(今でも)R&Bの王様:R. Kelly特集②

前回に続き、今回もR. Kellyについて書きます。

高校生の時に、R. Kellyの「I Wish」というシングル曲が発売されました。その後まもなく同曲のRemix版である「I Wish – Remix (To the Homies That We Lost)」がリリースされることになったのですが、それを当時私は和歌山県の実家でその曲を聴いて、歌詞カードを読みながらリリックに感動して泣きながら聴いて、それを台所にいるおかんに持っていって見せたのを憶えています。

その曲が先週末、頭の中でずっと鳴っていたので、ジャーナルに書き残しておきました。手書きで書くことによって思考が沈静化/深層化します。

その曲がこちら。

R. Kelly feat. Boo & Gotti – “I Wish – Remix (To the Homies That We Lost)”

途中、R. Kellyが「ラジオよ、お願いだから “nigga” という言葉を消さないでくれ!」って叫ぶところ。これこそこのサイトで伝えたい「その言葉にしか伝えられないブラザーに対する感情」というものです。「Bro」でもなく「Fam」でもなく「その言葉(N-word)であるからこそ」ほんとうの思いが伝えられる、というものです。軽々しくその言葉を使ってはいけないっていう問題じゃないのです。もはや。だって、それを言っているのは「黒人」なのですから。当然のことながら、放送禁止用語だからその言葉を検閲するっていう問題でもないのです。その後、ケリーはなんていうかというと、こう歌います。「Let it play on, play on, play on…」と。これには、「曲よ、このまま鳴り続けてくれ、鳴り続けてくれ、鳴り続けてくれ」というケリーの願いに重ねて、人生よ、終わらないでくれ、つまり、「生き続けろ、生き続けろ、生き続けろ」と、死んでいくブラザーを目の前にして伝えようとしているR. Kellyの言葉なのです。

(文責:Jun Nishihara)

(今でも)R&Bの王様:R. Kelly特集

メジャーデビューをした1993年、R. Kelly(R.ケリー)はR&Bの歴史上最高のR&Bアルバムと呼ばれた『12 Play』をリリースして、華々しいR&Bアーティスト人生を送ったのだが、その名声高き人生の特に後半は様々な訴訟と投獄を繰り返すこととなる。90年代そして2000年代初期の頃はあれだけ全米TV番組や音楽業界などからどれだけ素晴らしい歌声を持ったR&Bアーティストであるかと揶揄されていたにもかかわらず、訴訟や裁判の判決などが関わってきた頃から、業界始め一般市民はR. Kellyに冷たい視線を浴びせるようになった。

見てくれ、この世の中の手のひら返し。

今般のDiddy(パフ・ダディ AKA ディディ)の訴訟にしても、ユダヤ人に対する差別的発言をした頃のYe(カニエ・ウェスト改めイェイ)に対しても、ちょっとでも間違いを犯すと、それまで彼らの熱烈なファンだと自称していた人たちもすぐさま彼らに冷たい視線を浴びせる。そして彼らの音楽から遠ざかる。

世の中ってそんなもんですよね。「うまくいっている時は好かれる。間違いを犯したらすぐ嫌われる」まさにこれがHip-Hopメンタリティの真逆に位置する精神ですよね。

Hip-Hopの根底に流れる精神として「世の中への反発心」というものがあります。心構えのモンダイです。世の中へのことばにならない怒りと憤りを、ラップのビートに載せてリリック(ラップの言葉)を発するHip-Hopの遊びです。「遊び」と言いましたがそのHip-Hopの遊びをけっしてあなどるなかれ。「あそび」は時に真剣な金儲けにつながりますから。

脱線しました。世界イチHip-Hopを「あそんで」いるYe(カニエ・ウェスト)とR&Bの王様であるR. Kellyがコラボレートして作った「世の中への反発曲」があります。曲名はまさしく「To The World(世界へ)」です。これは様々な訴訟の嵐に揉まれている最中であり誰も音楽の才能として相手にしなくなったR. Kellyを呼んでカニエがプロデュースした曲です。この危険な時代のR. Kellyをコラボレートの相手にしたのはカニエだけ。それができるのはカニエしかいない。まぁ、カニエもそのクチですからね。世の中から当時もっとも嫌われていた2人で作り上げたこの曲はHip-Hopの最高の名曲であると言わずしてなんと呼ぶ?

そして後半歌う女性はTeyana Taylor(ティアナ・テイラー)です。ティアナもね、ワルなんですよね(笑)。この2人を手なずけられる唯一の女性R&Bアーティストであると。その曲がこれです。

Kanye West, R. Kelly & Teyana Taylor – “To The World”

R. Kellyについてマスメディアが書く腐った情報を読むよりも、上記の曲を1回聴いてみ。昔、R. Kellyのファンだと自称しながら、いまは全くR. Kellyの音楽を聴かなくなったヤツに訊きたい。訴訟とかマスメディアの情報があんたに一切遮断されていたら、R. Kellyの音楽をまだ聴いていたと思うか。心の底でどう思っているのか、それともR. Kellyの音楽はもう長年、遠ざかりすぎて、もはやどうも思わなくなったのか。訊きたい。

(文責:Jun Nishihara)