アルバム『Khaled Khaled』より、楽曲⑥「LET IT GO」です。

DJキャレド(DJ Khaled)が本年4月30日にリリースしたアルバム『Khaled Khaled』より、ジャスティン・ビーバー(Justin Bieber)及び21サヴェージ(21 Savage)を迎えた楽曲⑥「LET IT GO」です。

こちらもイマをときめく(っていうか、ずっとときめいていたが、ポップを聴く連中以外にはちゃんと評価されておらず、ここへ来てヒップホップ界へもその名を馳せてきた)ジャスティン・ビーバー登場です。

(キュレーティング:Jun Nishihara)

アルバム『Khaled Khaled』より、楽曲⑤「I DID IT」です。

DJキャレド(DJ Khaled)が本年4月30日にリリースしたアルバム『Khaled Khaled』より、ミーガン・ジー・スタリオン(Megan Thee Stallion)、リル・ベイビー(Lil Baby)及びダ・ベイビー(DaBaby)そしてサビにポスト・マローン(Post Malone)を迎えた楽曲⑤「I DID IT」です。

まさにイマをときめく3名のラッパー、ミーガン・ジー・スタリオン、リル・ベイビーそしてダ・ベイビー登場。

ミュージックビデオの冒頭で、しっかりスポンサーを行い、それでビデオ制作費をまかなうというさすがのDJキャレド(DJ Khaled)でした。スポンサー提供先は、ディディ(Puff Daddy)のDELEON(←テキーラ)、そしてリック・ロスのBelair(←シャンパン)、それからビールのBUD LIGHT PLATINUM SELTZER。加えて、オンライン銀行アプリのCHIME。ミュージックビデオ・ディレクターであるDave Myersの請求書が高額っつうんで、上記4つ(+ビデオ中でちゃっかりDORITOSの宣伝もしてますね笑)のスポンサー収入だけでまかなうことを冒頭宣言したという素晴らしきクリエイティビティでした。

(文責:Jun Nishihara)

2021年のHIP-HOPに非常に重要な意味を持つアルバム『Khaled Khaled』がリリースされた。

DJ Khaled(DJキャレド)が通算12枚目となるアルバム『Khaled Khaled』をリリースした。表紙はこんな感じ。

このアルバムタイトルである「キャレド・キャレド」というのは,DJ Khaledがまだ無名であった時代(正確に言えばメジャーデビューはせず,マイアミエリアでしか名を馳せていなかった時代)の芸名であった。DJ Khaledはデビューして今年で15年。早いもんだぜ。2006年にリリースされたDJ Khaledのデビューアルバム『Listennn… the Album』が今もまだ「新たな世代のラップ」のように聞こえてならない。あれから15年たった今も,DJ Khaledは「新たな世代」を「ベテランの大御所ラッパー」とともに引き合わせる「接着剤」「橋渡し」「触媒」の役割として,絶妙なポジションにいるDJ兼プロデューサーの役を引き受けている。そしてそれに成功している。

DJ Khaledがムスリムの儀式である「ナマーズ(祈り)」を捧げている際に,末っ子のアラム君が祈るパパを指さして微笑んでいるのが素晴らしく,これはなかなか良いものを表紙にしましたね。

まずはこの曲を送ります。収録楽曲1曲目,「THANKFUL(感謝)」です。

(文責:Jun Nishihara)

第2位:Freddie Gibbs + Alchemistのコラボ作『Alfredo』(2020年Hip-Hop名曲名場面ベスト30)

2020年は偉大なるアルバムが数々リリースされましたが,その中でもフレディ・ギブス(Freddie Gibbs)及びアルケミスト(Alchemist)がタッグを組んで作り上げた作品『Alfredo』は現代HIP-HOPにおいて,極めて重要な意味を持つアルバムとして挙げられることとなりました。2020年5月にリリースされてから,あらゆるレビューサイトで非常に高い評価を得ておりますし,また,本年グラミー賞でもラップ・アルバム最高の栄光と呼ばれる「Best Rap Album」部門にノミネートされました(これを書いている時点では,賞を取ったかどうかはまだ発表されておりません。)。

アルバムカバーは以下のとおりです。

このアルバムの特徴は,フレディのハングリーでダークなラップ・スタイルと,アルケミストのソウルフルでソフトなビートです。この「暗さ」と「柔らかさ」という比較の対象にもならないような二つの要素が掛け合わさって,一枚の作品(これこそが「作品」)となっております。ようやく「ミックステープ」ではないクオリティのアルバム(作品と呼べるもの)をラッパーが世に送り出してくれました。

フレディのラップ(特にフリースタイル)の迫力と凄まじさについては2019年にこちらのページで紹介しました。右腕に抱えている子どもはまだ小さいのにパパの迫力あるフリースタイルを聴いていてもビクともしないですね。慣れてるんでしょう。こんなことを家でずっとやっているんでしょう。

このラップやり出したら止まらんスタイルは,前にも書きましたが,どうしても私はTupac(トゥパック)を思い出してしまいます。これはただもんじゃ無いってことを感じさせます。

まぁそんなフレディがですよ,ソウルフルなサンプリングを器用に扱うことで有名なアルケミスト(Alchemist)とタッグを組んで,全曲ビートをそのAlchemistに任せてアルバムにしたっていう贅沢な作品を作ったのです。

アルケミストが制作した2004年のこのビートは,16年経った今も強烈に記憶に脳裏に焼き付いて,それだけインパクトあるビートを彼は作ってきたのだと,気付かされました。(優れたプロデューサーは,それぞれ自分の“signature sound”(独特の音)というものを持っており,アルケミストに関しては,その中でもこの分野に関しては秀でています。)

さて,今作アルバム『Alfredo』から2曲,以下のとおり掲載しておきます。

1曲目はDavid T. Walkerの「On Love」をサンプリングした楽曲「Something to Rap About」です。

2曲目はRick Rossをfeat.した楽曲「Scottie Beam」です。

最後に2020年8月にリリースされた次の曲(アルバム『Alfredo』には収録されておりません)も掲載しておきます。

(文責:Jun Nishihara)

第12位:Big Seanのアルバム『Detroit 2』より2020年イチのフリースタイル曲「Friday Night Cypher」(2020年Hip-Hop名曲名場面ベスト30)

ビッグ・ショーンが2020年9月にリリースしたアルバム『Detroit 2』に収録された楽曲「Friday Night Cypher」はかなりの衝撃です。

18年前,2002年にHip-Hop史上に残る「Grindin’」という,永遠のビートを作り上げたファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)及びチャド・ヒューゴ(Chad Hugo)率いるザ・ネプチューンズ(The Neptunes)のビートを元ネタに使ったメロディで始まります。

そこからデトロイト出身のラッパー11名が勢揃いして,一人一人フリースタイル・ラップをカマしていきます。この1曲で9分28秒というラップ曲にしては非常に長い曲。

曲名にあるcypher(サイファー)というのは,複数名のラッパーが円を囲んで一人一人順番にフリースタイルをカマしていくというスタイルのこと。

その「円」を想像しながら聴いてみてください。

このサイファーに参加している11名は以下のとおり。
登場する順番に掲載します。

ティー・グリズリー(Tee Grizzley)
キャッシュ・ドール(Kash Doll)
キャッシュ・キッド(Cash Kidd)
ペイロール・ジョヴァンニ(Payroll Giovanni)
42・ダッグ(42 Dugg)
ボールディ・ジェイムス(Boldy James)
ドレゴ(Drego)
ビッグ・ショーン(Big Sean)
サダ・ベイビー(Sada Baby)
ロイス・ダ・5’9’’(Royce da 5’9”)
エミネム(Eminem)

大トリはエミネム。
Boldy James(3:07)のラインでビートがスウィッチされてJadakissの「We Gonna Make It」ビートが鳴り始める瞬間,テンション上がらないハズがない!(ちょっと細かいですが,ここのビートは,「We Gonna Make It」のビートを裏返しして,つまり,後ろ(高音)のキーからビートマシンを弾いて低音に戻るという,逆方向に鳴らして,まぁ凝ってます。)

ではそのデトロイト・ラッパー10人をfeat.したビッグ・ショーンの「Friday Night Cypher」聴いてみましょう。

Big Sean feat. 10 Detroit rappers – “Friday Night Cypher”

ちなみに,冒頭で起用されている元ネタは,The Neptunesビートの「Grindin’」です。

まぁ,ファレルとチャド・ヒューゴの天才ぶりを聴いてみてくだされ。ファレルが相方のチャド・ヒューゴに対してこう言っています。「チャドは天才だ。碩学(savant)だよ。チャドに比べりゃ俺はただの蟻(ant)だよ」,と。

(文責:Jun Nishihara)

第16位:この時代にこのフローで勝負するコンウェイ・ザ・マシーンのアルバム『From King To A GOD』(2020年Hip-Hop名曲名場面ベスト30)

コンウェイ・ザ・マシーン(Conway The Machine)は2020年9月にソロデビュー・アルバム『From King To A GOD』をリリースしました。

ヒップホップが若年化してきたこの時代に,ゴテゴテのヒップホップ・フローで勝負するコンウェイ・ザ・マシーン。コンウェイのラップは,若手ラッパーどもの最近のマンブル・ラップなど怖いもの無しのごとく,ハードコア・ラップに忠実に,昔ながらのリリカル・フローをカマしてくれています。

いわゆる“マンブル・ラッパー”に象徴される若手ラッパーのスタイルがある一方,ハードコアなリリックのラップで勝負しているグリセルダ・レコード(Griselda Records)のメンバーであるコンウェイ・ザ・マシーンには,今後も目が離せないでしょう。何が注目かと言えば,も一回言っときます,若手ラッパーどもがいる中で揺らぎないそのハードコア・ラップです。

2020年9月には米公共ラジオ局であるNPR主催の“Tiny Desk (Home) Concert”(コロナ禍による自宅配信ver.)に於いて自宅から登場してくれましたので,こちらに掲載しておきます。

(文責:Jun Nishihara)

第17位:ジャンルを超越したマック・ミラーの遺作アルバム『Circles』(2020年Hip-Hop名曲名場面ベスト30)

マック・ミラー(Mac Miller)が亡くなる直前までレコーディングに取り掛かっていたという最後の遺作アルバムが2020年1月にリリースされました。アルバム『Circles』です。これは生前2018年にリリースされた『Swimming』とあわせて三部作(trilogy)の一枚として制作されました。三作目は叶わなかったですが,アルバム『Swimming』と『Circles』の二作(ふた咲く)をあわせて「Swimming in Circles(円状を泳ぐ)」というコンセプトが思索されていたようです。

『Circles』に似たコンセプトのアルバムには,ヒップホップ史上最も偉大なるヒップホッププロデューサーと云われているジェイ・ディラ(J Dilla)の『Donuts』というアルバムがあります。これもまたJ Dillaが亡くなる3日前にリリースされたアルバム(2006年2月6日)です。

“Circles”や“Donuts”のように,ぐるぐると回り続ける,永遠に終わることのない“トリップ”を表現するものには,The Notorious B.I.G.の“Life After Death”(死後の生き様)というのもひとつ,別の観点から永遠を象徴するものでしょう。上記3名はもうこの世にはいませんが,偉大なるアルバムをとおして「永遠」の音楽を我々に贈り届けてくれた,といえるでしょう。

もうひとつ,マック・ミラーの遺作アルバム『Circles』で特筆すべきことは,収録されている楽曲のジャンルの幅が非常に広いということです。“ジャンルレス”,つまり,特定のジャンルに縛られることなく音楽を作り上げることに成功した偉大なるアルバムとも呼べます。

(文責:Jun Nishihara)

第27位:Jadakissのアルバム『Ignatius』(2020年Hip-Hop名曲名場面ベスト30)

第30位〜第28位までとはガラッと雰囲気が変わります。

第27位はジェイダキッス(Jadakiss)のアルバム『Ignatius』です。

まー,こちらを聴いてみてください。
この曲を聴くと,ここまで第30位〜第28位のアルバムをつまみ聴きしてきた曲とは,全く種が異なるということが分かると思います。同じHIP-HOPという所謂“ジャンル”にくくられた中にあるかもしれませんが,どれだけ幅が広いものか,わかっていただけると思います。

Jadakiss feat. Pusha T – 「Huntin Season」

90年代にHIP-HOPという言葉がカバーしていた幅の広さと,現在2020年にHIP-HOPという言葉がカバーする幅の広さ,というのは,「広さ」という意味でまず,異なってきています。そして次に異なるのはその言葉が表すものであったり意味するものであったり,定義も異なってきています。しかしながら,何よりも,90年代を生きた人々が「Hip-Hop」と聴いて想像するものと,2020年代に10代や20代を過ごしている現在の若者たちが「Hip-Hop」と聴いて想像するものが,異なってきている,というものは大きいでしょう。

Jadakissの「Hip-Hop」を聴くと,いつもこのように「Hip-Hop世代の変革」を感じます。

まずは聴いてみてください,Jadakissの「ME」を。

この曲からこのセリフ・・・

Never had a wack verse!

ダサいヴァースとは無縁で来たぜ!

直訳すると「イカシていないヴァースなんて1つも書いたことがない」,つまり,これまで俺がスピットしてきたラップに,ダサいヴァースなんて1つもねえよ!

これはJadakissにしか言えない称号。

第27位にするのがもったいないくらいデキの良いアルバム。

も1曲いっときまひょか。

Jadakiss – 「Catch & Release」です。

(文責:Jun Nishihara)

元ネタの曲を知る(14):ドレイク⇄ローリン・ヒル

ドレイクのシングル曲「Nice For What」がリリースされてから,もう2年半が経ちました。時間が経つのは早いですね。

その「Nice For What」はローリン・ヒル(Lauryn Hill)の名曲「Ex-Factor」を元ネタにした楽曲でした。

本日も両曲を聴き比べてみてください。

Drake – “Nice For What”

Lauryn Hill – “Ex-Factor”

そしてこの「Ex-Factor」が収録されているアルバム『The Miseducation of Lauryn Hill』(1998年リリース)は,HIP-HOP界だけでなく音楽界全体において歴史上重要なアルバムと称されており,1999年のグラミー賞では10部門でノミネートされ,5部門でグラミー賞を獲得し,歴史上ヒップホップというジャンル関係なく,「女性」として初の快挙(5部門も獲得というのは女性のアーティストでそれまで存在しなかった)を成し遂げた歴史的に重要なアルバムでもありました。

やがて同アルバム『The Miseducation of Lauryn Hill』は米国内で800万枚のセールスを記録し,全世界で1,200万枚の売り上げを記録。

本年(2020年)9月,米ローリングストーン誌において「500 Greatest Albums of All Time」(歴史最高のアルバム500選)の最新バージョンが発表され,本アルバム『The Miseducation of Lauryn Hill」が第10位に選ばれたこともここに追記しておきます。

(文責及びキュレーティング:Jun Nishihara)