム教徒です。彼の歌詞には,「神の平和を」を意味するムスリム同士の挨拶言葉「As-salāmu ʿalaykum(السَّلَامُ عَلَيْكُمْ)」がよく使われております。以下は,ジェイ・エレクトロニカの名曲「Exhibit C」ですが,以下YouTubeのタイムライン3:11~3:17の箇所で,アラビア語らしきイスラームの祈りの言葉が発せられております。

上記曲「Exhibit C」のプロデューサーはかの有名なジャスト・ブレイズです。ジェイZの名盤『The Blueprint』(2011年9月11日(9.11の日)にリリース)でカニエ・ウェストと双璧をなしたベテラン・プロデューサーです。ビヨンセのアルバム『レモネード(Lemonade)』に収録されているケンドリック・ラマーをfeat.した楽曲「Freedom」も,ジャスト・ブレイズがプロデューサーを務めております。

さて,話を戻しますと,このようにヒップホップ界にはイスラム教徒はめずらしくなく,他にも以下のとおり結構な数でイスラム教徒と呼ばれるヒップホップアーティストはいます。一部を挙げますと,T-ペイン,DJキャレド,バスタ・ライムス,SZA(最近ポップ界でも人気の女性歌手),スウィズ・ビーツ,MCレン,ケヴィン・ゲイツ,アイス・キューブ,フレンチ・モンタナ,フリーウェイ,ビッグ・ダディ・ケイン,ビーニー・シーゲル,エイコン,スカーフェイス,シェック・ウェス,ニプシー・ハッスルです。彼らの多くは,モス・デフの父親と同じく,ネーション・オヴ・イスラーム(NOI)を中心に信仰しているようですが,各アーティストによっては,どれくらい信仰しているかについての程度の差はあると思います。

ブラック・イスラームにおけるネーション・オヴ・イスラームという宗派は,どういった教えなのでしょうか。大きくわけて3つのことがいえるそうです。

1.伝統的イスラームの教えと同じくイスラム教の五行は基本的に信じているが(例えば「ラマダンの月には断食を行う」(夕刻のイフタールまでご飯を食べないし,水も飲まない。しかし最近は,パキスタンやアフガニスタン,イラクなど,酷暑の夏には水分を取らないのは危険なため,水だけは許されている国もあるそうです。)など)しかし,解釈の面で伝統的イスラームと相違している部分もある。

2.堕落した人生を送っている黒人を救うとする。(街角や監獄で,未来への希望も夢もなく時を過ごしている黒人たちや,麻薬,白人女性に対するレイプ,家庭崩壊などといったような(黒人として)誇るべき生き方でない道を歩んでいる者を救うとする。)

3.イライジャ・ムハンマドを使徒とする。(2019年時点の指導者はルイス・ファラカーンであるが,指導者は時代によって変われど,使徒(Messenger)であるイライジャ・ムハンマドは変わらない(注:NOIが解体しない限り。))ちなみに,預言者(Prophet)は伝統的イスラームもNOIも,ムハンマドであると信じる。

さて,こうしたネーション・オヴ・イスラームという黒人を対象とした特有のイスラム教のひとつの思想に,ブラック・ムスリムであるモス・デフやルーペ・フィアスコ,ジェイ・エレクトロニカは,どういうところに魅了されたのでしょか。

この続きは,後日,ひもといて参ります。

(文責:Jun Nishihara)

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5月31日,カニエ・ウェストがNetflixに登場。

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(上記写真は,2018年5月,アルバム『キッズ・シー・ゴースト』制作に当たる村上隆(左),カニエ・ウェスト(真ん中),キッド・カディ(右)。)

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(上記写真は10年前,2008年4月,ブルックリン・ミュージアムで村上隆展覧会が開かれる前夜祭のディナー会場で。(左=村上隆,右=カニエ・ウェスト))

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(上記写真は,2018年4月,ユニクロとコラボした村上隆)

2019年5月31日,Netflixにて,今となっては偉大なるコメディアンであり全米トークショーホストであるデイヴィッド・レターマン(David Letterman)の番組『My Next Guest Needs No Introduction with David Letterman』にて,カニエ・ウェストが登場します。そのトレーラーは以下のとおりです。

同時に以下のゲストが登場予定。

・カニエ・ウェスト(Kanye West)
・エレン・デジェネレス(Ellen DeGeneres)
・ティファニー・ハディシュ(Tiffany Hadish)
・メリンダ・ゲイツ(Melinda Gates)
・ルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)

さて,5月31日に登場するカニエ・ウェスト,インタヴューの予告ですが,その一部(snippet)をご紹介します。

以下は妻のキム・カーダシアンのツイッターより。(英語字幕付)

カニエ・ウェスト
もし今おふくろが生きてれば,
おふくろにとって最高に楽しい時だったと思う。
俺の子供たちが家中を走り回ってるのを面倒見たり,
おもちゃをいっぱい買ってくれたりしていただろう。

思い出すよ,むかし,おふくろが俺に
カラフルなクマさんのぬいぐるみを買ってくれた。
当時『グラデュエーション』って3枚目のアルバムを俺はリリースした頃で,
俺はとても村上隆の作品に凝っていた。

おふくろはそのクマさんのぬいぐるみ持ってこう言うんだ,
「このクマさん,村上隆のみたいでしょ」って。
でも俺は,「こんなのいらねえよ!
ゼンゼン村上隆の作品に似てねえし!」って言った。

その後,おふくろは死んで,数週間後,くれたそのぬいぐるみを探しまくった。
やっと見つけたそのぬいぐるみを俺は,
自宅にある村上隆コレクションの一番最上段に飾った。

おふくろは今も俺らを見守ってくれていて,
いつも俺たちを導いてくれていると思ってる。

(文責:Jun Nishihara)

第4位に輝いた「Nas feat. The-Dream & Kanye West – “everything”」ヴァース3及びサビ部分の対訳 

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Nas feat. The-Dream & Kanye West – “everything”(ヴァース3及びサビ部分対訳)


[Verse 3: Nas]
Watch me as I walk through the folly, golly, New York to Saudi
In Italy, I’m Eduardo Wiccari
But Nasty the hustler, nasty like mustard gas, sulfur
And I could sell Alaska to Russia, no pressure
My first house, 11,000-square-feet mansion
It was a haunted by dead rich whites
Mad a nigga bought his crib to hang up pictures of black Christ
Circular driveways, black cars and black ice
My second house, still in my twenties, illin’ with money
Chilled through my spine, spillin’ wine, it’s funny
Did good for a staircase loiterer, euphoria
What you saw when you seen a teen turn to a warrior
Did every Fourth of July, bustin’ in the sky
It was important to a guy who was mob-minded
Future Murcielago driver ’til Lambos got average on me
I started likin’ the look like I ain’t had no money
Yellow taxi seats over Maybach seats
Just to remind me, just to inspire me
To stay focused, it’s a real sick society
Just ’cause I got your support don’t mean you’re buyin’ me
I’m buyin’ back the land owned by the slave masters
Where my ancestors lived, just to say a rapper
Made a change, the pants-sagger put plans in action
To lay claim the Pan-African made it happen

(ヴァース3:ナズ)
狂気の沙汰を歩んだ,NYからサウジアラビアまで
イタリアではエドアルド・ウィカリと呼ばれて
ハスラーのナスティ,毒ガスのようにタチ悪く,まるで硫黄
ロシア政府にアラスカ州を売りさばき金稼ぐこともできる,容易いもんさ
初めて買った家,11万平方フィートの大豪邸
死んだ白人の富豪によって呪われた家だった
「黒人のキリスト像」を壁に飾ったことに怒ってたんだろう
円形の車寄せ,ブラックの車体にブラックライト
二つ目の家,俺はまだ20代,半端ない金儲け
脊髄に快感を憶え,ワインをこぼし,大笑い
階段の裏でぶらついてたヤツにしちゃ,良くやったもんだろ,上機嫌
ティーンエイジャーが勇者として育った
毎年独立記念日には大空に花火を飛ばした
犯行の脳みそしかなかったヤツにとっちゃ,天晴れなことだぜ
未来のムルシエラーゴ運転手,ランボルギーニなんて普段車さ
一文無しで始めたヤツにしちゃ,見栄えもマシになってきた
イエロータクシーのシートからマイバッハのインテリアへ
思い出して,感化させられる
気を失うな,ここは病的な社会だからな
おまえをサポートしてるからって,カネに身を売った訳じゃない
奴隷の御主人たちに奪われてきた土地を,俺は今,買い返そうとしている
俺たちのご先祖さんが住んでいた場所を,1人のラッパーがこうして
小遣い稼いで,だぼだぼのズボン履いてた野郎がちゃんと目的を果たそうとしている
アフリカ祖先たちが遺してきたものを,ここで受け継ごうとしている

[Pre-Chorus: Kanye West & The-Dream]
You’ll live, and you’ll learn
See ’cause you’ve never been the same as anyone else
Don’t think the same as everyone else
You’ll love, and you’ll learn
See you’ll never conclude with anyone else
Don’t think the same as everyone else

[Chorus: Kanye West]

If I had everything, everything

I could change anything

If I changed anything, I mean anything

I would change everything, oh yeah

[Post-Chorus: The-Dream & Kanye West]

Dark boy, don’t you cry

There’s too much life left in those eyes

Don’t you let that face go waterfall

Don’t you learn to love your scars and all

Dark boy, don’t you die

They’re just human, let them lie

You just know your world and speak your truth

Let them come to you

For you’ll love, in your heart

See ’cause you’ve never been the same as anyone else

Don’t think the same as everyone else

This is your call, there are no wrongs

See you’ll never conclude with anyone else

Don’t think the same as everyone else

(前サビ:カニエ・ウェスト&ザ・ドリーム)
生きて,学ぶ
他人とは違う生き方を歩んできた
他と同じように考えるのはもう止めにしな
愛して,そして学ぶ
ほら,他人と同じじゃ満足しない
他と同じように考えるのはもう止めにしな

(サビ:カニエ・ウェスト)
すべてが手に入るなら,手に入るなら
何もかも変えることができるなら
何もかも変えることができるなら,できるなら
すべてを変えてやりたい,oh yeah

(後サビ:ザ・ドリーム&カニエ・ウェスト)
黒い子よ,もう泣くのはやめなさい
その瞳の中には,まだまだ生きる力が残されている
その美しい顔を涙で濡らしてばかりいないで
その身体の傷跡を愛してやりなさい
黒い子よ,死ぬんじゃない
他人も人間,嘘をつかれても放っておけばいい
自分が知る世界で,知る限りの真実を語ればいいだけ
向こうからやってくるわ
心の底から,愛そうとしなさい
他人とは違う生き方を歩んできた
他と同じように考えるのはもう止めにしな
これは天の声,間違いなんて存在しない
ほら,他人と同じじゃ満足できない
他と同じように考えるのはもう止めにしな

(文責:Jun Nishihara)

第4位に輝いた「Nas feat. The-Dream & Kanye West – “everything”」ヴァース2の対訳

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Nas feat. The-Dream & Kanye West – “everything”(ヴァース2対訳)

[Verse 2: Nas]
From the birth of a child, the world is foul
Excursions of a searchin’ child
Should learn to take nothin’ personal
A parent hates to watch his baby’s face
Takin’ his first immunization shots, but this is great
The child’s introduction to suffering and pain
Understands without words, nothin’ is explained
Or rushed to the brain, lookin’ up at his parents’ face
Like, “I thought you would protect me from this scary place?”
“Why’d you let them inject me?”
“Who’s gonna know how these side effects is gonna affect me?”
Who knew I would grow to meet presidents that respect me?
If Starbucks is bought by Nestlé, please don’t arrest me
I need to use your restroom and I ain’t buy no espresso
Soon enough, assume the cuffs, the position
Not new to us, since back on the bus sittin’
Said, “Screw that bus!” – boycotted that bus outta business
The future’s us, yet every citizen’s in prison

(ヴァース2:ナズ)
子どもは生後まもなく,この世の醜さに直面する
真実を求め,さまよい歩く子
決して孤独ではないよと,励ましてやりたい
どんな親も,子供が苦しんでいるのは見たくない
生まれて初めてのワクチン接種,あたかも良いことのように思うだろう
しかしそれはその子の痛みと苦しみの始まりでしかない
子どもは子なりに理解している,全て言葉では説明できる訳じゃないことを
そのクスリが脳にまわって,子どもは親を見上げてこう言う
「怖い場所から僕を守ってくれるんじゃなかったの?」
「どうして僕にワクチンの注射をしたの?」
「副作用で僕がどうなるか,誰もわからなかったの?」
誰にも想像できなかった,俺のようなヤツをリスペクトしてくれる大統領が出てくるなんて
ネスレがスタバを買収することになっても,責めんじゃないぜ
エスプレソを買わずにスタバのトイレを使いたくなる時だってあるからさ
やがて手錠を嵌める運命,覚悟はいいか
今に始まったことじゃない,市営バスの白人優先席に乗っていたあの頃から
叫んだ「もうバスなんて乗るか」,そして市営バスは倒産に追い込まれた
未来は俺たちが握る,ムショに囚われている仲間が多すぎる

(文責:Jun Nishihara)

第4位に輝いた「Nas feat. The-Dream & Kanye West – “everything”」ヴァース1の対訳

Nas feat. The-Dream & Kanye West – “everything”(ヴァース1対訳)

[Verse 1: Nas]
When the media slings mud, we use it to build huts
Irrefutable facts, merciful, beautiful black beloved brother
You fail to embarrass him, harassin’ him
To my life, your life pales in comparison
So go write whatever blog, messiness is not ever the God
Do what’s necessary, I’m never worried
Listen vultures, I’ve been shackled by Western culture
You convinced most of my people to live off emotion
That’s why we competin’, death by the chrome barrel
Forgot the secrets, my Kilimanjaro bone marrow’s the deepest
You can peep at the comments, but don’t fall for that
We want freedom, I’m a scholar, an almanac
People do anything to be involved in everything
Inclusion is a hell of a drug
Some people have everything they probably ever wanted in life
And never have enough

(ヴァース1:ナズ)
マスコミに泥を投げつけられれば,その泥で小屋を作り上げてきた
まぎれもない事実,慈悲深く,美しい黒人のブラザーとともに
いくら嫌がらせを受けたとしても,もう恥には思わねえ
この人生に比べりゃ,奴らの人生は薄っぺらいもんだ
好き勝手にネットなんかで批判すればいい,デタラメは神には通用しねえ
満足するまでやればいい,もう不安には感じない
強欲冷酷なハゲタカどもよ,「西洋のやり方」という名の鎖で俺たちを縛り付け
感覚だけで仕事をするよう俺たちを仕向け,教育は受けさせようとしなかった
競争を繰り返し,銃に死す生き様ばかりを選ばされてきた
秘密は失われた,キリマンジャロ渓谷のように深い俺の骨髄
コメント欄を見てればいい,だが,まんまと騙されんじゃないぜ
俺らは自由を求める学者であり歴史である
人は,なり振り構わず,いろんなことに首を突っ込もうとしてくる
仲間内にされている間は麻薬のように心地良いからな
欲しいものがいとも簡単に手に入る人生を歩んでる連中は,時に
いくらあっても物足りないというだろう

(文責:Jun Nishihara)

追悼:ソウルの女王=アレサ・フランクリンがヒップホップに与えた影響(その2)

前回のつづきです。

NYはハーレム出身のラッパー=キャムロン(Cam’ron)の引き出しから,この一曲です。

2002年5月にリリースされたヒップホップ名盤『Come Home With Me』から,シングルリリースされた「Day Dreaming」を取り上げます。

このアルバムには,ジェイZがfeat.されている「Welcome to New York City(ニューヨークシティーへようこそ)」という曲も収録されています。

さて,アレサ・フランクリンがヒップホップ界に与えた影響は,当時の若手ラッパーT.I.にとどまらず,ハーレム出身のベテラン・ラッパー=キャムロンにも及びました。

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キャムロンは素晴らしい数々のヒップホップ名曲を残していますが,その中でもアレサ・フランクリンの「Day Dreaming」がサンプリングされた,名前が似ている(スペルの綴り方は異なります)「Daydreaming」(プロデュースはカニエ・ウェスト!)から,この歌詞を取り上げます。

I know fucking with a crook is whack
I lied, cheated, still took me back
What I do? Turn around, ask you to cook me crack
Boost my work with a jerk and tell the truth it hurts
Cause you even ask me to come through to church
What I do? Act second rate
I stole ten dollars out of the collection plate
But I’m ready to change
You got my heart, plus you smart
And the sex is great
And you hate rap, I like that girl
I argue with Keisha, I ain’t like that girl
You jumped right out the car, to fight that girl
You beat her ass, you ain’t have to bite that girl
And my baby got the best thighs
And my whip she ain’t never got to test drive
Copped her the X5
You paid attention when no one acknowledge me
This is my public apology, holla B

ダメ男と付き合うのはダサいなんて思ってんだろ
ウソついて,浮気もした,それでも俺のこと,好きでいてくれた
君にムリも言った,ふり向けば,「コカイン寄こせ」とか言って
仕事前にフェラして,やる気出させてくれた,ちょい痛かったけど
「あたしと教会,いっしょに行こ」って,さそってくれた
でも俺は,ふざけてた
教会の募金箱から,10ドル盗んだり
でも良い人間になろうと決めた
君の愛にやられた,おまけに君は育ちもイイし
君とのセックス,たまんないし
君はラップが大嫌い,それでもダイジョウブ
キーシャと口喧嘩,それはダイジョウブじゃない
君は車から飛び降りて,キーシャを黙らしてくれた
ボッコボコにしてくれた,噛みつくまでもなかった
それに君の太もも最高さ
俺のアメ車,試乗するまでもないさ
君にBMW買ってあげた
だれひとり俺のこと相手にしてくれなかった時に,君だけは認めてくれた
この曲は君に捧げる,謝礼の曲さ,連絡してこいよ,Bちゃんよ

カニエ・ウェストは,この曲のプロデュースに関わっています。前回の「追悼:アレサ・フランクリン」のページでも書きましたが,古い曲をサンプリングすることによって,その曲が現代・現在によみがえります。カニエ・ウェストがやってきたことの偉大なひとつは,まさに,このことでした。

アレサ・フランクリンの才能は,そうそう受け継げるものではありません。しかし,こうして,40年の月日を経て,現代のヒップホップでアレサ・フランクリンの歌声が聴けるなら,「アレサの代わり」がいなくとも,いまのところは,なんとかやってけるかもしれないと感じています。

「アレサ・フランクリンの代わり」はいないかもしれませんが,「アレサ・フランクリンの魂(ソウル)」は,こうして現代のヒップホップ音楽を媒介として,受け継がれていくでしょう。

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Source: photo: WENN.com

(文責:Jun Nishihara)