第1位「ヴァースのトリはJAY-Z,ビートはThe Notorious B.I.G.,ラップはMeek Mill。その曲名は“What’s Free”。」(今年2018年に出た最も偉大なるヒップホップ曲ランキング)

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(写真左端=ミーク・ミル(Meek Mill),真ん中右寄り=ジェイZ(JAY-Z),右端=DJクルー(DJ Clue))

12月1日から毎日1曲ずつアップしてきた今年2018年に出た最も偉大なるヒップホップ曲ランキングの第1位を飾るのは・・・

Meek Mill feat. Rick Ross & JAY-Z – “What’s Free” です。

今年は1月のグラミー賞でケンドリックが素晴らしいのを見せてくれて,11月30日にヒップホップのど真ん中を行くミーク・ミルのアルバムがリリースされました。その間には途中,ドレイクやカニエ・ウェストやキッズ・シー・ゴーストやチャイルディッシュ・ガンビーノやエミネムやルーペ・フィアスコ,トラヴィス・スコットやコダック・ブラック,ミーゴスやテカシ69などなどあり,今年は見事なヒップホップに満ちた素晴らしい年でした。R&B界ではエラ・メイ(Ella Mai)のシングル曲「Boo’d Up」やカリード(Khalid)feat.ノーマニ(Normani)のシングル曲「Love Lies」,ジョージャ・スミス(Jorja Smith)の「Blue Lights」,そしてフランク・オーシャン(Frank Ocean)の「Moon River」などがあり,R&BアルバムではビヨンセxジェイZの『EVERYTHING IS LOVE』が出ました。R&Bの曲は今回,このヒップホップランキングでは取り上げておりませんが,R&B界もR&B界で,素晴らしい年でした。

さて,今年第1位を飾った「What’s Free」に話を戻します。

今年はミーク・ミル(Meek Mill)にとって人生が大きく変わる年でした。まず2018年4月24日にようやく刑務所から釈放されました。そこに行くまで,いろいろなことがありました。ミーク・ミルが囚われている(locked up)ムショの前や,故郷のフィラデルフィア(Philadelphia)の裁判所(Criminal Justice Court)の前で,ミーク・ミルをサポートする黒人群衆が集まり「Dreams and Nightmares Intro」を大合唱している映像も流れました。その映像がこれです。

#FreeMeekMillというハッシュタグで,ミーク・ミルの釈放を人々は求めました。その人々にミーク・ミルも御礼しなきゃいけませんね。これだけサポートしてくれた群衆に。

そしてもうひとつ。ドレイク(Drake)とのビーフ(=対立,喧嘩)を今年,全て終わらせました。ミーク・ミルがつい先日12月4日(ジェイZの誕生日)にNYの最大のヒップホップラジオ曲(HOT97)のDJ Funkmaster Flexの番組「Funk Flex Radio」に出演し,ドレイクに「I apologize(ここで謝るよ)」と和解を求めました。これを「ミーク・ミルとドレイクの和解の日」と名付けます(勝手に)。その映像がこれです。(以下映像の3:45からは,ミーク・ミルのフリースタイルが始まります。)

そしてドレイクも,自身のライヴツアーのステージにミーク・ミルを迎えるというファンにとっては最高に嬉しい瞬間を実現してくれました。その映像がこれです。(ミーク・ミルのヴァースをドレイクがマイク無しで口ずさんでいる映像が感慨深いですね。しかし,ドレイクのステージなのに,冒頭でミーク・ミルの曲が聞こえてきたとき,聴衆は戸惑ったでしょうねえ。「あれ?!どうゆーこと?この2人ビーフ中じゃなかったっけ?!」って。)

ライヴツアーといえば,ミーク・ミルは「あのヒップホップの伝説野郎=DMX!」をステージに呼んだこともありました。これです。

DMXの存在はヒップホップにとって,歴史的にかなりたいせつな人物です。彼の音楽は決して死なせないようにしないといけません。

そして最後に,#FreeMeekMillで暴れてくれた野郎たちへ,このビデオを捧げることとして,今年のカウントダウンの幕を閉じます。

皆さま,ここまでお付き合い頂き,ありがとうございました。

Meek Mill – “Dreams & Nightmares (Intro)”

(文責&曲選び:Jun Nishihara)

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第2位「今年のグラミー賞で,現代アメリカへの怒りと憤りをヒップホップという音楽に昇華させたケンドリック・ラマーのパフォーマンス!」(今年2018年に出た最も偉大なるヒップホップ曲ランキング)

今年2018年1月28日,ニューヨークのマディソン・スクウェア・ガーデン(Madison Square Garden)で,「第60回グラミー賞」(60th Annual Grammy Awards)が開催されました。そのステージで見せてくれたケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)のパフォーマンスが素晴らしかった。まずはそれをご覧あれ。

Kendrick Lamar – 60th Grammy’s Performance 2018 from Pablo Andres Vizcarra Montaño on Vimeo.

これは現代のアメリカ国への怒りと憤りに満ちた映像です。パフォーマンスの途中,バックのスクリーンに大きく「THIS IS A SATIRE by KENDRICK LAMAR(これはケンドリック・ラマーによる諷刺だ)」と映し出されます。現代アメリカへの怒りと憤りをヒップホップに昇華させたパフォーマンスでした。これをヒップホップと呼ばず,他に何をヒップホップと呼べるか。

さて,途中デイヴ・シャペル(Dave Chappelle)の一言が混じります。もちろんこれも意図的なものです。デイヴ・シャペルが言うとおり,「こんなものを国営放送で流しいいのか?!」ということですが,それをOKしたCBS局にも感謝です。もしCBSがこれをOKしていなければ,こんなに素晴らしいパフォーマンスは今頃は日の目を見ていなかったでしょう。

これこそ今年のヒップホップ,第2位に相応しいパフォーマンスでした。

(文責:Jun Nishihara)

第3位「ティアナ・テイラーの“Gonna Love Me”のリミックスが大人と若者のヒップホップを融合させた!」(今年2018年に出た最も偉大なるヒップホップ曲ランキング)

いよいよ今年トップ3になりました。

ヒップホップは「若者のモノ」という概念が常に付きまといましたが,そんな考えは今年,ティアナ・テイラー(Teyana Taylor)がぶち破ってくれました。オトナも若者もカンケーなく,ヒップホップそのものを歌って踊れる曲をリリースしてくれました。

それが「Gonna Love Me」のリミックスです。

ミュージックビデオを観ていただくと分かりますが,これはもう,ほんとうに,90’s(90年代)へのオマージュです。80年代に生まれた世代で,90年代にヒップホップを聴いて育った方々へ,28歳になったばかりの若いティアナ・テイラーが作った素晴らしい楽曲です。

もともとはティアナ・テイラーがソロで歌う(フィーチャリング無しの)曲でしたが,ここへラップをのっけて作ったのがリミックスです。リミックスには,ゴーストフェイス・キラ(Ghostface Killah),メソッド・マン(Method Man),そしてレイクウォン(Raekwon)という全員NYのスタテン・アイランド(Staten Island)出身のウータンクラン(Wu-Tang Clan)メンバーを迎えています。ラップはスタテン出身のウータン,歌うのはハーレム出身のティアナ・テイラーという(もうR&Bにとどまらない)ヒップホップ曲です。

ミュージックビデオの冒頭スキットで,ハーレム出身のティアナ・テイラーとスタテン出身のゴーストフェイスが恋人同士という設定で,ゴーストフェイスの浮気が見つかり,たがいに喧嘩するという設定は,なんか嬉しいですね。ハーレムとスタテンが恋人なんだけど,たまにするハーレムとスタテンの喧嘩みたいで。ハーレム出身のディディ(別名パフ・ダディ,別名Pディディ,別名パフィー,別名パフ)と,スタテン出身のウータンが喧嘩するみたいで。ヒップホップファンにとっては,こういうコラボレーションは嬉しくなりますし,なによりも,90年代へのオマージュというこの曲の重要な点は見逃すことはできません。90’s Hip-Hop(90年代ヒップホップ)を彷彿とさせるこの曲を,今年2018年No.3に選びました。

補足1:上記ミュージックビデオの1:53〜2:02までのティアナのダンスは,ディディ・ボップ(Diddy Bop)という90年代にパフ・ダディとMa$eが流行らせたダンスです。もうこれはまさに90年代ヒップホップへのオマージュ以外の何者でもないですね。

補足2:こういうのを若者英語で#90svibes(ハッシュタグ#90’sヴァイブス)と言います。

補足3:ティアナ・テイラーよ,こういう素晴らしき曲&ミュージックビデオを作ってくれて,ありがとう。

補足4:冒頭のスキットでゴーストフェイスが激おこのティアナに向かって,”You smell the Jackson?”と言って,ティアナが”You think it’s funny?”と言っています。これは本当はめちゃめちゃおもしろいジョークなのですが,なにせティアナがマジでキレている状況下ですので,ゴーストフェイスはおもいきり笑えず,クスッと吹き出すだけで,ティアナは全く笑ってませんね。
 アウトキャスト(Outkast)の曲で「Ms. Jackson」という曲があります。黒人の男が黒人のガールフレンドのお母さんに向かって「ジャクソンさん,すいません!あなたの娘さんに浮気してしまいました!」って本気で謝罪しているのか,ふざけているのか,もうわからないラップ曲なのですが,ここのジョークはそれの言及ですね。”You smell the Jackson?”「なんかジャクソンさんっぽく臭うぞ」って本気で申し訳ないと思っているのか,ふざけているのか,ゴーストフェイスもこんな真面目なシチュエーションで,おもしろいこと言うので,自分自身でクスッと吹き出してしまっています。だからティアナも”You think it’s funny?”「ふざけてんの?」って返しています。こういうディテール(細部)が意外にこのビデオ,おもしろかったりします。

(文責:Jun Nishihara)

第4位「ナズ(Nas)とカニエとザ・ドリームの“Everything”という曲は今年イチの感動ヒップホップであった。」(今年2018年に出た最も偉大なるヒップホップランキング)

今年No.4の曲はナズ(Nas)とカニエ・ウェストとザ・ドリームの「Everything」です。

音楽に精通している方が以前こう言っておりました。「ヘビメタバンドが作るバラードほど素晴らしいものはない」と。つまり,ヘビメタバンドという普段は激しいヘビーメタル(めちゃめちゃ激しいロック音楽)を作っているバンドが,バラード曲を作るとそれはもう格別(最高)であると。

そしてその文脈で語られるのが,本日第4位にランクインしたこの曲です。

ヒップホップのど真ん中を行く(ヒップホップ界で最も偉大なるアーティストの1人である)ナズ(Nas)をMCとして,ビートメイカーとボーカルはザ・ドリーム(The-Dream),そしてプロデュースはカニエ・ウェストという素晴らしいタッグで制作された楽曲です。

この壮大なる素晴らしい楽曲をまずは聴いてみて下さい。ヒップホップにはめずらしい,7分32秒の大作です。

(文責:Jun Nishihara)

第5位「今年イチの同窓会。Dipset!の再結成!」(今年2018年に出た最も偉大なるヒップホップ曲ランキング)

このカウントダウンも,いよいよトップ5に入ってきました。

ヒップホップそのものを愛するヒップホップヘッズの諸君たちへ。

今年イチの再結成といえばもう,ディップセット(Dipset!)の再結成でしょう。14年ぶりにNYはハーレム出身のヒップホップ最強グループ=The Diplomats(別名:Dipset(ディップセット))が再結成されました。これほどヒップホップファンにとってエキサイティングなニュースは,今年,なかったでしょう。

昨日第6位に出たドレイクですら,Dipset好きで有名です。

その彼らがDipset Reunion(ディップセットの再結成)を記念して作った楽曲「Once Upon A Time」のミュージックビデオを観てみましょう。

むかしからDipsetを聴いてきた人たちにとっては,「なつかしさ」で涙がこぼれるほど感動的なことでしょう。こういったヒップホップを次の世代にも受け継いでいかなきゃいけない,それが自分たちの使命であると,そう思います。

そしてDipsetを今回初めて聴いたというワカモノたちよ,2003年にリリースされた以下の曲を聴いてどう思うか君たちに聴いてみたい。ミュージックビデオの途中で曲調が変わるところとか,最近じゃケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)がやってますけれど,それは15年前にDipsetがすでにやっていました。

こういうのを見て「すげえことするヤツらだな」とか思ったり,彼らのド派手なヒップホップスタイルを見て自分らも真似したり,Dipsetは音楽だけでなく「スタイル全般」としてヒップホップを確立した,物凄く影響力のあるグループでした。その彼らが14年ぶりに再結成したなんて,まさに僕らが待ち望んでいたことですよ。

(文責:Jun Nishihara)

第6位「ドレイクの“キキ!Do you love me??!!”で今年イチ!流行った曲」(今年2018年に出た最も偉大なるヒップホップ曲ランキング)

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遂にドレイク(Drake)のこの曲「キキ!Do you love me?!?!」の番が回ってきました。第6位です。

最近は,「曲が流行ったかどうか」のモノサシとして,どれだけSNSで話題になったか,トレンドになったか,ハッシュタグがついたかで測られます。以前はCDの売り上げや,TVやラジオ,そしてビルボードチャートのランキングやらで,今どういった曲が流行っているかが測定されていましたが,この頃はそれがSNS上で垣間見れます。

この「キキ!Do you love me?!?!」(*正しくは「In My Feelings」という曲名)は,アメリカ全米だけでなく,アジア,中東,ラテンアメリカ,そしてアフリカ含む世界中の若者がSNSでこのセリフをマネて歌い,踊り,アップしました。

こうしてドレイクは,カナダやアメリカを飛び出し,世界へと羽ばたいていきました。

それでは第6位の当曲「In My Feelings」について,「人」という面から重要な点を簡潔に述べておきます。

Shiggy Challenge(シギーチャレンジ)という現象がSNS上(ツイッターやインスタグラム)で巻き起こりました。

シギーというのは,25歳の黒人コメディアンで,この曲のおかげで一躍有名人になりました。ドレイクのアルバム『Scorpion』が発売されて,当時(2018年6月30日時点)ではまだシングル曲にもなっていなかったのにもかかわらず,彼(シギー)はこの曲をおもしろいと思い,自分がこの曲のビートに合わせて踊っている(ダンスしている)動画を自身のインスタグラムにアップしました。またたく間にその動画はネット上を席巻し,あらゆる場所でリツイートなりリアップなりされて,世界中がその動画を見,世界中の若者にとどまらず,老若男女がそのダンスを真似して,アップするという連鎖反応が起こりました。

まさにドレイクのこの曲と自身のダンス動画のアップによって,シギーの人生は,一変しました。世界中に彼の名が知られることになりました。

その動画がこれです。これがきっかけで,ウィル・スミスも,シアラも,ベッカムも,それを真似して曲に合わせて踊るダンスを自身のインスタグラムにアップしました。

まずはウィル・スミスの動画から。

次にシアラの動画です。

そして,ついに,シギー自身の動画です。これが全ての始まりです。

そしてこの「In My Feelings」における2つ目の重要な点は,黒人ギャルのラップユニット=City Girlsをフィーチャリングしているという事実です。

彼女たち(City Girlsの2人)も前出のシギーのように,この曲「In My Feelings」によって一躍有名人になりました。今までCity Girlsなんていう黒人ギャルのラップユニットなんて聞いたことがなかったという人にも,今ではアメリカではお茶の間に知れ渡る名前となりました。

City Girlsのラップには「ナマリ」があります。アメリカ南部の田舎訛り&黒人英語の発音(南部訛りに加えて黒人英語Ebonicsというキツいアクセント)です。それがまた良い味を出しています。ドレイクのような「ど真ん中」を行くアーティストに,彼女たちのドギツイ抑揚が曲中に入っているというのが,素晴らしい味をぷんぷん臭いくらいに匂わせています。かつて伝説のヒップホップデュオであるアウトキャスト(Outkast)が「Stankonia(ぷんぷん匂う音楽)」と称した南部の黒人ヒップホップですが,これもまた,南部の黒人の臭さがいい具合で匂ってくるくっさい英語です。

今年の流行語ならぬ流行名は「キキ(Kiki!)」と言っていいほど,この曲は今年めちゃめちゃ売れました。

Aliya Janellヴァージョンも載せておきます。

そして最後に,今年最大のヒット曲であるドレイク「In My Feelings」の本物のミュージックビデオがこちらです。

なにがすごいって,本物のドレイクのビデオ中にシギー(シロウト)が創出したダンスが起用されていることですね。ほんとは逆ですけれど,この場合は今までの「逆」なんです。そこまで今年,シギーのダンスは影響力がありました。

(文責:Jun Nishihara)

第8位「本物のヒップホップファンであるのなら,ニプシー・ハッスルのアルバム『Victory Lap』を通しで聴くべし」(今年2018年に出た最も偉大なるヒップホップ曲ランキング)

遂に2018年のヒップホップ界に相応しいアルバムがリリースされました。ニプシー・ハッスル(Nipsey Hussle)の『Victory Lap』です。

これはポップのリストでも,ロックのリストでもありませんから,ヒップホップの曲を載せています。アメリカ中のヒップホップ・ヘッズがアツく湧き上がったのが今年リリースされたニプシーの新作アルバム『Victory Lap』でした。今年イチのアルバムは,本物のヒップホップ・ヘッズにとっては,カニエのアルバムでも,ドレイクのアルバムでも,ニッキー・ミナージュのアルバムでもなく,このニプシー・ハッスルのアルバム『Victory Lap』でした。

5年前にニプシーが1枚100ドルの値をつけて限定1000枚で,『Crenshaw』というアルバムをリリースした際,限定1000枚のうち100枚を,ジェイZが1万ドル(約100万円)を出して買った,といったニュースがあったのを覚えているファンも少なくないと思います。その時ニプシーはMTVインタヴューでこう言っておりました。「ジェイZが俺のためにリスクを取ってくれた。でもその“上手いリスクの取り方”のおかげで,全てコトがうまく進むようになった。」

ラッパーには2種類のラッパーがいると云います。

ラップ・ファンに人気のラッパーと,
ラッパーが好むラッパー,の2種類です。

「ラップ・ファンに人気のラッパー」とは,つまりラップばかり聴いているラップのファン(これは一般市民であったり,ラップの音楽を好きな一般大衆であったりする一般のファン)のあいだで人気のラッパー。

もうひとつは「ラッパーが好むラッパー」,つまり,ラップ業を職業として金儲けをしているプロのラッパーが好むラッパーのことです。

そしてニプシー・ハッスルの場合は後者でしょう。

ヒップホップ界からのリスペクトを着々と確立されたものにしていっているニプシー・ハッスルの今後の動きに注目です。

ということで第8位は,ニプシー・ハッスルのアルバム『Victory Lap』です。

ここではボーナストラックに指定されている「Double Up」のミュージックビデオを記載しておきます。

おまけとして,ニプシー・ハッスルの曲からもう1曲。
「Hussle & Motivate」という曲です。

これは,ミュージカル『アニー』の主題歌である「It’s A Hard Knock Life」をサンプリングしたジェイZの「Hard Knock Life」のビートを下敷きにしています。

ニプシーは言います。
“Hustle the HOVA way.”(ホヴァ(=ジェイZ)のようにハッスルしろ。)

次回に続きます。

(文責:Jun Nishihara)

第9位「ドレイクの“God’s Plan”という100万ドル(=約1億円)の予算をかけて製作したミュージックビデオ」(今年2018年に出た最も偉大なるヒップホップ曲ランキング)

今年も残すところあと10日を切りました。

2018年総まとめヒップホップ曲ランキング《トップ30》です。
本日はいよいよ第9位の発表です。
トップ30からカウントダウンしてきたこのランキングですが,いよいよ昨日第10位を発表し,カウントダウンもあと少し,となってきました。

第9位:ドレイク(Drake)のシングル曲「God’s Plan」のミュージックビデオ。

上記ビデオを撮影するのにかけた予算はなんと,米貨$996,631.90ドル。ほぼ100万ドル(日本円で約1億円)です。ミュージックビデオ1つで,土地と家が1つずつ買えてしまう,という驚愕のビデオです。

このDrakeの曲は,今年の夏は「俺のもんだ」と予言するかのように「ひとまずの導火線」として発火した1曲でした。この「God’s Plan」のヒットを筆頭に,まさに「神が仕掛けた企て」のごとく,これに続くドレイクの曲は,次から次へとヒットの連続でした。この曲は1月19日にリリースされましたが,まさに今年1月から,アルバム『Scorpion』がリリースされた今年の夏を経て,そして,同アルバムからシングルカットされた曲の連続ヒットまで,今年のドレイクの勢いは12月になった今でも止まりません。「今年はドレイクのもんだ」というのはドレイクの予言ではなく,まさに神の予言のように,的中しました。

この曲の歌詞の中で特筆すべきは,ドレイクの謙虚さです。この曲でドレイクは繰り返し,次のセリフを曲の要所要所でリピートしています。

I can’t do this on my own.
(じぶん一人じゃ,できないことなのさ。)

それではこのミュージックビデオ中の3:14~3:20部分の生徒たちみんなで大合唱する歌詞部分を,これを読んでくださっている皆さんも一緒に合唱できるよう,歌詞と歌詞の意味内容をここで確認しておきましょう。

She said, “Do you love me?”
I tell her, “Only partly”
I only love my bed and my mama, I’m sorry

カノジョに聞かれた「あたしのこと愛してる?」って
俺は答えた「ちょっとだけな」
「ほんとに愛してるのは,おふくろと自分のベッドだけなんだ,ごめんな」

さて,もう一度上記ミュージックビデオを3:14の部分に合わせて,皆さんも一緒に大合唱に加わってみましょう。

せーの!

(文責:Jun Nishihara)

第11位「キッズ・シー・ゴーストの”Reborn”あるいはカニエ・ウェストの”Ghost Town”」(今年2018年に出た最も偉大なるヒップホップ曲ランキング)

どちらも幽霊に関するお話です。

この2曲は今年の夏真っ盛り6月〜7月にかけてリリースされた曲ですが,まさに真夏に涼しい気分にしてくれる「夏の風物詩」である「幽霊」をモチーフにした2曲でした。

曲の内容や対訳については,こちらを確認していただくこととして,ここではほんの少しだけ,この2人(カニエ・ウェストとキッド・カディ)の存在について話します。

ギャングスタ・ラップとかハスラー・ラップとかコンシャス・ラップとか,ラップの中でもいろいろなサブ・ジャンルが存在する中で,「今まで誰もやらなかったこと」をやってきた2人が,カニエ・ウェストとキッド・カディでした。その「今まで誰もやらなかったこと」とは何か,と言えば,大きく分けて3つあります。

1.弱者もしくは「一番ヒップホップから程遠いもの」の味方をしている。
2.カニエにしてもカディにしても,じぶんが「変人」と思われることを厭わない。
3.常にヒップホップの「外」にいる存在として,常にヒップホップに「新しい風」を入れ,マンネリ化しそうな局面にあったヒップホップを換気し,救い出し,空気を入れ換えてくれていた。

今年2018年はややもすると「ドレイクの年」と言われかけそうになっていたところを,カニエ・ウェストやキッド・カディが出てきて,新しい「ちょっと変わった」風を入れてくれました。ドレイクとトラヴィス・スコットの「SICKO MODE」の曲がラジオで一日中流れている中,キッズ・シー・ゴーストやカニエの曲が聞こえてくると,やはり新鮮さを感じさせます。

「ヒップホップの換気扇」として外の空気と入れ替えてくれていたカニエとカディのミュージックビデオを以下に載せておきます。

第11位:Kids See Ghosts – “Reborn”

そしてもうひとつ第11位:Kanye West feat. 070 Shake, John Legend & Kid Cudi – “Ghost Town”

(文責:Jun Nishihara)

第12位「亡くなる直前に収録されたマック・ミラーのNPR Musicのタイニー・デスク・コンサート映像」。(今年2018年に出た最も偉大なるヒップホップ曲ランキング)

今年はヒップホップにとって素晴らしい年であり,同時に,悲しい年でもありました。

ヒップホップ界でかなり!貴重な存在であったマック・ミラー(Mac Miller)は2018年9月7日に26歳という若い年齢でその素晴らしい生涯を終えました。

先週(12月13日に),アリアナ・グランデが「Imagine(イマジン)」という新曲を発表しました。これは元カレであるマック・ミラーに捧げた曲とも言われています。

さて,26歳のマック・ミラーがヒップホップ界に与えてきた影響というものは計り知れないです。マック・ミラーの功績等については,こちらをご参照ください。

そして本日ご紹介するのは,以下,亡くなる直前に放映されたマック・ミラーのNPR Music Tiny Desk Concertです。

ハイライトは,映像11:30部分から始まる生演奏の「2009」です。

“You gotta jump in to swim.”
(水に飛び込まなきゃ,泳げない。)

“Buy a lot of things just to feel a lot ugly.”
(高価なモノをたくさん買って,けっきょく醜(みにく)く感じる。)

“2009 no more / Yeah I know what’s behind that door”
(もう2009年じゃない。あのドアの向こうに何があるかは,もう分かってる。)

“Sometimes, sometimes, I wish I took a simpler route / Instead of having demons that’s as big as my house.”
(時々,時々,思うんだ。もっと単純な人生を歩んでれば,って。巨大な悪魔につきまとわれるんじゃなくて。)

“Cuz the party ain’t over till they kickin’ me out.”
(放り出されるまで,パーティーは終わらない。)

Mac Millerの音楽は,ヒップホップを愛する我々の魂(soul)に刻み込まれ,これからも我々のsoulとともに,生き続けていくことでしょう。

(文責:Jun Nishihara)