2019年4月,ファンを驚かせたのは,2018年の米国最大のミュージックフェスと云われるコーチェラ音楽祭(Coachella Music Festival)で披露されたビヨンセのステージが,Netflix映画でよみがえったことでした。ジェイZとカニエが云うまさに“Black Excellence”を象るかのように,物凄い迫力です。
以下はそのtrailer(予告編)です。
さて,映画と同時にリリースされたのがライヴ・アルバムで,アルバム収録楽曲中に「Before I Let Go」も収録されておりました。この曲のオリジナルはフランキー・ベヴァリー(Frankie Beverly)原曲で,1981年リリース,コーチェラでビヨンセが同曲をカバーしました。
2017年はヒップホップ史上偉大なるアルバム『DAMN.』をリリースしたケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)の年と云われました。2018年はアルバム『More Life』や『Scorpion』をリリースし,「Kiki! Do you love me?」の社会現象を引き起こしたドレイク(Drake)の年と囁かれました。そして2019年は,カニエ・ウェスト(Kanye West)だけでなく,カニエをとりまく(entourageの)“Sunday Service”クワイヤ(コーラス隊)のみなさまの1年であったと,ここに自信をもって確信したいと思います。彼女達の忍耐力及び継続力(consistency)はまさに尋常無いものでした。
第9位のFrank Oceanに続き,第8位のSolangeも,2010年代(つまり10年代)に出た最も偉大なるアルバムとして必ずトップ10入りするアルバム『A Seat at the Table』を2016年にリリースしております。
そのソランジュ(Solange)が3年あとの2019年にニューアルバム『When I Get Home』をリリースしました。
収録楽曲を見ておりますと「Down With the Clique」や「Stay Flo」や「My Skin My Logo」や「Binz」と,黒人であることの特質性をセレブレート(讃える)するというテーマがアルバムに一貫して流れて(floして)おります。
このcontroversial(物議をかもす内容)で,難解なテーマである「黒人の特質性」というものを.ソランジュは音楽(アルバム)を媒介に伝えるべく,水のように(Sound of Rain),自然な「流れ」をもって,われわれに届けてくれるという,まさに芸術とも呼べる作品を制作してくれました。つまり,このアルバム『When I Get Home』は,ただのR&B音楽として聴くだけでなく,美術品を「見る」という別の五感でとらえてみますと,同作品が立体的に浮かび上がってくる節があります。そこを切り口にしてこの作品を探ってみるというのも,面白いスタンスです。目の前にあたらしいソランジュの世界が開き始めるかもしれません。
さて,ミュージックビデオとして,このデケイド(2010年代)の名曲と称される楽曲「Don’t Touch My Hair」および今作品から「Binz」の2曲を掲載いたします。
Solange – “Don’t Touch My Hair”(アルバム『A Seat at the Table』より)
この曲も黒人の特質性の一つである「ブレイドがかった髪質」を讃(たた)える曲として解釈することが可能です。それをミュージックビデオ,つまりヴィジュアル的に,表現したものが以下の作品です。つまりこれは「黒人の芸術表現方法」という文学的解釈が可能となります。
今年の第17位は,全米黒人TVネットワーク=BET=Black Entertainment TV(ブラック・エンターテインメント・テレビ)で放映された2019年のBET Cypherです。Cypherとは,ラッパーが数人,円になってマイク・リレーをしながらフリースタイルをカマす,という遊び。今年の2019年フリースタイルでは,注目すべきは白人の坊ちゃんラッパー=Travis Thompson(トラヴィス・トンプソン)。シアトル出身です。
先日,ここ(カニエ・ウェスト,遂にオペラ開催予告!)で記載いたしましたとおり予定通りカニエ・ウェストとその仲間たち,いや,今回は「その仲間たち=Sunday Service クワイヤメンバーたち」が主役で,ニューアルバム『Jesus Is Born』がクリスマスにリリースされました。
リリース日は,クリスマス,つまり.イエス・キリスト(Jesus Christ)が誕生したとされる12月25日。アルバムタイトルは今年10月25日にリリースされた『Jesus Is King』ではなく,『Jesus Is Born』。その内容は,クワイヤ(=教会のゴスペルメンバー;聖歌隊)がカニエ・プロデュースによる「賛美歌」を歌うというもの。ソウルフルな楽曲を聴いて,気分を上げるにはもってこいのアルバム。ゴスペルだからって日曜日の朝にかぎらずとも,平日の朝でも気分は「BLESSED!」,恵まれた気分。
2019年に出た曲なのに,どうしてここまで2003年を思い出してしまうのだろう。
Nick Grant(ニック・グラント)のフローといい,ラップといい,メロディといい,ビートといい,この「Pink Starburst」なる楽曲は,ノスタルジアを想起させる曲であり,同時に,ヒップホップが今後進むべき道を示してくれているような,道しるべとなる曲であるといえるだろう。