JAY ELECTRONICAのアルバム『A Written Testimony』楽曲⑧「Fruits Of The Spirit」からジャスト・ブレイズまで。

この曲を再生(play)すると,まずビートに反応します。2000年代初期の頃にすでにラップをヘヴィに聴いてきたヒップホップ・ヘッズ(Hip-Hop Heads)にとっては,感慨深いものがあるでしょう。なんといったって,ジャスト・ブレイズ(Just Blaze)のビートをサンプリングしているのですからね。

聴き比べて見てください。まずは,ジェイ・エレクトロニカの当曲「Fruits Of The Spirit」です。

そして,このビートの元ネタとなったビート・プロデューサーの鬼才=Just Blaze先生のビートを聴いてみぃ。

ここまでソウルフルなビートネタ使いをできるのは,ジャスト・ブレイズ先生以外にいる?!?・・・あ,カニエがいたな。しかしながら,ジャスト・ブレイズ(「ジャス・ブレェェェィィィィィィィイズ!」)とカニエ・ウェストのネタづかいは,ちと違うんですねえ。

そっくりなんですけどね。

でも違うんですね。

例えばですよ,ジャスト・ブレイズ(Just Blaze)先生のビート・プロデュースの曲として,これを聴いてみて下さい。

The Diplomats – “I Really Mean It”(ビート・プロデューサーは produced by ジャスト・ブレイズ)

続きまして,こちらもジャスト・ブレイズ作。

Memphis Bleek – “Intro (U Know Bleek)”(produced by ジャスト・ブレイズ)

だんだん,感じてきました?ソウルネタも入れているのに,ドラムビートがぶっ飛んでます。

JAY-Z – “PSA (Public Service Announcement)”(produced by ジャスト・ブレイズ)

続けましょう。
次の曲は,メンフィス・ブリークのセカンド・アルバムから。

Memphis Bleek – 曲名が“Just Blaze, Bleek & Free”と3名の名前を並べた曲名。シック!(produced by ジャスト・ブレイズ)

続きまして。
ジャスト・ブレイズの弟子,と言っても,ビートメイカーの弟子ではなく,ラッパーとしての弟子。サイゴン(Saigon),覚えてます? 2011年に遅咲きでデビューして,アルバム『The Greatest Story Never Told』をリリースしたアイツ。レペゼンはニューヨーク市はブルックリン。少なくとも,ビートはキレッキレ!

Saigon – “The Greatest Story Never Told”(produced by ジャスト・ブレイズ)

それから,こういう曲もありました。
アッシャー(Usher)の名曲「Throwback」のビートを制作したのもジャスト・ブレイズ。

ヴォーカル無しで,ビートのみで聴いてみましょう。

最後に,XVっていうラッパー知ってますか?カンザス州出身のラッパーです。カンザス州と言えば『オズの魔法使い』の舞台となった場所で有名ですが,あんな田舎からラッパーが出てくるのか?と言わんばかりにあなた,今,思っていますよね?(笑)出てきたんです。

そのXVが自分の生まれ故郷であるカンザス州ウィチタ(Wichita)にオマージュを捧げた曲として,同名のタイトルで曲を作りました。ビートはもちろん,ジャスト・ブレイズ。

XV – “Wichita”(produced by ジャスト・ブレイズ)

このクラシック・ソウルミュージックをネタに回し,ヒップホップ曲に仕上げるというワザは,ジャスト・ブレイズの特権と言ってもいいほど,この人,廻しまくってます。まず,ジャスト・ブレイズがいて,その後にカニエ・ウェストがそのワザで名を馳せ始めてきました。

上記「ウィチタ」の曲は,ジャスト・ブレイズの典型的なソウル・ネタ回しだと思います。やっぱりカニエとは違いますよね。これはカニエではない,ジャスト・ブレイズだ,っていうのが分かる。

すいません,最後とか言っといて,もう1曲いいですか?ジャスト・ブレイズ制作のビート。

ドレイク(Drake)のセカンド・アルバムから。この曲,Drake – “Lord Knows”(produced by ジャスト・ブレイズ)です。

本日は,ジャスト・ブレイズ(Just Blaze)制作の楽曲を聴きまくりましたので,次回はカニエ・ウェスト(Kanye West)が他のアーティストに提供した楽曲を幾つか聴いてみましょう。

(文責&キュレーション:Jun Nishihara)

第49位:ScHoolboy Qのシングル曲「Numb Numb Juice」(今年出たHip-Hop名曲・名場面ベスト50)

83-og

ケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)と同じレーベル=TDE (Top Dawg Entertainment)所属の同胞=スクールボーイQ(ScHoolboy Q)が今年アルバム『CrasH Talk』をリリースしました。同アルバムからファースト・シングルである「Numb Numb Juice」を発表。イントロはめちゃめちゃカッチョよかったです。

同アルバムは米ビルボード200で第3位を獲得。リリース後1週間で8万1000枚売り上げるというこのアルバム売上不調の昨今においてはまずまずの記録でした。

全体的な売り上げはまずまずの記録としても,このシングル曲で,この冒頭のフレーズというのは,ツカみは完ぺき,記録よりも記憶に残る楽曲となりました。

Two-door coupe, hoppin’ out like Jack-in-the-Box, nigga
I’m gon’ shoot if this 30’s all that I got, nigga

ツードアのクーペで,ビックリ箱のごとく飛び出すぜ
両手にグロック銃,ぶっ放っちまうぜ

というふうにNワードを必ず語尾につけてラップをカマす一節です。
ここから次のヴァース「Time’s Up / Got my coins up, my bars up / Soon we find ’em」に入るくだりは絶妙です。「Soon we find ’em」で少しライム(韻)をズラすのは,最近の同じTDE仲間であるジェイ・ロック(Jay Rock)を彷彿とさせるラップをカマシてくれました。

(文責及び対訳:Jun Nishihara)