カニエ・ウェスト(Kanye West)改め、イェィ(Ye)が曲中叫びます。「Aye Fivi! Excuse me! But this is the feature of the year!」(エィ、ファイヴィオ!すまん!これ、今年イチのフィーチャーやわ!」
時間で言うと、2:42のところですね。
当初わたしはこれをカニエ自身をフィーチャーした曲なので、またカニエの自惚れか、と思っていたのですが、よく考えたら、カニエにアリシアという極めて贅沢なフィーチャリングです。この「今年イチ」のフィーチャーにはカニエだけでなく勿論アリシアも含まれていますね。
あと、ファイヴィオが曲中こうラップします。
「Welcome to the City of Gods! Pop was the king of New York, now I’m the nigga in charge.」(シティ・オヴ・ゴッズ(神々が宿る街=ニューヨークシティ)へようこそ。ポップ・スモークはNYのキングだった。そして今、俺がそれを継ぐ。)
そしてNY市ハーレム出身のアリシア・キーズ(Alicia Keys)がこう歌います。
New York City, please go easy on me tonight / New York City, please go easy on this heart of mine
ニューヨークシティよ、今夜は、やさしくいてちょうだい/ニューヨークシティよ、ハートにやさしくしてちょうだい
この曲がリリースされた1週間前、ファイヴィオ・フォーリンの仲間であるTドット・ウー(TDott Woo)は銃撃され亡くなりました。
冒頭ファイヴィオがラップするポップ・スモーク(Pop Smoke)についてはヒップホップ界を震撼させた大きなニュースとなりましたが、2020年2月にカリフォルニア州ハリウッド(上流階級の住宅が集まる通常は治安が良いとされている地域です)の自宅で5人の男により殺害されました。
ヒップホップ界で生きるということは、昔も今も、命がけであることがうかがえる事件です。あまりにも殺人や死者が出すぎている。そういった意味で、アリシアの祈りである「please go easy on me(やさしくいてちょうだい)」という言葉が胸に響きます。
‘Cause I’m losing my lover to the arms of another / New York City, please go easy on me
愛する人が胸の中で亡くなっていく/ニューヨークシティよ、やさしくいてちょうだい
❝ニューヨークのアンセム❞と呼ばれた楽曲は数々ありますが、この「City of Gods」もまさに今年2022年、ニューヨークの新たなアンセムとして誕生しました。
Fivio Foreign feat. Alicia Keys & Kanye West – “City of Gods”
カニエ・ウェスト(Kanye West)のライヴステージ(『Donda 2』のリスニング・パーティー)でもアリシア・キーズ(Alicia Keys)とファイヴィオ・フォーリン(Fivio Foreign)を迎え披露しました。
これには、パート2があります。
アリシア・キーズ(Alicia Keys)のみで歌ったヴァージョンです。
こちらです。
今年2022年最終回を迎えた全米長寿番組(”The Ellen DeGeneres Show”)でも披露しました。
ニューヨークシティよ、生かしてくれて、ありがとう。
(文責:Jun Nishihara)