元ネタの曲を知る(13):Megan Thee Stallion ⇄ Eazy-E, Dr.ドレー, アイス・キューブ

先週6月26日(金)にリリースされたメーガン・ジー・スタリオン or ミーガン・ジー・スタリオン(Megan Thee Stallion)の新曲「Girls in the Hood」は,1987年にリリースされたコンプトン出身,ウェッサイの総本家=Eazy-E率いるN.W.Aの名曲「Boyz-n-the Hood」を元ネタにサンプリングしております。

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先週もお伝えしたティアナ・テイラーのケースでもそうですが,80年代のHip-Hopがこのように30年の時を経て,2020年代に若手アーティストによって蘇らせられるというのはとても重要なことと当サイトでは考えております。当時の音楽が忘れ去られるということに非常なる危機感を当サイトでは感じており,これだけ素晴らしき音楽が生きていたという事実をなんとしてでも次世代に繋げていかなくてはならない,ということを極めて重要なテーマの一つに掲げております。

そういった意味でも,現代Hip-Hopを先導するメーガン・ジー・スタリオン(Megan Thee Stallion)が80年代の名曲・名盤を蘇らせてくれていることは極めて意義深いことであり,彼女に感謝の念を込めて,以下本曲を掲載しておきます。

このメーガンのフローと勢い,そして明快明瞭なライムにぶっ飛ばされて(blown awayされて)みてください。

続いては,本家本元,ウェッサイの総本家,N.W.Aの大元音源です。

(文責:Jun Nishihara)

Guest Versesのコーナー:ジェイZ(ドレイク「Talk Up」より)

このコーナーでは,カニエ・ウェストもしくはジェイZが人の曲にヴァース(歌詞)を提供している曲を紹介します。

今日は6月29日にリリースされたドレイクのアルバム『Scorpion』より,収録楽曲「Talk Up feat. Jay-Z」を取り上げます。

Drake feat. Jay-Z – “Talk Up”

(Verse: Jay-Z)
Yo, get close enough to HOV, smell like a kilo still
First album 26, I ain’t need no deal
Already a hood legend, I ain’t need no shine
First Rollie flooded out, I ain’t see no time, woah
Stand-up niggas, we only duckin’ indictments
Dope boys, Off-White, lookin’ like soft white on ’em
Heh, you know what I’m sayin’?
We in the buildin’, we came for a billion, ain’t nobody playin’
Live every word that I’m rappin’
Say I lost 90 bricks and it happened
You probably wouldn’t believe everything that you seein’ right now if it wasn’t live action
I ain’t on the ‘Gram, they record who I am
God to these dope boys, how do you not be a HOV fan?
I’m what Meech shoulda been
I’m what Supreme didn’t become
If Alpo didn’t snitch, niggas’d be like Young
I got your President tweetin’, I won’t even meet with him
Y’all killed X and let Zimmerman live, shhh, s-streets is done

(ヴァース:ジェイZ)
ヨゥ,ホヴァ(=ジェイZ)に近寄れば,いまだにコカが匂う
26歳でデビューアルバム,当時レコード会社には雇われず
それでも腕時計(ロレックス)はダイアだらけで,針が見えねえ,ウォゥ
ピン芸人の野郎どもと,裁判沙汰を上手くかわしてきた
ドラッグディーラー,“オフ・ホワイト”,白い粉末が光ってた
なんのことかわかるだろう
俺らが一発売れば,億単位で稼ぎ,中途ハンパなことはしなかった
ラップで言ってきた一言一言,全部リアルに生きてきた
90キロのコカを失った話(*註1),それもマジ
こうしてナマで届けなきゃ,おまえら何にも信じねえからな
インスタはやってない,TVが俺を追いかけてるから
ドラッグディーラーにご加護あれ,ホヴァのファンたちに幸あれ
ビッグ・ミーチ(=ドラッグディーラー)も俺の様にはなれなかった
シュープリーム(=同上)も俺になれなかった
もしアルポ(=同上)が人のことチクらなければ,俺の様になれていただろう
おまえらの大統領がツイートしてる,あんな野郎に俺は合わねえ
おまえらX(=エックスエックスエックステンタシオン)は見殺しにして
ジョージ・ジマーマン(*註2)は救うのか?
もう「ストリート」は終わりだな

註1:ジェイZの名盤『The Blueprint』収録の楽曲「Never Change」より。
註2:黒人の若者(トレイヴォン・マーティン)を銃殺した容疑者。

(文責:Jun Nishihara)

ザ・カーターズのニューアルバム『Everything Is Love」より,楽曲⑤対訳「713」。

EVERYTHING IS LOVE

[Intro: Dre]
Uh, uh, uh
This (uh, uh) is (uh, uh), ouu!

(イントロ:ドレー)
Uh, uh, uh
これ(uh, uh)は(uh, uh)アウゥ!

[Chorus: JAY-Z & Beyoncé]
Cash, hit deposit, 24-carat faucets
Louis V and Goyard trunks all in the closet
Ain’t shit change, the streets is still watchin’
And my little baby Blue is like, “Who gon’ stop us, huh?”
Ain’t no way to stop this love
Ain’t no space if everything is love
Representin’ for my hustlers all across the world (still)
Still dippin’ in my low-lows, girl! (still)
I put it down for the 713 and we still got love for the streets (ow!)

(サビ:ジェイZ&ビヨンセ)
現ナマを預金へ,24カラットの水道蛇口
クローゼットには,ルイ・ヴィトンとゴヤールの高級トランク
何も変わっちゃいない,“ストリートは今も目を光らせている”
娘のブルーに言われたぜ「誰にも止められないわ」
誰にもこの愛は止められない
全てが愛でできているなら,スキは無い
世界中のハスラーの代表として(変わらず)
それでもロウ・ロウ*(註)を身にまとって,ガール(変わらず)
713(ヒューストン)に懸けて,ストリートを変わらず愛してる(アゥ!)

[Verse 1: JAY-Z]
We played it cool at the pool of the Cancun, VMA
Confidence you exude make the fools stay away
Me, I played my room, let the fools have they say
Fate had me sittin’ next to you on the plane
And I knew straight away, uh
The next time we would speak was like two years away
You had a man, you shut it down until you two had a break
I bet that dude rued the day
You kept me up on the phone while you were away
You came back, I let you set the date, Nobu on the plate
I brought my dude to play it cool, my first foolish mistake

(ヴァース1:ジェイZ)
カンクンのプールサイド,VMA(MTVのミュージックビデオ賞)ではクールにキメた
君が醸し出す自信で,もう愚か者は近寄れない
やることやって,愚か者にもしゃべらせてやった
飛行機で君がとなりに座ったのは,運命のおかげ
あれは君だったって,俺はすぐに気づいてた,uh
その後,君と話したのは,その2年後だった
君には別の男がいた,そいつにうんざりしていた君は,その男とついに別れた
ヤツはその日を悔やんだだろう
僕ら遠距離でも電話し合って,二人でずっと話してたっけ
再会して,デートにさそって,NOBU(高級レストラン)でディナーして
そん時,俺は自分のダチも連れてきた,クールにキメようと思って,でもかえってそれが仇になった

[Chorus: JAY-Z & Beyoncé]
Cash, hit deposit, 24-carat faucets
Louis V and Goyard trunks all in the closet
Ain’t shit change, the streets is still watchin’
And my little baby Blue is like “Who gon’ stop us, huh?”
Ain’t no way to stop this love
Ain’t no space if everything is love
I’m representin’ for my hustlers all across the world (still)
Still dippin’ in my low-lows, girl! (still), I put it down for the 713
And we still got love for the streets (ow!)

(サビ:ジェイZ&ビヨンセ)
現ナマを預金へ,24カラットの水道蛇口
クローゼットには,ルイ・ヴィトンとゴヤールの高級トランク
何も変わっちゃいない,“ストリートは今も目を光らせている”
娘のブルーに言われたぜ「誰にも止められないわ」
誰にもこの愛は止められない
全てが愛でできているなら,スキは無い
世界中のハスラーの代表として(変わらず)
それでもロウ・ロウ*(註)を身にまとって,ガール(変わらず)
713(ヒューストン)に懸けて,ストリートを変わらず愛してる(アゥ!)

[Verse 2: JAY-Z]
I never knew a lo-, lo-, lo-, love like this
Gotta be special for me to write this
Queen, I ain’t mean no disrespect
But the way I network, it’s hard for me to connect
My first time in the ocean went exactly as you’d expect
Meanwhile you goin’ hard, jumpin’ off the top deck
A leap of faith, I knew I was up next
I never told you, but I told a few people we wed
Me, I’m off to Rome, you goin’ back home instead
My first time in my life a live nigga felt dead
You came back, I had to act like it was cool in my head
Thoughts of jumpin’ the broom, a player never been swept

(ヴァース2:ジェイZ)
こんなラ,ラ,ラ,LOVEは初めてだ
特別なモノに違いない,こうして書いてんだから
クイーンへ,ディスってるワケじゃないけれど
時に仕事に追われて,君のことそっちのけになることさえある
初めて南の島へ二人で旅行した時,期待どおりだった
おもいっきり楽しんだ,君は船のデッキから海へ飛び込んだり
「全てを懸けて飛び込んだ」,次は俺の番だった
君には内緒で,俺は決心していた,「結婚決めた」って,仲間にも言った
俺は仕事でローマへ,君は故郷ヒューストンへ戻った時,離ればなれになって
人生で初めて,あれだけイキッてた俺は生気を失ったようになった
やがて二人は一緒になって,まるで今まで「なんてことなかった」かのように君の前で振る舞った
君との結婚に踏み切った時も,プレイヤーの俺はいつだって冷静に振る舞った

[Chorus: JAY-Z & Beyoncé]
Cash, hit deposit, 24-carat faucets
Louis V and Goyard trunks all in the closet
Ain’t shit change, the streets is still watchin’
And my little baby Blue is like “Who gon’ stop us, huh?”
I’m representin’ for my hustlers all across the world (still)
Still dippin’ in my low-lows, girl! (still), I put it down for the 713
And we still got love for the streets (ow!)

(サビ:ジェイZ&ビヨンセ)
現ナマを預金へ,24カラットの水道蛇口
クローゼットには,ルイ・ヴィトンとゴヤールの高級トランク
何も変わっちゃいない,“ストリートは今も目を光らせている”
娘のブルーに言われたぜ「誰にも止められないわ」
誰にもこの愛は止められない
全てが愛でできているなら,スキは無い
世界中のハスラーの代表として(変わらず)
それでもロウ・ロウ*(註)を身にまとって,ガール(変わらず)
713(ヒューストン)に懸けて,ストリートを変わらず愛してる(アゥ!)

[Outro: JAY-Z]
To all the good girls that love hustlers
To the mothers that put up with us
To all the babies that suffered ’cause us
We only know love because of ya
America is a motherfucka to us, lock us up, shoot us
Shoot our self-esteem down, we don’t deserve true love
Black queen, you rescued us, you rescued us, rescued us

(アウトロ:ジェイZ)
ハスラー男子好きの,女子たちへ
俺たちのような男を育ててくれた母たちへ
俺たちのせいで苦しんできた子供たちへ
君たちのおかげで,俺は愛を知ることができた
糞食らえのアメリカだけどよ,ムショにぶち込まれたり,銃で撃たれたり
自尊心を踏みつぶされて,まるで真の愛に値しないかのように
だけど「ブラック・クイーン」,あなたがそんな俺らを救ってくれた
あなたがそんな俺たちを救ってくれた,あなたが俺らを救ってくれた

*註釈:このサビはDr. Dre feat. Snoop Doggの名曲「Still D.R.E.」より。それをジェイZではなく,ビヨンセがラップしている凄まじき事実はさて置き,Dr. Dreが言う「ロウ・ロウ」とはウェッサイの象徴でもある「ロウライダー」を意味していた。しかしこうしてビヨンセがラップすることにより,「ロウ・ロウ」に新たな意味が加わり,それは時にビヨンセ自身も愛用する「マノロ・ブラニクの高級デザイナー靴」を意味することとなった。(米語でManolo Blahnikの発音は,“lo”に第2アクセントが置かれるだけでなく「ロー」ではなく「ロウ」と発音されるためである。)ロウライダー(車輪)にしても,このように高級デザイナーのヒール(両足)にしても,それはどちらも「前に進む」という隠れた意味を持たせている。さらに凄いのは,おおもとのDr. Dreのこのヴァースは,ジェイZが書いていたという事実である。ジェイZが書き,Dr. Dreがラップをしていたので,こうして17年の時を経て当楽曲に起用されたのは,時空を経た逆輸入とも言える。

(文責:Jun Nishihara)