元ネタの曲を知る⑦:ザ・ノトーリアスBIG⇆アル・グリーン

先日,ヒップホップの元祖として,ファンクの帝王=ジェームス・ブラウンの曲を取り上げましたが,今回はソウルの貴公子=アル・グリーンがヒップホップに与えた影響を取り上げたいと思います。

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アル・グリーン(Al Green)はヒップホップ世代と呼ばれる現代に,多大なる影響を与えたソウル歌手です。生まれはアーカンソー州。もとはゴスペル歌手の出です。60年代から70年代にかけソウル歌手として活躍しました。

彼が歌った数々の名曲のなかでも,ヒップホップに多大なる影響を与えた1曲は1972年リリースの「I’m Glad You’re Mine」です。

この曲は,ザ・ノトーリアスBIG(愛称:ビギー)や50セント,エミネム,エリックB&ラキムといった錚々たるヒップホップ大御所たちがサンプリングした曲です。

ヒップホップヴァージョンはいろいろなサンプリングの仕方があり,多様ですが,その中からひとつ,ビギーの「I Got A Story To Tell(邦題:話したいことがあるのさ)」を聴いてみます。

ビギーの冒頭歌詞を一部,引用します。

I kick flows for ya, kick down doors for ya
Even left all my motherfuckin’ hoes for ya
Niggas think Frankie pussy-whipped, nigga, picture that
With a Kodak, Insta-ma-tac
We don’t get down like that, lay my game down quite flat
Sweetness, where you parked at?
Petiteness but that ass fat
She got a body make a nigga wanna eat that, I’m fuckin’ with you
The bitch official, doe, dick harder than a missile, yo

おまえのためなら,フローもするし,ドアも蹴り破って,開けてやる
それに街中のアバズレ女どもとも,別れを告げてきた,でもよ
フランキー*(ビギーの愛称:麻薬王を演じたFrank Whiteより)は女の尻に敷かれるような男じゃねえ
想像してみな,コダックのインスタマック(=ポラロイド)で,チェキってみな
そんな趣味はねえ,ゲームはバッチリ決めてやる
可愛いこちゃん,どこにクルマ停めてんだい
小柄な女,でもケツはデカイ
彼女の肉体,むさぼりたくなる,じょーだんだよ
たまんねえこの女,俺のアソコ,勃起マックス,ミサイルばりに,ヨゥ

そしてそのモトとなった,アル・グリーンの「I’m Glad You’re Mine」を聴いてみます。冒頭のドラミングをループで起用していますが,そこを繰り返しループするだけで,ビギーのこの曲の下地ができあがるわけです。

(文責:Jun Nishihara)