第2位:ドレイク『HONESTLY, NEVERMIND』及び,ビヨンセ『Renaissance』のアルバム (2022年Hip-Hop名曲名盤ベスト20!)

2023年、新年に相応しいアルバムはこちらです。

第2位、ドレイク(Drake)のアルバム『HONESTLY, NEVER MIND』と,
ビヨンセ(Beyonce)のアルバム『Renaissance』です。

上記両方のアルバムは,2022年にリリースされた名盤中の名盤です。
ドレイクの『HONESTLY, NEVERMIND』については,ドレイクが意図したものか意図しなかったものかは分かりませんが,Hip-Hopという音楽のジャンルに対してある種革命的な衝撃をもたらしたアルバムであることは否定できない事実でしょう。
ビヨンセの『Rennaisance』も然りです。
この2枚のアルバムに共通していることは,これまでのHip-HopやR&Bといったジャンルに与えられていた固定観念をぶち壊してくれたアルバムである,ということ。それは「ダンス」という芸術表現にだいぶ助けられました。もっと言うと「ダンス・ミュージック」という表現です。ドレイクとビヨンセ,いずれも長年のキャリアを持つ今となっては大ベテランの二人が,この2022年に「ダンス」を選んだ(それは意識的になのか,無意識なのかはさておき)というのは感動すべきことであるということをあまり多くの人は気づいていないかもしれません。

ドレイク(Drake)に至っては今年2022年にアルバムを2枚リリースしました。第3位の『HER LOSS』と第2位の『HONESTLY, NEVERMIND』です。

アメリカでは,というか,世の中は『HER LOSS』のほうを名作と呼んでいる傾向にあるようです。YouTube上のあらゆるHip-Hopアルバム評論ユーチューバーたちを見ても,そういった論評が多いですね。『Her Loss』と『HONESTLY, NEVERMIND』、この2枚のアルバムの違いは,つまり,こういうことです。
偶然の賜物(自然(ゼロ)から誕生したもの)を選ぶか,その偶然を生かして作り上げた創造物(いわば副産物)を選ぶか,という判断に委ねられます。ここは個々人の判断が分かれるところかもしれませんが,私は「自然」のほうを選びました。なので,『HER LOSS』(副産物)を第3位にして,『HONESTLY, NEVERMIND』(自然)をそれより上位の第2位としました。

なぜ,『HONESTLY, NEVERMIND』が“自然”なのか。それは,これまでドレイクが作り出すことを期待されてきた音楽とは全く異なるものを作り出したということ,だからです。期待どおりにしなかった。これまでドレイクのキャリアで,『More Life』というダンス・ミュージックをメインに入れ込んだアルバムはあったものの,それはドレイクの方向性であるべきではないとずっと言われてきた。評論家や一般リスナーたちから。むしろ,一般的なヒップホップリスナーたちの論調としては,ドレイクはダンス・ミュージックを作るべきではなく,Hip-Hopに回帰すべきである,という論調が大多数の意見であった。しかしながら,ここで,今年2022年,ドレイクはそれに反して,ダンス・ミュージックをフルに使った『HONESTLY, NEVERMIND』を世に出した。人間が意識的に作り出した人工物なぞは、自然の力の前には到底及びもしません。それだけ自然の力には、破壊力というとんでもない威力が潜んでいます。まさにHip-Hopの世界において,このアルバム『HONESTLY, NEVERMIND』は破壊力がでかく、衝撃的なアルバムであった。それに気づいていないヒップホップリスナーたちは,いまだに最後の収録楽曲である「Jimmy Cooks」が一番良い曲であると,勘違いをしている。ドレイクが21サヴェッジ(21 Savage)とコラボした曲は,これまで何曲かありますが,どれもヒットしているところを見ると,「Jimmy Cooks」がこのアルバムで最高の曲であると勘違いする輩(やから)が多いのも理解はできますが,しかしそれがドレイクの良さではない。ヒットすれば良いという訳ではない。全米ビルボードで1位になれば,それがHip-Hopで同じように評価されるかというと,そうではない。ドレイクと21サヴェッジの相性がいいのは確かでしょう。しかしながら,ドレイクの本当の良さはそこではなく,何も無いところから,ゼロから,『HONESTLY, NEVERMIND』のようなアルバムを作れるところにあるのです。ついては,『HER LOSS』は,21サヴェッジとのコラボレーション曲(「Jimmy Cooks」)を気に入ってくれたファンに対するプレゼントのようなもので,これは偶然ではなく,ドレイクもしくは業界が意図して作り出したものにすぎないと考えます。しかし,期待されて作り上げたものが期待以上のデキであるというところが,ドレイクの凄いところなのですが,いくら期待以上のデキだとしても,それは“自然”には到底勝てるものではありません。

ここで話をガラッと変えて,ビヨンセ(Beyonce)の2022年最高傑作アルバム『Renaissance』に移りたいと思います。

名曲が幾つも輩出されました。ここに3曲掲載しておきます。どれもTikTok上,Twitter上,Instagram上で,あらゆるSNS上で、素人たちがダンスを踊って投稿する音楽(ダンス・ミュージック)として起用されました。

Beyonce – “CUFF IT”

Beyonce – “ENERGY”

そして,アルバム収録楽曲の中でも衝撃的だったのが,こちらです。是非ともこれを爆音にして聴いてください。
Beyonce – “ALIEN SUPERSTAR”

そして,こちらの楽曲も掲載しておきます。ビヨンセの「Virgo’s Groove」です。このアルバム『Renaissance』には名曲に次ぐ名曲が収録されていますので,通して聴くべきアルバムです。

2023年,ドレイクとビヨンセの新しきダンス・ミュージックの世界はしばらく続きそうです。

(文責:Jun Nishihara)

第3位:ドレイク x 21 Savage の共同作『Her Loss』アルバム (2022年Hip-Hop名曲名盤ベスト20!)

あけまして、おめでとうございます。
2022年はありがとうございました。
今年2023年も、どうぞ宜しくお願いいたします。

2023年まず一発目はドレイクです。

2022年、ドレイクと21サヴェッジ(21 Savage)がコラボレートして作り上げたアルバム『Her Loss』がヒップホップリスナーの間でバカウケしました。21サヴェッジとコラボ作を作ってもらいたいというドレイク・ファンの思いをそのまんま受けて,期待どおり,否,期待を上回るアルバム『Her Loss』を作り上げたという構図です。

つまり,『Her Loss』には制作される前,その先に,ファンの思いがあった。ファンの思いが形となった。

このアルバムで特筆すべきは,ビートスウィッチ(beat switch)です。アルバム冒頭からそれが顕著に出ている。1曲目「Rich Flex」の再生時間2分25秒を過ぎたところですね。

ということで,それぞれの収録楽曲のビートスウィッチ再生時間を以下にまとめておきます。他のサイトでこんなことやってるサイト,ある??

1曲目「Rich Flex」3分59秒の曲中,再生時間2分25秒を過ぎたあたり。
2曲目「Major Distribution」2分50秒の曲中,わりと早く0分32秒(「Magic City need a business office.」というフレーズが笑いですね。アトランタ最大のストリップクラブであるマジック・シティにビジネスオフィスが必要だと(笑)。)
3曲目「On BS」ビートスウィッチなし。
4曲目「BackOutsideBoyz」ビートスウィッチなし。
5曲目「Privileged Rappers」末尾にあります。2分26秒。
6曲目「Spin Bout U」ビートスウィッチはなし。サンプリングからビート入るビート・インは0分12秒にあり。
7曲目「Hours In Silence」6分39秒の曲中,2分03秒を過ぎたところです。
8曲目「Treacherous Twins」ビートスウィッチなし。
9曲目「Circo Loco」ビートスウィッチはなし。サンプリングからビートへのビート・インは0分17秒にあり。
10曲目「Pussy & Millions」2分04秒になかなかデカいビート・ドロップあり。ここが3分10秒のビートスウィッチに繋がります。そしてまた3分39秒でビート・ドロップに戻るので,ダブルにビートがガラッと変わる本曲はビート制作の面で,名曲と呼べるかもしれません。あと,聴き比べてもらいたいと思うのですが,曲中0分30秒の箇所と,2分04秒の箇所との違いです。いずれも歌詞は「Bring on a muthafuckin’ problems!」ですが,ビートの入り方が異なるので,極めておもしろいですよ。
11曲目「Broke Boys」3分45秒の曲中,1分54秒で,かなりデカいビート・ドロップあり。ここから曲の雰囲気はガラッと変わります。この曲についてもう一つ突飛なことがあるとすれば,曲の入り方ですね。まるで途中から始まっている錯覚を受ける。冒頭の曲入りは複雑なことになってます。
12曲目「Middle of the Ocean」5分56秒の曲中,1分52秒にビートスウィッチ発生。そして再度,4分49秒でビートスウィッチ発生。1曲をとおして,2002年,2003年の匂いがぷんぷんします。ぷんぷんします。
13曲目「Jumbotron Shit Poppin」ビートスウィッチなし。
14曲目「More M’s」ビートスウィッチなし。
15曲目「3AM on Glenwood」2分58秒の曲中,2分27秒で微かなビートスウィッチあり。
16曲目「I Guess It’s Fuck Me」ビートスウィッチなし。

(文責:Jun Nishihara)

第4位:今年、NYを最もレペゼンした男=’90年代からHip-Hop界に君臨するDON=ディディ(Diddy)(2022年Hip-Hop名曲名盤ベスト20!)

今年2022年を振り返って、NYを最もレペゼンしていた男といえばディディ(Diddy)なのかもしれません。

Hip-Hop史上最も重要なバトルと云われている2パックとビギー(The Notorious B.I.G.)の対決は、お互いの死という最も悲劇的な形で終わりを遂げましたが、そのビギーを世に広めたのはディディ(当時はパフ・ダディと呼ばれていました)です。本名クリストファー・ウォレス(Christopher Wallace)=The Notorious B.I.G.=ビギーは、ディディに導かれ、当時、NYでぐつぐつと人気沸騰しかけていたレコード・レーベル=The Bad Boy Recordsに所属をし、1996年に亡くなるまで、数々の名曲を生み出しました。

そして先週末12/10(土)に、ディディはリック・ロス(Rick Ross)と組み、こちらのミュージックビデオをYouTube上でリリースしました。

最後の「You’ll see, you’ll see」(そのうちわかるよ)という意味深な言葉を残してビデオを終わらせています。

しかし今年のディディ(Diddy)はそれが理由で第8位になったわけではないのです。
今年ディディは、ブライソン・ティラー(Bryson Tiller)をヴォーカルに迎えて、こちらの名曲を生み出しました。

そして、このビートに様々なラッパーたちが乗っかり、自身のフリースタイルをスピットしました。その一つが、第15位で紹介したファボラス(Fabolous)ですが、そのFabolousが #GottaMoveOnFreestyleChallenge というタグでフリースタイル・チャレンジを生み出しました。

Yung Miamiがフリースタイルする、こちらもその一つです。

ちなみにディディは毎年自分の誕生日(11月4日)(ジェイZは12月4日)に、バースデーパーティを自宅豪邸で開きますが、今年のバースデーパーティーにはジェイZや彼女と噂されているCity Girlsの片割れYung Miamiらを迎え、こんな感じで開催しました。

いろいろ書きましたが、今年イチ、感動的だった瞬間は、ディディのこちらのステージかもしれません。2022年米BETアワード・ショーです。後半の9分35秒からですね。「Gotta Move On」のパフォーマンスが始まり、その後、ディディの子どもを産んだ今は亡きパートナーであるキム・ポーター(Kim Porter)に捧げたステージが映し出されます。

2022年米ビルボード・アワードショーでも「Gotta Move On」のパフォーマンスは披露されました。こちらです。

最後に、1996年リリースのディディとビギーの「Hynotize」のミュージックビデオを掲載しておきます。

さらに、さらに最後に、2022年ディディが米BET Hip-Hop Awards Showで「Lifetime Achievement Award(生涯特別功労賞)」を授賞した模様を掲載しておきます。

今年2022年の締めくくりは、下記DiddyのセクシーなMVで年越しをいたします。Ruby Roseが主演のミュージックビデオ「Sex In The Porsche」です。

Diddy & PartyNextDoor – “Sex In The Porsche” starring Ruby Rose

2022年も当サイトRapHabitのページに来てくださり、ありがとうございました。
2023年もどうぞ宜しくお願いいたします。
Thank you for visiting this site in 2022!
Happy holidays and happy new year!

明日、お正月、引き続き第3位を発表していきます。
今後の予定は、以下のとおりです。

2023年1月1日:第3位
2023年1月2日:第2位
2023年1月3日:第1位

そして第1位を発表後、新年1月は冬休みをいただいて、次回は2023年2月8日(水)から更新を再開いたします。

皆様、良いお年をお迎えください。
また明日2023年1月1日にお会いしましょう。
特に常連の方、asami10033さん、いつもありがとうございます。
本ページにお越しいただいた皆様、2022年、ありがとうございました!

(文責:Jun Nishihara)