ザ・カーターズのニューアルバム『Everything Is Love」より,楽曲⑤対訳「713」。

EVERYTHING IS LOVE

[Intro: Dre]
Uh, uh, uh
This (uh, uh) is (uh, uh), ouu!

(イントロ:ドレー)
Uh, uh, uh
これ(uh, uh)は(uh, uh)アウゥ!

[Chorus: JAY-Z & Beyoncé]
Cash, hit deposit, 24-carat faucets
Louis V and Goyard trunks all in the closet
Ain’t shit change, the streets is still watchin’
And my little baby Blue is like, “Who gon’ stop us, huh?”
Ain’t no way to stop this love
Ain’t no space if everything is love
Representin’ for my hustlers all across the world (still)
Still dippin’ in my low-lows, girl! (still)
I put it down for the 713 and we still got love for the streets (ow!)

(サビ:ジェイZ&ビヨンセ)
現ナマを預金へ,24カラットの水道蛇口
クローゼットには,ルイ・ヴィトンとゴヤールの高級トランク
何も変わっちゃいない,“ストリートは今も目を光らせている”
娘のブルーに言われたぜ「誰にも止められないわ」
誰にもこの愛は止められない
全てが愛でできているなら,スキは無い
世界中のハスラーの代表として(変わらず)
それでもロウ・ロウ*(註)を身にまとって,ガール(変わらず)
713(ヒューストン)に懸けて,ストリートを変わらず愛してる(アゥ!)

[Verse 1: JAY-Z]
We played it cool at the pool of the Cancun, VMA
Confidence you exude make the fools stay away
Me, I played my room, let the fools have they say
Fate had me sittin’ next to you on the plane
And I knew straight away, uh
The next time we would speak was like two years away
You had a man, you shut it down until you two had a break
I bet that dude rued the day
You kept me up on the phone while you were away
You came back, I let you set the date, Nobu on the plate
I brought my dude to play it cool, my first foolish mistake

(ヴァース1:ジェイZ)
カンクンのプールサイド,VMA(MTVのミュージックビデオ賞)ではクールにキメた
君が醸し出す自信で,もう愚か者は近寄れない
やることやって,愚か者にもしゃべらせてやった
飛行機で君がとなりに座ったのは,運命のおかげ
あれは君だったって,俺はすぐに気づいてた,uh
その後,君と話したのは,その2年後だった
君には別の男がいた,そいつにうんざりしていた君は,その男とついに別れた
ヤツはその日を悔やんだだろう
僕ら遠距離でも電話し合って,二人でずっと話してたっけ
再会して,デートにさそって,NOBU(高級レストラン)でディナーして
そん時,俺は自分のダチも連れてきた,クールにキメようと思って,でもかえってそれが仇になった

[Chorus: JAY-Z & Beyoncé]
Cash, hit deposit, 24-carat faucets
Louis V and Goyard trunks all in the closet
Ain’t shit change, the streets is still watchin’
And my little baby Blue is like “Who gon’ stop us, huh?”
Ain’t no way to stop this love
Ain’t no space if everything is love
I’m representin’ for my hustlers all across the world (still)
Still dippin’ in my low-lows, girl! (still), I put it down for the 713
And we still got love for the streets (ow!)

(サビ:ジェイZ&ビヨンセ)
現ナマを預金へ,24カラットの水道蛇口
クローゼットには,ルイ・ヴィトンとゴヤールの高級トランク
何も変わっちゃいない,“ストリートは今も目を光らせている”
娘のブルーに言われたぜ「誰にも止められないわ」
誰にもこの愛は止められない
全てが愛でできているなら,スキは無い
世界中のハスラーの代表として(変わらず)
それでもロウ・ロウ*(註)を身にまとって,ガール(変わらず)
713(ヒューストン)に懸けて,ストリートを変わらず愛してる(アゥ!)

[Verse 2: JAY-Z]
I never knew a lo-, lo-, lo-, love like this
Gotta be special for me to write this
Queen, I ain’t mean no disrespect
But the way I network, it’s hard for me to connect
My first time in the ocean went exactly as you’d expect
Meanwhile you goin’ hard, jumpin’ off the top deck
A leap of faith, I knew I was up next
I never told you, but I told a few people we wed
Me, I’m off to Rome, you goin’ back home instead
My first time in my life a live nigga felt dead
You came back, I had to act like it was cool in my head
Thoughts of jumpin’ the broom, a player never been swept

(ヴァース2:ジェイZ)
こんなラ,ラ,ラ,LOVEは初めてだ
特別なモノに違いない,こうして書いてんだから
クイーンへ,ディスってるワケじゃないけれど
時に仕事に追われて,君のことそっちのけになることさえある
初めて南の島へ二人で旅行した時,期待どおりだった
おもいっきり楽しんだ,君は船のデッキから海へ飛び込んだり
「全てを懸けて飛び込んだ」,次は俺の番だった
君には内緒で,俺は決心していた,「結婚決めた」って,仲間にも言った
俺は仕事でローマへ,君は故郷ヒューストンへ戻った時,離ればなれになって
人生で初めて,あれだけイキッてた俺は生気を失ったようになった
やがて二人は一緒になって,まるで今まで「なんてことなかった」かのように君の前で振る舞った
君との結婚に踏み切った時も,プレイヤーの俺はいつだって冷静に振る舞った

[Chorus: JAY-Z & Beyoncé]
Cash, hit deposit, 24-carat faucets
Louis V and Goyard trunks all in the closet
Ain’t shit change, the streets is still watchin’
And my little baby Blue is like “Who gon’ stop us, huh?”
I’m representin’ for my hustlers all across the world (still)
Still dippin’ in my low-lows, girl! (still), I put it down for the 713
And we still got love for the streets (ow!)

(サビ:ジェイZ&ビヨンセ)
現ナマを預金へ,24カラットの水道蛇口
クローゼットには,ルイ・ヴィトンとゴヤールの高級トランク
何も変わっちゃいない,“ストリートは今も目を光らせている”
娘のブルーに言われたぜ「誰にも止められないわ」
誰にもこの愛は止められない
全てが愛でできているなら,スキは無い
世界中のハスラーの代表として(変わらず)
それでもロウ・ロウ*(註)を身にまとって,ガール(変わらず)
713(ヒューストン)に懸けて,ストリートを変わらず愛してる(アゥ!)

[Outro: JAY-Z]
To all the good girls that love hustlers
To the mothers that put up with us
To all the babies that suffered ’cause us
We only know love because of ya
America is a motherfucka to us, lock us up, shoot us
Shoot our self-esteem down, we don’t deserve true love
Black queen, you rescued us, you rescued us, rescued us

(アウトロ:ジェイZ)
ハスラー男子好きの,女子たちへ
俺たちのような男を育ててくれた母たちへ
俺たちのせいで苦しんできた子供たちへ
君たちのおかげで,俺は愛を知ることができた
糞食らえのアメリカだけどよ,ムショにぶち込まれたり,銃で撃たれたり
自尊心を踏みつぶされて,まるで真の愛に値しないかのように
だけど「ブラック・クイーン」,あなたがそんな俺らを救ってくれた
あなたがそんな俺たちを救ってくれた,あなたが俺らを救ってくれた

*註釈:このサビはDr. Dre feat. Snoop Doggの名曲「Still D.R.E.」より。それをジェイZではなく,ビヨンセがラップしている凄まじき事実はさて置き,Dr. Dreが言う「ロウ・ロウ」とはウェッサイの象徴でもある「ロウライダー」を意味していた。しかしこうしてビヨンセがラップすることにより,「ロウ・ロウ」に新たな意味が加わり,それは時にビヨンセ自身も愛用する「マノロ・ブラニクの高級デザイナー靴」を意味することとなった。(米語でManolo Blahnikの発音は,“lo”に第2アクセントが置かれるだけでなく「ロー」ではなく「ロウ」と発音されるためである。)ロウライダー(車輪)にしても,このように高級デザイナーのヒール(両足)にしても,それはどちらも「前に進む」という隠れた意味を持たせている。さらに凄いのは,おおもとのDr. Dreのこのヴァースは,ジェイZが書いていたという事実である。ジェイZが書き,Dr. Dreがラップをしていたので,こうして17年の時を経て当楽曲に起用されたのは,時空を経た逆輸入とも言える。

(文責:Jun Nishihara)

キッズ・シー・ゴーストのニューアルバム『KIDS SEE GHOSTS」より,楽曲④対訳「Freeee (Ghost Town, Pt. 2)」。

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[Intro: Marcus Garvey]
May I say something to you to give you a true knowledge of yourself and life?
Man in the full knowledge of himself is a superb and supreme creature of creation
When man becomes possessor of the knowledge of himself, he becomes the master of his environment

(イントロ:マーカス・ガーベイ)
ひとつ教えてやろうか,あんた自身とその人生についての本物の知識を
自分について全てを分かっている人間は,神の創造物の中で最もすぐれた生き物だと言う
自分について全てを知った人間は,自分がいる環境や状況を支配できるようになったということだ

[Chorus: Kanye West]
I don’t feel pain anymore
Guess what, baby? I feel free (scoop!)
Nothin’ hurts me anymore
Guess what, baby? I feel free

(サビ:カニエ・ウェスト)
もう苦しまなくていい
だってね,ベイビー,やっと自由(スクープ!)
もう病まなくていい
だってね,ベイビー,やっと自由

[Verse: Kanye West, Kid Cudi & Ty Dolla $ign]
I’m so complete in the mode
Guess what, baby? I feel free
And you know damn well
He lift me up every time that I fell
And set me free, yeah
Ah! You should quit your job to this
Hold up, let ’em politic, ooh
One day they hate you
Next day they love you
I’m still yellin’ “fuck you”
I could never trust—

(ヴァース:カニエ・ウェスト,キッド・カディ&タイ・ダラー・サイン)
本来の自分に戻った
だってね,ベイビー,やっと自由
この気持ちわかるかい
落ち込んだとき,僕を持ち上げてくれる
そして解き放ってくれる,そうさ
アー!この曲かけながら,その仕事辞めちゃいな
他人は好き勝手なこと言ってる,オゥ
俺のこと嫌ってるかと思えば
次の瞬間には愛してるとか言って
そんなヤツらには「ファック・ユー」
信用ならねえ

[Refrain: Ty Dolla $ign & Anthony Hamilton]
Free, I feel free
I feel free, I feel free

(リフレイン:タイ・ダラー・サイン&アンソニー・ハミルトン)
解き放たれて,やっと自由
やっと自由,やっと自由

(文責:Jun Nishihara)

ちょこっと解説:カニエ・ウェストと大自然で過ごしたワイルドな3日間(ニューヨークタイムズ紙記事より)

本日(7月1日)付,ニューヨークタイムズ紙WEEKEND MUSIC欄に,大きく一面(いや,2頁にわたる2面!)を飾ったのはカニエ・ウェスト。1頁目には「Into the wild with Kanye(カニエと共に大自然へ)」と題して,2頁目には「Three Days in the wild with Kanye(カニエと大自然で過ごしたワイルドな3日間)」と題して,2頁をフルに使って掲載された。

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記事にはカニエが写っている写真が5つ,掲載されている。

ワイオミング州の山奥で開催された,アルバム『ye』のリスニングパーティーの模様。ウェスト夫人=キム・カーダシアンや娘のノースとともに写った写真。ライブ模様。トランプ大統領とのツーショット等だ。

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さて,この長文記事を2頁にわたって書いたのはJon Caramanicaというニューヨークタイムズ紙専属の音楽評論家ジャーナリストであるが,なかなかうまい具合に記事をまとめている。

記事の内容は,まず,今年4月中頃に始まったカニエがアップした一連のツイートに始まり,カニエのアルバム『ye』がリリースされるまでのドラマをイチから説明してくれている。「事の始まり」としてのカニエの入院の原因等,私生活も説明している。自殺を考えたいきさつや,人の目を気にし過ぎていた日々,自由を感じられず,束縛されていた日々など,カニエの精神状態について,なかなかうまくまとめている。

さて,写真にもあるワイオミング州ジャクソン・ホールの山奥で開かれたリスニング・パーティーである。

これだけのヒップホップアーティストが一度にワイオミング州の山奥に集合したのは,前代未聞ではなかろうか。カニエ,プッシャT,キッド・カディはもとより,コンセクエンス,スウィズ・ビーツ,070シェイク,2チェインズ(ペットの犬まで!),タイ・ダラー・サイン,DJグレッグ・ストリート,デザイナー,サイハイ・ザ・プリンス,エイサップ・ナスト,リル・ヤッティー・・・so on and so forth。

みんなでキャンプファイアーを囲んでのリスニング・パーティーになったという。(↓こんな感じ)

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(カラーではこんな感じ↓)

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本記事にはカニエとのインタヴュー内容も掲載されている。

トランプ大統領支持について,こう答えている。

質問:But if he says something like he doesn’t want to let Muslims into the country, do you like the way that sounds?
(もしトランプ大統領が「イスラム教徒はこれ以上,アメリカへ入国させない」なんていうことを言えば,それを支持しますか?)

カニエ:No, I don’t agree with all of his policies.
(いや,ヤツの政策全てを支持するワケじゃない。)

そして,「奴隷は選択だ」発言について,こう答えている。

質問:To clarify, do you believe that slavery in this country was a choice?
(確認ですが,この国にあった奴隷制度は,ほんとうに選択できたものだと思いますか?)

カニエ:Well, I never said that.
(いや,そういうことを言ったんじゃない。)
カニエ:I said the idea of sitting in something for 400 years sounds – sounds – like a choice to me, I never said it’s a choice. I never said slavery itself – like being shackles in chains – was a choice.
(言ったのは,400年の時を経ても,奴隷制度がまだ続いていたっていうのを考えた時,それは人々が「あえて」廃止しようとしなかったから,って思えたんだ。奴隷そのもの,例えば両足を鎖に繋がれたりしていたことが選択だ,とは一度も言っていない。)

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そして,この記事から学べる一番大事なことはこれなんじゃないかと思う。

カニエは言う。

We need to be able to be in situations where you can be irresponsible. That’s one of the great privileges of an artist. An artist should be irresponsible in a way – a 3-year-old.

(時に,自分が無責任になれる状況に身を置かなきゃいけない。それがアーティストとしての素晴らしき特権である。本来アーティストは無責任でなければいけない,ある意味,3歳児だと思って。)

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記事の最後に,記者はこう締めくくる。

“Getting comfortable with the dissonance, that’s the thing.”
(不調和音を安心して受け入れられるようになること,それがカニエを理解することの第一歩である。)

カニエはこう言う。

“My existence is selvage denim at this point, it’s a vintage Hermes bag. All the stains just make it better.”
(俺の存在は今やセルビッジ・デニムだよ。エルメスバッグのヴィンテージ品さ。シミと汚れがさらに良い味を醸し出す。 ー カニエ・ウェスト)

補足:ちょうど昨年の今頃(2017年6月30日)であったが,ジェイZが『4:44』をリリースした際,ボーナストラックとして後日,アルバムに収録された楽曲「MaNyfaCedGod」で,ジェイZはこうラップした。

Broken is better than new / That’s Kintsukuroi.

傷が入った品は,新品よりも価値がある/それを金繕いと言う。

金繕い(金継ぎ)とは,割れや欠け,ヒビなどの陶磁器の破損部分を漆によって接着し,金などの金属粉で装飾して仕上げる修復技法をいう。まさに「新品」とは異なった趣(おもむき)をその芸術作品に感じることができる。(つまり,新品の作品と,ヒビ割れを修復したあとの作品とを較べたとき,ヒビ割れ後の作品のほうが,深い味を感じられる,ということだ。)

これをカニエに繋げるとすれば,新品のカニエと,精神的な傷跡によってできた「割れ」や「ヒビ」などを経てきたカニエ(まさに今のカニエ)とでは,後者のほうが,深い味を鑑賞することができる,といった具合だ。

ジェイZが言う「kintsukuroi」を,カニエは「vintage Hermes bag」と表現した。この今となっては「疎遠のブラザー同士」は,ほんとうに似たようなことを考える“兄弟”である。

(文責:Jun Nishihara)