Hip-Hopの一つの回帰場所:2002年リリースの楽曲。

シカゴ出身のカニエ・ウェストによるプロダクション,ブルックリン出身のJAY-Zによるリード,フィラデルフィア出身のビーニー・シーゲルによるフィーチャリング,そして場所は深南部(Deep South)に飛んで,ヒューストン出身のスカーフェイス。ヒップホップ史なかなか多種性(diversity)に富んだラップ曲。こんな素晴らしい曲が2002年にリリースされていた,ことを憶えておいてほしいです。

電話の保留音(以下)が当時のNYイチカッケーラップになるとは誰も思っていなかった。

ベートーヴェン「エリーゼのために」をフリップしたNASの「I Can」である。

Mos Defの「Brown Sugar」。2002年が蘇ってきますか?

続いては,ブルックリンからマンハッタンダウンタウンの映像を細切れに集めたコラージュをミュージックビデオに昇華させたタリブ・クウェリの名曲「Get By」。“get by”とは「ありあわせのものでなんとかやっていく」という意味で,ゼータクなんてできねぇよ的なサヴァイヴァル・ミュージック。「just to get by」ってタリブがリピートしますよね?それ「なんとかやっていくだけで」っていう意味です。

そして,密かにHip-Hop史上原点回帰の楽曲「What We Do」。一つには,ワルやらなきゃ生きてけねえ時代を映し出した音楽。まさに「正しさ」とは逆のことをやって生きていた2002年。他方で,ハスリングという,ヒップホップ界で当時流行った金儲けのやり方も表現している。2002年という時代が俺らの心の中で永遠にすたれることのないように,この曲にそれらを閉じ込めてくれた,偉大なる曲。この曲を聴けば,2002年当時の精神(ワルやってた,その代わり勢いはめちゃめちゃあった生き様)に即,戻してくれる。

雰囲気は一変して,パーリーピーポー感のある映像を一つ。これも2002年。なつかしいですね。

次はブロンクスから。Fat Joe(ファット・ジョー)の登場。これも2002年。かなりなつかしいですね。

Fat Joeと同じく同郷ブロンクス出身のジェニファー・ロペス(Jennifer Lopez)がLL Cool Jとコラボレーションした曲。これも2002年リリース。流行りましたねえ。

ヒップホップ・ダンスに生涯を捧げているミッシー・エリオット(Missy Elliott)の「Gossip Folks」。これも2002年リリース。

続いて同じくミッシーから。「Work It」。これは当時,50セントのREMIXバージョンも世に出ました。

50セントといえば,当時ガチ流行った「In Da Club」以外に,なかなか素晴らしい曲を出しています。その一つが「21 Questions」。これは「In Da Club」の裏で流れていた曲。2002年を思い出しますね。

続きまして,ファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)プロダクションのSnoop Dogg「Beautiful」。これも2002年リリース。当時私もNYに住んでいましたが,Hot97のヒップホップラジオで流れまくり。ハヤりました。ファレルは年取らないですね。いまも同じルックス。

まだまだ行けそうですが,今日はここら辺で。これくらい2002年リリース楽曲の数々を聴くと,いつでも即原点回帰が可能となります。人生に迷った時には,原点回帰することが重要。上記を聴いて,回帰してください。

最後に,2002年リリースのアルバム『The Blueprint 2: The Gift & The Curse』に収録された「All Around The World」の素人ドラムバージョンをお届けして終わりにします。

今日も当サイトにお越しいただき,ありがとうございます。過去のページも見ていってください。

(キュレーティング:Jun Nishihara)

JAY ELECTRONICAのアルバム『A Written Testimony』楽曲④「The Neverending Story」(独断偏見ライナーノーツ)

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タイトルは「The Neverending Story」(終わりのない物語)です。

ヴァース1のジェイ・エレクトロニカ(Jay Electronica)の歌詞にこういうラインが出てきます。

What a time we livin’ in, just like the scripture says
Earthquakes, fires, and plagues, the resurrection of the dead

なんて時代に我らは生きているんだ,経典に書いていたとおりだ
地震,火事,そして疫病の繰り返し,死者がよみがえった

つまり,こういった出来事が繰り返される合間に,我らは生きている,ということをこの歌詞では言っているわけですが,現在の新型コロナウイルス(COVID-19)にしても同様です。

ジェイ・エレクの歌詞には,対比(comparison)が多く起用されています。

You could catch me bummy as fuck or decked out in designer
On I-10 West to the desert, on a Diavel like a recliner
Listen to everything from a lecture
From the honorable minister Louis Farrakhan
To Serge Gainsbourg or Madonna or a podcast on piranhas

ホームレスのような「なり」する時もあれば,デザイナーブランドの洋服に身をまとう時もある
10号線(南部を串刺しに通過する州間高速道路)に乗って,西の砂漠まで走ることもあれば
 ドゥカティ・ディアベルのバイクに乗って,背をもたれかけ,突っ走ることもある
黒人イスラム指導者であるルイス・ファラカーンの講話を聴くこともあれば
セルジュ・ゲンスブールの語りや,マドンナから,ピラニアに関するポッドキャストまで
なんだって俺は聴くんだぜ

この曲で特筆すべきことは,The Alchemist(ザ・アルケミスト)がプロデューサーとして関わっていることです。The Alchemistといえば,以下に挙げられないくらいのヒップホップ・アーティストと関わり,数多くの名曲を制作してきました。

・Fat Joe率いるTerror Squadの数々のアルバム
・クイーンズ区出身のMobb Deepのアルバム
・Royce Da 5’9のアルバム
・Tony Touchのアルバム
・2001年,Big Punの死後にリリースされたアルバム
・ジェイダキス
・ゴーストフェイス・キラー
・スタイルズ・P
・NAS
・リンキン・パーク
・50セント
・サイゴン
・State Property(!)
・パプース
・ネリー
・エミネム
・ファボラス
・Westside Gunn(!)
・キャムロン
・・・などなどなど。リストはまさに,Neverending(尽きません)。

こういったヒップホップの裏側で活躍している大物人物たちに楽曲を提供してきた歴史があるThe Alchemistのビートに,この度,表(オモテ)の人間であるジェイZ(JAY-Z)が乗った,というのは,とても興味深いことであり,どういう作品ができあがったのか,この機会をとらえて,ぜひ聴いてみてください。

ちなみに,アルケミストがプロデュースしたこの曲にもサンプリング・ネタがあります。アルゼンチン生まれのシンガー・ソングライターであるリト・ネビア(Litto Nebbia)の「La Caida」という1976年にリリースされた曲です。

(対訳及び文責:Jun Nishihara)

第18位:アメリカ中を巻き込んだエロい歌詞とバリバリのリア充ぶり=シティ・ガールズのシングル曲「Act Up」(2019年Hip-Hop名曲名場面ベスト50)

昨年2018年に大ブレイクしたガールズ・ラップユニット=CITY GIRLS(シティ・ガールズ)。去年の社会現象ともなったドレイクの「KiKi! Do you love ME?!」の曲=「In My Feelings」がキッカケとなりシティ・ガールズは大ブレイクしました。同郷のトリーナ(Trina)の愛弟子(まなでし),シティ・ガールズがまさにトリーナの影響を直に受けて育った女子MCたちです。

そして今年も彼女らのシングル曲「Act Up」で,アメリカ中を巻き込み,お尻フリフリ,態度デカデカ,テンションバリバリの女子たちとゲイ業界の男たちを踊らせました。村上春樹も唸るほどのダンス,ダンス,ダンス。

そしてなんといってもハヤりの「Periodt!」(と,最後にtが付く)のフレーズを生み出した張本人たち,Periodt! まぁ,日本語では「丸(マル)」ですけどね。(丸!)

昨年はカーディBとの「Twerk」,おまけにアルバム『Girl Code』をリリースし,今年も売れまくって,現在ノリノリのシティ・ガールズ。

アルバム『Girl Code』から,楽曲「Clout Chasing」を掲載しておきます。

以下はシティ・ガールズ「Act Up」です。

(文責:Jun Nishihara)

第19位:ウェッサイはオークランド出身の現在ノリノリの若手女子MC=Kamaiyahの新曲「Still I Am」(2019年Hip-Hop名曲名場面ベスト50)

スローでメロウなラップをカマすカマイヤ(Kamaiyah)は1992年生まれ。ギャングスタの血を引き継ぎ,ラップスタイルは西海岸出身の雰囲気がドクドク血のように流れるBay Area臭いアーティストです。Bay Area… more specifically, Oak Town A.K.A. Oakland出身です。

2019年の第19位は若手女子MCの彼女=カマイヤ(Kamaiyah)に贈ります。

Kamaiyah – “Still I Am”

Kamiayah feat. Quavo & Tyga – “Windows”

MERRY CHRISTMAS!!!!!

(文責:Jun Nishihara)

久しぶりに今週のカニエ・ウェスト“Sunday Service”模様をお届けします。おまけにカニエ論を。

カニエ・ウェストが10月25日(私の誕生日)に名作『Jesus Is King』をリリースしてから,しばらく“Sunday Service”の模様をアップしておりませんでした。以下のとおり,今年に入ってから,今年初旬から毎週日曜日にはぶっ続けで,休むことなくカニエ・ウェストはソウルフルなジャムセッション=“Sunday Service”を開催してきました。こんなことはラッパー,否,ヒップホップアーティストでは(ここでは何回も書いてきましたが)前代未聞なのであります。

これまでの“Sunday Service”の模様は,ここら辺(↓)でご覧ください。

カニエ・ウェストの“Sunday Service”まとめ(10月6日&10月12日開催分)

カニエ・ウェスト“Sunday Service”を金曜日に開催 (9月27日分) & アルバム『Jesus Is King』のリスニングパーティー

カニエ・ウェストの“Sunday Service” (前回,前々回,前々々回・・・からのつづき)

そして本日,先週末12月8日(日)に実施されたばかりの“Sunday Service”をお届けいたします。
(於:フロリダ州のVOUS Church)

そしてもうひとつ,11月10日(日)にヒューストン市の刑務所に於いて,囚人相手に開催した“Sunday Service”も以下のとおり掲載しておきます。

今年の冒頭でこのサイトで,カニエ・ウェストの与えるエナジーで2019年を一気に乗り越える,と書きましたが,そのエナジーはやむことなく,ここまで火はともされ続けてきました。もう12月も半分を超えたばかりですが,カニエ・ウェストのエナジーは,ほぼ1年経ったいまも,消える気配がしません・・・と,そんなことを今こうして書いておりますが,思い返せば2003年にカニエ・ウェストのmixtapeをニューヨーク市かクリーブランド市がどちらか忘れましたが買った時にも,同じようなエナジーを感じたことは確かです。2003年のあの頃から現在2019年の終盤を迎えようとしている今も,まだまだ健在です。

ニューヨークの大学に通っていた際,クラスメートが当時,「50セントはもう終わりね,ラッパーってのはだいたい10年が寿命よ」と言い放ちましたが,カニエ・ウェストは10年どころか,プロデューサー時代にジェイZにビートを提供していた時代から考えると20年経た今も,まさにこんな新しいことをやっているっていうのは,イカレているというか,まさにこれを人は「天才的」と呼んでいるのでしょうが,カニエ・ウェストほど「天才」という言葉が似合わないアーティストはいないでしょう。カニエは天才ではなく,芸術家なのです。

何が芸術家なのか,というと,それを象徴しているのは,カニエが2004年にデビューシングルを出したとき,当時,それまでのヒップホップのサグやゲットーやハスラーのイメージの「逆」からスタートした。それはカニエの意図的なものなのであったか否かは別として,それまでのヒップホップのイメージに逆らうように,対抗していった。みずから師(=big brother)と仰ぐジェイZの「真逆」を行った。

そこに彼の「芸術」は端を発するのではないかとずっとモヤモヤと感じてきたのですが,誰かがカニエは天才などということをどこかで書いていたので,それは違うだろう〜と違和感を感じ,初めて文字にしたまでなのです。カニエ論なんていうことばがあるのならば,そこを地点にスタートするのもおもしろいかもしれない,というひとつのアイデアです。

ひとまずは,ここで終わりにしますが,カニエのことを天才だと思ったことは,20年以上カニエの音楽を聴いてきて,感じたことはなかった。(Jay-Z feat. Scarface & Beanie Sigel “This Can’t Be Life”はジェイZの『The Dynasty』アルバムに収録。カニエ・ウェストがプロデュース。リリースは1999年。)ひとまずはそれをクリアーにしておきたいです。

カニエ論は,気が向いた時に,ひょっこりと,また続けます。

(文責:Jun Nishihara)

第32位:今年最高の盛り上がりを見せたリル・ナズ・Xの曲「Old Town Road」(今年出たHip-Hop名曲名場面ベスト50)

テイラー・スウィフト(Taylor Swift)は,さかのぼれば,大元はカントリーシンガー(カントリー音楽を歌う歌手)でした。カントリー出身の彼女は,次第にアメリカン・ポップを歌うようになり,今ではアメリカ,いや,全米のみならず,全世界を代表するポップ・シンガーとなりました。つまり彼女は,カントリーを出て国際的世界ナンバーワンとなったアーティストでした。

しかし今年出たこのリル・ナズ・X(Lil Nas X)の全世界ヒット曲「Old Town Road」では,今まで成し遂げられなかったことが成功しました。それは何かといえば,まさにテイラー・スウィフトとは逆,「ヒップホップをカントリーに入れ込んだ」ということです。今まで,「カントリーを出て,ヒップホップに行った」人(たとえばKid Rock(キッド・ロック))はいました。そしてテイラー・スウィフトのように「カントリーを出て,ポップに行った」人もいました。つまり「カントリー出て,他へ行った」人はいたのでしたが,リル・ナズ・Xはそれらとは逆に「ヒップホップをカントリーの世界にもってった」,言わば「ヒップホップをカントリーの世界に逆流させた」ことに成功した,きわめてめずらしいアーティストになりました。

ヒップホップはここ数年,アメリカの「ポップ」として認知されるようになってきました。ロックやジャズと比べると歴史は相当浅いですが,ここへ来て,もうアメリカ中の誰もがヒップホップを無視することはできなくなってきました。ニッキー・ミナージュが世に出てきた頃から徐々に,ヒップホップは一部「ポップ」として認知されるようになってきました。

この曲の偉大さについてはさて置き,今年出たヒップホップ曲第32位として,以下リル・ナズ・Xの「Old Town Road」の2ヴァージョンを掲載しておきます。

Lil Nas X feat. Billy Ray Cyrus – “Old Town Road”

※スキット無し

※スキットあり

(文責:Jun Nishihara)

第37位:今年の37位はKash Doll? もしくはDoja Cat? 二人とも今年メインストリームデビュー!(今年出たHip-Hop名曲名場面ベスト50)

名前が似すぎて,違いがわからん!・・・と言う方に,まずは写真で区別していただきましょう。

まずはキャッシュ・ドール(Kash Doll)は黒人女子ラッパー。
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そしてドジャ・キャット(Doja Cat)はかなり色白の二人種(黒人と白人にまたがる)女子ラッパーです。パパが南アフリカ生まれ,ママはユダヤ系の白人というステフロン・ドンに負けず劣らない多種多様のカルチャーが混ざり合った家庭で育ちました。
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上記2つの写真を見比べるだけでも,イメージというか印象は二人とも互いにぜんぜん異なります。写真の印象だけでは,どちらが好きですか?

パッと見はドジャ・キャットが好印象ですけれど,キャッシュ・ドールのほうがラップが上手そうですね。

さて,こんどは,二人が今年リリースしたシングル曲をそれぞれ聴き比べてみましょう。

まずはキャッシュ・ドール(Kash Doll)から,今年8月にリリースされたシングル曲「Ready Set」です。

続いてドジャ・キャット(Doja Cat),同じく今年8月にリリースされたシングル曲「Juicy」です。

どちらが好きですか?
写真で見たときの印象どおり,ラップに関しては,キャッシュ・ドールがダントツですね。

最後に,二人のフリースタイルを聴き比べてみましょう。

まずはキャッシュ・ドール(Kash Doll)から。

キャッシュ・ドールのフリースタイル中で「Detroit Queen」と出てきますが,彼女はデトロイト出身。エミネムやビッグ・ショーンの同胞です。

続いてドジャ・キャット(Doja Cat)・・・なのですが,いいフリースタイルが見つからなかったですので,彼女がエロく歌うインスタ動画と,続いて“A COLORS SHOW”で披露したシングル曲「Juicy」を掲載いたします。

こうして見てみますと,二人はまったく毛色の異なるアーティストということが分かります。キャッシュ・ドール(Kash Doll)はラップもフリースタイルもしっかりしていて,根っからのヒップホップ・アーティストですが,色白のドジャ・キャット(Doja Cat)はウタも歌えて,ポップス寄りですね。

さて,それでは今年第37位の軍配を上げるのは,キャッシュ・ドールか,ドジャ・キャットか,どちらでしょう。

ヒップホップ好き代表としては,今年の軍配は,ラップもフリースタイルもできるキャッシュ・ドール(Kash Doll)に決定です。ドジャ・キャット(Doja Cat)は見た目もいいですし,これからポップス界でも人気を挙げていくのでしょうが,最近増えてきた女子ラッパーの間で熾烈の戦いを繰り広げるであろうキャッシュ・ドールには,さらに頑張っていってもらいたいですね。

ということで,今年第37位はキャッシュ・ドール(Kash Doll)でした。

(文責:Jun Nishihara)

第49位:ScHoolboy Qのシングル曲「Numb Numb Juice」(今年出たHip-Hop名曲・名場面ベスト50)

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ケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)と同じレーベル=TDE (Top Dawg Entertainment)所属の同胞=スクールボーイQ(ScHoolboy Q)が今年アルバム『CrasH Talk』をリリースしました。同アルバムからファースト・シングルである「Numb Numb Juice」を発表。イントロはめちゃめちゃカッチョよかったです。

同アルバムは米ビルボード200で第3位を獲得。リリース後1週間で8万1000枚売り上げるというこのアルバム売上不調の昨今においてはまずまずの記録でした。

全体的な売り上げはまずまずの記録としても,このシングル曲で,この冒頭のフレーズというのは,ツカみは完ぺき,記録よりも記憶に残る楽曲となりました。

Two-door coupe, hoppin’ out like Jack-in-the-Box, nigga
I’m gon’ shoot if this 30’s all that I got, nigga

ツードアのクーペで,ビックリ箱のごとく飛び出すぜ
両手にグロック銃,ぶっ放っちまうぜ

というふうにNワードを必ず語尾につけてラップをカマす一節です。
ここから次のヴァース「Time’s Up / Got my coins up, my bars up / Soon we find ’em」に入るくだりは絶妙です。「Soon we find ’em」で少しライム(韻)をズラすのは,最近の同じTDE仲間であるジェイ・ロック(Jay Rock)を彷彿とさせるラップをカマシてくれました。

(文責及び対訳:Jun Nishihara)

カニエ・ウェストのニューアルバム『Jesus Is King』より,楽曲⑥対訳「Everything We Need」。

楽曲⑥「Everything We Need」feat. タイ・ダラー・サイン&アント・クレマンス 対訳

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[Intro: Ty Dolla $ign & Ant Clemons]
We began after the storm inside
Lay the land (Ah), it’s just the morning light (Woo, woo)
Woo, woo, oh yeah

(イントロ:タイ・ダラー・サイン&アント・クレマンス)
心に嵐が吹き荒れた後,僕らは始めた
土地をおこし(アー),朝の光が差した(ウー,ウー)
ウー,ウー,オゥ,イヤー

[Verse 1: Kanye West & Ant Clemons]
Woo-ooh, ooh-ooh
Switch your⁠, switch your attitude
Go ‘head, level up yourself
This that different latitude
Ooh-ooh, ooh-ooh
Life too short, go spoil yourself
Feel that feel, enjoy yourself ’cause

(ヴァース1:カニエ・ウェスト&アント・クレマンス)
ウー,ウー,オゥ,オゥ
入れ替えな,入れ替えな,キミの態度
どんどん進んで,レベルアップしな
もはや他とは緯度が違う
オゥ,オゥ,オゥ,オゥ
人生は短い,だからじぶんに贅沢させちゃいな
そのフィーリング感じな,すっかり楽しんじゃいな,だって

[Refrain: Ant Clemons & Ty Dolla $ign]
We have everything we need (Ooh-ooh, ooh-ooh, oh)
We have everything we need (Ooh-ooh, ooh-ooh, oh, oh)
We have everything we need (Ooh-ooh, ooh-ooh, oh)
We have everything we need (Ooh-ooh, ooh-ooh, oh, woah)
We have everything we need

(リフレイン:アント・クレマンス&タイ・ダラー・サイン)
必要なものは全て揃ってる(オゥ,オゥ,オゥ,オゥ,オゥ)
必要なものは全て揃ってる(オゥ,オゥ,オゥ,オゥ,オゥ,オゥ)
必要なものは全て揃ってる(オゥ,オゥ,オゥ,オゥ,オゥ)
必要なものは全て揃ってる(オゥ,オゥ,オゥ,オゥ,オゥ,ウォゥ)
必要なものは全て揃ってる

[Chorus: Ty Dolla $ign]
We began after the storm inside
Lay the land (Ah), it’s just the morning light (Oh, yeah)

(サビ:タイ・ダラー・サイン)
心に嵐が吹き荒れた後,僕らは始めた
土地をおこし(アー),朝の光が差した(オゥ,イヤー)

[Verse 2: Kanye West & Ant Clemons]
Switch my, switch my attitude
I’m so, I’m so radical
All these people mad at dude
This for who it matter to
What if Eve made apple juice?
You gon’ do what Adam do?
Or say, “Baby, let’s put this back on the tree” ’cause

(ヴァース2:カニエ・ウェスト&アント・クレマンス)
入れ替えた,入れ替えた,俺の態度
とっても俺は,とっても過激な野郎
あらゆる連中が怒ってる
これは共感する人だけに捧げる曲
もしイヴがアップルジュースを作っていたら?
あんたはアダムと同じことしただろうか
もしくはこう言っただろうか「ベイビー,この林檎,木に戻してやろうか」だって

[Refrain: Ant Clemons & Ty Dolla $ign]
We have everything we need (Ooh-ooh, ooh-ooh, oh)
We have everything we need (Ooh-ooh, ooh-ooh, oh, oh)
We have everything we need (Ooh-ooh, ooh-ooh, oh)
We have everything we need (Ooh-ooh, ooh-ooh, oh, woah)
We have everything we need

(リフレイン:アント・クレマンス&タイ・ダラー・サイン)
必要なものは全て揃ってる(オゥ,オゥ,オゥ,オゥ,オゥ)
必要なものは全て揃ってる(オゥ,オゥ,オゥ,オゥ,オゥ,オゥ)
必要なものは全て揃ってる(オゥ,オゥ,オゥ,オゥ,オゥ)
必要なものは全て揃ってる(オゥ,オゥ,オゥ,オゥ,オゥ,ウォゥ)
必要なものは全て揃ってる

[Chorus: Ty Dolla $ign]
We began after the storm inside
Lay the land (Ah), it’s just the morning light

(サビ:タイ・ダラー・サイン)
心に嵐が吹き荒れた後,僕らは始めた
土地をおこし(アー),朝の光が差した

(対訳:Jun Nishihara)

カニエ・ウェスト対訳「Wolves」全ヴァース(アルバム『The Life of Pablo』楽曲13)

カニエ・ウェストのこの楽曲「Wolves」は,アルバム『My Beautiful Dark Twisted Fantasy』収録の楽曲「Lost In The World」や,アルバム『Yeezus』収録の楽曲「Blood On The Leaves」を想起させます。これら3曲の共通点はどれも自然をモチーフにしていることです。また,前回「Wolves」のヴァース3の紹介として,新約聖書よりヨセフとマリアの話を取り上げました。このことからも,カニエ・ウェストは,今までのヒップホップやラップで語られる内容とは,全く違う角度や方向から物事を捉えようとしていることが窺い知れます。

それでは以下に楽曲「Wolves」の対訳を掲載いたします。

Kanye West feat. Sia & Vic Mensa – “Wolves” (the whole verses)
カニエ・ウェスト feat. シーア&ヴィック・メンサ 「ウルヴス」(全ヴァース対訳)

[Chorus: Kanye West]
Lost out, beat up
Dancin’, down there
I found you, somewhere out
‘Round ’round there, right right there
Lost and beat up
Down there, dancin’
I found you, somewhere out
Right down there, right ’round there

(サビ:カニエ・ウェスト)
迷子になって,傷だらけ
踊ってた,あの場所で
君と出会った,森の中で
あの場所,森の中で
迷子になって,傷だらけ
踊ってた,あの場所で
君と出会った,森の中で
あの場所,森の中で

[Verse 1: Kanye West]
Lost and, found out
Turned out, how you thought
Daddy, found out
That you turned out, how you turned out
If mama knew now
How you turned out, you too wild
You too wild, you too wild
You too wild, I need you now
Love you, got to
Love you, love you
Found you, found you
Right now, right now
Right now, right now
If your mama knew how
You turned out, you too wild
You too wild, you too wild
You too wild, and I need you now
Lost in… my doubt

(ヴァース1:カニエ・ウェスト)
迷子のところを,拾われた
蓋をあけると,期待していたとおりに
パパへと成長した
期待どおり,君はそうなった
ママがこれを見ていたら
君の成長をね,とてもワイルドだって言うだろう
とてもワイルド,とってもワイルド
とてもワイルド,君と今すぐ一緒になりたい
愛してる,それしかない
愛してる,愛してる
みっけた,君をみっけた
今すぐ,今すぐ
今すぐ,今すぐ
ママがこれを見ていたら
君の成長をね,とてもワイルドだって言うだろう
とてもワイルド,とってもワイルド
とてもワイルド,君と今すぐ一緒になりたい
迷っている,自己疑心の中で

[Bridge: Vic Mensa]
Cry, I’m not sorry
Cry, who needs sorry when there’s Hennessy?
Don’t fool yourself
Your eyes don’t lie, you’re much too good to be true
Don’t fire fight
Yeah I feel you burning, everything’s burning
Don’t fly so high
Your wings might melt, you’re much too good to be true
I’m just bad for you
I’m just bad, bad, bad for you

(ブリッジ:ヴィック・メンサ)
泣いて,でも言い訳しない
泣いて,ヘネシーがあれば悩まなくたっていい
自分をごまかすんじゃない
君の瞳は嘘つかない,君の存在はまるで夢のようだ
炎を消さないで
君は燃え上がり,あらゆるものが熱くなる
そんなに高く飛んでいかないで
翼が溶けてしまうかもしれないから,君の存在はまるで夢のようだ
君にとって俺は毒なのさ
君にとって俺は,俺は毒なのさ

[Verse 2: Sia]
I was lost and beat up
Turned out, burned up
You found me, through a heartache
Didn’t know me, you were drawn in
I was lost and beat up
I was warm flesh, unseasoned
You found me, in your gaze
Well, I found me, oh, Jesus
I was too wild, I was too wild
I was too wild, I was too wild
I was too wild, I was too wild

(ヴァース2:シーア)
私は迷っていて,くたくただった
身柄を確保され,燃え殻同然だった
心の痛みをとおして,あなたが私を見つけてくれた
知らない同士だった,でも惹かれ合った
迷っていて,くたくただった
未熟なまま,肉体であたため合った
あなたの瞳に,私は自分が見えた
そう,やっと見えた,ええ,信じられなかった
ケモノのように私は,ワイルドすぎた
ケモノのように私は,ワイルドすぎた
ケモノのように私は,ワイルドすぎた

[Chorus: Kanye West]
And I need you now
Lost and found out

(サビ:カニエ・ウェスト)
キミが必要なんだ
迷子のところを,拾われた

[Verse 3: Kanye West]
You gotta let me know if I could be your Joseph
Only tell you real shit, that’s the tea, no sip
Don’t trip, don’t trip, that pussy slippery, no whip
We ain’t trippin’ on shit, we just sippin’ on this
Just forget the whole shit, we could laugh about nothin’
I impregnate your mind, let’s have a baby without fuckin’, yo
I know it’s corny bitches you wish you could unfollow
I know it’s corny niggas you wish you could unswallow
I know it’s corny bitches you wish you could unfollow
I know it’s corny niggas you wish you could unswallow
I know it’s corny bitches you wish you could unfollow
I know it’s corny niggas you wish you could unswallow
You tried to play nice, everybody just took advantage
You left your fridge open, somebody just took a sandwich
I said baby what if you was clubbin’
Thuggin’, hustlin’ before you met your husband?
Then I said, “What if Mary was in the club
‘Fore she met Joseph around hella thugs?
Cover Nori in lambs’ wool
We surrounded by the fuckin’ wolves”
(What if Mary) “What if Mary
(Was in the club) was in the club
‘Fore she met Joseph with no love?
Cover Saint in lambs’ wool
(And she was) We surrounded by
(Surrounded by) the fuckin’ wolves”

(ヴァース3:カニエ・ウェスト)
教えてや,キミのヨセフにならせてや
リアルしか話さねえ,紅茶は啜らねえ
あわてんな,あわてんな,あの女のアソコは濡れてんぜ,かき混ぜんな
イカれてんじゃねえ,ゆっくり堪能してんのや
なにもかも忘れて,くだらないことで大笑いして
キミの脳ミソを孕んでやる,セックスやらずに赤ちゃん産ませてヨゥ
ダッセェ女どもをフォローから外したがってるって,知ってんだぜ
ダッセェ男どものザーメンは飲み込みたくないって,知ってんだぜ
ダッセェ女どもをフォローから外したがってるって,知ってんだぜ
ダッセェ男どものザーメンは飲み込みたくないって,知ってんだぜ
ダッセェ女どもをフォローから外したがってるって,知ってんだぜ
ダッセェ男どものザーメンは飲み込みたくないって,知ってんだぜ
「いい人」ぶってると,まわりから「いいように」使われちまうぜ
冷蔵庫を開けっ放しにしてると,誰かが君のサンドイッチを食っちまうぜ
俺は彼女にこう訊いた,「ねぇベイビー,君だって今のダンナに会う前は,
クラブ行ったりなんかして,可愛くキメて,男を逆ナンしたりしてたんでしょ」
そしてこうも言った,「もしもマリアがヨセフに会う前に
クラブ行ったりなんかして,男ばっかりに囲まれていたら,どうなっていただろう」
ノリちゃん(ノース)を羊毛でまとってあげて
俺らはオオカミ連中に囲まれる
(もしもマリアが)もしもマリアが
(クラブ行ったりして)クラブ行ったりして
ヨセフに会ったとしても,愛していなかったら
セイントを羊毛でまとってあげて
(するとあたりは)あたりは
(寄ってきた)どう猛な,オオカミだらけ

(文責及び対訳:Jun Nishihara)