カニエ・ウェスト対訳「Real Friends」ヴァース1(アルバム『The Life of Pablo』楽曲12)

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(上記写真はカニエ・ウェストが楽曲「Real Friends」をリリースした時のオリジナル・ジャケ。この曲は,人間関係の深くドロドロした暗黒の部分をエグり出すように描かれた楽曲。)

Kanye West feat. Ty Dolla $ign – “Real Friends” (Verse 1)
カニエ・ウェスト feat. タイ・ダラー・サイン「リアル・フレンズ」(ヴァース1対訳)

[Verse 1: Kanye West]
Real friends, how many of us?
How many of us, how many jealous? Real friends
It’s not many of us, we smile at each other
But how many honest? Trust issues
Switched up the number, I can’t be bothered
I cannot blame you for havin’ an angle
I ain’t got no issues, I’m just doin’ my thing
Hope you’re doin’ your thing, too
I’m a deadbeat cousin, I hate family reunions
Fuck the church up by drinkin’ at the communion
Spillin’ free wine, now my tux is ruined
In town for a day, what the fuck we doin’?
Who your real friends? We all came from the bottom
I’m always blamin’ you, but what’s sad, you not the problem
Damn I forgot to call her, shit I thought it was Thursday
Why you wait a week to call my phone in the first place?
When was the last time I remembered a birthday?
When was the last time I wasn’t in a hurry?

(ヴァース1:カニエ・ウェスト)
リアルな仲間,どれだけいる?
こん中で,嫉妬し合ってるのもいる,リアルな仲間
ほんの少しだろう,互いに笑顔は振る舞うが
「リアル」と呼べるヤツは少ない,信じれるかどうか
電話番号変更した,人との付き合いにうんざりしてた
肚黒い動機,君のせいじゃない
人のせいにしたくない,俺は俺で,いろいろやることあるからさ
あんたも自分の人生,思う存分生きればいい
俺はいわゆる親族の恥さらし,親戚との集まりが大キライだった
教会の聖餐式では,酒呑んで酔っ払ってた
タダ同然のワインをこぼして,俺のタキシードは台無し
街で過ごす一泊,何やらかしてやろうか
リアルな仲間,どこにいる? 全員俺らは,どん底から這い上がった
俺はいつもおまえのせいにしてばっか,でも悲しいかな,ホントはおまえのせいじゃない
クソッ,彼女に電話するの忘れた,まだ木曜かと思ってた
だってさ,俺に電話かけ直してくんのに,どうして1週間もかかるのさ
人の誕生日のことなんて,しばらく考えていなかったな
ここずっと俺バタバタしてて,しばらくひと息ついてなかったな

(文責及び対訳:Jun Nishihara)

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カニエ・ウェスト対訳「FML」ヴァース1(アルバム『The Life of Pablo』楽曲11)

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(本日の歌詞対訳は,カニエ・ウェストのアルバム『The Life of Pablo』楽曲11「FML」から,ヴァース1です。「FML」とは「Fuck My Life(クソ喰らえの人生)」という意味ですが,単なるそれだけではおもしろくないですので,カニエらしくヒネりを加えて,「For My Lady(俺の女へ捧げる)」という隠れた意味を含ませております。「俺のクソ喰らえの人生を,俺の女へ捧げる」というカニエらしい皮肉たっぷりのニュアンスが含まれております。ザ・ウィークエンド(The Weeknd
)をフィーチャリングしてお届けします。)

Kanye West feat. The Weeknd – “FML” Verse 1
カニエ・ウェスト feat. ザ・ウィークエンド「FML」ヴァース1対訳

[Verse 1: Kanye West]
I been waiting for a minute
For my lady
So I can’t jeopardize that for one of these hoes
I been living without limits
As far as my business
I’m the only one that’s in control
I been feeling all I’ve given
For my children
I will die for those I love
God, I’m willing
To make this my mission
Give up the women
Before I lose half of what I own
I been thinking
About my vision
Pour out my feelings
Revealing the layers to my soul
My soul
The layers to my soul
Revealing the layers to my soul

(ヴァース1:カニエ・ウェスト)
ずっと待ってた
僕にぴったりの女性
そんな彼女との関係,壊したくない,浮気なんてもうしねえ
これまでずっと,ハメ外して生きてきた
今の仕事のこと考えると
責任だらけじゃねえか
すべてを尽くす
子供たちのためならね
愛している人のため,命を賭ける
神よ,ためらうことなく
俺にその使命を下してくれ
浮気した女なんて,もう忘れていい
だって今ある家庭を失いたくない
ずっと考えてた
希望について
こうして気持ちをさらけ出し
魂(SOUL)のヴェールを脱いでゆく
魂(SOUL)
魂(SOUL)のヴェール
魂(SOUL)のヴェールを脱いでゆく

(文責及び対訳:Jun Nishihara)

エミネムのラップ術に学ぶ(その②:教材はロジックの楽曲「Homicide」)

前回は,エミネムのラップ術について,1.アクセントの場所を入れ替えるワザを取り上げました。
本日はその②として,以下のとおり説明していきます。

2.次から次へと連打のように繰り出す韻踏み

まずは以下のヴァースをご覧下さい。

Big bills like a platypus
A caterpillar’s comin’ to get the cannabis
I’m lookin’ for the smoke but you motherfuckers are scatterin’
Batterin’ everything and I’ve had it with the inadequate
Man, I can see my dick is standin’ stiff as a mannequin
And I’m bringin’ the bandana back, and the fuckin’ headband again
A handkerchief and I’m thinkin’ of bringin’ the fuckin’ fingerless gloves back
And not giving a singular fuck, like fuck rap

上記の赤文字で反転している箇所の特に下線を引いているシラブルは韻を踏んでおり,これをまるでエミネムは連打するかのように,次から次へをスピットしています。

この部分を音声で聴いてみましょう。
以下のタイムライン,2:49〜3:02の部分です。

ものの13秒で以上のヴァースをスピットするのも驚くべきことではありますが,それ以上に注目すべきは「韻踏みを1秒に1回以上繰り出しているということ」です。13秒のうちに14回韻を踏んでいますので,その計算になります。

3.息の長さ

これは言うまでもないことですが,上記のヴァースにしても,ひと息でラップをやり遂げています。最後の「fuck rap」という箇所で息継ぎをして,その後の「I sound like a fuckin’ millionaire」のくだりへと進んでいます。

息継ぎはリセットです。たとえ,へとへとになっていたとしても,エミネムはこんなことないでしょうが,ぐだぐだのラップになっていたとしても,息継ぎの箇所で一旦持ち直して,心機一転,新たな心持ちで,その後に進めていけるようになります。

息継ぎをどこでするかという大切さはあります。ラップは息継ぎの場所で決まります。むかしから思っていたのは,ジェイZ(Jay-Z)は息継ぎがとてもうまい人だな〜と思って聴いておりました。しかも息をしているということが判らないように,「息の音」をひそめている。ラッパーによっては,「スーッ」とはっきりと息継ぎをしていることが聞こえる人もいますが,ジェイZはむかしから聞こえなかった。自分でもラップしてみると必ず,「スーッ」とやってしまうのですが,慣れてくると,「息の音」をひそめて息継ぎをすることができるようになってきます。意識をするかしないか,という要素もあります。「スーッ」と聞こえるように息継ぎするのが悪いというわけでもないです。ラップは芸術ですから,どちらが正解ということはないですが,おそらく息の音を聞かせると,敵に心の内を読まれてしまうキケンがあるので,下積み時代をハスラーとして過ごしたジェイZは,人に心の内を読まれないようにするため,自然に息の音を消すことを身につけていったのかもしれません。それが彼のラップに顕在していた,と言えるかもしれません。

(文責:Jun Nishihara)

カニエ・ウェスト対訳「Feedback (ヴァース1 & ヴァース2)」(アルバム『The Life of Pablo』楽曲⑤)

Kanye West Yeezy Season 3 - Runway

GQ, Rocawear & Hennessy Black Celebrate Fall Campaign With Trey Songz & Melanie Fiona
(ジェイZがカニエのことを話す際に,よくこう言います。「(ジェイZがカニエをさして)アイツは純粋にart(芸)を求めている。カネ目当てじゃなく,子供みたいにただartをやりたいがために,あんだけアツくなれる。いまだにアイツは,テーブルの上に立って,「見てくれ俺のラップ!俺がいちばん上手いんだ!」って,子供みたいに騒いでる。あそこまで自分のartというか,子供で言えば「遊び」に,負けず嫌いで,情熱を持てるラッパーは他にいないよ」,と。ジェイZのこのカニエに対する冷静な目は,自分が兄貴のように感じていることを物語っているように思います。)

さて,本日はカニエ・ウェストのアルバム『The Life of Pablo」より,楽曲⑤「Feedback」のヴァース1及びヴァース2の対訳を掲載いたします。

[Verse 1]
Money never made me
Make me do something? Nah, can’t make me
Even if the money low, can’t pay me
Even if the money low, can’t play me

(ヴァース1)
カネのために俺は生きてんじゃない
カネのためなら何でもする? 否,とんでもない
カネが底を尽きても,俺をカネでは買えねえ
カネが底を尽きても,俺をカネでは買えねえ

[Verse 2]
Pablo bought a Rolie and a rottweiler
Seem like the more fame, I only got wilder
Hands up, we just doing what the cops taught us
Hands up, we just doing what the cops taught us
I’ve been outta my mind a long time
I’ve been outta my mind a long time
I be saying how I feel at the wrong time
Might not come when you want but I’m on time

(ヴァース2)
パブロはロレックスとロットワイラーを買い付けた
有名になればなるほど,俺の生き様も,さらにワイルドになっていく
両手をあげろ,そう警察に言われて,俺らは手を上げる
両手をあげろ,そう警察に言われて,俺らは手を上げる
ここずっと俺の脳みそイカレてた
ここずっと俺の脳みそイカレてた
とんでもないタイミングで,感じたことそのまま口にしたり
望みの時じゃないかもしれないが,いつだって俺は時間通りにやってくる

(文責及び対訳:Jun Nishihara)

Guest Versesのコーナー:カニエ・ウェスト(ゴーストフェイス・キラーの「Back Like That (Remix)」より)

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このコーナーでは,カニエ・ウェストが人の曲にヴァース(歌詞)を提供している曲を紹介します。
本日ご紹介する楽曲は,Ghostface Killah feat. Ne-Yo & Kanye West で「Back Like That (Remix)」です。

[Verse: Kanye West]
I’m high powered, put Eva Mendes to sleep
Yo pardon, that bitch been on my mind all week
But back to you, MAC gloss chick, you’re way fit
How you have everything in this world and waste it
Prince told me it’ll be okay
I’m so sick like Ne-Yo say
I’m laid back, like neo-soul
I holla back at this Creole ho
She from the N.O., but she never told me “N-O” so
We at the spot to chill, where the food get grilled
She ordered the Kobe beef like Shaquille O’Neal
Second I walked in, the whole room got still
I don’t know how to put this, but I’m kind of a big deal
And she conceited, she got a reason
She got her hair did, she got her weave in
And I’mma sweat that out by the evening
You, I don’t sweat that now, I got a new

(ヴァース:カニエ・ウェスト)
精力アゲアゲ,俺とヤり過ぎで,エヴァ・メンデスもクタクタ
失礼しやした,今週ずっとカノジョが頭から離れない
でもキミのリップグロスがタマんない,ボディラインもピチピチだし
世のどんな男でもキミなら手にできるのに,この俺を放っておくのかい
プリンスに言われた,「気にすんな」って
ニーヨが言ってた,「心の病い(ソー・シック)さ」って
いい気分でくつろいで,雰囲気はネオ・ソウル
俺が声かけたい女の子の血は,クレオール
ニューオーリンズ出身,一度も断ったことがない
お決まりのスポットで,グリルで肉焼いて,一緒にチルして
神戸牛をオーダー,まるでシャキール,コービーじゃないぜ
俺のお出まし,部屋中のみんな一瞬フリーズ
言わせてくれるか,俺ってね,ちょっぴりセレブなの
カノジョはちょっぴり自惚れてる,でもあのボディじゃ無理もない
髪型キメて,ウェーヴ風にして
でも今晩はキミと汗だくで髪はクチャクチャ
キミにはもう冷や汗かかない,みっけ,新しい女の子

カニエ・ウェストの才能は,ビートプロデュースにとどまることなく,ちゃんとライム・スキルにも生かされています。

たとえば,冒頭の4行です。このラインでは,常日頃からヒップホップと接している人にはたまらないカラクリが隠されています。もともと,これはヒップホップ史に残る最高のリリシストの1人=レイクウォンがリリースしたヒップホップの歴史的名曲「Ice Cream」の歌詞からです。同曲でfeat.されているゴーストフェイス・キラーのヴァースをもじって,カニエ・ウェストがラップしています。これはカニエからゴーストフェイスに送る,最高のリスペクトです。

おおもとの歌詞はこうでした。

原曲のヴァースです。
I’m high-powered put Adina Howard to sleep
Yo pardon, that bitch been on my mind all week
Back to you Maybeline Queen let’s make a team
You can have anything in this world except C.R.E.A.M

精力アゲアゲ,俺とヤり過ぎで,アディーナ・ハワードもクタクタ
失礼しやした,今週ずっとカノジョが頭から離れない
でもキミはコスメの女王,俺と一緒にチームを組もうぜ
世のどんなものでもあげちゃうよ,C.R.E.A.M(Cash Rules Everything Around Me)以外はね

こちらが現代によみがえる,カニエ・ウェスト版です。
I’m high powered, put Eva Mendes to sleep
Yo pardon, that bitch been on my mind all week
But back to you, MAC gloss chick, you’re way fit
How you have everything in this world and waste it

精力アゲアゲ,俺とヤり過ぎで,エヴァ・メンデスもクタクタ
失礼しやした,今週ずっとカノジョが頭から離れない
でもキミのリップグロスがタマんない,ボディラインもピチピチだし
世のどんな男でもキミなら手にできるのに,この俺を放っておくのかい

こういう風に「元ネタの曲から一部の歌詞をもじる」というのは,実際ヒップホップを常日頃から聴き込んでいる人でないと,気づかないものです。現代の曲に,さりげなく(subtle)昔の曲をほのめかしている,というのは,常に明示的(clear cut)で,なんでも堂々と(in your face)はっきり見せるアメリカでは珍しいことです。カニエ・ウェストはシカゴ市の芸術大学を卒業していますが,和にも通ずる日本的なこの「さりげなさ(subtlety)」というのを曲中にちりばめている,というのは,アメリカの芸術もだんだんと変わってきたことを示しています。いままではアメリカでは白人が大多数(majority)を占めていましたが,現在はそれが逆転し始めている州も出てきております。これまで通例と思われてきた「白人のアメリカ」というイメージや,「明示的で,大きくて,わかりやすく,堂々としたものが一番良い」と当然のように思われてきたアメリカが変わりつつあります。そうした中で,カニエ・ウェストに共感するアメリカ人が増えてきたのも確かです。トランプ大統領がここまで不人気なのもうなずけます。もしもこれが1990年代であれば,トランプ大統領の支持率もここまでは低くはなかったはずです。また,カニエ・ウェストもここまで受け入られてなかったでしょう。

ますます多様・多彩化(diversify)する現代のアメリカで,多民族・多人種が「共感しあえる同じ土壌」(empathic common ground)を見つけるというのはとても大切なことであるはずです。その「共感しあえる同じ土壌」のひとつがカニエ・ウェストの音楽であっても良いと思うのです。

(文責:Jun Nishihara)

Guest Versesのコーナー: カニエ・ウェスト(スラム・ヴィレッジ「Selfish」)

このコーナーでは,カニエ・ウェストが人の曲にヴァース(歌詞)を提供している曲を紹介します。

今回紹介する曲は2004年6月にリリースされた,スラム・ヴィレッジ(Slum Village)の「Selfish」という曲です。先日亡くなった「ソウルの女王」ことアレサ・フランクリンの「Call Me」ネタをサンプリングに使った曲です。プロデュースはカニエ・ウェスト。

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カニエ・ウェストがプロデューサーとして,アレサ・フランクリンの曲を元ネタにしているヒップホップ曲は多いですね。これこそアレサ・フランクリンに捧げる,至極のリスペクトですね。

その曲から,カニエ・ウェストのヴァース(一節)を紹介します。

Uhh, and don’t be tryna come around my girl
Acting like Mr. Friendly
And steal the spotlight like Mr. Bentley
I spotted her like Spud McKenzie
And for them fake boobies I paid them Benjies, get your own
I got Paris, he got Nicky, he tried to get em a clone
He said, “Ye you know you got extra hoes
And everything you do is extra cold”
From the Polo fleece to the Jesus piece
I got family in high places like Jesus’ niece
Can I please, say my peace?
If y’all fresh to death, then I’m deceased
And this one here is a heatrocks, spit like a beat box
The way the beat rocks, new version of Pete Rock
But for that Benz, I get CL love
So I switch my girls around like 3L-dub, I’m calling

ねぇ,オレの女に軽がる声かけんじゃねえよ
勝手にフレンドリーに接しやがって
カノジョの注目,盗もうとしやがって
カノジョみっけたのオレだよ,仔犬(オレ)の手がらだよ
シリコン入りのオッパイ,オレのお金だよ,くれてやんねえよ
オレのパリス,おまえのニッキー,クローンにはダマされねえよ
「カニエ,女ならいくらでもあんだろう
あんたは何やっても,イカしてんなあ」だってよ
ポロのフリースから,ジーザスのチェーンまで
雲の上から家族が見守ってくれてんだ,ジーザスの姪っ子みたく
おねげえだから,お祈りさせて
おまえの「それ」でフレッシュなら,オレはゲロ吐いて死んじまう
アッツアツの溶岩なみにホットな曲,ビートボックスなみにスピット
爆音でぶっ飛びビート,よみがえるピート・ロックの現代版
でもベンツと来たら,オレの気に入りはCLクラス
日によってカノジョを入れ替え,まるで3LW,電話するよ

(文責:Jun Nishihara)