「生きることよりも,さらにもっと魂の奥底から自分を衝き動かしてくれるもの,自分をドライブしてくれるものがある」というのを数年前に友人から聞いた。
これは僕にとって衝撃的な言葉だった。なぜなら「生きる」ことが人間が最も大事にすべきことであると思っていたからだ。人間にとっての根源には「生きる」ということがあると思っていた。しかしその友人は「生きることよりも,さらにもっと魂の奥底から湧き上がってくるもの」があるのだと言った。
それは「凄い」と思うことや「素晴らしい」と感じることよりも,さらに速く(そんなことを思う前に)自分に取り憑き,時にそれは涙として表現されるものである,と。
芸術的に「凄い」とか,言葉でそれが「なぜ素晴らしいか」と人に向けて説明しようとする時間でいうとほんの一瞬の「前に」,(何かを表現しようとする一瞬の「前に」先に),魂の奥底から湧き上がってくる。何かを思う・感じる前に,湧き上がってくる。
ここでいうと,第2位まではその思う・感じるという「後」の話であった。
しかしながら,この第1位は,その「前」にあるもの(生きることよりもさらにもっと「根源」を為すもの)の話である。
それが,ドレイク(Drake)が2020年3月1日(ミュージックビデオはその一瞬前,2020年2月29日(閏年!))にリリースした「When To Say When」であった。
Drake – “When To Say When / Chicago Freestyle”
この楽曲がリリースされた5ヶ月後,(コロナ禍の中),僕はNYに着いた。
この楽曲がなければNYに来ていなかったと思った。
つまりその友人の言ったように,自分が意識する「以前」に,それにドライブされた,ということであるのかもしれない。
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しかしながらですよ,2020年,最も活躍したヒップホップ・アーティストは他にもいました。楽曲に限らず,全般的に活躍したアーティストとして,次回,第1位で取り上げます。
(文責:Jun Nishihara)