ドレイクのデモテープならぬミックステープ登場!タイトルは『Dark Lane Demo Tapes』。

先週は,いそがしい週でした。週の中日(なかび)にミーガン・ジー・スタリオン(Megan Thee Stallion)がビヨンセをフィーチャリングした「Savage Remix」をリリースし,全米がそのRemixで躍りまくっていた最中さながらに,ドレイク(Drake)が新盤公式ミックステープ『Dark Lane Demo Tapes』をリリースしました。

ゆーたら,現代黒人音楽のスリー・トップですよ。ミーガン,ビヨンセ,そしてドレイク。この3人が話題となった先週は2020年始まって,ヒップホップ界的にはなかなか濃い週でした。

そのドレイクの『Dark Lane Demo Tapes』,アルバムジャケはコチラ。

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聴きどころは以下のとおり。

収録楽曲,②「When To Say When」,③「Chicago Freestyle」,⑤「Toosie Slide」の3曲に関しては,3曲とも2020年になってから世に出回っていたストリート・シングル曲。それぞれにミュージック・ビデオもリリースされております。

既出の上記3曲以外で,今回のミックステープで初出の楽曲としては④「Not You Too」(クリス・ブラウンを迎えて,ムードある曲調)⑦「Time Flies」(ポップな仕上がりで,中毒性のあるフック),⑩「Pain 1993」(若者がリスペクトするファッションデザイナー=イアン・コナー(Ian Connor)に捧げた曲),12「From Florida With Love」(2009年に銃を持った強盗にガンポイントで狙われたドレイク自身の体験をもとに曲作りしたもの。まさにアルバムタイトルのとおり“ダーク”な曲調。),そして最終曲14「War」はいわゆる「UK Tings(UK調子)」で作り上げたラップスタイル。他のドレイクのラップスタイルとは全く異なった調子でラップするドレイクに注目。これは数年前から英国(United Kingdom)出身のラッパーと連れ始めたドレイクならではの曲です。

以上,ミックステープの良さは適度に力を抜いて聴けるというところ。収録楽曲の2曲目「When To Say When」以外は,力を抜いて聴けるという,どこへでも持っていけそうな1枚です。

(キュレーティング:Jun Nishihara)

第16位:出ました!ファボラスの『Summertime Shootout 3』(2019年Hip-Hop名曲名場面ベスト50)

出ました!ファボラス(Fabolous)のミックステープ『Summertime Shootout 3: Coldest Summer Ever』。

今年の第43位にファボラスのニューシングル「Choosy」を挙げましたが,その際に,こう書きました。

やっと今年,シングル曲ならぬヒット曲を出してくれました。それがFabolous feat. Jeremihの「Choosy」です。なかなかええ曲やないか!ファブ,待ってたで。(ひそかにトップ5くらいに入れたいくらいやけどな,ファブ,あまりにもヒット曲が少ないんで今年は第43位ということで。来年もしアルバムリリース(やっと!!)しれくれたなら,あんたの信頼おける安定したフローがあればベスト10まちがいないわ。)

ついては,ベスト10やないのか!と。ほんとうはベスト10に入れたかった。しかしそもそもファボラスが出したのはミックステープで,僕らはアルバムが欲しかった!おまけに,今年2019年は,ファボラス以上に盛り上がった,大ブレイクした,ベスト10に入れるべきアーティストがいっっっぱいいた!

ということで,ベスト10入りは果たせず,ファブ,あんたは今年の第16位や。それでもええほうやと思うで。

ほやさかい,第16位,この本性を魅せてくれる曲が以下の曲。2019年,なかなかナイスなフローで締め括りができそうな予感。Check it out.

ファボラスは今となっては,大ベテラン。第17位の新人ラッパーがフリースタイルしているのを,以下の映像を観た後に見ると,ヤツらは幼いなぁと思うでよ。さすがはファブ,ベテランぶりをフリースタイルでも魅せてくれます。

ちなみに,ファボラスのストリートシングル曲「B.O.M.B.S.」のライヴセッションがありますので,それもcheck it out.

ファボラスをデビュー当時からずっと聴き続けてきたヤツらの一人=あたしとしては,ファブはジェイZまでの名声は得られていないかもしれませんが,あれからほぼ20年,ずっとここまで(遠くまで)やってきたのは何か感慨深いものがありますねえ。

(文責:Jun Nishihara)

第26位:Waleのアルバム『Wow… That’s Crazy』もしくはTory Lanezのミックステープ『Chixtape 5』(今年出たHip-Hop名曲名場面ベスト50)

第26位はタイです。Waleの『Wow… That’s Crazy』&Tory Lanezの『Chixtape 5』です。

Wale: Wow… That’s Crazy
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Tory Lanez: Chixtape 5
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Waleのアルバムがリリースされました。その名も『Wow… That’s Crazy』というもの。これは収録楽曲冒頭第1曲目の「Sue Me」(Kelly Priceをfeat.)でこう言っているものに由来しております。

Sue me, I’m rootin’ for everybody that’s black
Spent ’bout two racks on handmade durags
Sue me, I’m rootin’ for everybody that’s black
That’s everybody from sports to college class to rap, I’m back

俺を訴えればいい,それでも黒人の味方するをやめねえから
この前,手作りのドゥーラグ買うのに2000ドル費やした
俺を訴えればいい,それでも黒人の味方するのをやめねえから
黒人のアスリートから,黒人の学生,黒人ラッパーまで,待たせたな

これはつまり修辞法(rhetoric)というやつで,「人はそんなのイカレてる(crazy)と言うが,ほんとにそうか?」とリスナーに疑問を投げかけているという問題提起の楽曲です。そのワンフレーズを取って,アルバムタイトルにしているというなかなかスマートなやり方ですね。

しかも同楽曲の題名は「Sue Me」,つまり「俺が黒人の味方をしているのを,イカレてると言われてもいい。訴えられたとしても,俺は黒人の味方するのをやめねえよ」と。

「Me vs. the World」(じぶん 対 世間)の構図は黒人の音楽のなかに頻発します。しかし一部のファンはそこに共感しますし,それがエネルギー源となることがよくあります。こういった構図は,富裕層の白人の音楽には作ることができない一種の専売特権(exclusivity)でもあります。

さて,それに対するアルバムとして,トリー・レインズ(Tory Lanez)のミックステープならぬチックステープ・シリーズの第5弾『Chixtape 5』も今年リリースされました。

これは女子の間で大人気を博し,とくにアシャンティをfeat.した収録楽曲14「A Fools Tale (Running Back)」は目玉の曲となっております。2002年にリリースされたアシャンティ(Ashanti)の後世に残る名曲「Foolish」はまさに「後世に残っている」のでこうして17年経た今現代もこのようにサンプリングネタとして起用されており,全く古びる気配は無し,と言えます。

(文責及び対訳:Jun Nishihara)

Nasアルバム『The Lost Tapes』(2002年)より,対訳「Purple」(全ヴァース対訳)

本日はNasの2002年リリース『The Lost Tapes』より名曲「Purple」の全ヴァース対訳を以下に掲載いたします。

[Intro]
Light it, uhh
Light it up, uhh

(イントロ)
火をつけろ,uhh
火をつけろ,uhh

[Verse 1]
The whole city is mine, prettiest Don
I don’t like the way P. Diddy did Shyne with different lawyers
Why it’s mentioned in my rhymes? Fuck it
It’s just an intro, hate it or love it, like it, bump it or dump it
Write it, across the stomach spell “God son”
Life is like a jungle, black, it’s like the habitat of Tarzan
Matter of fact, it’s harder than most can imagine
Most of my niggas packed in correctional facilities
Half of them passed on, MAC strong, couple of shots
Made the ghost leave a body, now they hauntin’ the block
Where they used to stand at, somebody’s takin’ they place
A younger man perhaps, hand slaps, can’t understand that
Same walk, same talk, I wonder can that be possible?
A thug dies, another step inside his shoes
And they will hurt you, layin’ low with a bottle
I’m blowin’ circles, my state of mind purple

(ヴァース1)
この街はどこまでも俺の街,イケメンの首領(ドン)
P.ディディが弁護士を数人雇い,シャイン*(註)相手に勝訴したのはイカセねえ
どうしてそんな内容のラップするかって? 理由なんてねえ
それがイントロ,好けど嫌えど,聴けど捨てれど
俺は“書いた”,肚に文字,「神の息子(ゴッド・サン)」と
人生はジャングル,真っ暗で,まるでターザンの住処
実際のとこ,ここは,おまえらが想像する以上にハードなトコ
俺の仲間のほとんどが,ムショにとっつかまえられている
その半分があの世にいっちまい,マック銃にやられ,2,3発喰らった
その霊は肉体を離脱し,いま,ゲットーをさまよい歩く
かつてハッスルしていた場所で,今となっては,別の野郎がそこにいるが
若手の野郎が,大金の取引を交わす,それが現実,俺は理解に苦しむ
似た歩き方,似た話し方,俺は思う,んなことあっていいのか?
サグは死に,ヤツの代わりに別のヤツがそこを継ぐ
そしてまた傷つけられる,ボトルを片手に身をひそめる
ケムリをふかして,円を吐く,俺の気分は「パープル」

[Break]
Light it, light it, uhh
Yeah… light it up
Light it up, uhh

(ブレイク)
火をつけろ,火をつけろ,uhh
Yeah… 火をつけろ
火をつけろ,uhh

[Verse 2]
Y’all just wanna deal with drama
Talk about niggas who got things, y’all ready to kill his mama
Everything you into is underworld related
You sell your man out, not even your girl is sacred
You don’t trust a soul, hold up, you moldin’ soldiers
To pull guns quick and always look behind the shoulder
Think of how many dudes died tryna be down with you
Everybody’s under six feet of ground but you
Still standin’, still roamin’ through the streets, that’s real
You a survivor, knowin’ all the beef is ill
You got a bunch of thugs with you even now that’s ready
Trustin’ your judgment, quick to put it down, they deadly
The hood love you, but behind your back they pray for the day
A bullet hit your heart and ambulances take you away
That ain’t love, it’s hate, think of all the mothers at wakes
Whose sons you killed and you ain’t got a cut on your face?
Unmarked police cars roam the streets hard, the heat is God
Somebody tell these shorties reach for the stars
Instead they tell ’em how to reach through the bars holdin’ a mirror
Lookin’ down a tear in jail, makin’ weapons to kill ya
Weed smoke, three tokes, nigga, pour more Henny
He sighs with eyes that seen a war too many
Cold-blooded murderers, universal
Hood to hood, blowin’ smoke, state of mind is purple

(ヴァース2)
あんたらはドラマのように騒ぎ立ててばっか
金持ちの連中に嫉妬して,おふくろを人質にして
かかわっている世界は,どこに行ってもウラの社会
仲間の魂を売るやつもいれば,ガールフレンドでさえ狙ってくるやつもいる
誰一人でさえ信用できない,そうだろ,無邪気なヤツを戦士に育てあげ
条件反射で拳銃を握るまでにしては,常に後ろを振り向かせて不安を駆り立てる
おまえらに尽くそうとして死んでいったヤツはごまんといる
そんなヤツらはすでに地中に埋葬され,生き残っているのはおまえだけという有様
未だ立ち続け,ストリートをさまよう,リアルだろ
そんなおまえは生き残り(サヴァイヴァー),どんなビーフもイカシてる
おまえの跡をつけるサグ連中,いつだって飛びつく準備はできている
決断すればすぐ,いさかいなくキメる,致命的
ゲットーに愛されているというが,陰でヤツらはおまえが銃弾に倒れる日を
望み続けて祈ってる,救急車のサイレンを聞きたがってる
それは愛なんかじゃねえ,ヘイトってもんだ,通夜に参列する母親がどれだけ多いか
おまえが仕留めたその息子,にもかかわらず,おまえはかすれ傷ひとつとない
覆面パトカーがストリートをさまよう真夜中,熱気はプンプン
誰か女子に言ってやってくれ,「星空に手を伸ばすんだ」って
現実は異なり,最近の女子は刑務所の鉄ポールの間から腕を伸ばし手鏡を持ち上げる
豚箱にぶち込まれ,涙がしみる,そしてまた新たに武器が生産される
ハッパを焚いて,3発吸い込み,ヘネシーそそぐ
数え切れないほど目の当たりにしてきた戦(いく)さを思い出す瞳にため息をつく
冷血の殺人鬼,世界中どこにでもいる
ゲットーからゲットーへ,ハッパを一服吐き出して,俺の気分は「パープル」さ

[Break]
Light it up, light it up, light it up, uhh
Light it up… light it up, light it up, uhh
Uhh… uhh, uhh, light it, light it, uhh

(ブレイク)
火をつけろ,火をつけろ,火をつけろ,uhh
火をつけろ,火をつけろ,火をつけろ,uhh
Uhh… uhh, uhh, 火をつけろ,火をつけろ

[Verse 3]
These hot-headed youngsters always get into trouble
Reactin’ before thinkin’, they easily irritated
And murder’s premeditated, it’s a fact that we sinkin’
When we should be climbin’, in a nutshell, it’s just jail
Drug sales, liquor and diamonds, niggas rewindin’
Instead of movin’ forward to blow up, so what’s the science?
People shoutin’, police pushin’ the crowd
And on the ground’s a young soldier with meat hangin’ out him
Am I hallucinatin’ off the hazin’?
Or did I just see a nigga shoot another nigga’s face in?
It’s a ugly nation, cops circle the block with mug shots
Photograph pictures of suspect faces
It’s usually two or three niggas who innocent
But if they lock the wrong ones up, then someone’ll snitch
A divide-and-fall strategy, they aren’t fair
I dig in my bag of weed that’s covered with orange hair
This Color Purple’ll make Whoopi give me the pussy
And Celie, Oprah and Danny Glover gots to feel me
This is how I escape the madness
Too much of anything’ll hurt you, so my state of mind’s all purple

(ヴァース3)
最近の若者は短気で浅はか,トラブルに巻き込まれてばっか
考える前に反応し,いともたやすくキレやすい
計画的殺人犯行,事実,落ちぶれていっちまってる
向上しなきゃいけねえ時に,結果,ムショ行き
麻薬販売,酒の密輸にダイアモンド,黒人は退化しちまうばかり
進化して,一発当てなきゃいけねえ時に,その心は,どんな理論だ
大衆は叫び,サツは群衆を押し分けて
地面に横たわるのは,若い黒人青年,片手に拳銃を握ったまま
俺はハッパの吸いすぎで,幻覚を見ちまってるのか
それとも黒人が別の黒人の顔面狙って一発撃ったってのは事実なのか
醜い国家,犯人の顔写真がはびこるエリア
容疑者のツラに向けシャッターを押す
中には2,3人,無実な連中もいる
しかし密告されるヤツらは,ほとんど無罪なヤツらばっか
「内輪揉めで,共倒れ」,それがサツの狙い
ハッパが大量に入ったバッグに手を突っ込み
『カラーパープル』映画のように,女が俺の胸に飛び込んでくる
セリー役のオプラがダニー・グローヴァーにそうしたように
そうやって俺は狂気から逃れてんのさ
なんでもやり過ぎは体に悪い,だから俺の気分は「パープル」さ

*註釈
シャイン(Shyne):90年代後半から2000年前半にかけて活躍したラッパー。一時はそのドスの効いた声で,ザ・ノトーリアスBIG(AKAビギー)の生まれ変わりとも称された。最大のヒット曲は,ヒップホップ史上,極めて危険で,最も“ビギーを彷彿とさせる”と呼ばれた名曲“Bad Boyz”。

(文責及び対訳:Jun Nishihara)