ビギーとは相対的に,ヒトの感情に訴えかけたパック。

前回は「living lavishly(派手に生き),living luxuriously(華美に生き)」たビギーに原点回帰をしましたが,今回はそのビギーとは相対的に,ヒトの感情に訴えかけた2パック(Tupac)を想起したいと思います。

90年代から現代2020年代まで,時は経ち,ほんとうにいろいろな物事が変わってきましたが,そんな中でも,太古の昔からそんなに変わっていないんじゃないか,ということのひとつが,ヒトの感情であると,いろんな偉大な方々がいろんな場所でおっしゃられています。

2Pacは1995年2月に「Dear Mama(親愛なるおふくろへ)」というタイトルの楽曲を発表しました。本日はこの曲を聴いて,90年代のHIP-HOPへ回帰したいと思います。

(キュレーティング:Jun Nishihara)

元ネタの曲を知る(11):Megan Thee Stallion⇄2パック⇄ファンクの奇才=ブーツィー・コリンズ

久しぶりにこのコーナーをやってみました。
「元ネタ」というのは,ある曲(とりわけ旧い曲)を下敷き(つまり元ネタ)にして,新しいヒップホップやR&B曲を作り出す,というものです。

本日ご紹介するのは,現在全米チャートを総ナメ状態の,大ブレイクしているシングル曲「B.I.T.C.H.」です。アーティスト名は,ご存知Megan Thee Stallion(ミーガン・ジー・スタリオン,メーガン・ジー・スタリオン,愛称メグ,メィガン)です。昨年2019年に最も活躍したアーティストとして,大ブレイクを果たしました。

https://www.instagram.com/p/B6yUnhNFjMN/
(ビヨンセと娘ブルー・アイヴィー,そしてMegan Thee Stallionとの3ショット)

さて,そのチャート急上昇の楽曲「B.I.T.C.H.」を以下のとおりまずお聴きください。

この曲を聴いて,どこか「なつかしさ」を感じた方は,理由があります。なぜ「なつかしく」感じたか。それは1996年2月にリリースされた2パック(2Pac = Tupac)の名盤『All Eyez on Me』に収録されている楽曲「Ratha Be Ya Nigga」をこの曲は下敷きにしているからなのです。

聴いてみましょう。1996年のカリフォルニアを思い起こされるでしょう。

しかしながら,これにもさらに「大元(おおもと)」のサンプリング・ネタが存在します。

それがファンク界でもエキセントリックな格好をし,サイケデリックさをバンバン醸し出していたベースの天才=ブーツィー・コリンズの「I’d Rather Be With You」です。

これらを聴いた上で,もとに戻ってMegan Thee Stallionの「B.I.T.C.H.」を聴いてみてください。

最後にもう一つ。黒人音楽(ブラック・ミュージック)の歴史に残る素晴らしき名曲と呼ばれた「Redbone」についても同曲を一部サンプリングとして起用しております。

(文責:Jun Nishihara)