第32位:今年最高の盛り上がりを見せたリル・ナズ・Xの曲「Old Town Road」(今年出たHip-Hop名曲名場面ベスト50)

テイラー・スウィフト(Taylor Swift)は,さかのぼれば,大元はカントリーシンガー(カントリー音楽を歌う歌手)でした。カントリー出身の彼女は,次第にアメリカン・ポップを歌うようになり,今ではアメリカ,いや,全米のみならず,全世界を代表するポップ・シンガーとなりました。つまり彼女は,カントリーを出て国際的世界ナンバーワンとなったアーティストでした。

しかし今年出たこのリル・ナズ・X(Lil Nas X)の全世界ヒット曲「Old Town Road」では,今まで成し遂げられなかったことが成功しました。それは何かといえば,まさにテイラー・スウィフトとは逆,「ヒップホップをカントリーに入れ込んだ」ということです。今まで,「カントリーを出て,ヒップホップに行った」人(たとえばKid Rock(キッド・ロック))はいました。そしてテイラー・スウィフトのように「カントリーを出て,ポップに行った」人もいました。つまり「カントリー出て,他へ行った」人はいたのでしたが,リル・ナズ・Xはそれらとは逆に「ヒップホップをカントリーの世界にもってった」,言わば「ヒップホップをカントリーの世界に逆流させた」ことに成功した,きわめてめずらしいアーティストになりました。

ヒップホップはここ数年,アメリカの「ポップ」として認知されるようになってきました。ロックやジャズと比べると歴史は相当浅いですが,ここへ来て,もうアメリカ中の誰もがヒップホップを無視することはできなくなってきました。ニッキー・ミナージュが世に出てきた頃から徐々に,ヒップホップは一部「ポップ」として認知されるようになってきました。

この曲の偉大さについてはさて置き,今年出たヒップホップ曲第32位として,以下リル・ナズ・Xの「Old Town Road」の2ヴァージョンを掲載しておきます。

Lil Nas X feat. Billy Ray Cyrus – “Old Town Road”

※スキット無し

※スキットあり

(文責:Jun Nishihara)

第34位:Nick Grantのシングル曲「Pink Starburst」(今年出たHip-Hop名曲名場面ベスト50)

2019年に出た曲なのに,どうしてここまで2003年を思い出してしまうのだろう。
Nick Grant(ニック・グラント)のフローといい,ラップといい,メロディといい,ビートといい,この「Pink Starburst」なる楽曲は,ノスタルジアを想起させる曲であり,同時に,ヒップホップが今後進むべき道を示してくれているような,道しるべとなる曲であるといえるだろう。

それがこれ,Nick Grant – “Pink Starburst”をお聴きあれ。

冒頭で,「2019年に出た曲なのに,どうしてここまで2003年を思い出すのだろうか」と書いた。それは以下の曲が理由なのだ。そう,2003年にロカフェラ・レコーズ・ファミリーから不屈のMCことFreeway(フリーウェイ)がリリースしたデビューアルバム『Philadelphia Freeway』からセカンドシングル「Alright」に起用されているサンプリングと同じものを使っているからなのだ!

2003年にこのアルバムが出てからというもの,NYの地下鉄を乗っている間も,メトロバスを乗っている間も,どこへ行くにも,このアルバムを持って出かけた。当時はiPodすらもまだ無い時代。もちろんPanasonicのCD PlayerにCDを入れて聴いていた時代ですよ。

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それにしても,Freewayのキレッキレッのラップはいつ聴いても健全!クリアなライムに,単語をハッキリと言い切るラップの仕方は,どこかNick Grantにさえも似ている気がする。否,逆か。Nick GrantのキレのいいラップがFreewayのラップに似ている,というべきか。

Nick Grantよ,あんたのおかげで,ポータブルCDプレイヤーを持ち歩いていつでも耳にはヒップホップ音楽が流れていた時代を思い出させてくれた。ありがとうな。

(文責:Jun Nishihara)

第37位:今年の37位はKash Doll? もしくはDoja Cat? 二人とも今年メインストリームデビュー!(今年出たHip-Hop名曲名場面ベスト50)

名前が似すぎて,違いがわからん!・・・と言う方に,まずは写真で区別していただきましょう。

まずはキャッシュ・ドール(Kash Doll)は黒人女子ラッパー。
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そしてドジャ・キャット(Doja Cat)はかなり色白の二人種(黒人と白人にまたがる)女子ラッパーです。パパが南アフリカ生まれ,ママはユダヤ系の白人というステフロン・ドンに負けず劣らない多種多様のカルチャーが混ざり合った家庭で育ちました。
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上記2つの写真を見比べるだけでも,イメージというか印象は二人とも互いにぜんぜん異なります。写真の印象だけでは,どちらが好きですか?

パッと見はドジャ・キャットが好印象ですけれど,キャッシュ・ドールのほうがラップが上手そうですね。

さて,こんどは,二人が今年リリースしたシングル曲をそれぞれ聴き比べてみましょう。

まずはキャッシュ・ドール(Kash Doll)から,今年8月にリリースされたシングル曲「Ready Set」です。

続いてドジャ・キャット(Doja Cat),同じく今年8月にリリースされたシングル曲「Juicy」です。

どちらが好きですか?
写真で見たときの印象どおり,ラップに関しては,キャッシュ・ドールがダントツですね。

最後に,二人のフリースタイルを聴き比べてみましょう。

まずはキャッシュ・ドール(Kash Doll)から。

キャッシュ・ドールのフリースタイル中で「Detroit Queen」と出てきますが,彼女はデトロイト出身。エミネムやビッグ・ショーンの同胞です。

続いてドジャ・キャット(Doja Cat)・・・なのですが,いいフリースタイルが見つからなかったですので,彼女がエロく歌うインスタ動画と,続いて“A COLORS SHOW”で披露したシングル曲「Juicy」を掲載いたします。

こうして見てみますと,二人はまったく毛色の異なるアーティストということが分かります。キャッシュ・ドール(Kash Doll)はラップもフリースタイルもしっかりしていて,根っからのヒップホップ・アーティストですが,色白のドジャ・キャット(Doja Cat)はウタも歌えて,ポップス寄りですね。

さて,それでは今年第37位の軍配を上げるのは,キャッシュ・ドールか,ドジャ・キャットか,どちらでしょう。

ヒップホップ好き代表としては,今年の軍配は,ラップもフリースタイルもできるキャッシュ・ドール(Kash Doll)に決定です。ドジャ・キャット(Doja Cat)は見た目もいいですし,これからポップス界でも人気を挙げていくのでしょうが,最近増えてきた女子ラッパーの間で熾烈の戦いを繰り広げるであろうキャッシュ・ドールには,さらに頑張っていってもらいたいですね。

ということで,今年第37位はキャッシュ・ドール(Kash Doll)でした。

(文責:Jun Nishihara)

第49位:ScHoolboy Qのシングル曲「Numb Numb Juice」(今年出たHip-Hop名曲・名場面ベスト50)

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ケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)と同じレーベル=TDE (Top Dawg Entertainment)所属の同胞=スクールボーイQ(ScHoolboy Q)が今年アルバム『CrasH Talk』をリリースしました。同アルバムからファースト・シングルである「Numb Numb Juice」を発表。イントロはめちゃめちゃカッチョよかったです。

同アルバムは米ビルボード200で第3位を獲得。リリース後1週間で8万1000枚売り上げるというこのアルバム売上不調の昨今においてはまずまずの記録でした。

全体的な売り上げはまずまずの記録としても,このシングル曲で,この冒頭のフレーズというのは,ツカみは完ぺき,記録よりも記憶に残る楽曲となりました。

Two-door coupe, hoppin’ out like Jack-in-the-Box, nigga
I’m gon’ shoot if this 30’s all that I got, nigga

ツードアのクーペで,ビックリ箱のごとく飛び出すぜ
両手にグロック銃,ぶっ放っちまうぜ

というふうにNワードを必ず語尾につけてラップをカマす一節です。
ここから次のヴァース「Time’s Up / Got my coins up, my bars up / Soon we find ’em」に入るくだりは絶妙です。「Soon we find ’em」で少しライム(韻)をズラすのは,最近の同じTDE仲間であるジェイ・ロック(Jay Rock)を彷彿とさせるラップをカマシてくれました。

(文責及び対訳:Jun Nishihara)

カニエ・ウェストのニューアルバム『Jesus Is King』より,楽曲⑥対訳「Everything We Need」。

楽曲⑥「Everything We Need」feat. タイ・ダラー・サイン&アント・クレマンス 対訳

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[Intro: Ty Dolla $ign & Ant Clemons]
We began after the storm inside
Lay the land (Ah), it’s just the morning light (Woo, woo)
Woo, woo, oh yeah

(イントロ:タイ・ダラー・サイン&アント・クレマンス)
心に嵐が吹き荒れた後,僕らは始めた
土地をおこし(アー),朝の光が差した(ウー,ウー)
ウー,ウー,オゥ,イヤー

[Verse 1: Kanye West & Ant Clemons]
Woo-ooh, ooh-ooh
Switch your⁠, switch your attitude
Go ‘head, level up yourself
This that different latitude
Ooh-ooh, ooh-ooh
Life too short, go spoil yourself
Feel that feel, enjoy yourself ’cause

(ヴァース1:カニエ・ウェスト&アント・クレマンス)
ウー,ウー,オゥ,オゥ
入れ替えな,入れ替えな,キミの態度
どんどん進んで,レベルアップしな
もはや他とは緯度が違う
オゥ,オゥ,オゥ,オゥ
人生は短い,だからじぶんに贅沢させちゃいな
そのフィーリング感じな,すっかり楽しんじゃいな,だって

[Refrain: Ant Clemons & Ty Dolla $ign]
We have everything we need (Ooh-ooh, ooh-ooh, oh)
We have everything we need (Ooh-ooh, ooh-ooh, oh, oh)
We have everything we need (Ooh-ooh, ooh-ooh, oh)
We have everything we need (Ooh-ooh, ooh-ooh, oh, woah)
We have everything we need

(リフレイン:アント・クレマンス&タイ・ダラー・サイン)
必要なものは全て揃ってる(オゥ,オゥ,オゥ,オゥ,オゥ)
必要なものは全て揃ってる(オゥ,オゥ,オゥ,オゥ,オゥ,オゥ)
必要なものは全て揃ってる(オゥ,オゥ,オゥ,オゥ,オゥ)
必要なものは全て揃ってる(オゥ,オゥ,オゥ,オゥ,オゥ,ウォゥ)
必要なものは全て揃ってる

[Chorus: Ty Dolla $ign]
We began after the storm inside
Lay the land (Ah), it’s just the morning light (Oh, yeah)

(サビ:タイ・ダラー・サイン)
心に嵐が吹き荒れた後,僕らは始めた
土地をおこし(アー),朝の光が差した(オゥ,イヤー)

[Verse 2: Kanye West & Ant Clemons]
Switch my, switch my attitude
I’m so, I’m so radical
All these people mad at dude
This for who it matter to
What if Eve made apple juice?
You gon’ do what Adam do?
Or say, “Baby, let’s put this back on the tree” ’cause

(ヴァース2:カニエ・ウェスト&アント・クレマンス)
入れ替えた,入れ替えた,俺の態度
とっても俺は,とっても過激な野郎
あらゆる連中が怒ってる
これは共感する人だけに捧げる曲
もしイヴがアップルジュースを作っていたら?
あんたはアダムと同じことしただろうか
もしくはこう言っただろうか「ベイビー,この林檎,木に戻してやろうか」だって

[Refrain: Ant Clemons & Ty Dolla $ign]
We have everything we need (Ooh-ooh, ooh-ooh, oh)
We have everything we need (Ooh-ooh, ooh-ooh, oh, oh)
We have everything we need (Ooh-ooh, ooh-ooh, oh)
We have everything we need (Ooh-ooh, ooh-ooh, oh, woah)
We have everything we need

(リフレイン:アント・クレマンス&タイ・ダラー・サイン)
必要なものは全て揃ってる(オゥ,オゥ,オゥ,オゥ,オゥ)
必要なものは全て揃ってる(オゥ,オゥ,オゥ,オゥ,オゥ,オゥ)
必要なものは全て揃ってる(オゥ,オゥ,オゥ,オゥ,オゥ)
必要なものは全て揃ってる(オゥ,オゥ,オゥ,オゥ,オゥ,ウォゥ)
必要なものは全て揃ってる

[Chorus: Ty Dolla $ign]
We began after the storm inside
Lay the land (Ah), it’s just the morning light

(サビ:タイ・ダラー・サイン)
心に嵐が吹き荒れた後,僕らは始めた
土地をおこし(アー),朝の光が差した

(対訳:Jun Nishihara)

カニエ・ウェストのニューアルバム『Jesus Is King』より,楽曲③対訳「Follow God」。

楽曲③「Follow God」対訳

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[Intro]
Father, I stretch
Stretch my hands to you

(イントロ)
神よ,私は伸ばす
両手をあなたのもとに

[Verse]
Lifelike, this is what your life like, try to live your life right
People really know you, push your buttons like type write
This is like a movie, but it’s really very lifelike
Every single night, right, every single fight, right?
I was looking at the ‘Gram and I don’t even like likes
I was screamin’ at my Dad, he told me, “It ain’t Christ-like”
I was screamin’ at the referee just like Mike
Lookin’ for a bright light, Sigel, what your life like

(ヴァース)
生き写し,これがあんたの生き様,じぶんの人生,ちゃんと生きんだぜ
世間に見られる人生,いちいちバチバチ撮られて,書かれる人生
まるで映画だろ,だがな,ほんとのところは,生身の人間の人生
かかさず毎晩,そうだろ,かかさず毎対戦,だってそうだろ?
こないだインスタ見てた,もはや「いいね」が良くねえんだ
パパに怒鳴り声挙げてた,こう言われた「キリストらしくねえな」
レフリーに怒鳴り声挙げてた,まるでマイク・タイソンだろ
まばゆいスポットライトを求めてた,シーゲル※(註),どんな生き様してんだ
※(註):ビーニー・シーゲルのデビューアルバム収録の楽曲「What Your Life Like」言及

Riding on a white bike, feeling like excite bike (Stretch my hands to you)
Pressin’ on the gas, supernova for a night light
Screamin’ at my dad and he told me, “It ain’t Christ-like”
But nobody never tell you when you’re being like Christ
Only ever seein’ me only when they needin’ me
Like if Tyler Perry made a movie for BET
Searchin’ for a deity, now you wanna see it free
Now you wanna see if we, let’s just see if three a piece
Tell me what your life like, turn it down, a bright light

白いバイクに乗り,気分はエキサイトバイク(あなたに両手を伸ばす)
アクセルを踏んづけ,夜空にまばゆく輝く超新星
パパに怒鳴り声挙げてた,こう言われた「キリストらしくねえな」
だがキリストらしくやった時には,誰にも「キリストらしい」なんて言われねえ
必要なときにしか神と話そうと思わない
タイラー・ペリーがBETネットワークで映画を撮るように
神の存在をさがしてる,カネも払わず見つけようとしている
次は俺らがやってけるかどうか,それを試そうとしてる
どんな生き様してんだ,ライトを落とせ,まばゆいライト

Drivin’ with my dad, and he told me, “It ain’t Christ-like” (Stretch my hands to you)
I’m just tryna find, l’ve been lookin’ for a new way
I’m just really tryin’ not to really do the fool way
I don’t have a cool way, bein’ on my best, though
Block ’em on the text though, nothin’ else next though
Not another word, letter, picture, or a decimal (Father, I stretch)
Wrestlin’ with God, I don’t really want to wrestle
Man, it’s really lifelike, everything in my life (Stretch my hands to you)
Arguing with my dad, and he said, “It ain’t Christ-like”

パパとドライブしてた,こう言われた「キリストらしくねえな」(あなたに両手を伸ばす)
みっけようとしてる,新しいやり方を探してる
馬鹿な目だけには合いたくない,どうしてもそれだけは避けようとしてる
クールにはなれねえかもしれねえ,でもベストは尽くしてる
SMSでブロックして,後のことなんて何も考えず
もうたくさんだ,言葉,レター,写真,そして小数点(神よ,伸ばす)
神との格闘,もう格闘はしたくない
メーン,これが生き様だ,これが俺の人生だ(両手をあなたに伸ばす)
パパと口喧嘩して,こう言われた「キリストらしくねえな」

[Outro]
Man
You know, it’s like
Somebody only close who can get you, like, off your
I be on my
I woke up this morning, I said my prayers
I’m all good, then I tried to talk to my dad (Stretch my hands to you)
Give him some advice, he starts spazzin’ on me
I start spazzin’ back, He said “That ain’t Christ-like”
I said, “Aaah”

(アウトロ)
メーン
そういうもんだろ
身近でいる人しか,ほんとのあんたのことを
そういう気になんだ
今朝,起きて,祈りを捧げた
爽快な気分だった,で,パパに話そうとした(神よ,両手をあなに伸ばす)
俺なりのアドバイスをしてあげた,すると逆キレされた
じゃあ俺もキレるよ,こう言われた「キリストらしくねえな」
こう返した「アァァー!」

(対訳:Jun Nishihara)

カニエ・ウェストの“Sunday Service”まとめ(10月6日&10月12日開催分)

引き続きカニエ・ウェストの“Sunday Service”を掲載しておきます。

10月6日(日) 於:ユタ州ソルト・レイク・シティ
“Sunday Service”ファンにはお馴染みの曲を,タイムライン9:07秒からどうぞ。

 

10月12日(土) 於:ハワード大学(名門黒人大学)
アメリカには「歴史的黒人大学(HBCU=Historically Black Colleges and Universities)」という言葉があります。ハワード大学(Howard University)はその中でも名門と呼ばれる大学です。土曜日の“Sunday Service”ですが,そのハワード大学にカニエが登場しました。
以下は,そのハワード大学のツイッターより抜粋します。

以下はTMZからです。冒頭の曲は,なかなかアツいですね。Mad fireですね。

そしてなんと,カニエ・ウェストは2003年にも同大学でライヴを開催していました。2003年といえば,16年前,まだデビューアルバムさえもリリースしていなかった頃です。まだアルバムを1枚も出していなかった頃!(カニエにもそんな時代があったのです。)その貴重な映像が以下です。なにせ16年前の映像ですので,映像クオリティの悪さには悪しからず。(カニエ・ウェスト,2003年ハワード大学にて。)

(文責:Jun Nishihara)

カニエ・ウェスト“Sunday Service”を金曜日に開催 (9月27日分) & アルバム『Jesus Is King』のリスニングパーティー

いよいよカニエ・ウェストのニューアルバム『Jesus Is King』がリリースされるぞ!と期待が絶頂に高まろうとしようとしていた頃,カニエは週末にかけて連チャンでライヴパフォーマンスを開催しました。

第1日目は9月27日(金)デトロイトにて“Sunday Service”を開催。そう!“Sunday Service(日曜のミサ)”は当然のようにこれまでずっと「日曜日に」開催されてきました。しかしここへきて初めて!金曜日に日曜のミサを開催!これまで以上に素晴らしいパフォーマンスとなりました。カニエのみならず,“Sunday Service”クルーの皆さんのダンスとパフォーマンスが極上!当サイトで何度も何度も詳細に亘りくりかえし書いてきましたが,黒人のパワーが発現します。

そして第2日目は9月28日(土),この日,カニエ・ウェストは同じシカゴ出身の同胞ラッパー=Chance The Rapper(チャンス・ザ・ラッパー)のライヴステージでパフォーマンスします。同日,ここでも書いたように,カニエ・ウェストのドキュメンタリー映画(IMAX配給)『Jesus Is King』の上映日もキム・カーダシアンのInstagramやTwitterをとおして発表されました。

さて,チャンス・ザ・ラッパーのライヴに登場したカニエ・ウェストの映像も掲載しておきます。

ここでカニエ・ウェストは「Jesus Christ is king.(イエス・キリストこそが王様だ。)」と発言します。

そして第3日目の9月29日(日)には,NYはクイーンズの教会にカニエ・ウェストがあらわれます。クイーンズにあるGreater Allen A.M.E. Cathedral(グレイター・アレンA.M.E.大聖堂)です。地元のクイーンズ出身のアーティストやメディア関係者,ヒップホップジャーナリストたちはこぞって参加。クイーンズは地元といってももうニューヨークですから,ヒップホップ業界の関係者たちもいます。まさにヒップホップの生誕地で,日曜日にヒップホップ化されたゴスペル・クワイアとともに繰り広げる“Sunday Service”はまさに格別!!こんなゼータクなことはないでしょう。

タイムライン4分53秒あたりから,祭壇の奥の方にカニエ・ウェストの姿が見え始めます。

ついにニューヨークまで来ましたね。今まではニューヨークを避けて,ニューヨーク以外のいろいろな場所で“Sunday Service”を毎週日曜日に開催してきましたが,ニューヨークだけは来なかった。しかし,いよいよ,ここへ来た。こりゃあ,ニューヨークの連中は黙っていないですよ。全米でいちばんうるさい野郎たちがニューヨークにいますから。ヒップホップに関しては。黙っていないですよ。ニューヨーク最大のヒップホップ&R&Bラジオ局=HOT97でもちろん取り上げました。以下です。

ニューヨークはアメリカではない,というのがこれを見ていると分かります。ニューヨークではまったく違う時間が流れている。まさにそれをNew York Minuteという。ニューヨーク以外のその他全米と,そしてニューヨークとでは,物事のとらえ方がまったく違う。いやあ,これを見ていて,爽快です。

それから,カニエ・ウェストの未だリリースされないニューアルバム『Jesus Is King』のリスニング・セッションの模様を以下,数枚掲載いたします。(それぞれのクリップは非常に短く,すぐ終わります。)

カニエ・ウェストの『Jesus Is King』アルバムは未だリリースされておりませんが,彼がアルバムをリリースしない時,それはさらなる良き改良(tweaks)を加えているということを意味し,われわれの期待はさらに膨らんでいきます。

(文責:Jun Nishihara)

カニエ・ウェストの新作アルバム『Jesus Is King』は9月29日(日)にリリース(妻キム・カーダシアンのインスタ&ツイッターより)

妻キム・カーダシアンのインスタグラム・ストーリーにて,カニエ・ウェストの新盤『Jesus Is King』は明日29日(日)にリリースされる,と発表がありました。

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(「カニエ・ウェストは28日(土)にシカゴで新作のリスニングセッションを実施し,29日(日)にはニューヨークでリスニングセッションを実施予定。そして同日29日(日)にアルバム『Jesus Is King』をリリースします。」と書かれております。)

なお,以下のインスタグラム・ストーリーでは,10月にカニエ・ウェストのミュージックドキュメンタリー映画『Jesus is Lord』がIMAXにて上映開始されると発表されました。

キム・カーダシアンのツイッターでは,ニューアルバム『Jesus Is King』のトラックリストが発表されました。前回発表されたものからは少し改訂されています。この「改訂していく」というのも,カニエの仕事に対する態度でカニエによく見られる傾向です。カニエは過去に一度アルバムに収録してすでに発表した楽曲のビートを後に改訂したことがありました。「たとえアルバムに収録された曲でも,さらに良いものにし続ける態度」というのはカニエの傾向です。

また,以下に,昨日27日(金)にカニエ・ウェストがデトロイトで行った特別の“Sunday Service”ならぬ“Friday Service”のストリーミングを掲載しておきます。題して「Jesus is King: A Kanye West Experience(邦題:ジーザスはキング:カニエ・ウェスト体験)」。タイムライン16:40では,パパ(カニエ)の横で跳びはねて踊る娘(ノース)も映ります。なお,これはストリーミングですので,一定期間を過ぎますとリンクが消えます。(映像が見られなくなります。)

なお,先ほど映画『Jesus Is King: A Kanye West Film』(一部報道では『Jesus Is Lord』となっておりましたが,『Jesus Is King』だそうです)は来月10月25日(金)にIMAXにて上映開始されると発表がありました。以下がそのカバーアートです。

Jesus is King Final NK Poster 9.25

映画の内容はこれまでの“Sunday Service”の模様がたっぷりと流される予定だそうです。しかしそれだけでは終わりません。セットは大自然そのまんまの“RODEN CRATER”現代美術家ジェームズ・タレルの大作です!)で撮影される(た)そうです。

(文責:Jun Nishihara)

アメリカ『BET』の歴史と重なるメアリーJブライジの音楽史に贈られた特別功労賞。

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(デビュー当時のMary J. Blige)

黒人音楽を聴くという習慣がついているものにとって,アメリカのBETというTVチェンネルは欠かせないものです。アメリカ黒人のカルチャーやファッション,音楽やミュージックビデオ等に関するあらゆる番組を一日中放映しているTVです。(BET=Black Entertainment TV)2000年代初期の頃にはまだまだBETよりもMTVという時流はありましたが,最近ではMTVと双璧をなすほどのクオリティとトレンド力をBETはつけてきたと思います。

MTVと同じくBETでも毎年「BET Music Awards」が開催されます。2001年から開催するようになり,今年で19年目です。

そのBET Music Awardsで今年開かされたAwards授賞式では,メアリー・J.ブライジ(Mary J. Blige)が素晴らしきステージパフォーマンスを見せてくれました。メアリーが活動を始めたのは1989年,BETが創設されたのは1980年,アメリカの全国版TVチャンネルとして認められたのは1983年でした。つまり,BETがアメリカ全土に放映されるようになって僅か6年後にメアリーのミュージックビデオはBETチャンネルで放映されるようになったのでした。

こうして四半世紀以上の黒人音楽史を,Mary J. Bligeとともに歩んできた米国BETチャンネルは,今年(2019年)のBET授賞式で彼女を特別に讃えることとしました。まさにその名に等しい「Lifetime Achievement Award(特別功労賞)」です。この特別功労賞は,黒人音楽の歴史において名を馳せるとともに,黒人音楽に長年の間貢献した偉大なる人物に贈られる賞です。過去に同賞を受賞した人物にホイットニー・ヒューストン(Whitney Houston),ジェイムス・ブラウン(James Brown),チャカ・カーン(Chaka Khan),プリンス(Prince),ダイアナ・ロス(Diana Ross)等,まさに偉大なる人物が並びます。

その偉大なる人物の中に,ついにMary J. Bligeも並ぶこととなりました。現代の世代のヒップホップアーティストでこの受賞者の欄に並ぶのは初めてです。「ヒップホップ」が初めてなんです。信じられないようで,ずっとヒップホップを聞いてきたものにとっては感慨深いものがあります。繰り返しますが,「功労賞」にヒップホップという音楽も入るようになったんです。今まで「若者の音楽」だと勝手に思ってきたヒップホップも「歳をとったものだなぁ」とこれを見て思いましたよ。あのダボダボのシャツとダボダボのパンツとベースボールキャップを被って腰を屈めてストリートを闊歩したいたナインティーズのヒップホップスタイルも,今や,小ぎれいに着飾って,ジュエリーなんかしちゃって,パンツもタイト,シャツもタイト,キャップも高価,もうかつての「土臭さ」はなくなりつつありますけれど,以下のメアリーのパフォーマンス映像では,ミーゴスもカーディBもリスペクトの目でメアリーを見る映像が映し出されます。この姿はMTVでは観られないんじゃないかなぁなんて思います。

そしてその同授賞式でのメアリーのステージがまた素晴らしかった。これです。

そして以下がメアリーが特別功労賞を受賞する際の模様です。

ヒップホップ・ソウルの歴史がまた1ページ,刻まれました。

(文責:Jun Nishihara)