第42位:Tierra Whackの15分間アルバム『Whack World』(今年出たHip-Hop名曲名場面ベスト50)

ティエラ・ワック(Tierra Whack)の才覚はフリースタイルにあり,と私は思っております。フィラデルフィアのゲットー=ノース・フィリー(North Philly)で育った彼女は,まわりの人間たちがサイファー(Cypher)つまりフリースタイルをできるような連中のなかで大きくなりました。生まれは1995年で,まだ24歳の彼女ですが,そのフリースタイルはちゃんとリリカルで,不動のものでしょう。彼女がリリースしたデビューアルバム『Whack World』は全体を通して15分で聴けます。1曲ずつがものすごく短い。だから今すぐ聴いても15分で全曲を聴きおえられます。しかし,そのアルバムはあくまでもオマケともいえます。なぜなら,ティエラの才覚は,again,フリースタイルにあります。下記ビデオを少し観てみてください。

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上記フリースタイルでも言及されておりますが,彼女の楽曲「Mumbo Jumbo」のミュージックビデオが2019年グラミー賞にノミネートされました(「最優秀短編ミュージックビデオ賞部門」)。しかしグラミー賞ノミネートも彼女にとってはオマケ。彼女が真価を発揮するのは,やはりフリースタイルラップです。

ちなみに上記1つ目のフリースタイルは,JAY-Zの名曲「Nigga What, Nigga Who (Originator’99)」からですね。1998年にリリースされた曲ですが,いまだに「聴ける」という素晴らしさ。この曲の名物ぶりはさて置いて,ティエラ・ワックが同曲で上記フリースタイルをカマシてるっつうのは,まさに将来有望でしょう。

ティエラ・ワックがフリースタイル集を作ってリリースすれば間違いなくトップ10でしょう。しかしながら,15分間アルバムは短すぎた。すぐ聴けていい!のですが,逆にいえば,すぐ聴けて終わってしまうので,もうちょっと聴いていたかった。

なお,上記2つ目のフリースタイルは,これもJAY-Zの曲「La-La-La (Excuse me Miss Again」からです。(オリジナルの曲「Excuse Me Miss」ではないでござんすよ!)

久しぶりに,観ときまっか?!下記ビデオです。2003年です。憶えてます??

(文責:Jun Nishihara)