あまりにも素敵なDJミックス動画(その②)

前回とは、対照的に、参加者不在のDJだけ(と、猫ちゃん)の動画を紹介します。今回も素敵な理由は3つあります。

①これは前回も同じでしたが、選曲とトランジションが素敵すぎる、です。

これはまさにself-evidentという形容詞が最も似合うくらい、自明の理です。選曲の良さ、移行(transition)のスムーズさ、は当然のことながら、僕が個人的に好きなのは、DJ Komoriのノリ方です。時にはリリックを口ずさんで、「Ella Mai!」って歌うところなんて最高ですね。プロのDJがスピンしているところの動画を自宅で見れるなんてなんて贅沢な世の中になったもんだ、ってこれを配信してくれているDJ Komoriに感謝です。(当時はクラブへ行くことでしかDJ Komoriのスピンが聴けなかったのに、いまでは毎晩(そして毎朝の通勤時に)聴けるって最高ですわ。)

②猫ちゃんがDJ Komoriのスピンを眺める瞬間

見ました?観ました?!これ奇跡なのか、いつもこの猫ちゃんはこうしてDJ Komoriがスピンしているところを観客席の一等地から眺めているのかはわかりませんが、これを初めて観る僕らからするともう「奇跡」としか言いあらわしようがない。その瞬間がこれです、@09:16 で身を乗り出してWhitney Houstonの「One of Those Days」の楽曲に移る移行の部分を見つめますよね。可愛いし、自分の親であるDJ Komoriへの敬意に満ち溢れたまなざしのようにさえ感じる。前回の動画は、NYの自然を相手にしたDJだとすると、こちらのDJ Komoriは動物さえもノらせるDJとして素敵すぎる瞬間です。

③サンセットと部屋の照明、そしてポスターのフレームに反射する都市の明かりと月明かり

これは前回もそうでしたが、僕が好きな動画は案外、暖かい色の照明に移行する(最初っからそうなんじゃなくて、これもグラデーションのように徐々に<移行(transition)>するところが味噌)DJミックス動画なのかもしれないと思えてきました。ポスターのガラスフレームに反射する外の街のトラフィックライトや車のヘッドライト、それから部屋の照明(lighting)、外の明るさの変化(これも移行(transition))、動画の冒頭はまだ外は明るさが残っている夕暮れ時、でも徐々に月明かりに移行して、後半は完全に外は暗い、でも都会のライトや明るさがほんのり暖かい。こんな素敵な動画を聴かせて/見せてくれているDJ Komoriに感謝です。

(文責&キュレーター:Jun Nishihara)

あまりにも素敵なDJミックス動画(その①)

この動画、素敵な理由が3つあります。

①選曲の良さ、移行のスムーズさ

DJ動画なので当然ながら、選曲が良いことと(新旧、古い曲も新しい曲も織り交ぜて)、そして移行(transition)がスムーズであることはさることながら、あえて移行をはずすということもしています。タイムライン @18:45 では、トランジションを敢えて外して、ドレイクの「エィ」が間(ま)を取り持つというワザを成し遂げています。

そしてハプニングが1つ。動画中でもテロップが出ますが、途中、スピーカーが接続不具合を起こし、音楽が途切れても、参加者が自ら歌い続けて、スピーカーが息を吹き返すまで、その熱を維持することに全員が一丸となって協力してくれるという奇跡が起きます。タイムライン @1:02:02 の箇所ですね。これって実は、次の②にも通じますが、こういうことですよね。

②参加者同士の関係、交わりが、素敵すぎる

上記①でも少し触れましたが、協力精神が半端ないですね。みんな全員が一丸となってこのパーティーを素敵なものにしている。そして参加者ひとりひとりが、心から楽しんでいるように見える。見ているほうも素敵な気持ちになってくる。リリックを口ずさんでいる人、踊りあかしている人、笑っている人、この動画、私もうすでに10回くらい観ましたが(っていうか通勤の時も流していますが(どんだけ好きなん笑))、その都度、注目する人を1人決めておいてその人を見てると、それぞれの人生が見えてくるような気がしておもしろい。たとえば、カニエの「All Falls Down」からDJの左手にいる白と黒のストライプジャケットの女性。この人がリリックを口ずさむのと、笑顔で人と話しているところを見ると、もしかして、別の動画でDJをやっている人なんじゃないか、というふうに、この人はどういう人生を送っているんだろう、R&Bかなり聴き込んでいるだけじゃなく自分でもLPをスピンしてる人なんじゃないか、とか想像を掻き立てれる、そういうところも楽しめる素敵な動画です。@08:20 には奥さん(パートナー)が飲み物を運んだりしてくれるところもあって、ロジロジ的な要素も垣間見れて、そういうところ、個人的には結構好きです(笑)。

③太陽が沈んだ後の外が暗くなっていく雰囲気が素敵すぎる

冒頭(@00:39)でDJが照明を落としますが、動画始終をとおして、外の明るさが段々と暗くなっていくという動画ならではの楽しみ方もできます。最初は外の背景が明るかったのが、途中、徐々に薄暗くなってきて、後半には真っ暗になっており、外のビルの照明が見えるくらい。これって夜寝る前に日記とかジャーナル書きながらこの動画を流すっていう使い方もできるから「思考の集中を邪魔しない適度な暗さ」っていう意味でも副交感神経にうったえる使える動画だなっていう風に思いました。ちなみにここNYのブルックリンでやってますが、DJ自身は西海岸出身で、いつもはNYとは天候も自然も気候も異なるカリフォルニアから配信しています。今回は初めてのNYからの配信動画らしいですね。動画の背景がブルックリンの道路に面していますが、NYらしいガラスと鉄の柵でできたドア(窓)で、この「冷たさ」と、照明(lighting)の「暖かさ」(途中からオレンジ色のライティングとキャンドルに移行)が対照的で、後半から外が真っ暗になり、オレンジ色の照明に包まれるっていう素敵すぎる現象(太陽の浮沈という自然を相手にしたDJ!)も起きています。

さて、その動画を以下のとおり紹介します。

(文責&キュレーター:Jun Nishihara)

第18位「ローリン・ヒルの生まれ変わりか。H.E.R.の”Lost Souls”という曲」。(今年2018年に出た最も偉大なるヒップホップ曲ランキング)

フローがローリン・ヒルに似ている,と思われた方もいらっしゃるでしょう。

2018年総まとめヒップホップ曲ランキング《トップ30》です。

本日は第18位の発表です。

第18位:H.E.R. feat. DJスクラッチ「Lost Souls」です。

この曲のお手本となっているローリン・ヒル(Lauryn Hill)の名曲「Lost Ones」(1998年リリース)を聴いてみましょう。

まさにH.E.R.は,ローリン・ヒルの音楽をちゃんと勉強して育ったR&Bアーティストということです。こういう風にローリン・ヒルを学んで育っていった世代のアーティストを「ローリン・スクールの歌手」と言います。

ローリン・ヒルの存在はデカすぎますが,ローリン・スクールの歌手はゴマンといます。

しかしゴマンといる中で,ここまでローリン・ヒルのフローを巧みに受け継いでいる(受け継げている)アーティストは珍しいでしょう。H.E.R.は1997年生まれで,彼女が1歳とか2歳の赤ん坊の頃に,ちょうどローリン・ヒルが活躍しておりました。この曲で言及されているカニエ・ウェストも,2000年頃からじわじわ活躍し始めており,H.E.R.はまだ5歳児ほどの幼児でした。そんな幼児の頃におそらく両親が聴いていた音楽を,自身のこの曲「Lost Souls」で,言及しているという事実はまさに偉大なることです。まだ現在21歳のアーティストですが,フローも歌詞の内容も,21歳とは思えない「ベテランぶり」を見せつけております。

H.E.R.からはしばらく目が離せません。今後の活躍に期待大です。

(文責:Jun Nishihara)