ドレイクの新曲2分解説「What Did I Miss?」

アメリカでは独立記念日(2025年7月4日)の週末、ドレイク(Drake)が新曲「What Did I Miss?」をリリースしました。自身のSNSなどで近い将来リリースを予定していると発表したアルバム『The Iceman』のストリートカットされたリードシングル曲です。

さて、この曲でドレイクがラップする内容を2分で解説です。まずタイトルの「What Did I Miss?」は「俺は何か見逃してたか?」つまり「何があったんだ?(教えてくれ)」ということですね。これまで仲間だと思ってたヤツらが、いつの間にか自分の仲間ではなくなっている、何が起こったんだ?教えてくれ、っていうことですね。

【ケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)とのビーフ】

言わずもがな、ケンドリックとのビーフ(beef=ラップ対立)に起因する様々な寝返りや裏切りについて語っています。これまで仲間、しかも単なる仲間じゃなくて、近しい友達だと「ドレイクが思っていた」仲間たちが、いつの間にか自分のことを敵視するようになっていたり、人によってはケンドリック側についていたり、ドレイクとしては「え?!なんでコイツ、ケンドリック側にいるの?!何が起きたんだ?」っちゅうことになっている、ということですね。

1人目、フューチャー(Future)。2015年に二人(Drake x Future)はアルバム『What A Time To Be Alive』で全曲コラボレートしたまでの仲でした。が、記憶に新しい昨年2024年のアルバム『We Don’t Trust You』で、ザ・ウィークエンドと組んで出しましたが、その中のケンドリックとドレイクのビーフ(対立)の火種ともなった楽曲(「Like That」)でケンドリックが「Motherfuck the big three(ビッグ3なんてクソ喰らえ)」って言った曲にフューチャーがいました。ドレイクとしては「え?!フューチャー、なんで、そっちにいるの?」っていうことですよね。

2人目、リック・ロス(Rick Ross)。リック・ロスとドレイクは昔から、一緒に数々の名曲を作り上げてきた仲です。中でも名曲「Aston Martin Music」の黄金時代は、Hip-Hop界全体をDJ Khaledとともに、ドレイクとリック・ロスで牛耳っていた時代でもありました。その2人の間に今回のケンドリックとの一連のビーフを介して亀裂が走り、リック・ロスもドレイクをディスるようになった。

3人目、エイサップ・ロッキー(A$AP Rocky)。まず、ドレイクとリアーナ(Rihanna)が近しい関係があり、その後、エイサップ・ロッキーとリアーナは現在も続く家族として、子ども2人(RZA君とRiot君)を育てています。3人目の赤ん坊で今現在、リアーナは妊娠中です。それでも尚、ドレイクとエイサップは良い関係を築いてきたと思えたのですが、今回のケンドリックとのビーフ中、一度もドレイクをサポートする気配を出さなかった。自分は全く関係ないともインタビューで発言したりというようなこともあった。

4人目、ザ・ウィークエンド(The Weeknd)。いやぁ、これは長い長い歴史なので、割愛しますが、一つ言えることはThe Weekndはドレイク(Drake)が立ち上げたレーベルに所属しており、ドレイクのお蔭で有名になるキッカケを得た、と言っても過言ではないアーティストであり、もう少しドレイクに感謝してもよいのではないか、と考えるアーティストですが、冒頭に申し上げたように、アルバム『We Don’t Trust You』でフューチャーとコラボレートしたように、ケンドリック側に回っていた、っていうことですね。

そして5人目、これが一番ショックだったのかもしれないですが、ケンドリックのThe Pop-Outコンサートで、ドレイクへのディスり曲にあわせて踊っていた(ドレイクが親友だと思っていた)レブロン・ジェイムス(LeBron James)です。

歌詞(リリック)の部分解説です。30秒で。

I saw bro went to Pop Out with them / But been dick ridin’ gang since “Headlines”

ブロウ(レブロン・ジェイムス)がPop Outコンサートで踊ってるのを見た/「ヘッドライン」の曲の時代からずっと俺らに媚びてたんじゃなかったのか

What did I miss? / When I was looking at yall and cooking with yall / And giving out verses and bookings to yall? / Making sure wires were hit man, what did I miss?

何が起こったんだ?おまえらの面倒見て、コラボ曲を共にやって、ヴァースも提供してやった。ライヴも盛り上げてやった。あんたの曲がヒットするように、念入りに曲作りに貢献していたと俺は思ってた。何があったんだ?

下記にミュージックビデオを掲載しておきます。ドレイク(Drake)の新曲。”かつての”仲間だと思ってたヤツらへの「俺ら、仲間だったんじゃねえのか」的な静かなディスり曲です。

Drake – “What Did I Miss?”

上記↑は当該シングルカット曲「What Did I Miss?」のアートワークです。

(文責:Jun Nishihara)

今週末のHIP-HOP楽曲2曲:Future x Lil Uzi Vert – “Patek” & “Over Your Head”

Future x Lil Uzi Vert – “Patek”

You know we stay vibed out and that is a fact
None of these girls got strings attached
I’ma get my blue cheese and I be dressing
I gotta teach these bitches a lesson
She fell in love, she saw a million racks
I made it out, I ain’t going back (Oh, yeah)

どこまでもヴァイブス,アゲてくぜ,それ事実
ここの女の子たちとは,肉体だけのカンケー
カネ,ドッサリ,ファッション,キメて
コイツら輩どもに一発見せたるよ
俺に惚れた女,100万ドルの札束に魅せられた
俺は成り上がり,もう戻れねぇ(オゥ,イヤー)

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Future x Lil Uzi Vert – “Over Your Head”

Everything I said went right over your head
Your head, went right over your head
She keep tryna text me, leave her messages on read
On read, leave ’em on read
Fuck it off and end up with your best friend instead
Instead, your best friend instead
I just spent three million dollars, they fell in her bed
In her bed, they fell in her bed

俺が言ったこと,君には聞こえていない
君には,聞こえていない
彼女からのショートメッセージ,既読にしたまま
既読に,既読にしたまま
台無しにして,彼女の親友の女の子とくっついちまった
彼女の親友の女の子とくっついちまった
彼女に300万ドル費やして,ベッドに行き着いた
彼女のベッドに,行き着いた

(キュレーティング及び対訳:Jun Nishihara)

第17位に輝いた「Travis Scott feat. Drake – “SICKO MODE”」対訳(3段階構成のうち,第3構成)

前回の続きです。
この曲は,現代ヒップホップにはめずらしい曲の構成をしておりますが,ここへ来て,少しずつ,他アーティストも真似するようになってきました。先日リリースされたフューチャー(Future)のニューアルバム『Future Hndrxx Presents: The WIZRD』収録の楽曲「F&N」は曲の途中でビートがいきなりスウィッチするスタイルを取っています。それに合わせてラップのスピードも変化させます。しかしこの曲の場合は,1ラインの韻の取り方を短くして,あたかもラップのスピードを変化したような錯覚を持たせるようなスタイルにしております。1ラインの韻が短くなれば,ラップのテンポが次から次へと矢継ぎ早にポンッポンッポンッと早くなるので,「ラップが早くなった!」と錯覚するということです。ちなみにこの「F&N」は2段階構成となっております。

さて,「SICKO MODE」に話を戻します。
この曲は「息継ぎが出来る」ラップをしております。どういう意味かと言いますと,以前もここに書きましたが,以下のとおりです。

ラップの調子(フロー)にちゃんと息継ぎがある。これはどういうことかと言うと,言葉を羅列するだけの,ぎちぎちのラップになっていない,ということです。ちゃんとスペースもあり,空白もあり,息継ぎもあるフローをしています。古さを感じさせない(実際に古くない),新鮮で,若者にもウケる,ということです。しかも,真似してラップすることもできる。メロディーに乗っている。たとえば・・・

It’s absolute, yeah (Yeah), I’m back, reboot (It’s lit!)
LaFerrari to Jamba Juice, yeah (Skrrt, skrrt)
We back on the road, they jumpin’ off, no parachute, yeah
Shawty in the back
She said she workin’ on her glutes, yeah (Oh my God)

このスタンザ(=段落)を歌う(ラップする)ときに・・・

It’s absolute
(息継ぎ)
I’m back, reboot
(息継ぎ)
LaFerrari
(息継ぎ)
to Jamba Juice
(息継ぎ)
We back on the road, they jumpin’ off, no parachute
(息継ぎ)
Shawty in the back
She said she workin’ on her glutes
(息継ぎ)

と歌える,ということです。
これはヒップホップビートを逸れない韻律(cadence)であります。

さて,いよいよ「SICKO MODE」の第3構成の対訳を以下に掲載いたします。

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[Part III]

[Intro: Travis Scott, Drake & Lil Juice]
Yeah!
Astro, yeah, yeah
Tay Keith, fuck these niggas up!
Ayy, ayy

[Chorus: Drake & Travis Scott]
She’s in love with who I am
Back in high school, I used to bus it to the dance (Yeah)
Now I hit the FBO with duffels in my hands
I did half a Xan, 13 hours ’til I land
Had me out like a light, ayy, yeah
Like a light, ayy, yeah

[Verse 3: Drake & Travis Scott]
Like a light, ayy, slept through the flight, ayy
Knocked for the night, ayy
767, man, this shit got double bedroom, man
I still got scores to settle, man
I crept down the block (Down the block)
Made a right (Yeah, right)
Cut the lights (Yeah, what?), paid the price (Yeah)
Niggas think it’s sweet (Nah, never), it’s on sight (Yeah, what?)
Nothin’ nice (Yeah), baguettes in my ice (Aw, man)
Jesus Christ (Yeah), checks over stripes (Yeah)
That’s what I like (Yeah), that’s what we like (Yeah)
Lost my respect, you not a threat
When I shoot my shot, that shit wetty like I’m Sheck (Bitch!)
See the shots that I took (Ayy), wet like I’m Book (Ayy)
Wet like I’m Lizzie
I be spinnin’ Valley, circle blocks ’til I’m dizzy (Yeah, what?)
Like where is he? (Yeah, what?)
No one seen him (Yeah, yeah)
I’m tryna clean ’em (Yeah)

(イントロ:トラヴィス・スコット,ドレイク&リル・ジュース)
イヤー!
アストロ,イヤー,イヤー
テイ・キース,コイツらヤっちまえ!
エィ,エィ

(サビ:ドレイク&トラヴィス・スコット)
彼女は俺に,恋してんのさ
高校時代,ダンス会場まで行くのにバスってた(イヤー)
今となっちゃ,両手にダッフルバッグ,自家用ジェットでぶっ飛ばす
睡眠薬半分に割って,着陸まで13時間
ころっと熟睡,エィ,イヤー
ころっと一瞬,エィ,イヤー

(ヴァース3:ドレイク&トラヴィス・スコット)
ころっと一瞬,エィ,機内ぐーすか熟睡,エィ
気絶したように一晩中,エィ
ボーイング767,ダブルベッド装備してんぜ,メーン
まだ決着つかない戦いがあるメーン
ブロックをこっそり下り(こっそり下り)
右に曲がって(そうさ,右に)
ライト消して(それで次)犠牲を払った(そう)
連中,甘く(スイート)見てんぜ(甘くねえぜ)狙いさだめて(それで次)
「いいヤツ」はやめ(イヤー),ギンギラのダイヤ(オー,メーン)
ジーザス・クライスト(イヤー),ストライプ(アディダス)よりチェック(ナイキ)
それが俺の好み(イヤー),俺らの好み(イヤー)
リスペクト失った,もはやおまえは脅威でもなんでもない
一発撃てば,シェック・ウェスのようにキメてやる(ビッチ!)
俺のショット(エィ)ブック(デヴィン・ブッカー)のように決まってる(エィ)
リジー(エリザベス・キャンベージ)のようにイカシてる
ヴァリーをぐるっと一周,ブロックじゅう車で走らせ目はクラクラ(クラクラ)
そういや,ヤツどこにいる?(どこにいる)
どこにも見当たらねえ(見当たらねえ)
後始末,痕跡残すな(残すな)

[Chorus: Drake & Travis Scott]
She’s in love with who I am
Back in high school, I used to bus it to the dance
Now I hit the FBO with duffels in my hands (Woo!)
I did half a Xan, 13 hours ’til I land
Had me out like a light (Like a light)
Like a light (Like a light)
Like a light (Like a light)
Like a light

[Verse 4: Travis Scott]
Yeah, passed the dawgs a celly
Sendin’ texts, ain’t sendin’ kites, yeah
He said, “Keep that on lock”
I say, “You know this shit, it’s stife,” yeah
It’s absolute, yeah (Yeah), I’m back, reboot (It’s lit!)
LaFerrari to Jamba Juice, yeah (Skrrt, skrrt)
We back on the road, they jumpin’ off, no parachute, yeah
Shawty in the back
She said she workin’ on her glutes, yeah (Oh my God)
Ain’t by the book, yeah, this how it look, yeah
‘Bout a check, yeah (Check), just check the foots, yeah
Pass this to my daughter, I’ma show her what it took (Yeah)
Baby mama cover Forbes, got these other bitches shook
Yeah

(サビ:ドレイク&トラヴィス・スコット)
彼女は俺に,恋してんのさ
高校時代,ダンス会場まで行くのにバスってた(イヤー)
今となっちゃ,両手にダッフルバッグ,自家用ジェットでぶっ飛ばす
睡眠薬半分に割って,着陸まで13時間
ころっと熟睡,エィ,イヤー
ころっと一瞬,エィ,イヤー

(ヴァース4:トラヴィス・スコット)
そや,ムショにいるダチにケータイ電話届けてやった
これで手紙書かんでも,SMSで連絡できる
ヤツはこう言ってた,「あとはまかせた」
俺は答えた,「あたりめーよ,おまえの分もまかせとけ」と
当然だぜ(ヤー)一旦戻って,また出発(ヤー)
ラフェラーリからジャンバ・ジュースまで(スカー,スカー)
全国ツアーに出発,群衆はパラシュート無しで一気に飛び込み,ヤー
後部座席に俺の女
おしりの筋肉鍛えてんだってさ(オーマイガーッ)
常識ハズレ,それがオレ,ヤー
夢中で金儲け,そや(見てみな),オレの足元チェックしな,ヤー
財産は娘に継いで,これまで垂らしてきた血と汗見せて(ヤー)
娘のママはフォーブス誌の表紙を飾り,そこら中の女が身震いしてる
ヤー

(文責:Jun Nishihara)

第23位「Jay Rockの”Wow (Freestyle)”というフリースタイル・ラップ曲。フィーチャリングはケンドリック」。(今年2018年に出た最も偉大なるヒップホップ曲ランキング)

2018年総まとめヒップホップ曲ランキング《トップ30》です。

本日は第23位の発表です。

第23位:ケンドリック・ラマーをfeat.したジェイ・ロックのシングル曲「Wow (Freestyle)」です。

このジェイ・ロック(Jay Rock)というアーティストは新人のように思えますが,実は,キャリアはケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)よりもだいぶ長いのです。

今年イチの話題を博し,今年最も売れた映画『ブラック・パンサー』のサントラ曲として有名になった,ケンドリック・ラマーfeat.ジェイ・ロックの「King’s Dead」(ミュージックビデオは以下のとおり)でも分かるように,ジェイ・ロックというラッパーは「まさにケンドリック・ラマー軍団のメンバーとしてキャリアを始めた」という風に“あたかも”勘違いしてしまいそうですが,ジェイ・ロックのほうが昔からラッパーとして別の場所で活躍してきているのです。

横道にすこし逸れますが,今年封切りされた映画『ブラック・パンサー』は世界歴代興行収入で第9位を記録した映画です。ちなみに第1位は『アバター』,第2位は『タイタニック』です。それに並んで第9位を記録した映画のサントラとして使われた曲ですから,けっこう今年,ジェイ・ロックの名前は売れました。

ということで,今年の映画界にも関係してくる話ですが,第23位として,ジェイ・ロックの曲を選びました。

おまけ:ケンドリック・ラマーfeat.ジェイ・ロック&フューチャーのシングル曲「King’s Dead」(映画『ブラック・パンサー』のサウンドトラックより。)

(文責:Jun Nishihara)